「
虚ろの蠅王の正気を取り戻さんが為、
GVが過去の私達を助け出してもう十一か月となった。
この期間の間の私達はバレンタインデーを見逃してベットでバタバタしていたり、
能力による飛行の訓練がうまく行き、
歌のお披露目の準備をGVに内緒でこっそり準備していたり、
私自身の誕生日を迎えたりしていた。
因みにこの時の私は十三歳だったので、この誕生日を迎えてGVと同い年の十四歳となった。
そんな私の誕生日にはジーノさん、モニカさん、アシモフさん、
そして、
…この言い方は間違っている、アリスちゃんが
この時のアリスちゃんは今の私を見て何かを…GVを取り合うライバルだと認識したのだろう。
真っ先にGVの右腕にしがみ付き今の私に妖艶な笑みを浮かべていた。
その事に今の私は真っ先に反応しGVの左腕にしがみ付きアリスちゃんを睨みつけて、
互いの目線の間に火花を散らしていた。
「私はシアン、貴女は
「私はアリスよ、シアンちゃん…ええ、そうです
「…そうなんですか」
「ええ、そうなのです…」
(何よ、この女の子は…! GVはアタシ達に内緒でこんな子と知り合ってたの!?)
(GV…何かアリスちゃんとシアンちゃんの二人、怖いぞ…)
(まさかシアンちゃんの誕生日の日にこんな修羅場を見る事になるなんて…)
(女とは、年など関係なく
(……これはあの時アリスに優しくしてしまったツケが回って来たと言う事なのだろうか…)
そんな事があったのだけれど、今の私達にとっては寧ろ良かったと思っている。
何しろ何も知らない状態でいきなりGVと恋人になりましたなんて、
紹介されずに済んでよかったと思っていたからだ。
そしてこの事が切欠で私とアリスちゃんは、
お互いGVを取り合う明確なライバルと認識したのだ。
そして肝心のGV本人はというと…相変わらず今と未来の私達の事しか考えて無いのが分かる。
その事に今と未来の私達は安堵していた。
GVの私達に対する想いは揺らぐことは無い。
そう別の日にアリスちゃんにそれと無く伝えたら、とんでもない発言が飛んできたのだ。
「そうですか…GVのお嫁さんは貴方にお譲りしますわ…
その代わり、
「「あっ愛人~~~~~!?」」
いくらなんでもこれは酷い。
流石のGVもこの発言をしたアリスちゃんを驚愕の表情を浮かべながら言葉を失っていた。
改めて今聞いてもこのアリスちゃんは頭が倒錯してると今でも思っている。
もう! あの時GVが不用意にアリスちゃんの頭を撫でたのがいけないのよ!
…でも、当時の私達は知らなかったアリスちゃんの事を、未来の私達は知っている。
その時の状況を整理すると、GVがこんなに想われる要因に思い当たる節はあるのだ。
あの状況であんなに優しくされたらコロっといっちゃうと思うの。
…でもそれとこれとは話は別。
このGVの
でも、私達はアリスちゃんに対して圧倒的アドバンテージがある。
だからGVの
この事にモルフォもノリノリで、その決行の日を密かな楽しみとしている。
そうすればアリスちゃんはもう何も出来ないはず…
でも何でだろう…その事を考えると嫌な予感がするの…
そうしてアリスちゃんという今の私達にとってのライバルが出現してから一週間後、
GVにモニカさんからミッションの依頼が舞い込んできたのだ。
GVはモニカさんから詳細内容を確認する。
『GV、フェザーからあるミッションが届いているわ』
「ミッションですか…モニカさん、詳細内容をお願いします」
『ええ、じゃあ早速だけど…
あなたには皇神の薬理研究所で培養されているある花を駆除して欲しいの』
「花の駆除ですか…? 変わった依頼ですね…もしかして、薬物関係ですか?」
『その通りよ…GVの言う通り、その花からとれる成分が問題なのよ
S.E.E.D――聞いた事はないかしら?』
「ありますね…個人的なミッションでの調べ物をしていた時に出て来た薬物の名前だったはず」
『それなら話は早いわ…GVも分かってると思うけど、
それその物は抗ストレス剤に使われたりするものだけど、
製法次第では
「何時聞いても嫌な薬物ですね…もしかして皇神が関わっている?」
『ご明察、秘密裏にS.E.E.Dを能力者の制御に使っているのよ…
それにこの研究所、厄介な相手もいるの』
「厄介な相手…もしかして、宝剣の能力者ですか?」
『ええ…宝剣「
「その能力者は確か…」
『えぇ…彼はネームレスからの情報によると、このS.E.E.Dによって廃人状態に陥っているわ
…でもGV、
だからお願い、もし出来るのならば彼を治癒して保護して欲しいの』
「ええ、
これは僕かアシモフにしか出来ない依頼だ…
そんな状態で僕に依頼が来たという事はアシモフは別の依頼で動いているんですね?」
『そういう事よ、GV…このミッション、受けてくれるかしら』
「受けさせてください、モニカさん…僕は彼を助けたい」
『了解よ、GV…彼の事をよろしくね』
GVは詳細確認を終えミッションへ向けての準備を整える為に、
ショップに今まで手に入れた素材を収め、装備を整えた。
今回の装備は「鳴神のレンズ+」×二 「飛翔四連の指輪+」「充填のペンダント+」。
ダートリーダーの受雷針カートリッチは「ナーガ」と「テクノス」の二つを切り替えて使用するようだ。
そしてGVの準備が整い、ミッションに挑む…
モニカさんから送られてきた座標を目指してたどり着いたこの施設…
ここは「皇神薬理研究所」という場所で、ここでS.E.E.Dが作られているらしい。
GVは光学迷彩を利用して無事潜入に成功し、姿を現す。
「こちらGV、施設内への潜入に成功しました」
『了解、その先にターゲットの花が培養されているはずよ
まずはそれを駆除してもらえるかしら』
「了解…ミッションを開始します!」
『頑張ってね、GV』
皇神薬理研究所内第一ビオトープ――。
研究用植物の生育のため常に人工の陽光で照らされたこの建物は、
まるで今が昼間であるかのように錯覚させる。
…この光景を見るとGVの前居た世界とこの世界の技術力の差を見せつけられる。
GVの居た世界では外の畑で収穫するのが普通だったけど…
今のこの国はこういった施設で食料生産を賄っているのだろうか?
今の時刻は午前一時過ぎ…GV…あまり長居をしすぎちゃうと、
帰ってから眠れなくなっちゃうかもね…
もしそうなったら、私達を可愛がって欲しいな…
そう思っていたら、何やら気持ち悪い植物…「触手」が姿を現した。
「触手…実験植物の一種か…(無いな…シアン達を繋ぐのは僕の鎖だけでいい)」
『どうもあなたの雷撃に反応するようね…触手…ジーノが喜びそうなトラップだわ…』
「…………そうですね(ここは無難に同意だけしておこう、
下手に突っ込むとモニカさんは慌てて下手をするとミッションに支障をきたす可能性がある。)」
そうしてGVはモニカさんの的確な指示に従い、先に進んでいく。
その先にGVのダートが通用しない敵…ガビョールが姿を現す。
「モニカさん、あいつに少し試したい事があるんです…かまいませんか?」
『あいつ…ガビョールね、確か雷撃麟で動きを止めることが出来るけど…
ええ、直ぐに済むなら問題は無いわ』
「分かりました…刺し貫け!
GVの新しいスキル、雷縛鎖がガビョールを刺し貫き、破壊した。
『今のスキルはGVが言っていた新しいスキルね、使い勝手はどう?』
「ええ、いい手応えです…それに再使用時間も早い…暫くこれで試してみます」
そうして道中の相手を雷縛鎖を用いて仕留めていく。
時には先ほどと同じように刺し貫き、
時には巻き付けて雷撃を流し、複数の敵相手には複数射出し、
ダートを三ロックした相手に鎖を繋げて更に雷撃の効率を上げたりと使い勝手は良好のようだ。
そうしてGVは先に進んでいく。
『その通路は縦に続いているわ…雷撃に反応する触手に注意しながら上に昇っていって』
「了解…それにしても、この研究所のあり様は酷いな…
見る人が見れば何らかの植物に侵食されている様に見える」
『そうね…可能性として考えられるのは…
実験コード「ViVid」、これが突然変異でも起こしたか可能性があるわね』
「…確かにこの惨状を考えるとそれはありえますね…む…行き止まりですね」
『ちょっと待ってGV、足元のシャッターから地下へ行けるみたい
目の前の壁にある配電盤に雷撃を流してみて、そうすればシャッターが開くはずよ』
「了解…!」
そうしてGVは配電盤に雷撃を流してシャッターを開ける。
その先の道を枯れたツタが阻むが、GVは雷撃麟を展開して焼き切り、
その道中に枯れたツタの上にあった小さな宝石を回収。
そうして再び先へと進み、気持ち悪い植物を撃破したその瞬間、
今のモルフォの歌が響いてきた。
この歌は「月世界航路」と言う歌だったはず。
『GV…お願いだから無事に戻って来て…!
アタシ達の想いよ、歌よ、如何かアタシ達のGVを守って…!』
(大丈夫だよ、シアン、モルフォ、僕は必ずシアン達の所へ戻る!
だから安心して待っているんだ…僕のこの想いよ…どうかシアン達に届いてくれ…!)
…私達はこの時間、起きてGVの無事を祈っていた。
でもその時、GVの想いを感じたの。
必ず私達の所へ戻るって…それが嬉しくて、私達はもっとGVに祈ったんだよ?
そんな風に私達は思っていたら、GVはターゲットとなった花…
モニカさんの言う実験コード「ViVid」がある部屋へとたどり着いた様だ。
そしてGVがその部屋に突入した先で見た物は…
凄まじくグロテスクな気持ち悪い花の姿だった。
「これは…! これがターゲット…まるで怪物じゃないか!」
『やはり私の予測通り、実験コード「ViVid」が突然変異を起こしたみたいね…
資料通りならその花の弱点は花弁に守られた雌しべ…
ショット何かで花弁を刺激し続ければ防衛本能が働いて弱点を露出するはずよ
そこを突いて撃破して、GV』
「了解! やってみます…先ずはダートでこじ開ける!」
GVはダートをの受雷針カートリッチをテクノスに変化させ、花弁を順調に刺激していく。
そして防衛本能が働き閉じていた花弁が開き、その中から大量の虫が出て来た。
「出て来たな…! 刺し貫け! 雷縛鎖!」
GVは雷縛鎖をViVidの弱点へと複数突き刺し、雷撃麟を展開し、
雷撃を流しつつ大量の虫を迎撃していく。
そして一定時間が経過しViVidが花弁を閉じようとするが、
GVの雷縛鎖に阻まれ、閉じられずにそのまま撃破された。
…ViVidって植物よね? 何で爆発するんだろう?
そんな私達の疑問を後目に、GVは先へと急ぎ、
今度は宝剣の能力者、ストラトスの探索を始めた。
そしてViVidが撃破された事でGVは見つかり、大量の兵士を相手に戦う事となった。
「ViVidがやられた! 侵入者を捕らえるんだ!!」
「侵入者だと…! こいつは…
「そんな!! 被検体が暴走を始めたっていうのに…!」
「泣き言を言うな! ここで奴を撃破するんだ!」
非検体が暴走…? それってまさか…!
私達がそう思っていたら大量にいた兵士たちが、
どこからともなく現れた
GVはその虫の嵐を雷撃麟で弾いて凌いでいる。
「これは…!」
『この
「了解! これよりストラトスの姿を発見次第、リフレッシュヴォルトによる治癒を試みます!」
『頼んだわよ! GV!』
そうして虫の嵐を雷撃麟で凌ぎながら先へと進むと、遂にその姿を現した。
薬によって廃人に堕とされた宝剣の能力者、ストラトスが。
どうやらまだ
「…なんだァ…いい匂いが…するなァ…」
(やはり、モニカさんの言う通り正気では無い!匂いとは…あの怪物花のことだろうな…
戦った際にS.E.E.Dの原料である花の匂いが移ったのだろう…今なら隙を突けるはず…!
ストラトスへのダメージを考えると…
ダート突き刺すよりも、雷縛鎖で捕縛すると同時にリフレッシュヴォルトを誘導する方がいいはず…!)
そうしてGVはストラトスの腕に対して雷縛鎖で四肢を捕縛し、
その鎖から
リフレッシュヴォルトを直接流し込む。
「うががががががががががが」
「……正気に戻ってください! ストラトスさん!」
そうしてGVは暫くリフレッシュヴォルトを流し続けていると、
ストラトスの肌の色が色黒い肌から健康的な肌色に戻っていく。
そして…
「………ここは…俺は一体、何をしていた?
それに…何故か知らないがお腹が空いて仕方がない…」
「……っ!(うまくいった…!)
…先ずはこれを飲んでください、ストラトスさん…僕お手製の栄養ドリンクです
詳しい話は貴方を保護した先で話をします…宜しいでしょうか?」
「ああ、すまないな、少年…んぐ…んぐ…んぐ…ふぅ…あぁ、これは旨いな
どうやら君は随分と料理上手なようだ
…そうだな、状況は良く分からいが、どうやら俺は君に助けられたようだ
分かった、保護を頼めるかな? 少年」
「了解です、ストラトスさん…こちらGV、対象の保護を完了しました
これより帰投します、モニカさん」
『了解、よくやったわ…それじゃあ直ぐに戻って彼には一日ゆっくりと休んでもらいましょう』
「了解です、モニカさん」
こうしてGVはストラトスさんの保護に成功し、
ミッションを無事達成する事が…
突然GVの横から飛んできた
「少年!! ……短い間だったが、俺を…正気に戻してくれて…
ありが…とう…礼を言う…君は…生き…残るん…だ……」
「……っ! ストラトスさんっ!」
『……そんな!』
「……仕留めそこなったか、ガンヴォルト
だがその代わりにそこの宝剣使いの
(
「貴様…! アキュラ、何故ここに!!」
『ネームレスの報告にあったあの
「決まっている…
俺にそれ以外の理由があると思っているのか? ガンヴォルト」
そしてストラトスさんはそのまま倒れ宝剣が出現し、罅が入り、
そして何時もの様に転移していった。
そして後に残ったのはGVと、ストラトスさんを撃ったアキュラのみであった。
ここまで読んで頂き、誠にありがとうございました。