【完結】謡精は輪廻を越えた蒼き雷霆の夢に干渉する   作:琉土

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第十三話

いつでも私達の姿を

 

 GVが私の名前(シアン)を取り戻してくれた後、

私はその時の雰囲気に飲まれてモルフォと同じようにGVと疑似的なアレを満喫していた。

 その行為に私が夢中になってる間にモルフォも復帰し最終的に三人で楽しんだ。

 ただこの時誤算だったのが()()()()()()()()()()()()という点だった。

 お陰で私は今まで以上に私の恥ずかしい姿をGVに見せる事となってしまった。

 その代わりに()()()()()()()()()()()()ので当然そのお返しをした。

 この時私は閃いた。

 私はモルフォに対して()()()()()()()()()()()したのだ。

 これはヴォルティックチェーンの応用で、私の世界に居た頃のGVも愛用していた。

 モルフォはまだ私との記憶共有が済んでいない。

 今の私とモルフォとでは能力を扱う練度の差が激しいのだ。

 故にいくら抵抗しても無駄だった。

 そんな状態のモルフォの耳に私は甘く囁く。

 

『ほら…GVがモルフォの事を見てるよ?』

『やぁ……GV、こんなアタシを見ないで…』

 

 モルフォが鎖に四肢を拘束された状態で甘い声で啼いている。

鎖はモルフォの体の所々に食い込みより扇情的な姿をGVに見せつける。

 私は再びモルフォに囁く。

 あの暗い喜びをモルフォにも知ってもらう為に。

 

『見ないで? そんなの嘘…さっきあんなにGVの事を誘惑して激しく絡み合ってたのに…

それにその期待に満ちた目は何? 本当は見てほしいんでしょ?

モルフォは私なんだよ? そんなの私にはお見通しだよ?

私みたいに素直になろう? そうすればもっともっと気持ちよくなれるよ?

だから私と一緒に堕ちよう? モルフォ』

『シアン…アタシ、アタシは…』

 

 モルフォの瞳から光が無くなっていく…

 どうやらモルフォも素直になろうと決めたようだ。

 私は更にモルフォを拘束していた鎖に力を入れより強くモルフォに食い込ませ…と、

こんな感じの光景をGVに見せつけ更に盛り上がり時間は過ぎていった。

 思えばこの時から私には違和感があったのだ。

 ……私達三人は疑似的なアレを楽しみ終え、今山頂の景色を満喫していた。

 ふと、GVが腕時計を見た。

 私とモルフォも二人でGVの腕時計を覗いた。

 モルフォの復活から今に至るまで()()()()()()()経過していた。

 …私はGVの正面に立ち、手を振ってみた。

 G()V()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 私はモルフォにも私と同じようにして欲しいとお願いし、同じ動作をしてもらった。

 G()V()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 …GVも気が付いたみたい。

 そうなのだ。

 モルフォの復活…つまり()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

G()V()()()()()()()()()()()()

 

『それってつまり…どういう事かしら? シアン?』

『モルフォはまだ私と記憶共有してないから分からないかもしれないけど、

私の姿をGVに見せる為には謡精の歌(ソングオブディーヴァ)を利用した歌じゃないとダメなの

その上、姿を見せられるのはそんなに長くは続かない…最長でも三分くらいが精一杯なの』

『なるほど、アタシ達の姿がGVに長く見える事が問題なのね?』

 

 モルフォの言う通りである。

 原因をGVも交えてアレコレ話していたらGVがとある仮説を立てた。

 それは「シアンの能力(電子の謡精)が成長したのではないか?」と言う物だ。

 …その仮説を聞いて私はピンと来た。

 確かに八年くらい前から良く電子の謡精(サイバーディーヴァ)を使う機会が劇的に増えていた。

 それこそ成長してもいいくらいに使用頻度が多かった。

 それにG()V()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 これもまた私の電子の謡精(サイバーディーヴァ)が成長した証なのだろう。

 そして今回モルフォを表に出せるようになった事で、

更に私の電子の謡精(サイバーディーヴァ)の成長の段階が進み姿を維持できる時間が長くなった。

 その考えがしっくり来たので一先ずこの話を打ち切り再び山頂の景色を三人で楽しんだ。

 ただ、この時私達は少し勘違いをしていた。

 維持できる時間が長くなったのではなく()()()()()()()

 その事に私達が気が付くまでGVが大学を卒業する時期になるまでに時間がかかった。

 

 

 

記憶の共有 モルフォの慟哭

 

 

 私は今アシモフに撃たれモルフォが出てくるまでの十六年間の記憶をモルフォに見せていた。

 モルフォには記憶共有の際覚悟を決めて見て欲しいとお願いしていた。

 それを聞いてモルフォも覚悟した表情で私に答えた。

 

『嫌ぁぁぁぁぁーーーーーー!!!

GV、腕が…血が……止まらない、止まらないよぉ……!!

嫌、嫌よ、GV、アタシを置いて逝かないでぇ!!!!』

 

 でも、それでも…

 最初の頃の記憶を見せた瞬間、絶望的な表情でモルフォは慟哭(どうこく)した。

 それは当然だと私は思った。

 あの時のGVはそれだけ絶望的な状況だったのだ。

 仮に私が事前に説明していたとしてもあの光景を初見で見たら慟哭するだろう。

 モルフォの目から深い悲しみの涙が零れ落ちる。

 モルフォの色鮮やかな世界が音を立てて崩れ、崩壊していく音が聞こえる。

 その世界が闇に包まれかつての狭かった世界以上の絶望をモルフォに与えていく。

 …モルフォは私の本心。 

 気が強く、自由奔放な性格をしているのは私の本心の願いからきている。

 でもその仮面を剥がしてしまえば私と同じように年相応の女の子でしかない。

 

『シアン……! お願い、GVを、アタシ達のGVを助けて!!』

 

 あのモルフォが、記憶の中の私に助けを求めている。

 

『あぁ……シアン、「それ」を使うのね…アタシ達の全てを、GVに捧げるのね……』

 

 私がGVに全てを捧げる場面では祈るような姿勢で蘇生の成功を祈っている。

 

『あぁ、成功して良かった……GVが居なくなったら、アタシ…アタシは…』

 

 モルフォの世界に光が射すのを感じる。

 そしてそれは記憶の中のGVの生命の鼓動と共に広がっていく…

どうやら最初の山を越えたようだ。

 私は記憶共有を解いた。

 

『………!! ここは…アタシは…』

『……モルフォ』

『シアン…! アタシ、アタシ…GVに何も出来なかった!!』

『モルフォは悪くないよ』

『でも…でもぉ……!!!』

 

 この時モルフォは私と一つとなっており私の心の底の底に突き落とされていたのだ。

 モルフォは悪くない。

 それ所か…

 

『モルフォはあの時の私に希望を残してくれたんだよ?』

『アタシが? …あの時GVに何も出来ていなかった、アタシが?』

『モルフォは私に電子の謡精(サイバーディ-ヴァ)の体を譲り渡してくれた』

『でもそれは…アタシはあいつらに操られてて、それに抵抗して力を使い切っただけで…』

 

 この時のモルフォは抵抗するのに必死でGVのその時の状態を把握出来なかった。

だから最初の時の左腕が無かったGVに衝撃を受けたのだろう。

 

『それでもだよ…GVを助ける可能性を私に残してくれた

モルフォはGVを助けたと誇ってもいいの…ううん、誇らなきゃいけないの』

『シアン…』

 

 私はモルフォにそう言ってモルフォを慰めた。

 その後時間を一日開けて記憶の共有を再開してもらった。

 ここがGVの(記憶)の世界と知った時、モルフォも私と同じく嬉しそうな表情をしていた。

 GVの寝顔を見ていた時、モルフォも寝顔のGVは可愛いなぁと零していた。

 チョコレートの山がGVの下駄箱から出てきた時、激しく怒っていた。

 GVの裸を見てた時、モルフォは頬を赤く染めながら興味深そうに観察していた。

 涙を流したGVを見た時、モルフォは驚き何処か嬉しそうに微笑んでいた。

 GVがトラックに撥ねられた後再び立ち上がった姿を見た時、

モルフォは驚いた後、涙が止まらなかった。

 私とGVがデュエットしてカラオケで歌っているのを羨ましそうに見ていた。

 GVが美晴を振ったのを見てモルフォは心の底から安堵していた。

 山頂で私達三人で歌っているのを見て、またあの場所で三人で歌いたいと願っていた。

 GVに対して理性が飛んだモルフォを客観的に見て、恥ずかしさと嬉しさで一杯になっていた。

 …記憶の共有は終わった。

 

『お疲れ様、モルフォ』

『ありがとう、シアン』

 

 私はモルフォを労い、モルフォは私にお礼を言った。

 その時のモルフォの表情はとても晴れやかであった。




ここまで読んで頂き、誠にありがとうございました。
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