【完結】謡精は輪廻を越えた蒼き雷霆の夢に干渉する   作:琉土

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第三十八話

 俺は今、爆破される前の化学工場で入手した宝剣の欠片、

そしてアマテラスで入手した宝剣の欠片から能力因子サンプルを解析し、

疑似第七波動「ブレイジングバリスタ」、「アロガントファング」のカートリッジを開発した。

 この宝剣の欠片はガンヴォルト、そしてアシモフ…

この二人の悍ましい蒼き雷霆(アームドブルー)の能力を持った能力者(バケモノ)の陰に紛れ得た物だ。

 そしてこのカートリッジはエクスギア…俺の開発した特殊な盾で疑似的に第七波動を再現する為の物…だけではない。

 もう一つ、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 俺の装備、「メガンテレオン」「エクスギア」は()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 だが、あの忌々しい蒼き雷霆(アームドブルー)共…

ガンヴォルトとアシモフの戦いを陰から見てそれだけでは不足だと俺は感じた。

 あの能力を利用した空中機動…あの機動性は決して侮る事は出来ない。

 最悪、空中からの一方的な攻撃で封殺される危険すらある。

 この空中機動に対抗するのにロロの力を借りる必要がある。

 そう、()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

『「ABドライブ」、試験起動するよ!』

「…調子はどうだ、ロロ?」

『ちょっと待って…システムチェック…「ABドライブ」、

()U()S()()()()()()及び各部システム異常無し…

うん、調子は良好! このまま戦っても問題ないくらいだよ! アキュラ君!』

 

 AB(アームドブルー)ドライブ…蒼き雷霆(アームドブルー)の能力因子を解析して開発した半永久機関だ。

 それ以外にも、雷撃麟を再現した「フラッシュフィールド」。

 電磁結界「カゲロウ」を再現した疑似電磁結界「フェイクカゲロウ」。

 そしてABドライブの欠点を補う為の電池ともいえる「ブリッツ」。

 あのガンヴォルトの血液から得た能力因子サンプルと、

戦闘データのお陰でこれだけの技術を開発する事が出来た。

 これらの技術を、「メガンテレオン」「エクスギア」「ロロ」に組み込んだ結果、

大幅な「メガンテレオン」の軽量化、疑似電磁結界「フェイクカゲロウ」の実装、

「エクスギア」の疑似第七波動の強化、ロロの動力源及び防御手段の確保に成功したのだ。

 俺はまた一つ罪を重ね汚れてしまったが、これで新たに能力者(バケモノ)を始末する力を得た。

 そして、正体不明の第七波動(セブンス)の力が凝縮したあのガラスを

ABドライブの補助動力源としたUS(アンノウンセブンス)ドライブ。

 ミチルとロロの想いが共鳴する事で発動するP(フェニック)-ドール…

ABドライブを高出力で安定稼働させることが出来る緊急歌唱形態へと移行するのに必要な物だ。

 これの原理は未だ不明だが、どうやらロロが持つ第七波動因子解析装置、

そしてあのガラスに何かしらの要因が重なって発動する物である事は分かった。

 最初はミチルが元気になった切欠に過ぎないと思っていたあの形態だが、

ABドライブがこの形態の影響を受けて強化されたのは俺の中では予想外だった。

 …もしかしたら正体不明の第七波動(セブンス)の正体は…蒼き雷霆(アームドブルー)に近い存在なのかもしれない。

 

「問題は無いようだな…次は疑似第七波動の試験運用だ

ターゲットの的はもう用意してある

「スパークステラー」以外にも今開発を済ませた

「ブレイジングバリスタ」「アロガントファング」も試すぞ…

ロロ! 汎用戦闘シフトッ!! モード「P(プログレッシブ)-ビット」!!」

『OKだよ、アキュラ君! バトルポット「RoRo(ロロ)」展開!』

 

 ロロのビットが俺の周囲を守る様に展開する。

 そしてターゲットに対して、

敵や地形を貫通し、直進する雷撃を放つ「スパークステラー」、

通常ではありえない異様な挙動の矢が空気を爆ぜながら直進する「ブレイジングバリスタ」、

レーザーとビットを射出する「アロガントファング」が放たれる。

 

「…想定したよりもエクスギア、そしてロロの方でも威力が増しているな」

『そうだね! 僕の方の予測結果でもアキュラ君と同じ感じだよ』

 

 そんな風にロロと予測結果について話をしていた、その時だった。

 ノワから緊急の通信が入ったのだ。

 

『アキュラ様、ご無事ですか?』

「突然どうした、ノワ?」

『今アキュラ様の研究施設に、何者かが潜入した痕跡を発見しました』

「なんだと? こちらの警備システムでは異常は見当たらないが…」

『僕の方のセンサーでも何も感知しなかったけど…』

『そうですか…そういえばアキュラ様、

最近巷で「ネームレス」なる能力者「らしき」人物がいる事をご存知でしょうか?』

能力者(バケモノ)「らしき」? ノワにしては珍しい言い方だな」

『「ネームレス」…「彼女」は無差別に各地で情報を漁っている人物だそうです

長い黒髪にゴシックドレスの姿で黒い銃を持っているのが特徴のようですね

その特出すべき能力…あるいは技術でしょうか?

あらゆるセンサーをも欺く光学迷彩が特徴のようです

そして彼女からは第七波動(セブンス)が検知されていない…

これ(光学迷彩)が能力によるものなのか、或いは技術によるものなのかが不明なのです

アキュラ様』

「なるほどな…ノワ、その情報の出所は?」

『皇神のとあるデータベースからですね

皇神もターゲットとなっているのでしょう、様々な情報が抜かれ、

「ネームレス」探しに力を入れていると予想されます』

 

「ネームレス」…ノワの言った事が本当ならば、この研究施設内に潜入を許したという形になる。

 …流石に今の俺が持つ技術を漏洩される訳にはいかない。

 俺は研究施設内のブレーカーを完全に落とし、非常電灯の光を除いて沈黙させた。

 ノワが連絡を入れてくれなかったら俺は奴に情報の漏洩を許してしまったかもしれん。

 とりあえずこれで情報の漏洩は防げるだろうが、問題はどうやって「ネームレス」を補足するかだ。

 今わかるのは、恐らく「ネームレス」はこの研究施設を落とした俺の近くに居る可能性が高い。

 この部屋は俺の研究成果のデータベースがあるからな。

 つまりここで俺達が居なくなるのを待てば奴は悠々とデータを盗めるのだ。

 

「ロロ、ビットを部屋の隅々まで行き渡らせるんだ

光学迷彩はあくまで姿を消すだけの物…そうすればビットに「ネームレス」がぶつかるはずだ

ビットの精密動作のテストも兼ねてやってみてくれ」

『了解だよ! いっけ~~! ビット達!』

 

 ロロのビットが部屋を縦横無尽に駆け巡る。

 そして、部屋の角の何もない空間にビットがぶつかり、俺は「ネームレス」を補足した。

 

「……まさか本当に潜んでいたとはな、「ネームレス」

姿を現せ! さもなくばここで貴様を討滅する!

ロロ! 戦闘モードは維持しているな?

アロガントファングのレーザーを何時でも撃てるようにしておけ!

あれが今持つ武装の中で一番弾速が早い!」

『…………(今この瞬間も僕のセンサーが全く反応してない…

生半可な光学迷彩なんて見抜ける筈のアキュラ君が作ってくれた僕のセンサーが…

「ネームレス」が「その気」だったら僕はアキュラ君を守れなかった…

…嫌だ! アキュラ君を守れないなんて、僕はそんなの嫌なんだ!

プログラムで縛られてるからじゃない!!

僕は…()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()!()!()

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()!()!())』

「…どうした!? ロロ!!」

『……っ! ゴメン! アキュラ君、

「ネームレス」とぶつかったビットとの位置計算が遅れちゃったんだ!

大丈夫、アロガントファングは何時でも撃てるよ!!』

「よし…! …さっきの実験を見たはずだ

貴様が動くよりも、このレーザーはお前を穿つだろう

大人しく観念して出てきたらどうだ? ネームレス」

 

 そう言った瞬間、奴…「彼女」は姿を現した。

 背は俺よりも少し低いくらいか。

 腰まで伸びた黒髪にノワの報告通りの黒いゴシックドレスに黒い銃。

 全身黒づくめな中でその赤い瞳が「彼女」を際立たせる。

 …これで「彼女」が侵入者でなければ、こんな俺でも十分魅力的な女性だと映っただろう。

 

「姿を現したか…ロロ、奴の第七波動(セブンス)の反応は?」

『ネームレスから第七波動(セブンス)の反応は無いよ! アキュラ君!』

 

 そうなると、あの光学迷彩は第七波動(セブンス)では無くて技術による物なのか…

 彼女は俺と同じ無能力者…

 どうやってここを嗅ぎ付けて来たかは知らないが、

姿を現した以上そんな事はどうでもいい。

 俺の研究成果を奪おうとした以上、例え無能力者(同胞)でも容赦はしない。

 この技術が拡散すればどうせ碌な使われ方などされんのだからな。

 

「姿を現してくれて悪いが、例え無能力者(同胞)でも俺の技術を奪おうとした以上、

生かして返しはしない…せめてその綺麗な顔を傷つけずに神の御許に送ってやろう」

『綺麗な顔って…アキュラ君、まさかああいうのが好みなの?』

『意外ですね…あの堅物のアキュラ様がその様な反応を示すとは…

(この動画を録画して加工した物をミチル様に報告するべきですね)』

「ロロ、ノワ、こんな状況で冗談を言っている場合では…」

「三人とも随分と仲がいいのね? …あまり油断するのも良くないと思うけど」

 

 そう彼女の凛とした声が聞こえた瞬間、あの距離から一気に俺の目の前まで直進し、

胸に鋭い掌底を打ち込んで俺を吹き飛ばし近くのロックしたドアを蹴り破り逃げられた。

 そして、彼女が俺に直進した直後にロロのアロガントファングが先ほどまで彼女の居た位置を穿った。

 

「ぐぁ……!」

『アキュラ様!! (ネームレス…まさかこれ程の体術の使い手だったとは…)』

『アキュラ君!! (嘘! 僕の反応速度よりも早いだなんて!!

これじゃあ本当に僕は役立たずの足手纏いじゃないか!!)』

 

 俺は即座に体制を立て直し身構えたが、既にもう彼女はここには居ない…

 逃げられてしまったのは仕方がないので、研究施設を全閉鎖後、

ブレーカーを戻してハッキングされた痕跡を探した。

 幸いな事にハッキングされた痕跡は無かった。

 …どうやら俺は新たな力を手に入れて浮かれていたようだ。

 これがガンヴォルトやアシモフとの対決であったならば俺は負けていたかもしれない。

 そういう意味では彼女に感謝しなければならないかもしれないが…

 …研究成果を奪おうとした事は許さないし、見つけ次第討滅させてもらうがな。

 俺はこの痛い教訓を糧に、能力者(バケモノ)共の殲滅を新たに誓うのだった。




ここまで読んで頂き、誠にありがとうございました。
ここ以降は独自設定のオマケ話みたいな物なので興味の無い方はスルーでお願いします。




※アキュラ君が「彼女」の事を褒めている件について
彼女の事を無能力者だと「勘違い」しているが故にです。
この小説内でアキュラ君は彼女の正体を掴めませんが、
もし知った場合、オコワにある四コマ漫画の如く
「おのれガンヴォルトめ!!!」と言った感じになります。
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