【完結】謡精は輪廻を越えた蒼き雷霆の夢に干渉する   作:琉土

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第五十四話

 GVとアキュラは睨み合っていた。

 アキュラにはビットを展開し女の子の姿でいるロロが背中で佇んでおり、

GVを睨みつけている。

 対するGVは蒼き雷霆(アームドブルー)の雷が体から漏れる様に周囲にまき散らされている。

 それはまるでストラトスさんを殺された事に対する怒りの感情。

 そう言った想いがそのまま形となったかのようだ。

 

「化け物め…」

「化け物? 能力者(バケモノ)が俺の事を化け物と呼ぶ…これ程不愉快な事は無いぞ! ガンヴォルト!!」

『そうだそうだ! アキュラ君は化け物なんかじゃないぞ!!』

「お前は化け物なんだよ! アキュラ!

化け物というのはその決意(殺意)を持つだけでなれるものなんだ!!

それもお前はその決意(殺意)に完全に身を委ねている…! もはや人間ですらない!!

まだそこのビットを操るAIの子…ロロの方がずっと人間らしいぞ、アキュラ!!」

能力者(バケモノ)であるお前が、俺が人間である事を否定するのか!」

『え…人…間? …僕が? 機械である僕が、人間?』

「…そうだ、「我思う、ゆえに我あり」…自分の事を人間だと思えば、

それが例えAIだろうが何だろうが人間なんだ」

『我思う、ゆえに我あり…』

「ロロ! 奴の世迷言に耳を傾けるな! …俺を化け物と呼ぶだけで無く、

ロロまで惑わすとは…! もはや生かす理由は無くなった…ここで死ね! ガンヴォルト!」

『……っ! ゴメン! アキュラ君!』

「それはこちらの台詞だ! アキュラ! ストラトスさんの仇、取らせてもらうぞ!」

 

 そうして戦いの火蓋は切って落とされた。

 アキュラとロロが二方向から放つ炎の矢がGVを襲う。

 その攻撃が直撃する寸前、「充填のペンダント+」の効果を持ったEPチャージで回避する。

 そんなGVにアキュラ達は少し驚いた様子を見せたが、

即座にその手に持った光線を放つ銃でGVを狙う。

 GVは生体電流を活性化させた身体強化を利用したダッシュでそれを回避。

 隙を突いてダートを打ち込もうとしたのだが…

 

「それはカレラの…!」

「ふん…今更そのような(ダート)など対策済みだ! (磁力の鎧(マグネティックアーマー)…無事機能したか)」

 

 アキュラもカレラ同様、GVのダートに対して対策を練っていた。

 あれではダートを当てる事は難しいだろう。

 

「……(仮にあの鎧を突破出来たとしても、フェイクカゲロウで避けられてしまうか…

流石はアキュラ、慎重に慎重を重ねているな…恐らくそれらの機能は機械制御による物…

雷撃麟を介してハッキングを試みて機能を停止させた所を狙えば…!!)」

 

 GVはアキュラに向かって接近。

 そんなGVを光線で迎撃するアキュラだが、その射撃を悉く躱されていく。

 ロロも「アロガントファング」のレーザーとビットの時間差攻撃。

 その攻撃で上空からGVを狙うが同じく躱される。

 

「ちぃ…! (戦闘データはある程度蓄積し、解析している筈…何故当たらない!

まさか成長しているとでもいうのか! 能力者(バケモノ)め!)」

『当たって! 当たってよ! (当たればガンヴォルトだってやれるはずなんだ!

このまま接近を許したら、アキュラ君が…!!)』

「そんな攻撃に当たってやる訳にはいかない!! …今だ! 雷縛鎖(らいばくさ)よ…奴を拘束しろ!!」

 

 GVはアキュラを巻き込むように雷撃麟を展開、そしてダートを的確に三回当て、

雷縛鎖でアキュラの右腕を拘束して雷撃を流し込んでいく。

 

「ぐぁぁぁぁ!! まだだ…この一撃で滅びろ! ガンヴォルト!!」

 

 そんなGVに対してアキュラは左腕の銃でストラトスさんを殺した簒奪の弾丸を穿った。

 その弾丸は雷撃麟を、雷縛鎖を食い破りGVの胸に吸い込まれるように突き進んでいく。

 しかし…その弾丸はカレラの時と同様に「力」の防壁で阻まれ、無力化された。

 その事にアキュラが驚愕し、動きを止める。

 そしてGVはそんなアキュラに止めを刺そうと左腕に「力」を籠める。

 GVはSPをストラトスさんを治癒する為に無茶な使い方をした為、

あの時転生前のGVをトラックから助けようとした私みたいに使用不能状態だった。

 故にSPスキルでは無くラムダドライバの「力」を使うのだろう。

 しかも今回使うのはラムダドライバの()()()()()()()使()

「力」を左腕に収束させ、直接ぶつけるつもりのようだ。

 テールプラグもいつの間にか外れており、GVは本気でアキュラを殺しに掛かった。

 そんなGVに対して、ロロが食い破られた雷撃麟の一部を掻い潜り、

自身が操るビットを率いてアキュラを守ろうとGVに突っ込む。

 

「なんだと!! (馬鹿な…対能力者用特殊弾頭(グリードスナッチャー)が通らないだと…!!

どういう事だ! 奴は能力者(バケモノ)のはずだ! 何故防げる!!)」

「終わりだ…アキュラ! 迸れ! 蒼き雷霆よ(アームドブルー)!

揺るがぬ討滅の決意(殺意)を砕く、一閃の雷槌(らいつい)となれ!!

…ストラトスさんの無念をその身に受けろ! アキュラァーーー!!」

『アキュラ君! この! アキュラ君から離れろ!』

 

 ロロはその身をGVに当てる事で収束させ、解き放った「力」の直撃からアキュラを守った。

 だけどロロが率いるビットの半数以上が解き放たれた「力」に巻き込まれ、

その先にあった研究所の壁の一部も一緒に消滅した。

 ロロ本人もその余波に巻き込まれ、アキュラと一緒に吹き飛ばされていく。

 

「ちぃ……! (仕留めそこなった…! 不味いな…オーバーヒートか!)」

「ぐっ……! ロロ! なんて無茶な真似を!」

『えへへ…良かった…アキュラ君が無事で…』

『アキュラ様、撤退して下さい それ以上は危険であると判断します』

「……了解だ、ノワ…撤退する…ロロ、お陰で助かった…礼を言う

(本当に助かったぞ、ロロ…直ぐに修理を済ませてやるからな…)」

『えへへ…このくらい当然さ…僕が…僕達がアキュラ君をこれからもずっと守るからね…

(アキュラ君のグリードスナッチャーを防いだあの力…

ガンヴォルトに接触した瞬間、あいつの内部に物凄い第七波動(セブンス)反応を感知出来た…

もしかしてそれが関係しているのかな? …それにU()S()()()()()()()()()()()()()()()()()

…姿形は見えなかったけどもしかして、アキュラ君が探している能力者はあいつの傍に居たの?

この事をアキュラ君に必ず伝えなきゃ…)』

 

 そうしてアキュラは少女の姿から機械の姿に戻ったロロを抱えて撤退した。

 ストラトスさんの宝剣の欠片もいつの間にか回収されてしまったようだ。

 あの時メイド服の女の人が回収していたのを私達は見た。

 それを私達はGVに伝えたら、地面に拳を突き立てクレーターを作った。

 GVも悔しかったのだろう。

 ストラトスさんを助けられず、宝剣の欠片も奪われ、

更にアキュラ達も逃がしてしまったのだから…

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 僕はミッションを終え、僕の拠点に帰還した。

 ミッション内容は最低限こなすことが出来たお陰で成功扱いであった。

 だけど僕の中では完全に大失敗であったと判断していた。

 ストラトスさんを助けられず、宝剣の欠片も奪われ、アキュラ達を取り逃がした。

 もう目も当てられない程の大失態だ。

 こんな事をやらかしたのは本当に久しぶりだった。

 モニカさんにこの事を話したら「あれは仕方のない事」と慰めてくれたけど…

 あの銃から放たれた弾丸…恐らくカレラの能力から解析して出来た物なのだろう。

 僕の雷撃麟を、雷縛鎖を散らしながら直進していた。

 あの時のフェザー隊員の人達も宝剣の欠片を回収してくれていたけど、

どうやら既に先を越されてしまっていたらしい。

 幸いにも「力」で防げた所も同じだったのは良かったのだけれど…

 あの銃は、弾丸は危険すぎる。

 あの銃口が僕以外の人達に向いたら…シアン達に向かって、放たれてしまったら…!

 そう思っていた時、シアンが座っていた僕を背中から両腕で抱きしめてくれた。

 後頭部に温かく柔らかな感触と、シアンの息遣いを感じる。

 

「GV…お仕事お疲れ様」

「シアン…」

「GV…元気が無さそうだったからこうしてみたんだけど…どう? 少しは元気になったかな?」

 

 温かい…出来ればずっとこうしていて欲しいくらいだ…

 ミッションで冷め切った心が温まっていく。

 張り詰めた僕の想いが解きほぐされていくのを感じる。

 そう思っていたら、今度は実体化していたモルフォが僕を正面から抱きしめてくれた。

 モルフォの温かく、柔らかな感触を体全体に感じる。

 

「どう? これで少しは元気出た? …アタシ達はGVに元気になって欲しい

その為だったら、アタシ達は何だってするわ…GVはずっとずっと頑張って来た

でも偶には失敗してしまうと思うわ…それで今日みたいにまた元気が無くなってしまったら…

アタシ達はまたこうしてGVを支えるから…こんな時くらい、アタシ達に甘えて欲しいの」

「そうだよ、GV…こんな時くらい私達に甘えて欲しいの

私達はGVに守られてばっかりだから…」

「シアン…モルフォ…ありがとう…」

 

 僕は二人に挟まれその身を委ね、そのまま眠りに付いた。

 そして意識が戻った時、僕はベッドの中に居た。

 既に寝巻の姿となっており、近くにタオルと冷め切ったお湯があったので、

二人は僕の全身をタオルで拭いて、着替えさせてくれたのだろう。

 そして僕のベッドには同じく寝間着姿のシアンとモルフォが僕を挟み込むようにして眠っていた。

 …思えば最近、二人からのスキンシップがより激しくなっている。

 恐らくだけど、最近僕の拠点に足を運ぶようになったアリスが原因だろう。

 アリスは良く僕に抱き着いてくる。

 そしてシアン達に意味深で妖艶な笑みを見せて挑発しているのだ。

 そのお陰でシアン達はそれに対抗する為により積極的に僕と触れ合うようになった。

 そしてそんな僕達をアリスはいつの間にか少し離れた位置で微笑ましく見ているのだ。

 …もしかしてアリス、シアン達の事を焚きつけているのだろうか?

 思えばアリスは僕に抱き着く際、必ずシアン達の視界の範囲内で行っている。

 そして必ずその時にシアン達を見てあの妖艶な笑みを浮かべて挑発して、

シアン達が僕に抱き着いたのを確認すると知らないうちに離れているのだ。

 それに僕は既にアリスから告白を受けており、それを断っている。

 そう言った事を踏まえて考えると…

何故かは分からないけど、どうやらアリスは僕達に早くくっ付けと催促しているようだ。

 少々過激だけど、あの愛人宣言もその一環なのだろう。

 シアン達はアリスの事を恋のライバルだと思っているようだけど、

僕はこの事を黙っていようと思う。

 何故ならば、こんなにも可愛らしい二人の寝顔を間近で見られたのだから…

 そんな事を二人の体温を感じながら思い、その温かさに僕は再び微睡に沈んだ。




ここまで読んで頂き、誠にありがとうございました。
ここ以降は独自設定のオマケ話みたいな物なので興味の無い方はスルーでお願いします。




追記

※グリードスナッチャーをGVが防げた件について
これは第四十八話で書かれていたように第七波動(セブンス)とは力の性質が違う為に防ぐことが出来ました。
…逆に言うと、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()
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