勝負になんて、ならないと思っていた。
『GVの雷撃はいつ見てもキレイだなぁ…でも、私には効かないよ?』
「知ってるさ、モルフォを通じてね…でも、そうやって油断するのは良くないよ? シアン」
どう頑張っても、今のGVとモルフォでは、私に勝てる要素なんて無かった。
「……どうやらまだ「積み」じゃないみたいだ、シアン」
『え?』
それなのに…
『鎖が…GV、何をしたの!?』
『ありがとう、GV! アタシも助かったわ』
「この戦いが終わったら教えてあげるよ、シアン」
如何して…
『今のは本当に驚いたよ、GV…でも、
『時間ですって…まさか!』
「モルフォ、どういう事だ?」
『「詩魔法」よ! シアンはGVと対峙していた時からそれを紡いでいたのよ!』
如何してGVは諦めないの?
『世界樹を模した増幅塔よ…どうか私に、愛しき
『「世界樹を模した増幅塔…まさか!!」』
『
これだけの
『GV…、あり得ない話をするけど…
もし、もしもだよ? 私のこの一撃に耐えることが出来たら、私は負けを認めてあげる』
『耐えるって…こんなの、耐えられるわけないわ!』
モルフォだって諦めかけていたのに
「大丈夫だよ、モルフォ」
『GV…でも、シールドヴォルトとバリアをいくら重ねたって…』
「モルフォ…今この瞬間だけでもいい、僕を信じて欲しい
その意思が、想いが、僕の力になるからね」
『……分かったわ、GV…ごめんなさいね…アタシ、弱気になっちゃって…』
お願いGV…もう諦めてよ…
「…あれだけの
さて…やろうかモルフォ! 僕に君の
『……っ! うん! アタシの歌が、貴方の
お願いだからもうやめてよ…
『GV…これからは、どこまでもずっと…ずっと一緒にいられるね…
GVの
まだGVが生きている内に転生させてあげれば、消えてなくなる事何て無かったのにって…』
これ以上私の心をこじ開けようとしないで…
『でも、私達二人だけのこの真っ暗な暗黒の世界に、GVは来てくれた
お話が出来るようになった…お互い、触れ合えるようになった…私にはもう、それで十分なの
だからGV…貴方を、ここから
じゃないと私、私は…
『シアン…貴方…』
「……僕の事をとても強く大切に思ってくれている事は良く分かった
いや、昔からずっと分かっているよ、シアン
でもそんな辛そうな、悲しそうな顔をして、
自分の本当の気持ちを封印してまでしなきゃならない事なのか!!
僕はシアンの悲しみの感情が嫌なんだ! 君には、本当の笑顔で笑っていて欲しい!
だから絶対に本音を聞き出して、
私は…!
「
シアンの…
貴方を私達の
「
「
……それは綺麗な翼だった。
GVから翼が生えていた。
初めて出会ったあの時の、舞い散る羽を連想させるような綺麗な翼が。
私の背中にあったシアン色の翼が。
モルフォの背中にあったモルフォチョウを連想させる翼が。
その翼達が私の切り札を無力化していく。
儚く光り輝く翼によって私の狂気で無理矢理固めた心の壁が、溶かされていく。
私の醜い本当の心が首をもたげて私の中で暴れまわる。
愛しい
その翼を捥いで、鎖に繋げて、私から離れられなくしろと。
「僕達の勝ちだよ、シアン」
『…………』
……GVはいいの? 貴方を傷付けようとしている私でも?
貴方の足を引っ張ろうとしている私でも?
貴方を私から離れられなくする、呪いをかけるような私でも、貴方はいいの?
「約束だよシアン…君の本音を…本当の願いを聞かせて欲しい」
『私は…私は…』
『もうこうなったGVに何を言っても無駄なのは分かっているでしょう?
……シアン…GVなら、アタシ達の本当の心を受け止めてくれるわ
大丈夫よ、貴方だけに辛い思いはさせないわ…一緒に、GVに伝えましょう?』
我慢なんてしなくてもいいと。
素直になっていいのだと。
『『
言ってしまった。
GVを
GVはもう逃れられない。
「……それがシアンとモルフォの本当の願いなんだね?」
『『……うん』』
「いいよ」
『『……っ』』
「僕は二人の為なら何所だろうと行くし、元よりそれは僕自身の願いでもある」
『GV…私、私…』
『GV…そこまでアタシ達の事を…』
あぁ、私は、私達はもうダメだ。
今、ハッキリと自覚した。
私達自身が
GVを私達の
私達はGVの足枷その物である。
そういう呪いだ。
GVから離れ、私に舞い戻ったモルフォもそうなのだろう。
私と同じように、内なる想いを自覚したようだ。
『ごめんなさい…ごめんなさい、GV』
『アタシ達はGVに、呪いの言葉をかけてしまった』
「…呪いか こんな呪いなら、僕は大歓迎だよ、シアン、モルフォ」
『『GV……』』
「どうせなら、ありったけ強力な物を頼む…僕も二人のこの想いが心地いい
それにそういった物というのは、お互いがどう感じたかが重要なんだ」
『お互いが…』
『どう感じたか…』
「二人にとっては呪いでも、僕にとっては何物にも勝る祝福なんだ
だからその想いを、素直に僕にぶつけてもいいんだ
例え周りが君たちの事をそう捉えるというのならば、僕はこう答えるよ
これは祝福だと、シアンとモルフォの心からの祝福だってね
…だからもう我慢なんてしなくてもいいんだよ」
あぁ…GV、私達の愛しい人。
いいんだね? この想いを素直にぶつけても。
この煮えたぎるような熱い想いを注ぎ続けても。
暗く、ドロドロとした陰湿な想いを捧げても。
私達の呪いがGVにとっての祝福となるのならいくらでも捧げ、注ぎ続けよう。
私達の想いを受け、新たに生まれ変わろうとしている。
私達のGVを
さっきGVと対峙した時以上の
もうこれは取り返しが付かないだろう。
……GV? 後で後悔したってもう遅いんだから。
私達の事をあの言葉だけでこんなにもめちゃくちゃにしたんだから、責任を取ってね。
GVなら喜んで責任を取ってくれるって私達は信じてるからね?
私達はGVに向けて鎖を打ち込み四肢を拘束した。
GVは一瞬驚いたみたいだが、私達の想いが伝わっているのだろう。
とても優しい表情でなすがままの状態だ。
そんなGVが私達には愛おしい。
めちゃくちゃにしたい。
辱めて凌辱してしまいたい。
貴方の事をドロドロに溶かし、壊してしまいたい。
…大丈夫だよ? 本当に壊れてしまっても私達の歌が貴方を死なせないからね。
だから安心してその身を私達に委ねてね?
私達はそんな状態のGVに、ありったけの
再び甘美なる甘い空気がその場を支配した。
そして…
「シアン、モルフォ、とても名残惜しいけどもう行かなきゃ」
『分かったよ……行くよ? GV』
『GV? アタシ達の歌、しっかり聞いてよね』
私達は歌う。
愛しい人を死地に追いやる呪歌を。
愛しい人を堕とす為の呪縛の歌を。
過去の私達と会ってもらう為の、我儘な今の私達の呪われた歌を。
「
そしてGVが旅立った後、私達が居た暗闇に閉ざされた世界に再び光が射しこんだ。
ここまで読んで頂き、誠にありがとうございました。
ようやくこの話からガンヴォルト世界へとGVの