【完結】謡精は輪廻を越えた蒼き雷霆の夢に干渉する   作:琉土

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第五話

謡精(シアン)の歌は時間も空間も世界も超える

 

 

 GVが宿題を中断して休憩がてらヘッドホンを掛けてとある歌…()を聴いている。

 そして私もGVのそばに寄り添い意識をGVとヘッドホンに向けてその詩を聴く。

 ………………………………………………ふぅ。

 一度聞けば覚えることが出来るこの体でもこの詩を覚えるのは物凄く苦労した。

 何しろゲームで設定されているという架空言語で歌われている物だからだ。

 GVが詩の内容を四苦八苦調べている所を一緒に見ていなければ、

ずっと詩の内容を把握出来なかっただろう。

 名前は確か… ありとるねこ? あるとるねこ?

 …「アルトネリコ」、こんな感じの名前だったはず。

 初めて聞いた時はそれはもう衝撃的だった。

 私の居た世界でも歌が重要な役割を担う設定の娯楽はありふれていた。

 でも一から架空言語を作ってこれだけの歌…詩を作り出すなんて聞いた事が無かった。

 まあ私が見逃しているだけなのかもしれないけれど…

 

『色々な声が何十にもキレイに重なってる…

あぁ、何度聞いても凄いなぁって思っちゃうよ』

 

 GVがまた同じ詩をヘッドホンで聞いている。

 どうやらGVのお気に入りの詩になったようだ。

 ……なんだか私も歌ってみたくなっちゃった。

 このGVの(記憶)の世界での私の声はGVにも聞こえない。

 誰にも迷惑は掛からないので遠慮無く歌える。

 この体になって歌を歌うのはこれが初めてだから緊張しちゃうな。

 …誰も私の声を聞けないはずなのになぁ。 

 最初に歌うのは…「蒼の彼方」にしよう。

 

『~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♪』

『……(モルフォ)はこんな感じで歌ってたんだなぁ』

 

 何と表現したらいいのか、歌が全身からあふれ出てるみたいな感覚と言った感じだった。

 驚いた事に、口を使って歌っている訳では無いようだ。

 しかも私の感覚では歌は一度歌おうと思えば、後は無意識で歌い切る事が出来るのだ。

 声以外にもその歌に使われている楽器等で使われている音楽も一緒に全身から溢れ出ている。

 私の記憶の中のモルフォは身振り手振りでは口で歌っているように見える。

 ……モルフォも口には出さなかったみたいだけど、

こういった口パクも含めた振り付けの部分では苦労していたみたいだ。

 だって口動かさなくてもいいんだもん…

 

『そう考えると、やっぱりアオイは凄かったんだなぁ…改めて尊敬しちゃうよ』

 

 (モルフォ)の人気はあくまで第七波動(セブンス)ありき。

 それに対してアオイは自分の歌と演奏だけで大ブレイクを起こしている。

 ……やっぱりアオイは凄いよ。

 私の世界に戻ったらアオイの歌をまた聴こうと、そう思いながら歌に集中したのだった。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 勉強の休憩中にアルトネリコの詩を聞いていた時、

僕の部屋から何処からともなく聞きなれない綺麗な歌が聞こえて来た。

 

(聞いた事の無い歌が聞こえる…

多分だけどずっと感じている気配の持ち主が歌っているんだろう

……本来ならば怖がるべき現象なんだろうけど嫌な感じがしない…

それにとても綺麗な声だ

体の調子も良くなっている… さっき休憩を始めたばっかりだったのに

声の大きさ的に考えても、下に居る父さん達にはっきり聞こえるはずなのに、

注意する為に僕の部屋に来る気配もない

声の主の気配から考えるに集中しているみたいだな

……僕が気が付いてるのを知ったら、歌を止めてしまうかもしれない

…このまま気付いてない振りをしていよう

この綺麗な声の歌をずっと聞いていたいから)

 

 そう思いながら僕は机に体を向き直し、歌の主に気が付かれぬ様に宿題を再開するのだった。

 

 

 

いつも一緒に居るという事

 

 

 GVの(記憶)の中で私はGVから離れる事は出来ない。

 まあ離れる必要なんて無いんだけどねと最初の内は思っていた。

 でもここである問題が浮上した。

 そう、GVのプライベート問題…着替えとか、お風呂とか、トイレとかそういう問題だ。

 …うん、GVから離れられないという事はそういう所も強制的に見る事になってしまうのだ。

 まあ後ろを向けばGVを視界から外す事は出来る。

 でも後ろのGVを少しでも意識してしまうと視界に入ってなくてもGVの事が把握出来てしまう。

 意識が波となって彼の全身を外面、そして内面をなぞってしまうのだ。

 

『うぅ~、GVには触れられないのに、どうしてこっちは機能しちゃうの?

後ろを向いてるだけじゃ、絶対に意識しちゃうよ…』

 

 一度こうなってしまうともうダメ。

 むしろ視界が無い分逆にGVの体の詳細が鮮明に把握出来てしまうのだ。

 最初の内は意識をしないようにと四苦八苦抵抗したのだ。

 でも一年経っても改善される事は無かった…というか、悟ってしまったのだ。

 G()V()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 自覚してしまえばあっという間だった。

 私は私の欲望に素直になる事にした。

 四苦八苦していた時間が至福の時間へと反転したのだ。

 

『GV…これからお風呂に入るんだ…』

 

 GVが中学二年生になるまでの八年間お風呂に入っているGVを見てきた。

 最初の内は背も小さくてカワイイと微笑ましく見れていた。

 でも最近は背も伸び体も逞しくなってきているGVにドキドキしっぱなしだ。

 最近ではGVに触れられないのを良い事に至近距離で裸のGVを観察したり、

 その、あの…口では言えない部分をまじかで見てみたりとやりたいほうだいだ。

 …この体は、本当に便利だ。

 GVのほんの少しの一日一日の変化も、はっきりと認識する事が出来る。

 

『また少し背も伸びて逞しくなってる…』

 

 体を洗い終わったGVは湯船に浸かる。

 とても気持ちよさそうだ。

 こうしてお風呂に浸かっているGVを見ているとあの時の事を思い出す…

 お風呂場でGVと初めてモルフォと一緒に…うん、アレした時の事を。

 あの時のGV…凄かったなぁ……。

 「これも蒼き雷霆(アームドブルー)の応用だよ、シアン、モルフォ」って

私達の耳元に優しく囁きかけて…それで……あれ? GVが湯船から出て何かしてる…

 こっ…これは………!!!

 

『~~~~~~~~~~っ!! G…GV!? ナニしてるの!?』

 

 新しい問題(至福の時間)がまた一つ増えたのだった。




ここまで読んで頂き、誠にありがとうございました。
ここ以降は独自設定のオマケ話みたいな物なので興味の無い方はスルーでお願いします。




※歌が転生前のGVに聞こえている事について
 第一話でシアンの第七波動(セブンス)がGVの命の危機を切欠に際限無く高まった事を覚えているでしょうか?
今のシアンの第七波動(セブンス)による電子の謡精(サイバーディーヴァ)の能力行使は増幅装置の類を抜きにしても時間、空間、世界すら越えるほどに高まっています。
 そう、転生前のGVにもその歌が届く程に…
 ちなみに、この高まった第七波動(セブンス)が無かったら第一話のGVは助かっていませんでした。
 シアンの狂気の祈りは決して無駄では無かったのです。


9/9 追記

※ありとるねこ? あるとるねこ? について
「詩魔法」で有名なゲーム、アルトネリコです。
序に言うと、1、2、3全てを含む予定ではあります。
これも重要なので、タグに追加します。
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