ビークルが保管されてる場所には巨大生物の数は少なかった。だが、その分味方の方に集中してるのだろう。
「此方クラッカー12よりレンジャー6。ブラッカー戦車を確保した。直ぐに其方に向かう」
『此方レンジャー6了解した!急いでくれ!』
通信越しに銃声と爆発音が多数聞こえる。ブラッカーAを味方の居る場所に動かす。
『スピア12よりクラッカー12へ。私は先に行くっスね』
「クラッカー12了解。此方も直ぐに行く」
『それじゃあ、お先っス〜』
スピア12は先行して味方と合流しに行く。そして少し走行すると味方が敵と戦ってるのが見えた。
「おやおや?随分と整った状況じゃないか」
味方も敵も見通しの良い通路に居る。それはつまり全ての敵に射線が通ってる訳だ。
「クラッカー12より各員へ。これより攻撃を開始する。唯、頭は低くしとけよ」
返事を聞かずに90㎜の徹甲弾を発射。弾は何体も貫通して行く。
「仲間の敵討ちって訳じゃ無いけど、好き勝手にやってくれた代償は払って貰うぞ」
俺は容赦無く敵が集まってる所に徹甲弾を撃ち込む。
『此方レンジャー6、良くやった。このまま敵を殲滅するぞ』
『うへ。敵が吹っ飛ぶのは良いが体液がモロに掛かったわ』
『我慢しろ。死ぬよりマシうばっ!?』
『死ぬよりマシなんだろ?まあ、俺よりタップリ掛かってるけどさ』
挟み撃ちの形になり巨大生物を殲滅する事に成功したのだった。
……
俺達はB区画の左側の巨大生物掃討を完了した。少なくとも俺達の持つレーダーには反応は無いからだ。
「此方レンジャー6、B区画左翼を確保。繰り返す、B区画左翼を確保」
『此方司令部了解。現在右翼側の巨大生物掃討も間も無く終わるだろう。しかし、中央側が苦戦してる模様。よって左翼に増援を送り、合流次第中央区画と合流し敵を殲滅せよ』
どうやらまだまだ戦いは続きそうだ。俺はブラッカー戦車から顔だけを出して状況を確認していた。そんな時、上に誰かが乗って来た。
「どもっス。いやー、さっきの走り飛びは中々良かったっスよ。正直アレが無かったら私達死んでたかもっスね」
「おいおい、行成出て来てとんでも無い事言うなよな。俺も咄嗟の行動だったから何とも言えないがな」
どうやら先程俺をビークルまで運んでくれたウィングダイバーの様だ。しかし、この子も中々度胸が有る。ウィングダイバーはその性質上飛行能力を持ち、更に高い機動性と運動性を持つ。
しかし代償として装甲の軽量化により防御力の低さが出てしまう。後は自身の体重が結構シビアらしい。詳しい数字は知らないがどのウィングダイバーは誰もが無駄にスタイルが良いのは一目瞭然だ。
「所で、あんた名前は?俺は織原 司少尉だ」
「私は姫島 朱音伍長っス。宜しく〜」
「おう、宜しくな」
軽く握手しながら挨拶する。
「所で、織原少尉は自分の口調に付いて何にも突っ込まないんスね」
「公の場じゃ無ければ別に良いよ。それにビークルまで運んでくれた戦友じゃ無いか」
「あはは…。後は、自分を助けてくれたっスよね?ほら、紺色のニクスに乗ってたと思うんスけど」
「ああ、あの時の。気にすんなよ。こんな状況だ。何が起こるか分からん。それに、さっき通信で聞いた話だとどうやら巨大生物の襲撃は世界規模らしい」
「…マジっスか?」
「マジっス」
そんな話をしてると司令部との話が纏まった様だ。
「了解しました。レンジャー隊との合流後中央区画の巨大生物の掃討を行います。よし、これより中央区画の味方の援護に向かう。現在味方のレンジャー部隊が武装装甲車両グレイプ3台と共に来ている。クラッカー12とスピア隊には前衛をお願いしたいが宜しいか?」
俺は姫島伍長を見る。丁度向こうも同じ事を思ったのか目が合う。
(やるしか無いかな?)
(そりゃそうっスよ。此処で無理っスなんて言える状況じゃ無いっスよ)
(ですよねー)
何か知らんがアイコンタクトが出来た気がする。
「クラッカー12了解。戦車を盾に…と言いたい所だが厳しいだろう。援護頼みます」
「スピア8も了解っス。隊長、良いっスよね?」
「無論だ。我々が先導しなくては被害が大きくなるのは目に見えてるからな。それよりだ…姫島伍長、お前其奴と仲が良いな。戦場で恋でも見つけたか?」
スピア隊の隊長はとんでも無い事を言う。
「ちょっ!何言ってるんスか!?そんな訳無いっスよ!」
「え〜。でもでも、突入前に何度もコンバットフレームをチラチラ見てたよね〜」
「そうそう。やっぱり助けてくれたヒーローに惚れちゃったとか?キャー!」
「あ、あんた達ね!馬鹿な事言って無いで働けっスよ!」
姫島伍長は逃げる2人のウィングダイバーを追い掛ける。そして取り残される俺はと言うと。
「違うで。ワイは何もしとらん。嘘やない。ホンマや」
此方をガン睨みしてくるレンジャー部隊に首を振りながら否定。そして徐々に戦車の中に入って行きハッチを閉めて鍵を閉めた。
「この野郎!裏切り者か!」
「この戦いが終わったら軍法会議だからな!」
「我らが軍事基地188のアイドル部隊のウィングダイバー。然も人気No.1の朱音ちゃんに手を出したら俺らが許さねえからな!」
ブラッカー戦車の上に多数のレンジャー隊員が群がる。
「やめろ!俺の戦車に群がるな!」
そしてレンジャー部隊が合流するまでブラッカー戦車の中から出られなかったので有った。
……
レンジャー部隊とグレイプ3台此方と合流を果たす。そして俺とスピア隊を前衛に武装装甲車グレイプとレンジャー部隊が続く。
「此方クラッカー12よりレンジャー隊へ、冗談でも後ろ弾だけは止めろよ。いや、割と本気で言ってるからな」
『安心しろって。そんな事はしねえよ』
『ちゃんと軍法会議を開いてやるからよ。其処で言い訳なら聞いてやるさ』
こ、コイツら…俺を完全に逃がすつもりが無い様だ。本気で勘弁して欲しい。
『ほらほら、愛しい人がピンチよ?助けに行った方が良いんじゃない?』
『だーかーらー、違うっスよ。そんなんじゃ無いっス』
『なーんだ、つまんないの。あ、でも織原少尉ってビークル乗りよね。だったら私狙ってみようかな?』
『お好きにどうぞ!』
『あん、もう怒んないでよ。冗談よ冗談』
『怒って無いっス!』
スピア隊のウィングダイバーは度胸が有ると言うか何と言うか。
「やれやれ、せめて通信は切って欲しいな」
この会話がっつり他のレンジャー隊にも聞こえてるんだろうな。軍法会議本気でやるのかな?
道中は敵に遭遇する事は無く無事に中央区画に繋がる隔壁まで来る事が出来た。その頃には無駄話をする者は居ない。そしてレーダーを見れば隔壁の向こうには敵が多数居るのも確認出来る。
『よし、隔壁を開けるぞ。各員迎撃準備』
ブラッカー戦車を前に移動させる。スピア隊も配置に着く。背後には武装装甲車グレイプ3台も待機。そしてレンジャー隊も迎撃態勢を取る。
そして全員の準備が整ったのと同時にレンジャー6は隔壁を開ける。隔壁が開くのと同時にレンジャー6は走って此方に向かって来る。そして隔壁が開いてる途中から巨大生物が姿を現わす。
『敵が来たぞ!攻撃開始!』
その言葉と同時に暗い通路が砲火によって明るくなる。巨大生物が次々と現れては直ぐに倒れて行く。しかし隔壁の開く範囲が広がれば広がるだけ巨大生物の侵入範囲は広がって行く。
「壁にも気を付けろ!奴等壁伝いにコッチに来てる!」
『了解した。俺達に任せろ』
武装装甲車グレイプが壁を這っている巨大生物を攻撃。巨大生物は榴弾による衝撃により地面に落ちて行く。其処にレンジャー隊のバズーカやスピア隊のプラズマが次々と撃ち込まれる。しかし、この戦いは直ぐに終わる。巨大生物の数は思った程多くは無かったのだ。
『良し全員無事だな。中央の味方と合流して残りを殲滅する』
『思ったより多く無かったですね』
『恐らく中央の味方が奴等が引き連れてる状況なのだろう。ならば、我々も彼等との合流を急がなくてはならん。この先には隔壁は無い。ビーグルとスピア隊は先行して味方との合流を急いでくれ』
『スピア1了解』
「クラッカー12了解」
『グレイプ隊了解。搭乗出来るレンジャーは後部席に乗ってくれ』
そして俺達は中央の味方部隊と合流すべく先行する。暫く走り続けると銃声と通信が聞こえてくる。
『もうこれ以上ニクスが保たない。駄目だ!?うわあああ!?』
『ニクスがやられた!援軍はまだなのか!?』
『兎に角撃てぇ!撃ちまくれ!!』
通信内容は余り宜しくない状況だ。そして、遂に味方部隊と巨大生物を確認する。
「先ずは一発喰らいな!」
ブラッカー戦車の主砲から90㎜の徹甲弾を放つ。90㎜弾は巨大生物の甲殻を瞬く間に貫いて行く。
『此方スピア隊。これより援護に入る。行くぞ!』
『『『了解!』』』
スピア隊は巨大生物の背後から一斉に攻撃を仕掛ける。グレイプ隊からも榴弾が多数撃ち始める。そしてレンジャー隊も下車して攻撃を開始する。
『隊長!前方に援軍です!ウィングダイバーが来ました!』
『おぉ、これなら勝てるぞ。総員此処が正念場だぞ!』
此れも運良く挟撃の形に出来た為速やかに巨大生物の殲滅に成功はしたのだった。
……
『助かった。君達が来なかったら我々の犠牲は更に増えていたよ』
『助ける事が出来て良かった。まだ敵は居るのか?』
『恐らくな。だが、我々もかなりの数を減らす事は出来た。後は内部の索跡を行えば任務完了だな』
味方部隊と合流を果たし、敵の殲滅を確認をすべくレンジャー隊の一部部隊が偵察を行う。そして基地内の敵殲滅を確認したのだった。
「漸く一息入れれそうだ。全く、此れが現実だと信じられないよ」
ブラッカー戦車のハッチを開けながら一人呟く。あの巨大生物の存在が夢だと信じたいと思いながら。
暫くして軍事基地188からの巨大生物殲滅の確認が取れた。しかし犠牲者の数はかなりの数になり負傷者、行方不明者を合わせると基地の人員1/4以上の数に昇る。更に巨大生物は地下通路の壁から侵入している為、早急に侵入経路の破壊を行う必要が有るのだった。
だが、この戦いはまだ序の口だと言う事を我々はまだ誰も知らないでいたのだった。