【完結】謡精は輪廻を越えた蒼き雷霆の夢に干渉する   作:琉土

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第二十九話

 GVは今、とある目的を探るために各地で潜入調査をしていた。

 GVはフェザーに居た頃から潜入調査のミッション中は変装をして、別人に成りすましている。

 だけど、今回はフェザーでしていた何時もの変装とは違っていた。

 その恰好は…

 

『あの…その…GV? どうしてそんな恰好をしているの?』

「………この格好、何か変だったり違和感あるかな?」

『アタシ達から見ても確かに似合ってるし違和感は無いけど…

お下げを解いてたり、黒髪にしてたり、目を赤くしてるのは分かるのよ…でも…』

『『GV、どうして()()してるのよぉーーー!

しかも化粧まで本格的だし、声まで変わってるし!』』

「……シアン達は僕が女装している事に違和感を感じているのか

…もう僕はフェザーから脱退した身だ 個人的な理由でこういった調査をする場合、

皇神の連中に僕が僕であると分かってしまうのはフェザーの皆に迷惑を掛けてしまうんだ

幸い、僕の容姿は中性的だってフェザーの皆に言われてたし、この事を相談した際も

「それなら女装がいい」ってモニカさん以外のフェザーの女性メンバーに進められたんだ。

……蒼き雷霆(アームドブルー)ガンヴォルトは、余りにも有名になってしまったからね」

 

 そう、彼の言う通り蒼き雷霆(アームドブルー)ガンヴォルトは有名になりすぎた。

 理由はとても簡単だ。

 世間から見れば、彼は電子の謡精(サイバーディーヴァ)を破壊したように見える。

 つまり、この国の人々の希望であり心の拠り所を奪い去ったように見えるのだ。

 皇神第一ビルにあった監視カメラで顔が割られて公開された時は、

それはもうネットだけでは無く雑誌や新聞なんかでも恨み節が凄まじかった。

 そんな訳で派手なミッションをする際は蒼き雷霆(アームドブルー)ガンヴォルトとしている分には問題は無い。

 こういった事はフェザーやフェザーの息のかかった組織からの依頼が来るのが大半だからだ。

 でも、こういった個人的な事情で目立たない必要がある潜入ミッションではマズイのだ。

 少なくとも関係の無いフェザーに迷惑が掛かってしまう。

 そこでGVはこの変装をしているのだろう。

 そう考えれば納得は出来るんだけど…

 

『GV…モニカさん以外のフェザーの女の人達に騙されてないかな…』

『…シアン、アタシ正直に言うわね 今のGVを見ていると、凄くドキドキするの

とっても綺麗だし、凛としているし、あのサラサラで艶やかな黒髪を靡かせてる姿を見てると、もう…』

『モルフォ…そんな事言わないでよ…貴方は私なんだよ? 

そんな事言われると私も自覚しちゃうよ…今のGVが、とっても綺麗で魅力的だって』

 

 ()()()G()V()()()()()()()姿()()()()()()()()()()()()()()()

GVのこの姿は少なくとも今の私達は見ていない。

 というか、未来の私達だって今こうして初めて見たのだ。

 もう普段のGVとは完全に別人になっており、歩き方や仕草まで女の人っぽいのだ。

 ……それだけフェザーや今の私達に対しての想いが強いから、

GVはこんな恥ずかしい事だって涼しい顔で(こな)せるのだろうか?

 どうかそうであって欲しい。

 …そういえば心なしか()()()も手馴れていたような…

この時から女装に慣れてたからあの時もあんなに違和感が無かったのかなぁ…

 まあそれは兎も角、GVの個人的な潜入ミッションが始まろうとしていた。

 その目的は私達の第七波動(セブンス)()()()電子の謡精(サイバーディーヴァ)の情報だ。

 GVは皇神が電子の謡精(サイバーディーヴァ)で何か企んでないかを調べたいのだと言う。

 やっぱりGVは今の私達が心配なんだ…

 そう、皇神は、紫電は正に電子の謡精(サイバーディーヴァ)を利用した企みがあった。

 それは私達の歌を世界中に拡散させて能力者達を洗脳、管理すると言う物だ。

 ……でも、タイムパラドックスを警戒している未来の私達が言う訳にはいかない。

 本当は話したい。

 話せばGVはあんな、左腕を無くすほどの酷い怪我をしなくても済んだかもしれないのだ。

 でも、下手にそれを話せば未来の私達が消えてしまうかもしれないと、

GVがこれから何が起こるのかを話すのを止められてるのだ。

 ただでさえ蒼き雷霆(アームドブルー)電子の謡精(サイバーディーヴァ)

そして未来の自分の名前と未来の情報を知ってしまっているのだ。

 これ以上はマズイと、GVは自制しているのだ。

 ……話を戻してGVはまず、

電子の謡精(サイバーディーヴァ)破壊ミッションの際に立ち寄った皇神第一ビルに向かった。

 列車に移送される前にここに私達が居たからであり、

何かしら情報が残ってないか立ち寄る事にしたのだ。

 

「シアン、モルフォ、ここから僕は二人に話しかけられない

後、僕の傍を離れないで何時もの様にこの「力」の結界の内側に居るんだ いいね?

二人の第七波動(セブンス)はとても目立つからね」

『わかったよ、GV』

『了解よ、GV』

「後、僕だけの力じゃどうしようも無くなったら、()をお願いしたい

……二人の(チカラ)を僕に貸して欲しい」

『まったくもー…しょうがないなぁ、GVは』

『ふふ…しょうがないわねぇ、GVは』

『『いい()GV、その時は(アタシ)達が(チカラ)を貸してあげる

他でもない、貴方の為なら……』』

「…………ありがとう、シアン、モルフォ…

じゃあ行こうか……ミッション開始! いくぞ、二人共!」

『『了解! ミッション開始!』』

 

 こうして私達にとって、初めてのGVとのミッションに挑んだ。

 フェザーに居た頃はフェザーの人達の目があったのでこうして直接参加が出来なかったのだ。

 潜入ミッションの際、GVは戦い方が蒼き雷霆(アームドブルー)である時とはまるで違う。

 GVはアシモフさんから格闘技を習っていた。

 確かちゃたんらく…ちゃらんしゃたくー…ちゃらんやた…ちゃたんら…ちゃら…

うぅ~~~~~~~~~~!!

兎に角! そんな名前の格闘技をベースにした物をGVは扱っている。

 これとラムダドライバ、

そして普段の使っている銃である「ダートリーダー」の兄弟機ともいえる、

「ダートシューター」がメインだ。

 この「ダートシューター」は避雷針としての機能をオミットした、

重量のあるダートを射出する威力重視の銃だ。

 当然「ダートリーダー」とは違って外部電源も存在している。

 素性を割られたくないGVにとって「ダートリーダー」を持つのは自殺行為なので、

こうして別の銃を用意したのだと言う。

 こういった武器は使わない方が潜入ミッションの評価が高い。

 でも見つかった場合何も武装が無いというのもマズイのでこんな武装も必要なのだと言う。

 ……そうこうしている内に、早速データサーバーらしき物を発見した。

 ここからは、蒼き雷霆(アームドブルー)のハッキングの出番だ。

 念の為、「力」を使った光学迷彩も展開済みなので、

誰かが部屋に入ってもまず正体がバレないし、

見つかっても第七波動(セブンス)能力者だと思われない。

 

『今の所は順調だね…』

『そうね、このまま無事にいけばいいのだけれど…』

 

 そうこうしている内にデータを取り出し終わり、

「力」を使い痕跡を完璧に無くし、私達は部屋を出ようとしたその時、

誰かがこの部屋に侵入してきた。

 私達はとっさに隠れ、侵入してきた人物の様子を見た。

 その人物は()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

彼? 彼女? は慣れた手付きで私達がハッキングしていたデータサーバーにアクセスしており、

何かを探っているようだった。

 その時だった。

 隣の部屋から、変な声が聞こえてくる。

 

「アぁ……! スゴい、スゴいわぁ!

そう、そうよぉ! もっと強く、激しくアタシを()つのよぉ!

カワイイ子をいたぶるのもいいけどぉ…

いたぶられるのも、イぃっ!

蒼き雷霆(アームドブルー)ガンヴォルトぉ…

アナタのお陰でぇ…アタシは新しい世界(せぇかい)を開く事が出来たわぁん…

さぁ~少年! アタシをいい絶叫(コエ)で鳴かせてプリィーズ!」

 

 あの時の(変態のオジサン)の声だ。

 どうやらGVのあの軽い電撃により被虐愛の快楽を植え付けられたらしい。

 …GV、これは流石に貴方は悪くないよ。

 だからそんな嫌そうな顔をしないでミッションに集中して欲しい。

 この声がとても気になるのか、彼? 彼女?が反応して声が聞こえる方向を向いている。

 そして、何かを感心した様に呟いていた。

 

「このような美しい愛が存在していたとは…! 世界は広い…

これだから愛を探求するのを辞められない!

この私の知らなかった愛を隣の部屋の男に植え付けた男…いや、少年!

蒼き雷霆(アームドブルー)ガンヴォルト!

いい! 実に愛らしい名前だ!

あの少年の事は様々な情報媒体で取り扱われていたから私も知っていたが…

これは本格的に調べなければなるまい!

あの少年の愛をあの男と同じように、私も感じてみたい!!」

 

 GVが物凄く嫌そうな顔をして私達を見て、助けを求めているように見える。

 …ゴメンねGV、これは無理そう。

 っていうかちょっと待って…

「彼の愛を感じてみたい」ですって?

 ダメよ!! それを感じていいのは私とモルフォだけなんだから!!!

 私達は新たなライバルの出現に嫉妬の心を燃やすのだった。




ここまで読んで頂き、誠にありがとうございました。
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