【完結】謡精は輪廻を越えた蒼き雷霆の夢に干渉する   作:琉土

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第五十一話

 私達がGVの拠点に来てからもう十か月が経とうとしていた。

私は何時もの様に日課である朝のランニング五セットを終え、

モルフォをGVに実体化してもらって朝食を取り、勉強を教えてもらった。

 そしてGVの拠点地下にある訓練場…ここで私達は電子の謡精(サイバーディーヴァ)にる能力共有…

それによるGVの蒼き雷霆(アームドブルー)を扱う訓練をしていた。

 これは能力共有が出来るようになった直後に私達自身がGVにお願いした事で、

この能力を通じてもっとGVの事を知りたかったが為に始めた事であった。

 最初の頃…能力共有を覚えて初めてそれ(蒼き雷霆)を共有した時、それはもう大変だった。

 GVが使用時の説明を行う前にモルフォがそれを聞く前に発動してしまったのだ。

 その結果、モルフォの着ていた服が全て消し飛び、GVの前で裸を晒す事となってしまった。

 モルフォは私の本心…GVの能力を共有出来た嬉しさから、

思わずGVからの説明を受ける前に蒼き雷霆(アームドブルー)の雷撃麟を試したのだろう。

 能力共有は記憶共有をベースに得た能力。

 能力を共有した直後のモルフォが雷撃麟を扱えたのはその為だ。

 場所もGVの拠点地下の訓練場で、「力」による結界も展開済みだった理由もある。

 それにこの時のモルフォは実体化していた。

 故に着ていた服が物理的干渉を受けるようになってしまっていたのも要因なのだろう。

 電脳体のままならばこうはならなかったはずなのである。

 GVもこうなる事を予測していたのか、

訓練場の壁にあった大きなタオルが用意されておりそれをモルフォに渡していた。

 

「うぅ…GVの前でこんな醜態を晒しちゃうなんて…アタシ、もうお嫁にいけないよぉ…

(GVったら…アタシが裸になった瞬間、一瞬だけアタシの裸を見てた…

もう! GVのえっち! でも…GVになら見られてもいいかな…その先も、GVになら…)」

「モルフォったら…GVから説明を受ける前に先走るからそうなるんだよ?

今消し飛んじゃった服を私が設定し直すから、タオル羽織って待っててね、モルフォ

(でも心なしかモルフォ、嬉しそう…GVに裸を見られて喜んでいるの?

…私だって、GVに私の裸…見て欲しいよ…

でも自分からは恥ずかしい…それに私の今のこの貧相な体じゃGVも喜ばないと思うの…

体作り、GVが喜んでくれるように引き続き頑張らなきゃ…)」

「…これは僕の落ち度だよ、ゴメン、シアン、モルフォ…

この事は能力共有をする前に説明するべきだった…

(しまったな…こうなる事を予測して予め大きなタオルを用意してたけど、

本当にそうなるとは思ってなかった…モルフォの裸…いつ見ても綺麗だ

未来のモルフォで裸の姿は見慣れているはずなのに、

思わず一瞬だけ能力を発動させて思考加速して全身をじっくり見てしまった…

…………未来のシアン達から何処か恥ずかしそうな、

でも嬉しそうな想いが伝わってくる…

そうだね、今度時間が出来たら何時もの「アレ」をしよう)」

 

 そんなやり取りを私達はしつつ、

どうして蒼き雷霆(アームドブルー)を扱いながらGVの服が消し飛ばないのか尋ねてみた。

 GVが言うにはミッションに出かける際の私達が見慣れたあの服装。

 それは蒼き雷霆(アームドブルー)を扱う為の特注のフェザーの制服なのだそうだ。

 それのお陰でGVは服を消し飛ばす事も無く蒼き雷霆(アームドブルー)を扱えている。

 それ以外にも「力」を用いて服に消し飛ばない様に強化する事でも平気なのだそうだ。

 この説明を終えた後に私達の服に強化を施す予定であったのだが、

モルフォが先走ってしまった結果ああなってしまった。

 そして私達に少し離れる様にお願いし、改めて実際にGVは腕のみに雷撃麟の一部を展開。

 強化を受けていない服の一部が消し飛ぶ所を私達に改めて見せてくれた。

 

「こんな風に、蒼き雷霆(アームドブルー)はシアン達が考えているよりもずっと危険な力なんだ

これを見ても、僕の力を使ってみたいと思うかい?」

 

 GVからすれば私達が蒼き雷霆(アームドブルー)を扱うのを快く思ってはいないみたいだった。

 それはそうだろう。

 何しろ実際にモルフォが不用意に使用した結果、ああなってしまったのだから。

 でも私達の意思は変わらない。

 だって、GVの事をもっと知りたいだけじゃない。

 あの時のアキュラを前に、ただGVの腕の中で震えていた情けない私達…

あの時みたいにせめてGVの傍にいる時、私達はGVの足手纏いになるなんて嫌だったからだ。

 だから私達の決意は変わらずにその事をGVに伝えた。

 

「私の決意は変わらないよ、GV…

私はあの時…アキュラを前にただ震えていたのが嫌だったの…

GVと一緒に居る時、せめて足手纏いにだけはなりたくない

自分の事は自分で守れるだけの力が欲しいの

それが借りものであっても、とても危険であっても、私はそうしたい」

「アタシもそうよ、GV…あの時のアタシもアキュラが怖くて表に出る事何て出来なかった

アタシは…GVの足手纏いになってしまった事が嫌で嫌でたまらなかったわ

あの時のアタシは表に出てきてシアンの事を守らなきゃいけなかったの

それをアタシは目の前の恐怖を理由に放棄してしまった

そしてGVにはアキュラに集中してもらえば、あんな事にはならなかった…

だからアタシもシアンと同じように、その決意を変えるつもりはないわ」

 

 私達はGVの目を真っすぐに見つめる。

 その決意が本物であるとGVに認めてもらう為に、決して目をそらさずに見続けた。

 そんな私達を見てGVは根負けしたようで、蒼き雷霆(アームドブルー)の訓練を認めてくれた。

 但し能力の使用は必ずGVの視界に入ってる状態で行う事をお願いされた。

 そんなやり取りがあり、時間を作って十か月経った今に至るまでこの訓練を続けて来た。

 その十か月の間、GVが使えるスキルを一通り見せて貰った時があった。

 中でも凄かったのはここ最近見せてもらえるようになったSPスキルだった。

 

「二人共、僕から十分に距離を取って欲しい…うん、その位で大丈夫

じゃあ行くよ、シアン、モルフォ…迸れ! 蒼き雷霆よ(アームドブルー)!

天体の如く揺蕩え雷 是に到る総てを打ち払わん ライトニングスフィア!」

「わぁ…かっこいいなぁ、GV」

「あの周りにある雷球、綺麗ね…」

「次行くよ、二人共…煌くは雷纏いし聖剣 蒼雷の暴虐よ敵を貫け スパークカリバー!」

「大きい蒼い剣がGVの前方から…」

「あんなのを受けたら一溜りもないわよね…」

「次は…ちょっと休憩しようか

次の二つのSPスキルは大技だから、ちょっと力が戻るまで待って欲しい

無理しすぎるとオーバーヒートを起して時間が余計に掛かっちゃうからね」

 

 そうして休憩してる間にGVに尋ねてみた。

 私達もこんな風にGVが扱っている様にSPスキルを使えるようになるのかと。

 GVは「それは勿論、訓練を続ければ自然と出来るようになるよ」と言ってくれた。

 そうして休憩が終わり、GVは大技である二つのSPスキルを見せてくれた。

 

「二人共、今「力」の結界を二人の周りに施したからそこを動かないように

このSPスキルは範囲が広いからね…

閃く雷光は反逆の導 轟く雷吼は血潮の証 貫く雷撃こそは万物の理

ヴォルティックチェーン!」

 

 GVを中心に大量の鎖が予め用意されていた複数の的を貫き、その鎖を雷撃が伝った。

 そしてすべての的が消し飛び、崩れていった。

 これでもGVは手加減した状態で放っており、

本来ならばもっと広く大きな鎖を多く展開出来るのだそうだ。

 この光景に私達は開いた口が塞がらなかった。

 蒼き雷霆(アームドブルー)って何でもありなんだなぁと改めて思った。

 そしてGVはそのおまけとして、最近ヴォルティックチェーンの簡易版である、

雷縛鎖(らいばくさ)」という最近練習が終わり、

次のミッションで実戦投入予定だと言うノーマルスキルを見せてくれた。

 さっきのヴォルティックチェーンを見た後では地味に映るこのスキルだけど、

GVが言うには取り回しは良好で()()()()()()使()()()のだそうだ。

 相手を拘束したり、そのまま射出した鎖の衝撃で相手を貫いたり、

腕などに巻き付けてそのまま電流を流したり出来るそうだ。

 出せる鎖の数もある程度は任意に制御出来るので、複数を相手に出来るのも大きい。

 …GVはダートと呼ばれる物で雷撃を誘導して相手に攻撃するのが基本だった。

 でもそのダートを最近一か月前に対策されてしまった事があったので、

こうやって新たな手段を用意したのだと言う。

 それにこのスキルは私達の事も考えた物なのだとGVは言う。

 私達はGVみたいに専用のダートが無く、雷撃を誘導する手段が無い。

 そんな私達の雷撃誘導手段を如何しようか考えたのがこのスキルの開発の切欠なのだそうだ。

 

「次で最後だよ、二人共…これが今僕が使える最大の切り札…!

掲げし威信が集うは切先 夜天を拓く雷刃極点 齎す栄光 聖剣を超えて

グロリアスストライザー!」

 

 そのスキルはスパークカリバーの強化版ともいうべきスキルだった。

 その姿は荘厳で、美術的な美しさすら感じる物であった。

 その威力は折り紙付きで、最近このスキルで強敵を打ち破ったのだとGVは言っていた。

 そんな風に十か月経った今、

私達は蒼き雷霆(アームドブルー)を用いた身体強化を使い私達の住んでいる街を縦横無尽に駆け回っていた。

 今の私達は雷撃麟、身体強化、アンリミテッドヴォルト以外のノーマルスキル全般、

SPスキルはライトニングスフィアまで扱えるようになった。

 勿論GVが私達の為に最近開発してくれた雷縛鎖も習得している。

 主な戦法は私は自身の能力のバリアで身を守り、

モルフォが電脳体の状態で雷縛鎖からの雷撃麟で攻撃するのが主流だ。

 あくまでこれはGVが傍に居る際の自衛手段であり、私達が積極的に打って出る訳では無い。

 そして話は戻るけど、今行っている街を駆け回っている際、

GVから「力」の結界によって光学迷彩の恩恵を受けている。

 それでいてGVも含めた私達は互いに目視できる状態だ。

 …こうして身体強化して動き回ると、

GVの視点とはこういう物だったんだと知ることが出来て私達はとても嬉しかった。

 ビルからビルに飛び移ったり出来るのが私達にはとても新鮮で時間を忘れて跳ね回った程だ。

 GVはそんな私達を見て心配そうに傍に居てくれた。

 でも、心なしかGVもどこか微笑ましくそんな私達を見ているようだった。

 そして、この経験が生きたのだろう。

 最近翼を用いた飛行の訓練に(ようや)く進展が見られたのだ。

 身体能力強化によって高くジャンプ出来た経験により、

私は空を飛ぶというイメージが固まったのだ。

 それによって私が形成する翼の形もより鮮明になり、

少しの間だけなら空を跳べるようになった。

 今はその時間を延ばす訓練を続けており、

実体化したモルフォと手を繋いで飛ぶことでより強いイメージを固めている最中だ。

 近い内にあの時GVが言った通り、

「僕の(チカラ)が無くてもこの景色を見れるようになる」

 この発言が現実の物となるだろう。

 もし、これが現実になったら…

 最近ようやく完成したあの歌を…「青写真」をお披露目しようと思う。

 私に様々な思い出や力…そしてGVとの絆と自由を象徴する翼をくれたそのお礼、

そしてこれからもずっとGVと一緒に歩んでいく想いを伝える為に。

 そして私は今日も能力の訓練を続けて日々を過ごすのだった。 




ここまで読んで頂き、誠にありがとうございました。
ここ以降は独自設定のオマケ話みたいな物なので興味の無い方はスルーでお願いします。




雷縛鎖(らいばくさ)の件について
GVがヴォルティックチェーンの簡易版として開発した、
この二次小説内のみに出てくるノーマルスキル。
所謂霆龍玉(ていりゅうぎょく)吼雷降(こうらいこう)と同じ枠のスキルです。
第十三話におけるモルフォを鎖で拘束した際のヴォルティックチェーンの応用、
それがこのスキルなのです。
実際にGVのこのスキル開発の切欠は本文に書いてあった通りなのですが、
実はこの十三話の出来事を思い出したのもあったりします。
この時のモルフォも同じように習得していたのですが、シアンに不意を突かれたのと、
そんな自分を見て興奮しているGVを見て抵抗をやめ、シアンにその身を預けたのです。
それ以外にも記憶共有の住んでいない状態での単純な能力の練度の差もあります。
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