そんな彼らの家であるTVニュースが話題となった。
そう、今を時めくアラズラム博士の「デュライ白書」の真実である。
父は驚いた。それはなぜなのだろうか。
少年のちょっとした驚きの物語
その日の朝のTVのニュースは、いつもと違うニュースだった。普通なら、今日の天気から入って、政治ニュース、スポーツニュースと何も変わらない普通のニュースをやっている国営イヴァリース放送が、歴史のニュースなんかを放送しているのだ。
いつもなら、新聞を読んだら天気だけを聞いて、急いで出かける父さんがまじまじとテレビを見ている。母さんも民放に変えようなんていつも言ってるのに今日に限ってはそんなことは言わない。
「ねえ、父さん。そんなニュースみて、どうしたの」
「ああ…まあ、とても興味深いニュースだったからね」
父さんに尋ねてみたけど、ただの歴史のニュースがそんなに興味深いのだろうか。所詮歴史なんて過去のお話。僕や父さんには関係ないことだと思うんだがなぁ…
そんな僕の気持ちを知らず、ニュースが終わって民放に変えた先でも同じニュースをやっていた。詳しく聞いてみると、結構大きな歴史の発見みたいだ。ちょっとだけ真面目に聞いてみようか。
「となると、アラズラム博士がおっしゃるデュライ白書による歴史によると獅子戦争は教会の陰謀だったというわけですね」
「はい、よくある陰謀論ではなく、実際にあった陰謀がもとで国を割る戦争が引き起こされたのです。もう400年も前のことなんです。そろそろ真実を明らかにすべきではないでしょうか」
「なるほど、教会から圧力があったと。しかし、あなたほどの博士が陰謀論を唱えるとも思えませんし…」
とりあえず、聞き流しながら聞いてみると、あの歴史学の大家。僕でも知っているアラズラム博士が獅子戦争の真実とやらを暴いたらしい。
まあ、本当にどうでもいいことなんだが、なぜか父さんは神妙な顔つきでテレビを見ている。
「爺さんの話、本当だったんだ…」とよくわからないことをつぶやいているし、母さんもそんな父さんを見て驚いている。父さんはいったいどうしたんだろう。
「ねえ、父さん、どうしたの?いつもの朝となんだか雰囲気が全然違うんだけど」
「ああ、ちょっとね。このニュース、じつは父さん、爺さんから聞いていた話なんだ。我が家の歴史としてね。」
なんだかすごいことを聞いた気がするぞ、うちってそんな名家じゃないんだけどなあ。何か怪しい気がするんだが。
「やっぱり信じれないよな、そんな話。ただいい機会だ。ちょっと待ってな。爺さんから引き継いだ騎士剣見せてやるからさ。」
そんなことを言って、父さんは2回の自分の書斎に駆け上がっていった。僕も母さんもそんな父さんを見て不思議なものを見る感覚になっている。いつもは静かな父さんなんだが、何だか興奮しているよなあ。
とそんなことを思っていたら、何だか父さんはすごい速さで戻ってきた。うん、やっぱりいつもとは違うよ。
で、そんな父さんが持ってきたのは古びた鞘に包まれた騎士剣。父さんみたいな聖剣技が使える人が持つと大変なことになるから、所持には申請が必要だったりする剣だった。
「レムス。この父さんの剣なんだがな。じつはご先祖様の代からずっと使ってきた剣なんだ。なぜか刃こぼれしない、古の魔法がかけられた名剣なんだ。」
へええ、そりゃすごい。けど、その剣と獅子戦争に何の関係があるんだろう。
今のところ、まださっきのニュースにつながりそうにないよ。
「まあ、この剣を見ただけでわかったらすごいけどな。この剣を爺さんから引き継いだ時に聞いた話が、例の話なんだよ。」
「で、どんな話なの、あなた?」
母さんも聞いたことがないような話のようだ。興味深そうな顔をして聞いている。
「ああ。そうだね。もう多分隠す必要もなくなるだろう話だから、教えようか。我が家に伝わる伝承を」
そんなもったいぶった言い方をしながら、父さんは我が家に続く伝承を語り始めた。学校に遅れそうだけど、その話はとても信じがたい話で、そしてとても面白いお話だった。
名家を抜け出した我らのご先祖様は、いろいろな所で各陣営を引っ掻き回していた。そして、その中で『真なる敵』を見つけて、戦い続けていったというお話を子孫に伝えていったそうだ。古代機械の復活を手伝ったり、異世界の来訪者を送り返す手伝いをしたり、どっかのファンタジーのような冒険を繰り広げたりもしたそうだ。
正直な話、ちょっとした物語よりも面白い話だった。だから、父さんもあまり信じていなかったらしい。僕もふつうはそう思う。
「で、僕はそれと全く同じニュースを聞いて驚いたってわけさ。ご先祖様が魔物と戦ったという話が本当みたいだということにね」
そりゃ、僕も驚くなあ、と思っていたら、もうこんな時間だ。シータとの約束に間に合わなくなっちゅう。
「ごめん、父さん。この話、夜もうちょっと聞かせて、じゃあ、行ってきます。」
「ああ、車には気をつけろよ。雪で滑ったりしないようにな」
そして、僕は学校へ急いで行ったのであった。
「で、あなた。意図的にちょくちょく省いているお話があったと思うんだけど」
「ああ、ご先祖様の奥さんとの話なんて、まだあの子には面白くないだろう。」
そんなことを話している、2人の横で、セイブザクイーンは輝いていた。