オフェリア(偽)の聖杯戦争   作:砂岩改(やや復活)

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本編と同じ所。主人公が居ない所は容赦なくカットしてます。




第5話

 

(あぁ、酷い目にあった!)

 

 川の中で気絶していたオフェリア(偽)は全身びしょ濡れでなんとか川を脱出。

 

(くそっ、めちゃくちゃ痛い)

 

 まだ治しきれていなかった傷がジクジクと痛む。濡れまくった服の端を絞る。その際にジークフリートとのパスを確認するがまだ繋がっている。

 

(良かった。なんとか無事で居るみたいだな…)

 

 念話が出来ないのを見ると向こうもかなり弱っていると言うことになるが。こっちも派手に動き回れるほど余力はない。

 

(あれ、これって…)

 

 腕を捲って絞っていると変な模様が肌に出ているのが確認できた。魔力回路に似ているがあれは青色だったし、これは赤だ。でも見覚えが…。

 

(まさか、これって。オルタ化の模様!)

 

 思い当たるのはジルの精神汚染攻撃。避けたつもりだったが当たっていたのか。オフェリアの礼装は精神汚染に対する耐性が付いている筈だが。腹に空いた穴に当たったのだろう。だから防ぎきれなかった。

 

(すぐに解除しないと…っ!?)

 

 手鏡を出して解除を試みようとするオフェリアだったが。全身に電撃が走り、痺れて倒れこんでしまう。

 

(なにが…)

 

 後ろを見るとそこには海魔がすぐそこまで迫っていた。

 

(不覚ぅ…)

 

 オフェリアは海魔に両足を拘束されるとゆっくりと引きずられる。彼女を傷つけないように触手で持ち上げられ川に戻されるのだった。

 

ーーーー

 

「君たちか…」

 

「ジークフリートさん。よくご無事で!」

 

「あぁ…」

 

 リヨンの町で藤丸たちは無事にジークフリートと合流。その後、ジークフリートと共にジャンヌ・オルタの再来襲を迎撃。しかしそこにはオフェリアの姿はなかった。

 

「オフェリアさんは?」

 

「すまない、敵の攻撃を受けてしまい。離れ離れに、パスは繋がっているから無事な筈だがどこにいるかは…」

 

「大丈夫ですよ。オフェリアさんは優秀な魔術師です。例え記憶を失ってもそれは変わりません」

 

「僕でも生きてるんです。オフェリアさんならもっと元気ですよ!」

 

 気落ちするジークフリートを慰める藤丸とマシュ。

 

「ありがとう…」

 

「とにかく、ここを出ましょう」

 

「そうですね」

 

 弱りきったジークフリートは感謝を述べるとマリーが撤退を進言する。ここにいてもジリ貧になるだけだ。それにはジャンヌも同意しリヨンの町から脱出するのだった。

 

 その後、藤丸たちはバーサーカーランスロットとシャルルの追撃を逃れ、ジークフリートに付与された呪いを解くために聖人を探す事となった。もちろん、オフェリアの捜索も兼ねて。

 

「これは…」

 

 その道中。川沿いで休憩しているとマシュが草むらに何かが落ちているのを確認した。それは間違いなくオフェリアが使っていた手鏡。

 

「先輩、これを!」

 

「これは、オフェリアさんが持っていた鏡」

 

 周囲には草が生い茂っているがよく見ると川からこちらに向かって道のように草が倒れている。これは彼女が川から陸に上がろうとした痕跡だろう。

 

「途中で途切れていると言うことは。何かがあったのでしょうね」

 

「オフェリアさん…」

 

 気落ちする藤丸を気にかけ、肩に手を添えたのはマリー。彼女は微笑みながら励ます。

 

「大丈夫よ。マスターの信頼している彼女を信じなさい。だって貴方の憧れなのでしょう?」

 

「え、なんでそれを…」

 

「聞いているだけで分かるわ。マスターがどれだけそのオフェリアって人に信頼を寄せているかなんて」

 

 マリーは微笑みながら彼に語りかける。

 

「そうですね。今は特異点の修復を優先させましょう」

 

 藤丸は笑顔を見せると立ち上がる。こんなところでクヨクヨしていてもなにも始まらないのを彼は知っている。今はジークフリートの呪いを解呪するのが優先だ。

 

「そうだね…」

 

ーーーー

 

 藤丸たちがオフェリアの鏡を見つけた後。ジャンヌ・ダルクオルタの拠点。オルレアン城、その一室では気を失なったオフェリアの姿があった。

 

(いっつぅ…)

 

 自分が動く度にジャラジャラと手枷、足枷が動く。魔術を行使しようとしても体が反応してくれない。

 

(魔術封じか…そうしてくるよね)

 

 おそってきたのが海魔であった時点でこの鎖を造ったのはキャスターのジルだろう。

 

(随分と手厚い歓迎だ…)

 

 自分が拘束されている場所は牢屋ではない。立派な城の一室、家のベットよりフカフカな上等なベットだった。

 

(いい臭いだな)

 

 よく見たら部屋の片隅でお香が炊いてある。そしてその部屋を見渡すように配置されていたのはバーサーク・アタランテ。彼女は自分が目覚めるのを確認すると部屋から退出する。

 

 手と足の自由が無いためにベットからは動けないがそれでも試せることは多くあるはずだ。まずはジークフリートとの念話を試みるが繋がっている感じがしない。しかしパスは顕在だ、心なしか元気になっている気がする。

 

(無事に合流できたか…)

 

「おやぁ、お目覚めでおいででしたか…」

 

 ホッと息をつくのもつかの間。ジルが部屋に入ってくると警戒する。

 

「少し調べさせてもらいましたが貴方は実に素晴らしい魔術回路を持っていらっしゃる。我がジャンヌに捧げる供物としては最高の物ですよ」

 

(この野郎。好き勝手に言いやがって…)

 

「なに危害は加えません。貴方はだだここにいれば良いのですよ」

 

(それはどういう意味だ…)

 

 ジルの言っていることが良く分からない。それどころか、あまり思考が纏まらない。

 

(あ、これ不味いかも…)

 

 気づいた時には既に遅し。オフェリアは突然の脱力感を感じてベットに倒れ込む。目だけはしっかりと開いているが本人ですらどこを見つめているのかが認識できない。

 

(薄い本が分厚くなるからやめてぇぇ…)

 

 そんな間抜けな考えを最後にオフェリアは意識を失う。するとジルは彼女の礼呪が刻まれている右手を手に取る。

 

「思わぬ収穫でした」

 

 それに対してジルは機嫌良さそうに呟くのだった。

 

ーーーー

 

「ジルはいますか?」

 

「は、ここに」

 

 ゲオルギウスと合流していた藤丸に対して強襲をかけたジャンヌオルタだったがマリーの必死の足止めに時間を取られ逃してしまった。

 

「マリー・アントワネットは力尽きましたがサンソンはどうですか?」

 

「治療中ですが精神が尽きています。霊子外殻を止め兵士として使うことが限界でしょう」

 

 オルレアンの玉座で気だるそうに座るジャンヌオルタ。

 

「そうですか、あの街にいたゲオルギウスは逃れました。マリーが死を覚悟して時間を稼がなければ上手くいったのですが」

 

「なるほど、敵陣は一人を失った代わりに一人を得たわけですか」

 

「戦力的に困るわけではありませんが不愉快ですね引き続き捜索を…それでこの人形は?」

 

 ジャンヌオルタはジルの後ろに控えている人物を不振な目で見つめる。

 

「こちらの新たな戦力とお考えください」

 

 黒いオーラをまとった人物は全身に赤い線のような模様を浮かべた肌がよく目立つ。

 

「それ、本当に使えるんでしょうね?」

 

「わたくしとしては最良の素材を手に入れたと自負しておりますが」

 

「なら試しに捜索に加わせなさい」

 

 ジルが用意したとはいえ、イマイチ乗り気に慣れないジャンヌオルタは捜索に行くように言うがその場に訪れたらセイバーに止められる。

 

「どうやらその必要はなさそうだ」

 

「セイバー?貴方は東南方面の捜索を命じたはずですが?」

 

「その必要がなくなったのさマスター。彼らはオルレアンに真っ直ぐ向かってる。どうやら決戦がお望みのようだ、それは君も望むところだろう?」

 

「逃げ回るのは止めましたか。ということは勝算はあるのでしょうね」

 

「そうだろうね、サーヴァントの数も多かった。私たちには竜がいるとはいえ、壮絶な戦いになりそうだ」

 

「楽しいですか?」

 

 真名シュヴァリエ・デオン。フランスの気高き英雄の一人だがその表情は大きく歪み。実に楽しそうな笑みを浮かべる。

 

「楽しいさ、なにしろイカれているからね、頭が。私としては滅ぼされるのもいいし滅ぼすのもいい」

 

「さぁ、指示を下せ。マスター」

 

「えぇ、戦力を集めましょう。貴方にこの人形を預けます。存分に暴れなさい」

 

「パスを繋げます。あなたの力になるでしょう」

 

 ジルはデオンと黒い人物とパスを繋げる。するとデオンは力がみなぎるのが感覚で分かった。

 

「凄いね。これは予想以上だ」

 

「成功ですね」

 

「へぇ…」

 

 デオンの雰囲気が変わったのを見たジルは満足げに呟くとジャンヌオルタも興味深げに見つめる。

 サーヴァントにおいてマスターという存在な大きな意味を持つ。そのもっとも足り得るのが礼呪であり、そのサーヴァントを強化する起爆剤にもなる。

 

「では決戦の準備を。ジル、サーヴァントだけではなく彼らも集めてください」

 

「分かりました。フランス中の竜という竜を集めましょう」

 

「勝てば世界は滅びる。我々が負けたとしてもそれでどうなるものでもない。世界はとうに終わっている。ここを修繕したところで、先は果てしない旅路だ」

 

「それでも…それでも彼らは肯定するのか。彼らと彼女は(わたしは)

 

(ねぇ、本当の貴方は何者なの?)

 

 美しき王妃が最後に投げ掛けた問い。それがジャンヌオルタの中にあるのは戸惑い、そして疑念を産み。こころをかき乱す。

 

「なら私は彼らを叩き落とす。この世界を繋がせはしない。それが私の望み、ジルの望み。そう、その筈。それが私の望みのはずだ」

 

 覚悟を決めるといった風には見えない。自分にそうあれと言い聞かせているような言い方だ。そんな彼女を黒い人物は黙って見つめるのだった。

 

ーーーー

 

「この中で軍を率いた経験があるのは俺だけらしいな。もっとも俺とて国という国を軍で攻め落とすという絢爛な経歴を持っているわけてはないが」

 

 オルレアン近隣の森。そこには反邪竜同盟となったサーヴァントたちと藤丸、マシュたちが作戦会議を開いていた。

 

「ともかく、我々の人数は少なく。そして敵の数は多い。ただし、敵のほとんどは我々よりも弱い。と言うことは取るべき手段は二つ。正面突破か、密かに背後を突くか。しかし我々の居場所は当の昔に知られている。つまり、密かもなにもとうに敵に発見されていると言うことは取るべき手段は1つ」

 

 軍事経験のあるジークフリートの話を主軸に作戦会議は進み自分達の取るべき行動が浮かび上がる。

 

「「正面突破」」

 

 途中より合流した清姫とエリザベートは息を合わせて放った言葉。自分達の選択肢はこれしかなかった。

 

「恐らくだがマスターもオルレアンに幽閉されている。気配は間違いなく我々の進むべき方向にあるからな」

 

「オフェリアさんの奪還も出来るし一石二鳥だね」

 

 ジャンヌオルタの討伐とオフェリアの奪還。それが今回の作戦の目的。シンプルかつ明瞭、やることはハッキリとするべきだ。

 最初の目的は今回の難関の一つ。ファブニールの撃破だ、それをジークフリートと藤丸たちで対応。敵、サーヴァントたちは他のサーヴァントで対応する。

 

 エリザベートはカーミラ

 

 ジャンヌはジャンヌオルタ

 

 それぞれの因縁の相手と対峙する事になる。

 

 最初の特異点。邪竜百年戦争オルレアンの最終決戦の幕が上がる。

 

 

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