君の一番になりたくて   作:ニケΘ

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諦めたくない

蔵の掃除が終わった次の日、香澄と待ち合わせしている所まで僕と有咲は一緒に歩いていた。有咲とまた一緒に学校に行けるというだけで僕は少し舞い上がっていた。そんな気持ちを抑えながら、僕は

 

「有咲が香澄とバンドするなんて思ってもなかった。やっぱり有咲は香澄の事を気に入ったんだな。」

 

そう言った。蔵の掃除が終わった後、有咲は香澄にバンド組もうと長い間言われ続けて、バントに参加した。その時の有咲は少し面倒くさそうだったけど、嬉しそうだった。

僕の言ったことに有咲は

 

「そんなことないからな!」

 

と少し恥ずかしそうに言うのを見て

僕は

 

「また有咲が弾いている音を聞くのが楽しみだよ。」

 

と言うと有咲は頼もしく

 

「おう、楽しみにしとけよ。」

 

笑顔でそう言った。

 

 

 

香澄と待ち合わせしている所に着くと香澄はギターを弾いていた。

 

「有咲、蛍くんおはよう!」

 

香澄がそう言うと

有咲は

 

「なんでギター弾きながら登校してるんだよ。」

 

と言った。続けて僕も

 

「今日、校門前で生徒会が手持ち検査してるらしいよ。大丈夫?」

 

と言うと香澄慌てた様子でどうしようと言っていたが既に遅く、香澄のギターは生徒会に放課後まで預かりになってしまった。

そんな時、牛込さんが香澄に話しかけた。

 

「香澄ちゃん、私やっぱりバンド辞めるね。ごめんね。本当にごめんね。」

 

そう言うと足早に歩いていってしまい、

 

香澄が待ってと言っても止まる気配は無かった。

 

「ねぇ、有咲。

りみりんどうしちゃったんだろうね。」

 

香澄が心配そうに聞くと

「知らねぇよ。同じクラスなんだから後で直接聞けばいいだろ。」

 

少し言葉はきついが僕もそう思った。

 

 

それから教室に入り、香澄が牛込さんに理由を聞いてもごめんねという返事しかなく、

休み時間も香澄と僕で優しく聞いてみたが答えは同じだった。

 

 

 

昼休みになり、今日は僕と香澄、沙綾そして有咲と昼食を食べていた。

昨日あったことを香澄は嬉しそうに沙綾に話していた。有咲は

 

「契約したんで。」

 

そう言うとそれを遮るように

 

「有咲が一緒にご飯食べたいって。」

 

そう香澄が言うとそれをまた遮るように

 

「言ってねぇ!」

 

と有咲は言った。

沙綾は楽しそうに

 

「市ヶ谷さん、面白いね。」

 

と言うと

 

「面白くないです!」

 

少し強く有咲は言った。

そんな楽しそうな光景を見て、僕は少し辛くなった。

 

 

 

放課後になり有咲の家に行くと、まだ香澄は来ていなかった。

有咲は

 

「あいつ、約束わすれたわけじゃないよな。」

 

少し怒り気味で言った。

 

「大丈夫だって。理由無く来なかったりしないって。」

 

そう話していると香澄がごめんと言って扉を開けた。

 

「遅れるなら言えよな!」

 

と有咲は強めの口調で言うと

香澄は本当にごめんと言った後、続けて

 

「あのね、今度の土曜日にグリグリのライブあるんだって!そこにりみりんも行くって言ってたし、三人で行かない?」

 

と言った。有咲は

 

「まぁ、土曜日なら空いてるし私は良いよ。蛍はどうなんだ?」

 

と聞いてきたので

 

「特に何も用事はないよ。あの時のライブ良かったからもう一度行ってみたいと思ってたし。」

 

そう返すと香澄は

 

「じゃあ決まりだね!集合時間はまた伝えるから。」

 

そういった後、香澄はギターの練習を始めた。

 

 

 

 

土曜日になり集合時間に間に合うようにSPACEまで歩いた。台風も近づいているせいか少し風が強く天気も良くはなかった。そこで僕は三年生が修学旅行から今日帰って来ることを思い出した。グリグリのボーカル兼ギターである、牛込さんのお姉さんのゆりさんは今日修学旅行から帰ってくることになっている。不安になりながらSPACEに着くとそこには既に二人はいた。

僕はごめんと言いながら二人とSPACEに入っていった。

 

 

 

他の人たちのライブを楽しみながらいよいよ次がグリグリの出番となった時、ステージ上には別のバンドの人達がいた。

香澄が

 

「何かあったのかな?行ってみよう。」

 

そう言い行ってしまったので僕と有咲は付いて行った。

 

 

ステージ裏にはスタッフさん達が慌てていた。

そこには牛込さんもいて、凄く心配そうだった。

理由を聞くと

 

「台風で飛行機が遅れちゃったみたいでまだお姉ちゃん達着いてないの。ここには向かってるみたいだけど、ライブはもう…。」

 

と牛込さんは言った。

香澄は

 

「けど、待てば来るんだよね。じゃあ待てば。」

 

そう言うとオーナーそれを遮るように

 

「ダメだね。客を待たせるなんて許せないよ。」

 

そう言った。

香澄が

 

「もし間に合わなかったら…?」

 

そう聞くと

オーナーは

 

「二度とうちの敷居をまたがせない。」

 

そう言った。

その後、他のバンドの人達も頑張って延ばしてくれたがまだグリグリは到着していない。

オーナーが

 

「間に合わなかったみたいだね。片付けを始めるよ。」

 

そう言った時、

香澄が

 

「私、ステージの上に行く。何も出来ないかもしれないけど、何もしなくて終わるのは嫌だもん。」

 

そう言ってステージに行った。

観客席からは誰?だったりグリグリ出ないなら帰ろうかな。そんな声が聞こえてきた。

香澄は自己紹介をした後、きらきら星を歌い始めた。

 

 

 

香澄がステージ裏に戻ってくると有咲を引っ張ってまたステージに行った。二人はきらきら星を一曲歌い終え、どうしようと顔を見あせていた。隣で二人を見ていた牛込さんは何かがふっ切れたようだった。牛込さんはベースを持ち、そのままステージに上がった。

牛込さんは私に合わせてと言いながらベースできらきら星を弾いた。

 

 

 

 

それからしばらくして、

ようやくグリグリが到着した。

三人と入れ替わるようにステージに上がり、ライブはとても盛り上がっていた。その後、僕達四人はスタッフさんやオーナーに頭を下げて回った。皆優しくこれからは気をつけてねと言ってくれるだけで済んだ。

そして牛込さんは香澄に

 

「まだ二人のバンドに入っていいのなら、私も入れてもらっていいな?」

 

そう尋ねた。香澄は

 

「勿論だよ!これからもよろしくね、りみりん。」

 

と答えた。

 




お気に入りや評価をしてくださいました皆様ありがとうございます。また感想を送って下さった光の甘酒様ありがとうございます。これからも頑張りますのでよろしくお願いします。
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