【完結】謡精は輪廻を越えた蒼き雷霆の夢に干渉する   作:琉土

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第四十一話

 私達はGVに襲われている二人の女の子達を助ける様に伝え、

GVはそれに応え鮮やかに男を沈黙させ、無事二人を救出した。

 この二人の内、一人には覚えがあった。

「アリス」…アリスちゃんの事である。

 彼女はフェザーの人達が保護した能力者の女の子であり、

 今の、そして未来の私達にとってのG()V()()()()()()()()()()()()()()()

 そう、この取り合いは未来の私達から見ても現在進行形なのである。

 フェザーが彼女を学校に通わせる為にGVに彼女の偽の戸籍作成の依頼を出していたので、

それで今の私達もアリスちゃんがGVと知り合う経緯を知る事となった。

 その能力は何でも「鏡を利用した能力」で、その事を知った時パンテーラの姿が脳裏を過った。

 でも彼女の力を実演してもらった時、あのパンテーラと比べると可愛らしいレベルだったので、

流石に気のせいと私達はこの時思っていた。

 私達はGVが彼女に関わる事を把握していたので、

GVを私達から奪わんとするライバルとして、アリスちゃんの事を最初から警戒していた。

 でもこの時の私達はそんなアリスちゃんを知っていたので、私達は困惑していた。

 それはアリスちゃんは隣のお友達の無事を確認して一安心と言った顔を見せた後、

今のGVに対して雌の…女の顔を見せたのだ。

 そう、女体化…女装しているGVに対して。

 

「助けに答えてくれて本当にありがとうございました

お陰でアリスちゃんも無事で…本当に良かった」

「はたちゃんと私を助けてくれてありがとうござます!! ()()()()!!」

「二人が無事ならそれでいいわ それに…」

 

 そう言ってGVは二人を抱きしめる。

 そして「怖かったでしょう? …もう大丈夫だからね」と二人に優しく語り掛けた。

 GVも今までのミッションで能力者を保護していた時があった。

 そんな時、救出対象が子供だった場合、

その時の恐怖を忘れさせる為によくこうして抱きしめて、安心させていた。

 実際、はたちゃんと呼ばれていた女の子の方は本当に怖かったのだろう。

 GVの胸に顔を押し付けて思いっきり泣いていた。

 アリスちゃんの方も同じようにGVの胸に顔を押し付けて泣いていたのだけれど、

さっきの女の顔を見た後だと私達の心に嫉妬の感情が芽生え、同時に困惑した想いが出てくる。

 

『遂に出て来たわね、アリスちゃん…要注意だね、モルフォ』

『そうね、シアン…

でもあの時のGVには反応しないで女装したGVに反応するなんて、どういう事なのかしら?』

『確かに…女装したGVにこんな反応するなんて…どういう事なんだろう?』

『…アタシ達が見ても今のGVは魅力的に映って最近新しい(性癖)を開いちゃったんだから、

アリスもそうだったんじゃないのかしら?』

『えぇ…そんな所まで私達と一緒なの? アリスちゃん…』

『流石は私達のライバルと言った所ね、シアン』

 

 そんな風に私達は話していた。

 その時だった。

 ()()()()()()()()()()()()G()V()()()()()()()()()()()

 ()()()()()()()()G()V()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 …今までの保護した能力者の人達は私達の事に気が付かなかった。

 私達自身、GVの「力」の結界に甘えない様に第七波動(セブンス)を抑える訓練を重ねている。

 それもあって第七波動(セブンス)の隠蔽に関してはこれと「力」結界のお陰で完璧に近い状態だった。

 実際彼女が感じた私達の第七波動(セブンス)は一万分の一以下程度の物のはず。

 GVも私達の隠蔽をそう評価していたし、間違いない。

 それなのに…彼女は一瞬とはいえこちらに気が付く素振りを見せたのだ。

 力その物は大したことは無いけど、第七波動(セブンス)に対する感受性は物凄く高い子なのだろう。

 それに心なしかさっきまで嬉しそうにしていた彼女の表情が青ざめている様に見えた。

 …そりゃあ何も無いはずのGVの肩から第七波動(セブンス)を感知したらそうなるよね。

 アリスちゃん、オウカさんと同じように霊感有るみたいだし…

物凄く今更だけど、ごめんねアリスちゃん。

 

「…………」

「どうしたの? アリスちゃん」

「……っ! さっきまでずっと緊張してて今やっと安心出来たから気が抜けてしまって…」

「ぁ…… あはは…… 

アリスちゃん、私も安心して気が抜けたせいか腰が抜けちゃったよ…」

「……二人共、もし良かったらお家に送っていくけどどうする?」

「本当ですか? もし良かったらお願いします

…あ、改めまして、私は旗乃といいます」

「私はアリスです、お姉さま

…もし宜しければ、お姉さまの名前を聞かせてもらえませんか?」

「……私は()()

少しの間だけれどもよろしくね、旗乃ちゃん、アリスちゃん」

「はい! よろしくお願いします!」

「…………! よろしくお願いします!! お姉さま!!」

「ふふ…まずは周囲に散らばってる「ベルスト」のグッズを集めないとね」

「あ! 優奈(ゆうな)さんも「ベルスト」を知ってるんですか!?」

「友達が「ベルスト」をやりこんでて、時々話題に出てくるのよ

…私自身はあまり知らないの、ごめんなさいね旗乃ちゃん」

 

 そんな会話をしながらグッズを集め、まずは旗乃さんを先にお家に送った。

 次にアリスちゃんのお家なのだけれど、

そこはモニカさんとは違う別のフェザーの構成員である女性隊員…

GVに女装を勧めた人の内の一人がアリスちゃんの保護者を務めていた。

 

「本当にありがとうG…優奈さん、アリスの事を助けてくれて」

「あの時たまたま出くわして、思わず手が出てしまっただけですよ」

「……相変わらずのお人よしね、貴方は

(ねぇGV? やっぱりフェザーに戻らない?)」

「……そんな事は無いですよ

(すいません…僕はまだフェザーに戻るつもりはありません)」

 

 小声で戻る様に進められたGVはその誘いを断る。

 その意思は強固であり、覆る事は無い。

 その意思を感じた女性隊員は分かっていたのだろう、

小声で「仕方がないわね… やっぱり保護したあの子にお熱なのかしら?」

とGVをからかっていた。

 GVもその事を聞いて顔を赤くしていたので図星のようだった。

 

「お母さん、おね…優奈さんとは知り合いなのですか?」

「ええ、そうよアリス …彼女はちょっと特殊な子でね、詳しい事は言えないの」

 

 GVに女装を勧めた貴方がそう言うとGVが変態っぽく聞こえるんですけど…

 …本当にGVが変態になっちゃっても、私達はずっと一緒だからね?

 そしてアリスちゃんはGVに何か聞きたい事があるようで、GVにそれを尋ねた。

 

「そうなのですか…あの! 優奈さんに一つ聞きたい事があるのです」

「聞きたい事?」

「はい…能力者と無能力者は手を取り合えると思いますか?」

「……難しい質問ね…あの時襲われた事が理由かしら?」

「はい…はたちゃんが襲われそうになった時に強い憤りを感じていたので…」

 

 GVの言う通り、難しい質問だった。

 私達が知る限り、明確に無能力者で手を取り合えると確信出来た人物…

それはフェザーに居た一部の人達と、

今から約半年…4か月後くらいだろうか?

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 …アリスちゃんはGV取り合うライバルだから別枠だよ。

 私達はそう思いつつ、GV達の会話が続いていく。

 

「そうね…今の世界情勢を考えると…

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

でも、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

「それは…どうしてですか?」

「人の数が増えるとそれだけ色んな考えを持った人達が集まるのよ

その中には穏健派だったり、過激派だったりと対極的な人達も含めてね

そういった集団を纏めるのに便利なのは…()()()()()()()()

そう、この場合は()()()()()()()()、双方の勢力がお互いを敵とする事で纏まるの

…アリスちゃんもフェザーに保護されたのなら分かると思うけど、

フェザーは能力者の人権を守るのが目的

そう、これを柱とする事でフェザーは纏まっているの

だから私は共通の敵を作る事で纏まっている組織に着くつもりは無いのよ?」

「……っ! そう…ですか…」

「それとね…フェザーのこの思想が綺麗事なのは皆承知の上なの」

「そうね、後から聞いた話だけど実際に電子の謡精(サイバーディーヴァ)の子も抹消しようとしてたし…」

「……!! どうしてそんな…!!」

「不思議に思うでしょう、アリスちゃん? 

…それが理想なのを承知の上でフェザーは、皆は足掻いているの

それが怪しげな海外からのスポンサーからの支援で成り立っているのだとしてもね

確かに綺麗事で、実際に救える能力者は多く無いでしょう

でも…それでも理想を叶えようと足掻く事は間違ってると思うかしら?」

「それは…」

 

 これもまた難しい質問だ。

 理想を叶えるのは大事だけど中身が伴って無いといけないし、

でも中身があっても理想が無ければそれもまたよろしくない。

 …この質問に答え等無いのだろう。

 いや、正確にはある。

 けれどそれは人の数だけあり、その全てが正解で、間違いなのだ。

 GVもそれを承知の上でフェザーについている。

 アシモフさんに対する借りや、私達を助ける為だったのもあるけど、

テロリストなんて、前居た世界では忌み嫌うべきはずの事をしているのはその為だ。

 

「ごめんなさいね、アリスちゃん、意地悪な質問をしてしまって…」

「いえ…私も、答えにくい質問をしたと思っていますから」

 

 そんなやり取りを行い、私達はアリスちゃん達と別れた。

 そしてGVはなんとか今の私達の夕食の時間に間に合い、ホッとしていた。

 そうしてお腹と気力を満たし、今の私のランニングのノルマを終えたGV。

 そんなGVにジーノさんからミッションの知らせが届いた。

 その内容は「とある倉庫の潜入調査」だと言う。

 GVの新たなミッションが、始まろうとしていた…

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 私は優奈お姉さまが帰宅した後を別のコピーにお願いして追跡を試みて貰いました。

 だけどそれを察知されたのか、少し歩いたところで物凄い速度で駆け出し始め、

再び見失ってしまったと報告が入ってきました…

 

(結局分かったのは名前の事と、エデンの誘いに乗らない事が分かった事くらいでしたか…)

 

 そう、その二つ…いえ、()()ありました。

 それは優奈お姉さまは間違いなく能力者である事、そして…

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 しかもその第七波動(セブンス)…物凄く巧妙に隠されていたのですが、

今まで感じた事の無い、膨大な…余りにも膨大な第七波動(セブンス)を私は感じたのです。

 あれは余りにも危険すぎる。

 そう思えてしまう程の膨大な第七波動(セブンス)を…

 あの肩に居た能力者が何者なのかは分かりませんが、

少なくとも凄まじい努力を重ねて力を抑えているのは分かります。

 そうで無ければあのような巧妙な隠蔽は実現出来ません。

 お姉さまが能力で常に第七波動(セブンス)を遮断していたのはこれが理由なのですね…

 …恐らく、あの時お姉さまが突然力を増した理由がこれなのでしょう。

 でも…こんな突然力が増すだなんて…

 まるで電子の謡精(サイバーディーヴァ)の歌みたいじゃないですか!

 何者なのですか!? あの能力者は!!

 あの能力者が本気を出したら私達エデンの計画が完全に破綻してしまう…!

 …でもどうしてなのでしょうか。

 破綻すると思ったら何処か安心している私が居るのです。

 私は…私はあの能力者の第七波動(セブンス)の波動を受けて壊れてしまったのでしょうか…

 実際にあの第七波動(セブンス)の波動を受けた後、

今のコピーであるのはずの私の体から力が溢れてくるのです。

…その気になれば本体と決別出来てしまう…それだけではありません、

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 そしてこの事を、私は本体の私に報告していません。

 …私も所詮コピーの私の内の一人、

そんな私がどう思おうと本体の私は楽園を作る為にその意思を決して揺るがす事は無い。

 ……はたちゃん、優奈お姉さま…私は…私は一体どうすれば良いのでしょうか?




ここまで読んで頂き、誠にありがとうございました。
ここ以降は独自設定のオマケ話みたいな物なので興味の無い方はスルーでお願いします。





追記
※アリスが力を抑えていたはずのシアンの第七波動(セブンス)を感じて青ざめていた件について
GVは未来のシアンの第七波動(セブンス)に慣れきってしまってる為、
他者から見て、ありえない総量であるはずのシアンの第七波動(セブンス)を感じても疑問に思わないのです。
でもGVの言う一万分の一以下にまで抑えられているというのは本当です。
…今回のアリスがGV以外で初めてこの世界の能力者視点で、
未来のシアン本人の第七波動(セブンス)を感知しました。
パンテーラの記憶を持つアリスだから、
そして未来のシアン達が全力で抑えていたこそ顔が青ざめる程度で済んだのです。
仮に他の生半可な能力者が未来のシアンの第七波動(セブンス)を隠蔽無しで感知したら戦意がボッキリ折れます。
というか、心が強くないと感知しただけで発狂します。
その理由はありえない第七波動(セブンス)の総量だけでは無く、その性質にもあります。
爪のGV編のニケーが「妖精ハ古来より人を惑わす…」と言っていたのを覚えているでしょうか?
それも未来のシアンの能力の強化によって、
「人を惑わす」のではなく「人を狂わせる」方向に強化されています。
つまり、アリスが「あの能力者の第七波動(セブンス)の波動を受けて壊れてしまった」
と言っていたのは、正しかったりします。

9/9 追記

ですがまだアリス本人はエデンのやり方に疑問に疑問は持てど、
この時点では裏切りを考えてはいません。
()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()
ですがもし、その大切な物を手に掛けてしまったら…

※アリスが強化された件について
アリスはパンテーラの能力で出来たコピー、つまりは第七波動(セブンス)の塊とも言える存在です。
そんなアリスが力を抑えていた未来のシアンの第七波動(セブンス)の波動をモロに浴びた結果、
第七波動の塊(アリス)とシアンの第七波動(セブンス)の波動が混ざり合い、
ある事が起こりました。
これは本文でもある様に、アリスの()()()()()が進んでしまったのです。
それがどういう事なのかというと…近い内にお見せできると思います。
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