今の所順調に情報が集まっています。
宝剣についての詳細も少しづつですが分かってきました。
名前の由来となった実際の塔刀剣、
及び呪術的アーティファクトを組み合わせた物だそうです。
それに「サブ宝剣」なる物が存在する事も判明しました。
これは紫電が所有しており、「
私達の技術力を考えると、このサブ宝剣の技術は正直助かります。
魔術的なノウハウは「エデン」にはありますが、
呪術的となるとまた話は別になるからです。
とりあえず宝剣については順調そのもの…
皇神の技術についても、「プラズマレギオン」等の戦車の情報、
他に「彼女」の物と比べる事すらおこがましいのですが、光学迷彩の技術も得られました。
「プラズマレギオン」等の戦車の情報はテセオとアスロックが喜んでくれるかもしれませんね。
次は
彼については本人が派手に動いてくれているお陰で動きが掴みやすくて助かります。
彼の戦闘データも皇神は集めており、敵対しているにも関わらず評価が高く、
彼の能力者のランクは私と紫電と同じSSランクだとデータにはあります。
確かに彼の戦いぶりを監視カメラ等から見た限りでは、その評価に納得は出来るのですが、
心なしか彼はまだ手の内を隠しているように思えます。
それに
ある程度の対策も取られている筈なのにも関わらずにです。
彼の神出鬼没な所は何所から来ているのでしょうか?
…そういえば、「彼女」もそういった神出鬼没な所がありますね。
「彼女」に引き抜かれた情報は大体フェザーにも流れているのを私は確認してます。
やはりガンヴォルト…フェザーと「彼女」は繋がっているのでしょう。
それに最近知った事なのですが、
フェザーの創設者であるアシモフが、
私は気になって、
そこでとある実験体の名前、「タケフツ」が浮上しました。
彼は実験の末に暴走し死亡したと記録には残っていたのですが…
恐らくこの「タケフツ」が「アシモフ」なのでしょう。
しかし彼は研究所のデータによると常に暴走状態で失敗作であるとの評価でした。
それなのにアシモフの戦闘データを見た限りではそんな様子が微塵もありませんでした。
彼は何らかの手段を用いて常に暴走状態だった能力を克服したのでしょう。
…フェザーの思想、能力者の人権を守る、でしたか。
共感は出来ますが、それでは救える人々は少数なのです。
彼の過去を考えると私達「エデン」の話に乗ってくれそうではあるのですが…
と、今の所私のスパイ活動は全て順調…と言いたいのですが、そうはいかない情報もあるのです。
それは
ここに情報があると分かってはいるのですが、中々潜入するチャンスを得られないのです。
そして「彼女」についてなのですが…
全く持って足取りが掴めないのです!! アレ以降全く顔も形も発見できてないのです!!
あぁ…出来る事ならもう一度あの姿を脳裏に焼き付けて彼女の愛を補充したかったのですが…
やっぱり「彼女」の光学迷彩と
あの時は閉鎖空間で私の
それ以降見つける機会すら無くなってしまったのです。
お陰で名前も知る機会が無く、
私は「彼女」を暫定的に「ネームレス」と呼称することと決めました。
「ネームレス」は皇神の中では有名ではありませんが、
紫電や一部の上層部からは頭の痛い存在として覚えられているようです。
何しろ皇神やそれに関係する各施設から情報を的確に抜き取り、その痕跡すら残さないのです。
そのお陰で私のスパイ活動も捗っているのが正直複雑なのですが…
こうして「ネームレス」の足取りが掴めない現状を如何にかしたいと思った私は、
彼女と繋がっているであろうフェザーに潜入する事を決定しました。
そう、
姿形は私の本来の姿なのですが、私本体ではなく、
そしてあの美しく、愛らしい姿をした二つの姿を持つ私。
その私に宝剣をコピーに持たせれば、能力を封じられる問題はあっさりと解決するのです。
そうしてフェザーに侵入し、そこで私を待っていたのは…
正直これは私にとって予想外の展開でした。
戸籍の情報もあのガンヴォルトが改竄し、
私は偽りとはいえこの国の戸籍を手に入れてしまいました。
保護者もフェザーのとある女性隊員が買って出てくれています。
でも、この事実は私に一筋の光を与えてくれました。
「ネームレス」も学校に通っている、その可能性を。
私の心を奪い去ったあの愛らしく、美しい彼女に会えるかもしれない。
彼女のあの容姿である。
多少の変装はしているとは思いますが、とても誤魔化し切れるとは思えません。
そう思い私は最初の内は彼女に会えると胸をときめかせていたのですが…
影も形も、ありませんでした…
後にとある女性隊員の人に物凄く遠回しな言い方で彼女の事を尋ねてみたら、
彼女は学校に通っていない事が判明したのです。
私はとても残念に思いながらフェザーへの諜報活動をしつつ学校生活を送っていました。
…正直、最初はこの学校の事が好きにはなれませんでした。
あの劣悪で最悪な治安と環境を…
一人、また一人と倒れていく皆を見ている事しか出来なかった時を…
お兄様が無能力者から渡された山盛りの果物…
毒入りのリンゴを食べて倒れた時を思い出すのです。
そう、私が、お兄様が、かつて居た孤児仲間達が…
孤児院から追われストリートチルドレンになっていた頃を思い出してしまうのです。
ですが、そんな私にもこの学校における「友達」が出来ました。
その子の名前は「旗乃」さん。
彼女は慣れない学校生活を送っていた私に持ち前の明るさと人当たりの良さを発揮し、
あっという間に私と友達になってしまいました。
その事が切欠でクラスの皆とも打ち解ける事が出来るようになり、
少しずつではありますが、学校生活と言う物を楽しめるようになってきました。
能力者と無能力者が手をとりあう時期はとうに過ぎていると結論付けていたはずの私がです。
…私達「エデン」の祈願が成就出来たら学校を作るのも悪くない、
そう思えるようになりました。
今では互いに「はたちゃん」「
「アリスちゃん、私達がプレイしてる「セプテンベル・ヒストリア」、
「ベルスト」のファン感謝祭を明日この地域でやるみたいなの
…もし良かったらアリスちゃんも一緒に行かない?」
「私はかまわないですけど…他に参加してくれる人は居ないのですか?
最近物騒ですから、人数は多い方がいいと思うのです」
「それが…このクラスの女の子でゲームやってる人がアリスちゃんくらいしか居ないせいで…」
「……(はたちゃんを一人で行かせるより、私も一緒の方が安全でしょう
いざとなったら
しょうがないですね、はたちゃんは
分かりました 明日二人で一緒に行きましょう?」
「本当!? ありがとうアリスちゃん!!」
「セプテンベル・ヒストリア」…能力者探しが目的だった「セプテンベル・レコード」の続編で、
元々赤字続きだった「セプテンベル・レコード」の赤字回収を目的に、
「セプテンベル・ヒストリア」は誕生したと私が序に得た情報から考えて推察できます。
最初ははたちゃんの付き合いだけのつもりで始めたこのゲームなのですが、
なかなかに面白く、今でははたちゃんとペアでよく組んでプレイするようになりました。
今話をしていたのはそんな「ベルスト」のファン感謝祭の事です。
そして、この事が切欠で私は彼女と再び出会う事が出来ました。
それはベルストのファン感謝祭が終わった後の帰り道、
攻略本やファングッズで嬉しそうなはたちゃんに対して、
裏路地から放たれた金属の能力者による捕縛行為に対して私が庇った事から始まります。
「……っ!」
「アリスちゃん…? …! アリスちゃん!!」
私は欲に塗れた美しくない男に捕まってしまいました。
彼は金属を操る能力者なようで、その表情から
…ジブリールの能力と比べる事も失礼だと思う程の情けない能力、そして使い方。
私自身は
まずははたちゃんに逃げるよう催促しますが、彼女はそれに応じる事はありあせんでした。
「ダメじゃないか、こんな時間に女の子二人で出歩いちゃあ…
俺みたいな悪~~い能力者に乱暴されてしまうよ?」
「アリスちゃん!!」
「大丈夫です、はたちゃん …貴方だけでもここから逃げて下さい 私は大丈夫ですから」
「アリスちゃんを見捨てて逃げるなんて、そんなの出来ないよ!!
私には何も出来ないけど、せめて大きな声を上げて誰かに助けを呼ぶことくらいなら出来る!!
……お願い!! 誰か、誰かアリスちゃんを助けてぇ!!」
私が大丈夫だと思っていても、彼女から見れば私は捕まっている様に見えます。
この反応ははたちゃんの事を考えれば十分ありえる事でありました。
…人は極限状態になるとその本質が分かると言います。
はたちゃんはそんな状態でも私の事を気にかけ、
自身が無力である事を理解した上で私を助けようとしてくれました。
あの時の、ストリートチルドレンの皆と同じように…
「こんな裏路地で助けを求めても誰も来やしないさ!!」
「……っ! いやぁ!!」
「……っ! はたちゃん!!」
この光景は…何?
無能力者であるはたちゃんが、能力者であるあの男に蹂躙されようとしています。
能力者と無能力者…手をとりあう時期はとうに過ぎていると私は結論付けています。
今私の目の前のこの光景は私達エデンの生存戦略、その縮図のはずなのです。
なのに如何して…こんなにも胸が、心が痛むのですか! お兄様!!
これが私達、「エデン」のやっている事なのですか!?
これでは私達能力者は…無能力者と何も変わらないではないですか!?
…でも今は、はたちゃんを助けないと…!!
そう思っていた時でした。
「そんな事は無い!! その助けを求められて、私はここに居る!! ………はぁぁぁぁぁ!!!」
彼女が姿を現しました。
私が焦がれていた、求めていた、美しく、愛らしい彼女が。
そんな彼女は劇的なタイミングで現れ、あっと言う間に男に掌底を顎に当て、
鮮やかに沈黙させました。
色々あったけど、私はようやく彼女の尻尾を掴めたと心から喜びました。
先ほど感じた疑問を、心の奥底に無理矢理押し込めながら…
ここまで読んで頂き、誠にありがとうございました。
ここ以降は独自設定のオマケ話みたいな物なので興味の無い方はスルーでお願いします。
追記
※パンt…アリスちゃんの様子がおかしい件について
学校での共同生活、学ぶことの楽しさ、初めての学校での友達、
打ち解けたクラスの温かさ、そしてそんな温かな無能力者達との触れ合いを経た状態で、
二人の共通の趣味の楽しいイベントを楽しんだ後、
欲に塗れた能力者が理不尽に自分を、そして友達を襲う。
…以前の彼女ならばこの襲われている光景を見ても何も感じる事は無かったでしょう。
この世界のどこにでもある光景で、むしろ無能力者が蹂躙されるのは当然なのだと思うはずです。
ですがこのコピーの彼女は経験してしまいました。
学校に居る無能力者達の温かな人達の、ストリートチルドレン時代の、
まだ生きていた皆と同じくらい温かな人達との触れ合いを。
何だかんだで彼女が学校に行き初めてこの話の時点でもう半年くらいは経っています。
それだけ時間が経てば情が移ってしまうと思うのです。
そしてそんな状態でこの光景を見れば、
自身のやろうとしている事に疑問を覚えるのではと私は考えています。
アスロックくらいガンギマリ状態だったらそんな事は無いと思いますが…
因みにこれが三十二話でニケーの言っていた「天使の誘惑」の正体だったりします。
「天使」を追い求め、その先にある温かな「誘惑」に惑わされるなと…
結果的に言えばコピーである彼女、アリスを向かわせた事で本人はこれを回避は出来ています。
故にコピーの大本である本人は彼女の情報だけを得て、こういった情を持つ事はありません。