とあるビークル乗りの戦い   作:レッドツリー

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地中からの侵入者

巨大生物侵入経路の破壊は別の部隊が行うとの事だった。俺達の任務は取り敢えず完了したと言えるだろう。よって、臨時の部隊は解散される事になり元の部隊に戻る事になった。

 

「間様大尉、只今帰還致しました」

 

「任務御苦労だったな、織原少尉」

 

俺はクラッカー隊に戻り間様大尉に任務完了の報告をする。

 

「さて、基地の安全もある程度確保は出来た。未だ予断を許さない状況だが、君は一度ゆっくり休むと良い」

 

「いえ、自分はまだ大丈夫です」

 

「後で自分の顔を見てみろ。かなり疲れてるぞ。それと此れは命令だ」

 

「了解しました」

 

俺は直ぐに自室に向かう。そしてシャワーも浴びずにベッドに倒れ込む。

 

「…酷い戦いだったな」

 

未だに現実が信じられない自分が居た。巨大生物と戦うなんて、まるでB級のSF映画に有りがちな状況だ。だが理性では紛れも無い現実だと理解していた。

 

「あ、顔見るの忘れた」

 

だが一度横たえた身体は動く事無く、そのまま睡魔に身を任せたのだった。しかし、世間では更なる混乱が起こりつつ有ったのである。

 

……

 

巨大生物襲撃から翌日。現在麓周辺の町に一部のレンジャー部隊は武装装甲車グレイプと共に町への警戒を行なっていた。更に少数で有るがフェンサー部隊も参加していた。

 

「しっかし、何でコンバットフレームを動かさないんだよ。せめて小隊規模でも欲しいぜ」

 

「仕方ないだろ?善良なる市民を刺激するなって事さ」

 

レンジャー隊のメンバーは呆れた表情になる。だが、それは仕方無い事だろう。巨大生物がいつ来るか分からないのにも関わらず、未だに市民に対して配慮せねばならないのだから。

そんな時だった。何処からとも無く横断幕を持った数人の民衆が現れる。

 

《EDFの武装集団は即刻立ち去れ!街に武器を持ち込むな!》

 

「「「「「持ち込むな!」」」」」

 

メガホンを片手に叫ぶ男性に続く様に叫ぶ数人の民衆。

 

「おい、アレって」

 

「アレが“自称”善良な市民て奴さ。全く守るのも馬鹿らしいぜ」

 

「そう言うなよ。本当の事だとしてもな」

 

レンジャー達は彼等を無視して任務を続行する。その間も自称善良な市民は声を上げ続ける。その時、歩道の所に一人の若者がスマートフォン片手に現れた。

 

「どうも皆さんこんにちは!ユーチューバのヒロシでぇす!えーと、今EDFと一般市民が何やら揉めてるみたいです。正直こんな映像より昨日突然現れた巨大生物?みたいな奴を撮りたいんすけどね」

 

ユーチューバと名乗る野次馬も現れる。そして自称善良な市民達がEDFに抗議デモをしている時だった。突然地面が揺れ始める。

 

「んお?現在地震が起きてます。おお、どんどん強くなってま」

 

言葉を続けようとしたユーチューバヒロシの前で地面が爆ぜた。そして奴等が現れた。

 

「隊長!巨大生物です!地中から次々と出て来てます!」

 

「迎撃!撃ち殺せ!」

 

「市民が巨大生物に!どうすれば!?」

 

「市民は自主避難させろ!兎に角撃ち殺せ!」

 

レンジャー隊と武装装甲車グレイプは巨大生物に対し攻撃を開始。その間に市民達は悲鳴を上げながら逃げて行く。

 

「おい早く彼奴らを殺せよ!EDFだろ!」

 

「早く避難しろ!出来るだけ遠くにな!司令部、応答せよ。司令部!」

 

自称善良な市民がレンジャー隊に近付く。それに対し逃げる様に指示を出す。だが彼等は目の前のEDF隊員に助けを求め続ける。

 

「アンタ達武器を持ってるんだろ!なら早く倒すんだよ!」

 

彼等は現実逃避をする様に喚き続ける。いや、実際彼等は現実逃避をしているのだ。目の前の危機を認めたく無いのだ。そんな彼等に巨大生物から放たれた酸が降り注ぐ。

 

「ぎゃあああ!?熱いいいい!?誰かああああ!!!」

 

「うわあああ!?退け!邪魔だ!」

 

レンジャー隊とグレイプの攻撃を気にもせず、近い獲物を狙う巨大生物。しかし巨大生物は此処だけでは無かった。

 

『此方第4分隊、奴等が地中から現れました。現在応戦中』

 

『不味いぞ。奴等市民を狙ってる』

 

『増援を!このままでは被害が大きくなるぞ!』

 

レンジャー隊は巨大生物に対し攻撃を続行する。そして基地では出撃準備が整いつつあった。

 

……

 

格納庫では整備兵達が慌ただしく動いていた。俺達もコンバットフレームに搭乗すべく準備をしていた。

 

「今回は市街地戦になる。全く、連中はよっぽど我々人類に恨みがある様だな」

 

間様大尉は嫌味っぽく言う。

 

「考えてみたらガキの頃に蟻の巣に水とか流した事あるわ」

 

「俺はアルミだな。あの時に間違い無く恨まれてるな」

 

「それに違いない。連中に謝って来いよ」

 

俺達はお互い冗談っぽく言いながら出撃準備に入る。そしてニクスA2のコクピットに入る時、赤城上等兵が声を掛ける。

 

「織原少尉、実は貴方のニクスなんだけど。まだ完全に修復が出来てないの」

 

「え?そうなのか」

 

「機体自体は問題無いわ。唯、OSの方に不具合が出てるの。多分機体内部に酸が流入した際にOSに異常が出たんだと思う」

 

「仕方ないさ。なら予備の機体で行くから大丈夫だよ」

 

俺は予備の機体が有る方に向かう。しかし途中で良い物を見つけた。俺はポケットからマスターキーを取り出す。

 

「コレが有ればビークルを何でも乗れるんだよな。ならアレ使うか」

 

俺はN9エウロスに近付いて行く。

 

「間様大尉、聞こえますか?」

 

『どうした織原少尉。何か問題が有ったのか?』

 

「自機の調子が悪い為、N9エウロスで出撃しようと思います」

 

『エウロスか。まあ、問題無いだろう。今は一刻も争う状況だ。織原少尉は先行して敵に対し攻撃を仕掛けろ」

 

「了解です」

 

間様大尉からの許可も降りた為N9エウロスに乗り込む。そしてヘルメットを機体の武装と同期させる。

 

「機関砲とミサイルの同期良し。機体も問題無いな。クラッカー12より管制塔へ。これよりN9エウロスで現地の航空支援を行います」

 

『此方管制塔了解した。現在レンジャー隊、グレイプ隊、フェンサー隊が敵に対し応戦中です。また昨日の戦闘により航空機のパイロットが多数負傷した為航空戦力が不足しています』

 

「了解した。やるだけやってみるさ」

 

そしてN9エウロスを離陸させる。

 

「しかし航空パイロットの不足か。昨日の襲撃でかなり殺されたのか。クソ、最悪だな」

 

悪態を一つ吐きながら機体を現地に向けて動かす。今も化け物共に立ち向かってる仲間達を援護する為に。

 

……

 

街に居るEDF隊員達は各自が合流しながら防衛に当たっていた。しかし民間人達の避難誘導はほぼ出来無いのが現状だった。

 

「畜生!コイツら地下から来るなんて!聞いてねえぞ!」

 

M1レイヴンで足止めをしながら叫ぶレンジャー隊員。

 

「ボヤくな!今援軍が向かってる。其れ迄耐えるんだ!」

 

「早く来てくれ!もう此処は保たねえぞ!」

 

レンジャー隊は後退しながら巨大生物を迎撃する。だが徐々に巨大生物は距離を詰めて来る。グレイプもレンジャー隊の速度に合わせながら後退を開始。そんな中、6人の真紅色のフェンサー隊が巨大生物に対し突っ込んで行く。

 

「お前達行くぞ。我々メビウス隊の誇りを此処に示すぞ!」

 

「「「「「了解!!!」」」」」

 

フェンサー達はブラストホール・スピアとディフレクション・シールドを構えて突撃する。いや、隊長格の人物はブラスト・ツインスピアを装備しており他の隊員より一番槍を持って行く。

 

「さぁて、楽しませて貰いますよ。私達が他のEDFとは一味違う所を身をもって味わって頂こう!!!」

 

メビウス隊は次々と巨大生物を貫いて行く。そんな彼等をスマートフォンで映す若者が居た。

 

「えーと、今かなりヤバい状況です。正直生きて帰れそうに無いです」

 

あのユーチューバヒロシが未だに避難もせずスマートフォン片手に生放送を続けていた。しかし、そんな彼に対し巨大生物が迫る。

 

「あ、ああ…や、ヤバい。マジヤバい。このまま俺死ぬのかよ。嫌だ…彼女も居ないまま死にたく無いよおおぉ…」

 

半泣きになりながらもスマートフォンを巨大生物に向け続けるヒロシ。ある意味立派にユーチューバとしての仕事?を果たそうとしてる。そして巨大生物の口がヒロシに向けて開いた時だった。突如上空からの弾幕により巨大生物は穴だらけになる。ヒロシはスマートフォンを上に向けて世界に向けて映すのだった。

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