第一話
『G…V…』
不思議な感覚だった――私は、確かにあの人――アシモフに撃たれて死んだはず…
それなのに、今の私にははっきりと意識があった。
世界のありとあらゆる物が、電子と音のゆらめきで感じ取れる…
ああ――そうか…
『「私」は…
モルフォは私の
だから体を失くして心だけの存在になった事でモルフォと一つに、
モルフォそのものになったんだ。
体を失ってしまった私だけど、GVと長い間お互いの能力を共有をしていた影響で、
私も
GVも能力を共有している間は私の
これはお互いの能力が似ているのも理由であると私とGVは考えている。
この能力共有の永続化を認識出来たのはついさっき、モルフォと一つになったその瞬間。
それにより姿形をモルフォの外見から
それ所か私自身の電脳体の実体化すら出来る。
それを感覚的に私は理解していた。
だからこそ私は、私自身の死を軽く見ていた。
そう、そんな事はどうでもいい、どうでもいいのだ。
それよりも――
『そうだ…GV…GVは!?』
GVに「意識」を集中させる…
今の私には肉体がない…すべてを電子と音の波で捉えられる。
だからこそGVの状態については身体があった以前よりもはっきりと知覚できた。
『ぁ……! まだ、生きてる…!!』
GVの命は消えかかってはいるもののかろうじてこの世界に繋ぎとめられていた。
でも、一体なぜ…? ただでさえ
私はさらに意識を広げていく…深…広く…
意識が電子の波となって彼の身体を外面、そして内面をなぞっていく。
『これ…は……?』
それはひしゃげ、かつての面影を失ったペンダント…
私がGVに作ってプレゼントした、あのペンダントだ…
GVは、これを下げていてくれたの…? こんな、何の役にも立たないただのペンダントを…
このペンダントが…GVの命を守った…の…?
――ああ…よかった…
私は…今まで、ずっと守られてばかりで…
貰ってばかりで、足手纏いだったのが嫌だった…
私に鮮やかな色の付いた世界を見せてくれたGVを、私も助けてあげたかった。
私は、最期の最期で彼を助けてあげることが――
『違う…まだGVは――!』
GVはまだ助かってない…!
ペンダントのお蔭で辛うじて致命傷はまぬがれているけど…
左腕を失っている上に全身の出血が余りにも酷い。
つまり、
これでは
このままではGVが…GVが死んでしまう! 私に出来る事は何も無いの!?
私は涙を流しながら叫んだ。
『嫌だよGV…! 私を置いて逝かないでぇ!!』
私ばかりGVから貰ってばっかりなのに…それなのにこんな…こんな結末だなんて……
何か…何か方法は無いの? このままGVが死んでしまうのを、ただ黙って見ていろと言うの!?
私の何も出来ない無力感が、心を絶望に染めていく…闇に堕ちていく…
鮮やかに色づいた世界が音を立てて崩壊していくのを感じる…
GV…GVならこんな時――
『――そうだよ、GVはどんな時も、何があっても決して諦めなかった
GVはどんな時でも諦めなかった! 私が無理だと思っていたことを実現してきた!
モルフォに料理を…味という概念を教えてくれた事を!
能力を利用した空を飛ぶ方法を……私に自由に、空を舞える翼をくれた事を!』
「私達」の知らない景色を見せてくれた。
「私達」に……GVの温もりを教えてくれた。
GVが居るからこそ「私達」の世界は鮮やかに色付いて見えていたのだ。
『なら……私だって…私だって、諦めない! 絶対に!! だって、まだGVは生きてるんだからぁ!!!』
私は涙を流しながら半狂乱に近い状態で、
念じる様に、祈る様に、縋る様に、願う様に、請う様に、
意識を周囲に無秩序にまき散らし、GVの名前をただ
僅かな可能性を信じて意識を広げていく…
『GV…GV…GV…GV…GV…GV…GV…GV…GV…GV…GV…GV…GV…GV…GV…GV…GV…』
私の狂気に満ちた意思の高まりにより、私の
際限無く増大していくのを感じる…
今更こんな
でも、この狂気の祈りを通してついに見つけた。
GVを助けられる可能性を。
足りないはずの血と肉を。
「それ」は元々GVの近くにあった。
だけど、私自身が私の死その物に対して無関心だったが為に発見が遅れてしまった。
これが灯台下暗しという物なのだろう。
「それ」を認識した瞬間、即座にGVを助ける方法を思いついた。
GVを助けられる可能性があると心の底から歓喜した。
『GVは私に…「私達」に沢山の大切なモノと思い出をくれた』
この方法は見る人次第では
化け物と言われても、呪いだと言われても可笑しくないものなのかもしれない。
そもそも
下手をしなくてもGVがショック死する可能性の方が高いのだ。
だけど私はこの方法を
放っておけばどの道GVは死んでしまうのだ。
それに
だからこそ、この僅かな可能性に縋りついた。
『だから今度は、
「それ」を
GVに再構成する事で足りない血と肉を与え、
私の電脳の体を彼の肉体に重ねて
私の大切な、大好きなGVを助けたい…ただ只管にそれだけを想い、願いながら…
私の
私の
そしてこの試みは奇跡的に成功した。
GVの容態が安定していくのを感じる…
私はGVを助ける事が出来たのだと、胸に満ちる温かな安堵の気持ちで心を満たした。
『良かった…本当に良かった…GV…』
私は命の鼓動を感じるGVの体と一つになりながら、心の底から愛おしくGVに
『GV…私の
これからは…ずっと…GVが生きている限り…ううん、例え死んでしまっても…
私の歌が…想いが…あなたの
そしてGVと私が一つとなったその瞬間、私はGVの
ここまで読んで頂き、誠にありがとうございました。
なるべく続きが書けるように頑張っていきたいです。
ここ以降は独自設定のオマケ話みたいな物なので興味の無い方はスルーでお願いします。
※この小説における第七波動《セブンス》について
この小説内では第七波動《セブンス》は使い手の意思の強さに加えて、
発想力が物をいうという独自設定が追加されてます。
故にこの小説内ではモルフォが実体化したり、
シアン本人が空飛んだりなどの無茶苦茶が通ります。
なんでこんな設定生やしたのか?
それはGVのスキル「アルケミィライズ」や「ボルティックチェーン」の効果と説明文を見て、
なんじゃこりゃと思ったからです。
後、
他の能力者の精神に干渉する精神感応能力ってあるのに、
何で物理的に攻撃を防げるバリアとか展開できるんだろうか?
と思った理由もあります。
※能力共有について
アキュラがROROを使ってガンウォルト爪に出てくるミラーピースを取り込んだ能力者の第七波動の能力を解析して使用できた事を拡大解釈し、
後は使い手の発想次第で共有したい能力を持った相手が近くに居れば、
同じ事が出来るのではないかと考えた結果独自解釈で生えました。
パンテーラの
※能力共有の永続化について
能力共有についてで触れたミラーピースの存在、
そしてパンテーラ戦の「ミラーピースと共に、わたしの中に同志たちの愛が息づいている 」という発言と
レジデントオブエデンの演出を考えるとそういった物がありそうなのではと考えました。
流れとしては皇神に再び捕まるまでの期間
なお、この小説内でシアンが再び攫われてから共有永続化に気が付けなかったのは、GVとミッションなんかで離れてる間は能力共有が不可能だった点と、
GVと一緒に居る時は常に能力共有していたからと言った理由があります。