【完結】謡精は輪廻を越えた蒼き雷霆の夢に干渉する   作:琉土

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Chapter:葬魂

隠された地下収容施設(カタコンベ)の主、忍ぶ双蛇
妬ましき生命輪廻(アンリミテッドエンヴィー)
輪廻を破り、生命を弄ぶ牙が少年を翻弄する


第四十二話

 GVはジーノさんからのミッションの依頼の詳細確認を聞くために通信を開いた。

 

「ジーノじゃないか? どうしたの? 何か依頼があるって聞いたけど」

『おう、GV 実はお前に頼みてぇのは、皇神が管理している「とある倉庫の潜入捜査」だ

GVは良く個人的に潜入調査のミッションをしてるだろ? だからこの調査を頼みたいのさ』

「倉庫の調査か…ジーノが依頼をよこすって事は、ただの倉庫じゃあ無いんだね?」

『当然さ、GV…実はこの倉庫…「出る」んだとよ』

「出る? それってひょっとして…」

『GVも察しが良くて助かるぜ…そう、ユーレイが出るって噂、GVも聞いた事は無いか?』

『ユ…ユユユユーレイですって!! ダメよGV! そんな依頼受けちゃダメ! ダメなの!』

『そうよ! ダメよ!! アタシ達がユーレイがダメなのGVも知ってるでしょ!?』

 

 お願い、GV…どうかこの依頼を断って…!!

 …うん、分かってる。

 GVは依頼を断るつもり何て無いって事は…

 うぅ…GVの(記憶)を今までずっと見続けて、結局この怖いのを克服出来なかった…

 こういったホラー関係のお話は正直私達は苦手なのだ。

 GVも転生前にその事を知ってから極力避けてくれてはいたけれど、

桜さんや侶露奈(ろろな)達、他の友達付き合いでどうしても避けられない時があった。

 その時は耳を塞いでGVの陰に隠れてやり過ごしていたけれど、

まさかこんな形で克服出来なかったツケが回ってくるなんて…

 

「…………(シアン達からユーレイを怖がっている想いが伝わってくる…

でもゴメン二人共、これはフェザーからの依頼である以上、断る訳にはいかないんだ)」

『どうした? GV? さてはユーレイにビビっちまったか?』

「いや…シアン達がそう言った物が苦手なのを思い出しちゃってね」

『あぁ…お前本当にシアンちゃんにぞっこんなのな まあその気持ちは分からなくはないぜ

シアンちゃん、髪も伸ばして背も伸びてきて雰囲気も変わってどんどん可愛くなってるもんな

しかもこの前お邪魔させてもらった時に出された料理もすっげえ美味かったしよ

…GVの頭の中身、九割くらいシアンちゃんで構成されてるんじゃないのか?』

「どうしてそれを…いや、それは兎も角、ジーノの言っていた噂は僕も聞いた事がある

…実は、その情報の裏も取れているんだ」

『なんだって!! おいおい、そりゃあ随分と仕事が早いじゃないか

こっちでもその倉庫の地下にだだっ広い空間があることまでは調べてあるけどよ

…そこの所の詳細を頼むぜ、GV』

 

 その情報はGVの個人的な潜入調査のミッションをしている際に判明した事だった。

 何でも宝剣「布都御魂《フツノミタマ》」の所有者であり、

魂を操る能力「生命輪廻(アンリミテッドアニムス)」の能力者である「エリーゼ」。

 彼女がとある研究施設に居る事がGVの最近の調査で既に明らかになっており、

まだGVはその詳細な資料を作成中で、後にフェザーに提出しようとしていたのだ。

 そしてこの研究施設。

 ジーノの言っていた「とある倉庫」と座標が同じだったのだ。

 …良かった、ユーレイなんて居なかったんだね。

 

『つまり、ユーレイっていうのはそこに居る皇神の研究員の可能性が高いって事なのか…』

「そういう事…ジーノ、僕から提案があるんだけど…」

『奇遇だなGV、俺も提案があるんだ

…いきなりの予定変更で悪いんだが、その研究施設に居るエリーゼって子を救出して欲しいんだ』

「流石ジーノだね、僕の言いたい事を言ってくれて助かるよ

…恐らくだけど、彼女はその能力を理由に非道な人体実験を受けていると思う

何しろ命に係わる能力…永遠の命を研究しているんだ

だから僕も、この事を知った以上彼女を助けたい」

『そうだな、そう言った事が許されるのはゲームやアニメなんかの悪役までさ

…こんな事、現実に持ち込んじゃあいけねぇ 必ず助け出さないとな、GV』

「そうだね…だけどジーノ、これだけは知って欲しい

この事を僕が知った時とこの研究が開始された期間はかなり大きな隔たりがある

最悪、彼女はもう人としての尊厳すら失って能力に飲まれ、暴走している危険性もある

もしそうなっていたら…僕が彼女に引導を渡す そのつもりでいて欲しい」

『もしそうなっていたら、その時は頼むぜ

…出来れば、GVがそんな辛い役目をする事が無いように俺は祈らせてもらうけどな

そう考えるとこうやって喋ってる時間も惜しい、

早くこの研究施設に向かって彼女を救出しようぜ? GV』

「ありがとうジーノ…今回はモード「ラムダドライバ」を主軸で行かせてもらう

目的は変わったけど、皇神の研究員に見つかる訳にはいかないのは変わらないからね」

『おう、じゃあ後は現地でな、GV

自慢の光学迷彩、頼りにさせてもらうぜ?』

 

 ジーノさんからの詳細確認を終え、GVは早速準備を整え始めた。

 ショップでいつも通り今までのミッションで得た素材を放出。

 今回の装備は「抑制のレンズ+」「鳴神のレンズ+」「飛翔四連の指輪」「充填のペンダント+」

 ダートはいつも通り「ナーガ」をセット…

せずに今回は「ダートリーダー」では無く「ダートシューター」を装備。

 …今回のミッションはフェザーからの依頼とはいえ、潜入ミッションだ。

 つまり今回のミッション、GVは女装をして…「ネームレス」として挑むつもりのようだ。

 そんな女装している時間なんてあるのかと思うかもしれないけど、

GVは「力」を利用した瞬時の早着替えであっという間に女装を完了させる。

 その衣服はいつものゴシックドレスではなく、黒づくめのフェザー隊員の服装である。

 心なしかその衣服の露出が激しい気がするけど、

急所はしっかりと軽くて丈夫な装甲で守られているので大丈夫なのだろう…きっと。

 …「ネームレス」はもうフェザーとの繋がりがある事が最近遂に皇神にバレた。

 それは何時もの様にGVがデータを引き抜いていた時に、

その名前が出てきてフェザーとの関連性を疑われていたのだ。

 その事をGVは申し訳なく思っていたけど、

フェザーの皆やアシモフさんはそれ以上にGVが取ってくる情報が有用で、

それを活用している以上繋がりがバレるのは時間の問題で、

むしろ今までよく持った方だと褒めていた。

 そしてこの事を切欠にフェザーは、

GVの女装姿である「ネームレス」をGVの許可を取ってコードネームとして正式に登録したのだ。

 これはあえてフェザーに登録する事でGVとネームレスとの関係を暈す狙いがある。

 そしてGVは現場へと急行する。

 光学迷彩を展開し、ラムダドライバを全開に飛翔し、長い黒髪を靡かせ駆け抜けていく。

 その姿がもし見えているのならば、ころっと落ちる異性同性が居たかもしれない。

 そしてGVは皇神が管理する倉庫に偽装された研究施設の前に到着した。

 

「ジーノ、こちらG…ネームレス、目標施設に到着したわ」

『…………』

「ジーノ? どうしたの? 何かそっちでトラブルでもあった?」

『…お前の女装姿、俺はこうやって直接見たの実は初めてだったんだけど、

余りにも似合い過ぎて俺は戦慄しているんだ

まさか漫画やアニメじゃなくて現実でこんなに女装姿が似合う奴が近くにいたとはってな

口調はまあ分からなくもないけどよ…声まで変わってるじゃねえか! どうなってんだそりゃ?』

「あぁ、これは「力」を利用して私の性別その物を変えてるからよ」

『性別を変えてるって、G…ネームレス、それは女装じゃなくて女体化って言うんだぜ?

っていうかお前さんの「力」って性別まで弄れるのかよ…

こりゃあ元々あった蒼き雷霆(アームドブルー)も合わせてますますチートキャラじゃねぇか

…こんだけ素材がいいんだ、こりゃあネームレスを着せ替え人形にした女性隊員達が張り切る訳だ

…っていうかヤバイ、お前のその姿を見てると何か変な(性癖)を開いちまいそうだ』

「それは流石に…勘弁して欲しいわね

でもそんな冗談を言えるのなら、まだまだ余裕はありそうに見えるんだけど?」

『お前一度自分の姿を鏡で見てそれを言ってんのか?

まあ確かに冗談ではあるけどよ、何も知らなかったら俺はコロっと落ちてたぞ?

女になれるっつうならその辺も気を付けろよな、ネームレス』

 

 そう言いながらGVは倉庫に偽装された研究施設内部に潜入し、

ジーノさんの指定した部屋に向かったのだが…

 

「これは…! こちらネームレス、指定された部屋に穴が開いているのだけれど、

ジーノ、貴方何かした?」

『なんだって! 確かに事前調査の時に、

爆薬をその部屋に仕掛けて穴を開けれるようにしてたけどよ、

こっちじゃまだ操作なんてしてねぇぞ!!』

「となると…既に誰かがこの研究施設内に潜入しているって事?」

『俺ら以外に潜入するとか…あり得るのは「エデン」の連中くらいしか俺は思いつかないぜ

でもそいつらの主力は海外に居るはずで、この国に今は居ないはずだ』

「私は…心当たりが一つあるわ

ジーノ、ガンヴォルトが電子の謡精(サイバーディーヴァ)を救出した時の事を覚えてる?」

『覚えてるぜ…まさか、あの時の連中の事か!

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 この事にGV達は焦りを覚えた。

 何しろ変な盾を持っていた男…アキュラは能力者を殲滅を掲げている。

 救出対象であるエリーゼを討滅されたら目も当てられないのだ。

 

「そういう事よ、ジーノ…これは本当に急がないとマズイわ」

『あぁ、ネームレスも急いでこの穴を通って救出を急いでくれ!

こっちも気合入れてナビゲートするからよ!!』

「了解! 直ちに現場に向かうわ!」

 

 そうしてGVは倉庫の地下…研究施設へと足を運ぶのだった。




ここまで読んで頂き、誠にありがとうございました。
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