IS学園の猫ちゃん   作:只の・A・カカシです

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大変長らくお待たせしました。
本当は先週、投稿する予定でいたのですが編集が間に合いませんでした・・・。


第41話 地域見守り隊?

 キャノンボール・ファストまで三日。F-14とT-4はIS学園の近海で曲技飛行の訓練を行っていた。

 柳原と来栖がこの手の飛行をするのは初めてで、距離に余裕を持って飛んでいた。

 ただし二人にとっての安全距離は、並みのパイロットの感覚とは一線を画す。そして今日はブレーキとなる諏訪が不在ないことも拍車を掛けていた。

 諏訪が不在ということは、同時に柳原が思いっきり無免許飛行をしていることを意味するのだが、それを指摘する者も不在であった。

 

 

-*・A・*-

 

 

 F-14とT-4が訓練を行なっている付近で、くたびれた漁船が一隻、操業を行なっていた。

 「おっかしいなぁ・・・。」

 その船で作業をしていた男は、魚が一匹たりともかかっていない網を見て首を傾げる。

 と、ここまでは何ら不思議なところはなかったのだが、漁師は網をそのまま海に戻すという、理解不能な行動に走った。

 彼の謎の行動を解くヒントは、網にある。

 彼の使っている網は、魚を捕るにはかなり目が粗く、そして糸も太い。つまり魚を捕る気などさらさらないのだ。

 男の目的は、ただ一つ。来栖の偵察だった。

 男の船は、ただの漁船ではない。いや、そもそも漁船ではない。

 くたびれた外見と、遠洋にも出られなさそうなサイズからは想像出来ないほどハイテクな装備が搭載されている、偵察専用の船だ。

 そうしている内に、再びF-14とT-4が空過する。

 〈F-14は来栖しか乗らないって聞いたが・・・飛び方が全然違うぜ?・・・それより、何でIS空域に日本版サンダーバーズがいる?ここは飛行禁止じゃねえのか?〉

 男は、肝心な所を見落としをしたのではと疑心暗鬼になる。

 勿論、彼は何も見落としていない。強いて悪者を挙げるとするなら、彼に渡された情報を集めた奴である。

 とは言え、配置されてから二ヶ月と経っていない上に、そもそもの飛行機会自体が少ないので、気づけと言うのも少し酷な話であった。

 〈F-14を振り回す技術も大概だけど、練習機であれだけの機動ができるのは只者じゃない!どっちにしても、飛んでいるってことは常駐してるって解釈でいいはずだ。厄介度は来栖以上だそ、これ。ヤバイな・・・。〉

 男は来栖以外のパイロットがF-14を操縦していると確信したが、残念ながら操縦しているのは来栖だった。

 見間違えたのは、男の目が節穴だったから・・・ではない。寧ろ、彼の鋭い観察眼が仇となっている。

 近接格闘戦では編隊を組んでの戦闘が鉄則の現代において、来栖は逆行した単機での戦闘が求められる。それは対戦闘機戦闘が発生すれば、必ず複数機を相手にしなければならないことを意味した。

 1VS複数というのは、普通の部隊であれば編隊を組んでいた味方機が撃墜されない限り発生しない。そんな状況になったら援軍到着までの時間を稼ぐか、あるいは隙を見て離脱するか。とにかく生き延びることが最優先される。

 今でこそIS学園の防衛は、織斑千冬を筆頭に複数の教員で分担しているが、かつては来栖が唯一の砦だった。

 つまり、単機で引けを取らない戦術を会得しければならなかった訳だが、参考となるものがあるはずもない。

 故に来栖は、完全に独学で身につけざるを得なかった。その結果が、世界でもトップクラスの技量を持つ柳原をして理解不能と言わせしめた飛び方だ。

 そして、それは単独飛行に特化した飛び方であり、編隊を組んでいる時に使える代物ではなくなっていた。

 漁師に扮している男が来栖の自衛隊時代を知っていたなら、あるいは気がつけた可能性もある。そのレベルで、来栖の飛び方は違っていた。

 〈それにしても、ここは絶好の偵察ポイントだな。〉

 もし、この偽装漁船に搭載されている機材を陸上で運用しようとすれば、最低でも中型トラックを必要とする。そんなもので動き回れば人目につくのは確実で、不審車がいると通報されるのがオチだ。

 一方で漁船に偽装しての行動なら、そもそも人目が少ない上に、うろうろしていても魚を探しているだけにしか見えないので怪しまれることはない。更に対象機からも見えるということを除けば、遮蔽物がないので低空を飛んでいる戦闘機もしっかりと撮影できると、とても理にかなった作戦だった。

 〈よくぞあんなに引っ付いて飛べるな。頭のネジどうなってんだ?〉

 低速での飛行に移行した二機は、見える距離で連続して曲技飛行をする。

 男は、いつの間にか漁師のふりをするのも忘れ二機の演技に見入っていた。

 そのせいで、男は天敵とも言える船の接近を許してしまった。

 〈ん?何で船が揺れ・・・?!〉

 振り返って見ると、そこには海上保安庁の船がいた。

 『そこの船。ここで何をしている。』

 周囲の監視を怠ったことが最大の失態ではあるが、男には少しばかり認識不足があった。

 それは、ここの漁師たちは非公認ながら、IS学園の警備システムの一部だと言うこと。

 始まりは、IS学園ができた当時、禁漁場所に指定されかけたことにある。

 当然、生活のかかっている漁師は反発した。魚が豊富に取れる場所だけに、なおらのことだ。

 その妥協策として、IS学園は漁師にパトロールを要請したのだが、これが大当たりだった。何しろ毎日、誰かが何かの漁をしているので監視の目がある。更に、その多くが魚群探知機を持っていたため、海中を進む相手も簡単には通過させない。底引き網中の船が、潜水艇を引っ掛けたこともある。

 要するに警備がないからと油断すると、この男のように通報されてしまうわけだ。

 『持ち主さん、こっちへ来てください。』

 〈・・・日本語、分かんねえよ。けど疑われるのは間違いねぇな。見た感じ、そこまで足は早くねえ。逃げ切れる!〉

 男は操舵室に駆け込む。直後、フルスロットルで逃走を開始した。

 『あ!!待て!止まれ!』

 真っ黒な煙を吐きながら急加速すると、海上保安庁の船との距離を一気に引き離した。

 しかし、この船から逃走したことが男の不幸の始まりだった。

 

 

-*・A・*-

 

 

 「どういうことだ!」

 太平洋上を航行している、ある空母の指揮官室。長身、碧眼でスキンヘッドの男が怒りを(あら)わにしていた。

 「その報告書の通りよ。」

 その男の正面に座り、豪華な赤色のスーツをまとった美しい金髪の女性。彼女は男の怒りに動じることもなく、淡々と答える。

 「警戒が厳重になっている中で寄越したのはさすがだ。だが読んでみりゃ・・・。自分たち以外を見くびってたって言い訳が書かれた紙切れじゃないか!ここから何を読み取れってんだ?」

 男は報告書を紙切れと言い切ると、女へと投げて渡す。

 「これだからテロリストどもは嫌いなんだ。」

 そう呟いた男だったが、「今やあなたも、その一人ですが?」と指摘を受ける。当然、返す言葉などなく、バツが悪そうにそっぽを向いた。

 「私たち以外の組織が、ロナルド・レーガン(あの空母)に潜んでいただなんて完全に想定外よ。それを私のせいだって言うなら、こっちの言い分も聞いてもらおうかしら。妨害を見込んで作戦を立てなかったあなたも、どうかと思うけど。」

 「あぁ、そうだな。見立てが甘かった。」

 かなり険悪な雰囲気だが、馴れ合うつもりがさらさらない二人にとってはどうでもいいことだった。

 「それにしても、この組織は何を考えてカタパルトに細工をしたのかしら。」

 「目障りな奴でも乗ってたんじゃないのか?司令官とか、艦長とかがな。」

 この報告を行なった構成員は、当該機がF-14であることはわかっていた。にも関わらず、その情報が報告書になかったのは、万が一にでも海軍関係者にキャッチされてしまった場合に別組織との繋がりを疑われることを避けたかったからだ。

 「・・・どっちにしても空母の警戒は強くなっている今、下手に動かせば手駒を失う。作戦は中止だ。」

 空母から航空機部隊を誘き出すことが生命線だった作戦。それが出来なければ成功の見込みはなく、男はすでにやる気を失っていた。

 「バカなことを言わないで頂戴。」

 しかし、女の方は違った。

 「今回のキャノンボール・ファストは、専用機の出場が歴代最多なのよ?オマケに大半が一年生。学生の成長は早いわ。来年まで待っていたら、成功率が下がるわ。」

 過去に例のない、大チャンスであることは理解している。しかし作戦の成功するビジョンを、男は思い浮かべることができない。

 「随分と警戒しているみたいだけど、こちらには六機もいる。何も心配はないわ。」

 「・・・。」

 性能差で比べるなら勝利は疑う余地もない。だと言うのに、男の表情は晴れない。

 「じゃ、よろしく頼むわね。」

 男の沈黙を肯定と取って、女は部屋から出て行った。

 一人残された男は、大きく溜息を吐く。

 〈自覚がないくらい、完璧に封じられてんだよ。気が付け、そんくらい。〉

 頭をかきむしりながら立ち上がると、男もまた部屋を後にした。

 

 二〇分後、男は空母の通路を歩いていた。

 空母は停泊しているため、足音が反響するほどに艦内は静かだ。

 まもなく男は、ドアを開けた。

 男が開けたドアはブリーフィングルームのもので、室内には逞しい体をした一人の男がいた。

 だが本当なら、六人いなければならない。スキンヘッドの男は、わざとらしく室内を見回す。

 「他の連中は?どうした。」

 「一回集まったんだけどよ、アレックスだけ来ねえんだ。今、みんなで手分けして探してる。俺は連絡役でここに残った。」

 捜索中なら、下手に動かずに待っていた方がいい。スキンヘッドの男はそう判断すると、ホワイトボードの前の席に座った。

 

 それから二〇分ほどが経過し、捜索に行っていた四人の、最後の一人が戻ってくる。

 「ご苦労だったな。・・・で、アレックスは?」

 先に戻ってきた三人は、いずれも一人で戻ってきた。

 必然に彼が最後の望みとなる。

 「いなかった。」

 彼も、発見には至っていなかった。

 たが手ぶらでもなかった。

 「どうやら出かけたらしい。」

 その一言に、一同は首を傾げる。

 何しろ、ここは洋上。出かけると言っても、行く場所などない。

 「どう言うことだ?」

 たまらず、スキンヘッドの男は尋ねる。

 「そりゃ本人に聞いてくれ。『下見に行ってくる』って出て行ったらしいぜ。」

 その瞬間、スキンヘッドの男は目を見開いた。そして、ブリーフィングルームの内線用の電話機に駆け寄る。

 「教えてくれ!偵察船はそこにあるか!」

 とてつもなく焦った様子で、それを尋ねる。それから一〇秒も経たぬうちに、今度は脱力して受話器を落とした。

 「バカたれがぁっ!」

 男の頭に髪が生えていたなら逆立っていたのではないだろうか。そう思わせるほどの剣幕で、彼は壁に向かって怒鳴った。

 

 

-*・A・*-

 

 

 不審な漁船と海上保安庁が追いかけっこを始めた頃、IS学園の指定する海域にギリギリ入らない所へ、ロナルド・レーガン空母打撃軍は停船していた。

 彼らは、何も好きこのんで停船しているわけではない。切っておかなければならない電波が発信されていることを確認したから停船していた。

 回り道をすれば問題ないのならそのルートを通るが、残念なことに横須賀基地と外洋とを出入りするにはIS学園の指定する海域を必ず通過しなければならない。

 IS学園の指定する海域を航行する時、いかなる国の干渉も許さないというIS学園の性質上、軍用船である彼らはリストに従って安全な航行に必要な装置と構造上やむを得ないもの以外の電源投入を認められていない。例えそれが、起動していてもアメリカ海軍・IS学園のどちらも不利益を被ることがないとしても。

 何にしても、このままでは帰投できないので、全艦を挙げて発信源の特定を急いでいた。

 『これ・・・ひょっとして横須賀から出てないか?』

 不意に誰かがそんなことを口にする。あり得ない話ではないと、受信できる艦は一斉に、その方角へとアンテナを向ける。

 『ちょっと待て。動いてるぞ、これ。』

 横須賀から出ているのなら試験中の操作ミスが考えられるが、動いているとなると話はややこしくなる。

 自分たち以外には船舶の移動はないと知っている乗組員たちは、「そんな馬鹿な」と軽く考えていたが、アンテナを動かさなければ感度が下がってしまうことに気が付いて慌て始める。

 『一〇時の方角に海上保安庁の船、並びにそれから逃走中と思われる漁船を確認!』

 そこへ見張りからの一報がもたらされた。確かに電波強度の強い方角と一致すると、皆が走査を行う。

 『そもそも、海上保安庁ってこの装備使ってたか?』

 『いいや。聞いたことないぜ。』

 『だよなぁ。つーことは、他にいるはずだ。』

 漁船(民間船)は積む・積まない以前に手に入れられない類の装置であるため、彼らの話題にさえ上がらなかった。

 だが一名だけ、漁船に不審さを感じた見張りがいた。

 〈・・・?何で海上保安庁は減速してるんだ?〉

 その見張りは、望遠鏡で漁船の方を見た。

 〈違う!あの漁船が速すぎるんだ!〉

 密猟がバレて追いかけまわされていると感じていたが、どうやらその通りではないと気が付く。

 〈!!何であの装置が?!〉

 問題の電波の発信装置が漁船の船体に付いている。うまく艤装されているせいで気が付くのに遅れてしまった。

 『前方の漁船の船体に発信装置を確認!』

 急ぎ無線で一斉連絡を行う。

 『おい、そんなもんどこに・・・あぁ!あった!!』

 『そんなバカな話し・・・あるな。』

 『おいおいおい、マジか。』

 続々と挙がる確認情報。艦隊司令は決断を下した。

 『機動力に優れる艦から、順次、漁船を追跡せよ!』

 『『『Yes,sir!』』』

 艦隊のあちらこちらから、追跡に適している艦が急発進する。

 漁船を追う海上保安庁の船。更に海上保安庁の船を追うアメリカ海軍の船。

 実際には漁船のみが追われているのだが、傍から見ればコントのように見える追いかけっこが繰り広げられた。

 

 

-*・柳原・*-

 

 

 「三時の方向見られるか?」

 飛行訓練中、海上に通常とは異なる光景を見かけ来栖に問いかけた。

 『三時ですね。・・・海上保安庁が何か追いかけてますね。密漁かな?』

 来栖の口ぶりが「またか」と言う感じだったため「よくあるのか?」と、ワシは聞き返した。

 『頻度としては知れてますけど・・・珍しいというほどのものでもないような気がします。』

 「そうか・・・。」

 来栖は気にしていない様子だったが、妙な引っ掛かりを覚えてしまい、どうしてもそちらに気が行ってしまう。

 『・・・気になりますか?』

 「漁船にしちゃ(速度が)出すぎだ。海保の船が追い付けてない。それが気持ち悪い。」

 訓練を中断してもらい、漁船の追尾を開始する。刺激してしまわないよう、付かず離れずの位置を保つ。

 少し追いかけたのち、引っ掛かりの答えに気が付いた。

 「・・・密漁者じゃないな。操船が下手すぎる。」

 『分かるんですか?』

 「マリンスポーツにハマってた時期があったからな。」

 こんな形で趣味が役に立つとは思わなかった。人生、何でも経験が大事と一人笑う。

 「波のいなし方が素人だ。始めて間もないって意味でな。ちゃんと乗ってやればあの船はもっと出せる。」

 『こちら海上保安庁。上空の戦闘機、来栖か?』

 見解を説明し終えた時、無線に割り込みがあった。

 すぐに来栖が『そうだ』と応答する。

 『頼みがある。あの船の足を止めてくれ。近寄ったから分かるんだが、変な装備を積んでる。』

 『了解。離れといてくれ。』

 逃走している時点で黒だ。遠慮することはない。

 だが今日は訓練飛行だ。

 「どうするんだ。丸腰だろ。」

 どうやって足止めするつもりなのか問い合わせる。

 「・・・・・来栖?・・・あれ?!」

 返事がないので横を見ると、そこにF-14の姿はなかった。慌てて見回すと、背面状態のF-14を上方で見つけた。

 F-14は、そこから大きな円弧を描きながら高度を下げていく。起点からの軌跡をなぞったら、恐らく数字の【9】が出来るだろう。

 ダラーッとした機動で船に向かって突っ込んでいく。

 「あぁ?!」

 どうするのかと眺めていると、F-14が機首から煙を吐き、船の針路上には飛沫(しぶき)が発生する。

 バルカン砲の弾が込められていたことも十分に驚いたが、それより何より、こんな近海でぶっ放すとは思ってもいなかった。

 IS絡みになれば来栖が無制限に発砲できると聞いてはいたが、実際に見せられると衝撃の度合いが強い。

 それはそうと、船は停船しない。勝算があっての行動なのか、あるいは度胸だけのバカか。ワシとしては後者を感じる。

 来栖は、三〇秒ほど船の上空を旋回した後、アフターバーナーを焚いて上昇を開始した。

 確かに推力は大きくなっているようで、上昇能力は以前よりも増している。

 ただ、その行動の意図は分からない。下手に距離を取ると見失うリスクが高まるだけだ。。

 〈取り敢えず見とくか。〉

 船に視線を落とす。数秒見て、来栖の位置確認をと思い上を見る。

 「ん?!」

 予測した位置にF-14がいない。まさかと思い下を見ると、そのまさかでF-14がいた。しかも、とんでもない速さで垂直に降下していく。

 「バカ!死ぬぞ!」

 引き起こしが完全に遅れている。だと言うのに、来栖は悠長にバルカンを発射して、それから機体の引き起こしを始める。

 墜落したなと、確信した。

 「な・・・なんで間に合うんだよ!」

 しかし来栖はワシの予測を裏切り、水面ギリギリで引き起こしを終えた。ただワシの目には、間に合ったのは偶然に見えた。

 『停船させました。後、お任せします。』

 来栖が海上保安庁に無線連絡を行う。

 下を見ると、船は黒煙を吐いて止まっていた。

 「どうやって止めた。」

 来栖が、ワシから見て左舷後方に戻ってきた。

 『真上から撃ち抜きました。外れても被害が少ないですし、沈没もしにくいですから。』

 逃走中だったとは言え、通告もなしに攻撃を命中させるのは過剰な措置に思える。反面、撃つと決めれば躊躇いがないから一人で学園を守ることが出来る。

 〈攻撃は最大の防御か。・・・何でアメリカ海軍まで出張って来てんだ?〉

 海保の作業を見守っていると、どこからともなくやって来たアメリカ海軍の軍艦が海保諸共、不審船を取り囲んだ。

 『柳原さん。訓練再開しましょう。』

 全て見届ける必要はないにしても、終わった瞬間に撤収するのはいかがなものだろうか。

 「見届けなくていいのか?」

 『ここ指定の範囲外ですし。民間機もバンバン飛び交いますから、結構危ないですよ?』

 たった今、派手な機動をしつつ弾丸を発射した者に言われても説得力が無い・・・とは思っても危険な目に合うのは御免。来栖とともに、その場から去った。




2022/10/05 一部文章を改良しました
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