第二十話
暗闇に閉ざされたGVの
その光景は私達にとってはある意味、とても馴染みのある光景だった。
そう、私達が昔居た狭き世界。
その研究室らしき場所に彼は居た。
まだ幼少期で小さくて可愛い私達の愛しい人が。
私達の良く知る金色の綺麗な髪を持ったGVが。
『GVもこの頃は皇神に居たんだね…』
GVの表情は暗く、ここでの生活を苦痛に感じているようだ。
私達だって苦痛で、辛くて、いっそ死んでしまいたいとすら思った場所だ。
それを分かっていてもGVのこんな表情を見るのは私達にとってショックだった。
そう思っていた時、皇神の研究員がGVを研究台らしき所に拘束し、実験を始めた。
その光景はまるで
GVに無理矢理苦痛を与えているように見えた。
GVが叫び声を上げる。
苦痛に満ちた叫び声を。
そんなGVを見ている皇神の研究員はそんな事等どうでもいいと言わんばかりに、
無表情で観察を続け、データらしき物を取っていた。
GVは転生前、寿命が間近でも決して私達の前ではそういう事を顔に出さなかった。
あんなにボロボロだった体でも、一切弱音なんて吐かなかった。
そんなGVにこんな…こんな苦痛に満ちた表情をさせるなんて…
モルフォもそんな彼を見てショックを受けているが、
何かを堪えているのか、歯を食いしばってGVから目を離さないで見ている。
私の心に暗く、ドロドロとした感情が満ちる。
GVを苦しめる皇神の研究員に対する怒りの感情が増していく。
許せない…GVを苦しめる連中なんて、皆居なくなってしまえばいいのに!!
ここに居る
そして私が「詩魔法」を紡ごうとしたその瞬間、
この研究施設の警報ベルが高らかに鳴り響き機械的な音声が警告を発した。
『警告します 現在、研究施設内で正体不明の
それは今も尚増大を続けており、非常に危険です 研究員は速やかに脱出して下さい
繰り返します 現在…』
……!! そうだ、ここは私達の
しかもここは皇神の研究施設。
『シアン! 早くその
『……っ!!』
私は慌てて「詩魔法」を中断。
感情をなんとか沈め、私自身の
モルフォが堪えていたのはこれが理由だったのだ。
そうしてなんとか私は
今度は研究施設全体を襲う爆音が響いた。
『今度は何!?』
再び機械的な音声による警告が鳴り響く。
『警告します 現在、研究施設を狙ったテロリストが複数侵入しています
警備員は速やかにテロリストから研究員を守って、研究施設から脱出して下さい
繰り返します 現在…』
テロリスト…?
現段階で皇神の研究施設を襲える、そんな組織と言えば…
『フェザー…』
『ひょっとして、GVを救出しに来たの?』
あの爆発音の後、何やら銃撃らしき音が研究施設一帯に響いている。
その銃撃音がこの部屋に近づいてくる。
そして研究台に縛られて気絶しているGVの居る部屋の壁に爆発が起き、
そこから
あの戦いの後、即座に不意を突いてGVを瀕死に追い込んだ、あのアシモフだ。
……流石に先ほどと同じ失敗をする訳にはいかない。
モルフォもあの時以上に表情と感情を殺し、
歯を食いしばってアシモフに射殺すような視線をぶつけて居た。
今の私の表情もきっとこんな感じなのだろう。
GVはさっきの爆発の衝撃で目を覚ました。
そんなGVにアシモフは優しく声を掛けた。
「良く耐えたな…これで君も自由を得られるだろう」
「あなたは…?」
「名乗りたい処だが…ここは皇神の研究施設だ
どこに耳があるか分からない 君を助けた先で名乗らせてもらおう」
そう言ってアシモフはGVを横抱きで抱え皇神の研究施設を後にした。
そしてフェザーの施設へと到着し、GVは個室を与えられ一人となった。
そしてGVは誰も居ない事と監視カメラが無い事を確認した後、
私達の方向を向いて話しかけてきた。
「シアン、モルフォ…ゴメン、情けない所を見せちゃったね」
『GV…そんなこと無い! GVは頑張ったもの!!』
『アタシ達はあの光景を情けないなんて思わないわ…本当に、無事で良かった…GV』
GVは研究台に拘束された辺りから私達の事に気が付いていたがあえて反応しなかった。
私達の存在の露見を防ぐ為だったのだろう。
まあ結局は
会話が終わりGVが私達に触れようとした直後、
表情を崩し目に涙を溜めて悲しい想いを堪えるように呟いた。
「僕には二人の姿が見えている…二人の想いは僕に届いている…
でも、でも…二人の会話が聞こえない…触れられない…
やっと僕はあの時、二人の声を聴けたのに…触れられるようになったのに…!」
『GV…』
GVの目から涙が零れ落ちる。
あのGVが涙脆くなっているのは完全に子供の姿に戻っているからなのだろう。
私達はそんなGVに母性本能を刺激されて寄り添い「青写真」を歌う。
初めてGVに歌が聞こえるようになったと知った時から、
この歌は夜に寝る前の子守歌として、良くGVに聞いてもらっていた。
特に、嫌な事があったら、良く私達に歌って欲しいとおねだりしていたものだ。
『『~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♪』』
「シアン…モルフォ…ありがとう……ありがとう」
私達は歌う。
悲しみに沈むGVを慰める為に。
涙を流すGVに安心してもらう為に。
優しく、優しく、GVを抱きしめながら囁くように…
GVが眠るその時まで私達の静かな歌がこの部屋に響いた。
ここまで読んで頂き、誠にありがとうございました。
ここ以降は独自設定のオマケ話みたいな物なので興味の無い方はスルーでお願いします。
※シアンの
第十九話で
「
私達の想いを受け、新たに生まれ変わろうとしている。
私達のGVを
とあったのを覚えていますでしょうか?
この時からもうシアン達の
故に正体不明と呼ばれたのです。
もし別物になってなかったらこの時点で