【完結】謡精は輪廻を越えた蒼き雷霆の夢に干渉する   作:琉土

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Chapter:光塔

神明の名を冠する光塔に立つ光翼の剣
傲慢なる残光(シルエットプライド)
摩天楼で相対し、交錯する雷光(ヤイバ)光刃(ヤイバ)


第三十七話

 大電波塔アマテラス…それはこの国の首都に(そび)え立つ電波塔。

 かつてはモルフォの歌を配信し、さらには電子の謡精(サイバーディーヴァ)増幅装置(ブースター)の役割を果たしていた。

 GVは個人的なミッションでこの施設の情報も得ていた。

 それによるとここは増幅装置(ブースター)以外にも、

最終国防結界「神代(かみしろ)」を管理する機能を有していた施設でもあった。

 だけど以前、ここの中継機である「アメノウズメ」が、

多国籍能力者連合「エデン」に所属していると思われる能力者の少女と、

ここを防衛していたイオタが衝突したのだ。

 因みにこの時に発生した混乱のどさくさに紛れて、

ジーノさんとモニカさんがこの国に侵入したのだという。

 そういった経緯があり、今では「神代(かみしろ)」を管理する機能を別の設備に移されているらしい。

 そんな大電波塔アマテラスに、GVとアシモフさんは共同ミッションに挑む。

 それは今の私達の安眠の為…

そしてアシモフさんの蒼き雷霆(アームドブルー)の名をフェザーに、

そして皇神に(とどろ)かせる為に。

 私達はGVの傍に寄り添い、傍観者モードに移行する。

 そしてGVはアマテラスの外面に、アシモフさんは内面の侵入に成功した。

 

『こちらアシモフ タワー内部に潜入した

そちらもタワー外面の制圧を開始してくれ』

「了解…アシモフ、蒼き雷霆(アームドブルー)の調子はどう?」

『非常にグッドだ、GV

…今回のミッションではモード「ラムダドライバ」ではなく

モード「蒼き雷霆(アームドブルー)」を多用して欲しい』

「「蒼き雷霆(アームドブルー)」の名前を広める以上、

モード「ラムダドライバ」を多用するのはマズイからだね?」

『そういう事だ、GV

それに態々(わざわざ)こちらの手の内を不用意に晒す必要もあるまい

…だが、高い所から足を踏み外してしまった場合は別だ。

その時はモード「ラムダドライバ」に切り替えて現場に復帰しろ、GV』

「了解、お互いそうならない様に気を付けたいね」

 

 巨大な電波塔の外周を、GVは駆ける。

 その内部を、アシモフさんは駆ける。 

大電波塔「アマテラス」… 太陽の神の名を冠した塔は、

私達の住むこの街を見守るかのように高くそびえ立っている。

 そして早速、空中を浮遊するレーザー砲台がGVを迎え撃つ。

 このレーザー砲台は直線を飛ぶ赤いレーザー、

GVと縦軸が重なった時に一度だけ曲がる青いレーザーの二種類を使い分けてくる。

 最初の青いレーザーの軌道変更にGVはカゲロウを使わされたが、

それ以降はもう引っかからず、ダートを打ち込んで雷撃を浴びせて破壊していく。

 そうして先に進んでいくと、

何やら黄色く光る三つの天使の輪が並んだような機械が見えた。

 

『リニアカタパルトが設置されているようだな

それは特殊コーティングした荷物を高速で射出運搬するためのマシンだ

お前ならそのマシンを使って自分自身を射出できる レッツゴー、GV!』

「アシモフ…(蒼き雷霆(アームドブルー)が扱えるようになったのが嬉しいせいか、

妙にテンションが高くないか?)」

 

 そしてGVはリニアカタパルトを乗り継ぎながら先に進む。

だが、当然そんなGVを皇神兵は見逃さず、道を阻もうとする。

 

「あの姿…間違いない! …蒼き雷霆(アームドブルー)ガンヴォルトだ!」

「モルフォちゃんを返せ! この野郎!」

「例の爆破された化学工場の主導犯…今度はこのアマテラスを狙って来たか!」

「ここは我らに地の利がある! いくらガンヴォルトと言えども…」

 

 そんな皇神兵達やロボット、レーザー砲台による集中攻撃を浴びせられるが、

一部のレーザーを紙一重で躱しつつダートを打ち込み雷撃麟で、

時には皇神兵の集団に突っ込みライトニングスフィアで蹴散らしていく。

 

「ガハッ! 馬鹿な…」

「ちくしょう…モルフォちゃんの…仇…」

「おのれ…ガンヴォルトめ…」

「グハっ! あの場面で突っ込んで来るとは…これでは地の利も何も…」

 

 …皇神兵の中にモルフォのファンが一定数居るのが気になる。

 何も知らない彼らからすればGVは憎悪の対象なのだろう。

 そんな事を私達は思いつつGVは空中に浮かぶリニアカタパルトを乗り継ぎながら、

時にはキッククライミングをしながら先に進む。

 

電子の謡精(サイバーディーヴァ)の歌はかつてこのタワーによって配信、拡散されていた

彼女の力は本来、それほど広範囲に作用するものではない。

にもかかわらず能力者の所在が高い精度で探知されていたのはこのタワー自体が、

電子の謡精(サイバーディーヴァ)増幅装置(ブースター)の役割を果たしていたからだ』

「…………(このアマテラスはあの時の…

僕にとって忌々しいシアン達を苦しめていたあの機械と同じだというのか!)」

第七波動(セブンス)の能力を利用し、同胞を苦しめるなど…悪魔(デーモン)の所業

私とお前とでなんとしてでも破壊せねばならない…GV、このミッション、必ず成功させるぞ』

「了解! 絶対に破壊しよう、アシモフ!」

 

 そういったやり取りをしながら先に進むと、針が壁際にびっしりとついた通路に躍り出た。

 

『トゲに触れるとダメージを受けてしまう 注意するんだ』

「荷物運搬用のカタパルトなのに、なぜ周囲にトゲが…」

『…………ふむ、なんでだろうな?』

「アシモフ……」

『冗談だ、GV…恐らく事前に我々が侵入する事を予期していたのだろう

こちらでも周囲にトゲのあるエリアに差し掛かった

……ふむ、どうやらこのトゲは普段は格納されており、

我々のような侵入者が現れた時に展開されるようだ』

「なるほど、それなら納得だよ」

 

 そして今度は変な方向を向いたリニアカタパルトがあり、

その射出先はトゲになっていた。

 このままGVがリニアカタパルトに接触してしまえばトゲに串刺しにされてしまうだろう。

 …この段階でもうGVにメタを張ってきている。

 やはり皇神を侮るなんて出来ない。

 

「リニアカタパルトを罠として使っているみたいだ…」

『こちらでも確認した…思った以上に我々に対する対応が早い

分かっているとは思うがカタパルトに触れないよう気をつけるんだ

…カゲロウがあるとは言え、油断はするなよ? GV』

「了解 態々引っ掛かるつもりはないさ」

 

 そうして狭い通路にあるリニアカタパルトの罠と皇神兵達の襲撃を越え、

GVはタワー内部に侵入する入り口を発見。

 そこを守っていたレーザー砲台を雷撃で撃破した瞬間、

あの時と同じように今のモルフォの歌が流れて来た。

今度の歌は「碧き扉」のようだ。

 

『アタシ達の歌よ…どうかお願い、今頑張ってるGVに届いて!』

「…………(ありがとう、シアン、モルフォ

二人の想いは、歌は、確かに僕に届いているよ)」

 

 …ねぇモルフォ? 貴方は私達の想いが歌になって、

GVに届いていたのを知ってたでしょ?

 それは勿論ですって? どうして私に教えてくれなかったの!?

 え? 記憶共有した時に教えたって? …………ぁ。

 うぅ…なんで忘れてたんだろう、私…

 そうしてGVは一時的にアマテラス内部に侵入し、

中腹辺りまで差し掛かった時に再び外に躍り出た。

 

『GV、こちらは中腹まで到達した そちらはどうだ?』

「こっちも大体それぐらいだよ、アシモフ」

『OK、目標の送信設備は頂上だ そのまま進んでくれ』

「了解…(今の所順調だけど、油断するつもりは無い

彼女達の為にも、必ず僕はミッションをこなし無事に戻る)」

 

 そうして先に進んで暫く経った後、アシモフさんから驚くべき知らせが入った。

 

『む…』

「どうしたの? アシモフ」

『宝剣の能力者、残光(ライトスピード)のイオタと遭遇した』

「なんだって!!」

『どうやら流暢に通信をしている暇は無さそうだ…

GV、こちらは宝剣の能力者との戦闘に入る

一時、GVの時と同じ様に通信を切らせてもらう

……お前の健闘を祈る――グッドラック!』

「大変なのはアシモフの方だろうに、全く…

(アシモフは蒼き雷霆(アームドブルー)が十全に扱えなかった時でもフェザー最強の戦士と言われていた…

そして、慎重に慎重を重ねるタイプの人だ

万が一にも下手をうつようなことはないと思うけど…)

宝剣の能力者が相手である以上、心配がないといえば、嘘になる…か」

 

 このままGVは道中で身に覚えのある小さな宝石を拾いつつ、

とんとん拍子にタワーの頂上に到達した。

 その道中はまるでがらんどうとしており、戦力が殆どタワー内部に集中したようだった。

 あれからアシモフさんからの通信は回復していない…

 GVは少し不安に思いながら合流予定地点に到達した。

 そこでGVを待っていたのは、これから連絡を取ろうとしていたのだろう。

 通信機をonにしてGVに連絡しようとしていた無傷なアシモフさんの姿があった。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 私はGVとの通信を切り、「奴」と顔を合わせる。

 宝剣「小龍景光(コリュウカゲミツ)」を持つ皇神の能力者、残光(ライトスピード)のイオタと。

 

「……宝剣持ちの皇神の能力者、残光(ライトスピード)のイオタか」

「……(情報が洩れている…やはりパンテーラの言っていた通り、

「フェザー」と「ネームレス」は繋がっているのか?)

部下より連絡があった 最初に聞いた時は驚きを隠せなかったが、

まさか蒼き雷霆(アームドブルー)がガンヴォルト以外にも居たとは思わなかった。

しかもそれがフェザーの創設者アシモフだったとは…

改めて名乗ろう! 私はイオタ

皇神の――この国の栄光を守護せし光の戦士!

この電波塔「アマテラス」は皇神の威光をあまねく世界に知らしめるための(しるべ)

貴様のような国賊に落とされるわけにはいかんのだッ!

光は、我と共にッ!!」

 

 イオタは宝剣の力を開放し、姿を変化させる。

 …これがGVの報告にあった宝剣による変身現象(アームドフェノメン)か。

 変身後のイオタの姿はまるで孔雀の尾羽を広げたかのようなビットらしき物を背負っている。

 さて、これが私にとっての宝剣の能力者とのファーストバトル(初陣)だ。

 待っている恋人(モニカ)の為にも私はここで負ける訳にはいかない。

 そして(イオタ)とのバトルが切って落とされた。

 …どうやら奴は言葉遊びが好きな様だ。

 

「皇神こそ貴様のような国賊から真にこの国を管理し守護する光の守り手よ!

だからこそ私は軍を退き皇神についたのだ! すべては…この国の栄光と護国のために!」

「元アーミー所属か… 電子の謡精(サイバーディーヴァ)を利用し、

能力者を狩り集める皇神に大義があるとは思えんが…」

「しょせん国賊ごときにはわからぬことよ 貴様は我が光に……

残光(ライトスピード)第七波動(セブンス)に、目をくらませていればよい!

電流の伝達速度など、しょせんは亜光速!

真なる光には、決して追いつけはせんのだ!」

「言葉遊びは結構、貴様を落とさせて貰おう」

「威勢はいいようだな…だが!

音速(おそ)い…音速いぞ! アシモフ!!

その速度では、私の光速(はや)さは見切れまい!!」

 

 確かに奴の()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 攻撃も展開したビットによる攻撃、収束したレーザーを縦横無尽に薙ぎ払う、ビットと一緒に突進してくる、時間差でビットからレーザーを打ち込むと様々だ。

 その種類は多彩で、一見隙が無い様に見える。

 それでも私は奴のアタックに対してカゲロウ込みとはいえ無傷で凌いでおり、

逆に奴は私のダートを受け、雷撃で貫かれ傷を負い続けている。

 …奴には致命的な弱点があるようだ。

 

 

「……それが君の言う光速(はや)さなのか?

確かに直線的な移動はその通りだろう

だが、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

「ぐ……っ! ぬかすか! 国賊風情が…!

我が光刃(ヤイバ)が、貴様という影を絶つ!

光なき者よ…去ねぃ!!」

 

 奴は何か仕掛けようとしている様だ…

だが、それを指をくわえて見ている私ではない。

 …イオタよ、これでフィニッシュとさせてもらおう。

 

(ほとばし)蒼き雷霆よ(アームドブルー)

貴様のそのエッジ、我が鎖で絡めとり、貫く雷光でうち砕いてやろう

閃く雷光は反逆の導…轟く雷吼は血潮の証…貫く雷撃こそは万物の理!

ヴォルティックチェーン!!」

「うっ! 光あれぇぇーーっ!」

 

 私の雷光を纏った鎖が光の刃(イオタ)を絡めとり、うち砕いた。

そして奴の体が膨張してエクスプロージョン(爆発)した後宝剣だけが残り…

 罅が入って砕ける瞬間、何処かへとテレポートした。

 ここまではGVの報告と動画通りの現象だった。

 …あのひびの入った宝剣は何所に転移しているのだろうか?

 とりあえず、宝剣の能力者の撃退に成功したようだ。

 後はGVとの合流予定地点に向かうだけだ。

 …ミッション予定時間ギリギリか。

 これでは通信している暇も無いだろう。

 私は急いで合流予定地点に向かい、

アマテラスの外側で戦っているであろうGVの無事を祈りながら先に進むのだった。




ここまで読んで頂き、誠にありがとうございました。
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