私は今、GVの拠点付近でGVと一緒にウォーキングをしている。
最初私は走り込みであるランニングをいきなりするのかと思っていたのだけれど、
まずは準備運動をして、ウォーキングで体を慣らしてからランニングをするのだそうだ。
これは怪我を防止する為に必要な事で、とても大切な事だと言う。
そして体が温まり、私とGVは走り出した。
眩しい朝日と共に、街並みの景色が私達の前を流れていく。
そして、GVの拠点付近を一週回った所で私の体力が限界になった。
「ハァ…ハァ…」
「ふぅ…
「ハァ…お願い…ハァ…、
GVは私に例の
この時、軽い痺れが私の全身を駆け巡るのだけれど、最近ではこれが癖になって来た。
GVの力が私の中を駆け巡ってるのだと感じる事が出来て、幸せな気持ちになれるのだ。
そうして私の体をGVの力が駆け巡った後、疲れがすっと消えていく。
この瞬間がたまらなく心地いい。
そして私のお腹が鳴り響く。
…この瞬間はやっぱり恥ずかしい。
でも、この後渡されるGVお手製の栄養ドリンクが美味しくてそれが楽しみな私も居るのだ。
「何時もありがとう、優 それじゃあ、頂きます」
「どういたしまして、紫明 それを飲んで5分くらい経ったら、また走るのを再開しよう」
「ゴク…ゴク…ふぅ…分かったよ、GV」
これを後四セット。
一日に朝五セット、夜五セット繰り返して体力作り及び体作りを行っている。
これの成果は初めて直ぐに効果が出て来た。
最初の頃はもう今の五分の一を走るだけで息が切れていたのだ。
それが今では五倍も持つようになった。
それにGVの拠点に来てから柱に傷を付けて身長の伸びを確かめる習慣を私は始めた。
その結果も今、ハッキリと認識出来ているのだ。
明らかに私の身長が伸びている。
体重も…本当はあまり増えて欲しくは無いけど、増えている。
GVが言うにはまだまだ身長も体重も全然足りないと言ってくれてはいるけれど…
やっぱり、私も女の子だから気にしてしまう。
GVの言っていた成長痛も感じるようになって来た。
でもこの痛みは私が成長している証なんだって思えて、私にとってこの痛みは有難かった。
髪もモルフォと同じようにGVには内緒でこっそりと伸ばしている。
GVに短髪と長髪とどっちが好きかと聞いてみて、GVが長い方が好きと答えたたからだ。
今の私の髪型はぱっと見では髪の長さが分からない。
腰の長さまで伸びたら、GVに目の前で髪留めを取って見せてあげたいのだ。
…モルフォはこの走り込みの時間帯、私の中から出てこない。
最初は疲れるから一緒に走り込みするのが嫌なのではと思っていたのだが、
どうやら違う様で、GVの負担を増やしたくないという理由で表にあえて出てきていないのだ。
モルフォは私の本心。
あの時みたいに、私と同じようにGVの足手纏いにはなりたくないのだろう。
モルフォも本当は表に出たいはずである。
だって、実体化出来るようになってからのモルフォはそれはもう毎日が楽しそうで…
私と一緒に料理だけでは無く、勉強も家事もモルフォは真剣に取り組んでいた。
掃除の時も自身が空を飛べる事を利用して高い所の埃なんかも落としていたし、
そういった自身の能力を生かした手伝いをしていたのだ。
そう、勉強もGVから教えてもらっている。
つまり、
これは仕方がない事だと私達は思った。
フェザーにGVが頼めば学校へ行ける手筈は整える事が出来た。
でも、GVはそれをフェザーに迷惑を掛けるのと私達の護衛の関係からそれを断ったのだ。
だからこそ、GVは私達に外へ出る機会を多くしてくれているのだろう。
運動、勉強、家事と続いて、次に私達が行っているのは私達自身の能力の練習と把握。
これはGVがあの時の景色を見せてくれた時の約束を果たす為に行っている。
この訓練をしている間GVは「力」による結界を展開して、
私達の
そんな私達の
新しい能力として能力者限定で、尚且つ相手の同意が必要ではあるが、
精神感応能力を利用して他者の記憶を見る事が出来るようになったのだ。
そして、この事が出来るようになった時のGVは何か覚悟を決めた様に、こう切り出してきた。
「…シアン、モルフォ お願いがあるんだけど、僕の
「GVの記憶、また見ていいの?」
「GVの記憶を見るの、アタシ達は好きよ? だからそんなに畏まらなくても大丈夫よ」
「ありがとう二人共…でも、今回の記憶は大分毛色が違うんだ
とりあえず見てくれれば、その理由も分かるはずだよ」
そうして私達は彼の記憶を垣間見た。
その光景は、私達が
お父さんと思われる男の人、お母さんと思われる女の人、
妹と思われる女の子、そして髪の色が最初から黒くなっている小さなGVの姿。
彼ら四人家族がそれはもう、幸せそうに四人で夕食を食べていた光景だった。
「これ…は…?」
「GV…この記憶は一体、どういう事なのかしら?
アタシ達が記憶を読んでいるのは今の手応えから感じて間違いない
でも、この光景は明らかに今の状況と矛盾しているわ」
「そうだね…信じられないと思うだろうけど、僕には前世の記憶がある」
「前…世…?」
「GV、いきなりそんな冗談を…言っている風には見えないわね」
この時のGVは何かを堪えるような、悲しそうな表情をしていた。
そんなGVを見て私達は、彼は嘘何てついていない、これは本当にあった事なんだって分かった。
恐らくGVも私達がこんな反応をする事は予測済みだったのだろう。
でも、それが分かっていてもGVにとっては辛かったのだろう。
記憶が見れた私達だって懐疑的だったのだから、こんな事、誰にも言えるはずが無いのだ。
そんな誰にも言えない事を、私達を信じてGVは話してくれたのだ。
だから私達はこの事を信じようと思う。
GVは私達を信じて自身の事を打ち明けてくれたのだ。
この想いに、私達は答えなければならない。
「GV、私達は貴方の事を信じるよ GVが必死に勇気を出して教えてくれた事だから…」
「それをアタシ達が知って受け入れる事でGVが救われるなら、アタシ達もGVを信じるわ
それに、GVの前世…非常に興味深いわ その頃の歌とか娯楽とか知りたいし、いいでしょ? GV」
「シアン、モルフォ…ありがとう…こんな僕の突拍子もない事を信じてくれて
…モルフォ、勿論それは歓迎するよ 早速、見て見るかい?」
そうして私達はGVの前世の世界の歌や娯楽に触れる機会が生まれ、
私達に新しい楽しみが出来たのはまた別の話。
そして、ここから本格的にGVは私達の能力の模索をしてくれた。
同意した
初めての能力共有したGVの
GVによる私達の
その二つの能力を合わせた記憶した内容を映像に出力する能力。
自身の身を守るためのバリアの形成と操作する能力。
今ではこれらが出来るようになったのだ。
そして最近はモルフォと同じように、
私の背中から翼を生やして空を飛ぶ訓練をしているが、なかなか上手く出来ない。
でも、GVは言っていた。
「僕の
だから私はそんなGVの言葉を信じて、今日もこの訓練を続けている。
そんな毎日を過ごしていた私達であったが、ある日、GVにミッションが舞い込んできた。
このミッションが始まって終わるその時までの私達はこの事がとても寂しかった。
そして、このままGVが帰ってこなかったらどうしようと、私達はこの時いつも不安だった。
初めてこの時を経験した時は私もモルフォも不安で押しつぶされそうだった。
GVが戻ってくるまで、どうかGVが怪我をしない様にと祈りながら、願いながら待っていた。
今ではそういった不安に押しつぶされない様に、
GVは私達の事になるとエスパーみたいにこちらの気持ちを把握してくれる。
でも、こういった内緒にしたい事を把握される訳にはいかないので、
こうやってGVの留守を狙って少しづつ作曲を進めている。
まだ歌のタイトルも決まっていないのだけれど…
いつかこの歌が出来たら、GVに聞かせてあげたいな…
そうこうしている内に、GVは無事ミッションから帰還してきた。
この瞬間、私達は心からGVが無事でよかったと安堵するのだ。
そして、GVの帰宅が丁度私の夕食の時と重なったので、GVも私の作った夕食を頂いていた。
「……うん、僕が教えた通りにうまく出来ているね 美味しいよ、シアン、モルフォ」
「…やったぁ! モルフォ、やったよ! 私達、GVに褒めて貰えた!」
「やったわね! シアンはうまく出来たのね!」
私はGVが帰宅して実体化したモルフォにハイタッチで一緒に喜びをGVに伝える。
GVもそんな私達を見てとても嬉しそうで、
優しい笑顔のまま私の作った夕食を口に運んでいた。
ここまで読んで頂き、誠にありがとうございました。