【完結】謡精は輪廻を越えた蒼き雷霆の夢に干渉する   作:琉土

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Chapter:深淵

海底の深淵に潜む策謀の狡猾者
怠惰なる亜空孔(スロースホーラー)
歪められた空間から迫り来る計略(ワナ)をすり抜け、「力」で穿つ



第五十六話

 今の私達がGVと身も心も結ばれたその翌日、GVにフェザーからミッションの依頼が入った。

 今回の依頼人はモニカさんで、詳細確認に入る前にある事をGVに確認していた。

 

『こんにちは、GV…昨日はどうだった?

あの時の間が悪かった際のお詫びのテーマパークのチケット、

上手く活用してくれたかしら?』

「ええ、お陰様で最高の思い出を作れましたよ

…本当にありがとうございます、モニカさん」

 

 そう、モニカさんは昨日GVと今の私が遊びに行ったテーマパークのチケット。

その手配してくれていたのだ。

 このモニカさんの心使いのお陰で、GVと私はこのテーマパーク内でとてもいい雰囲気になれ、

 テーマパークを一望できる場所…そこで私はファーストキスをGVに捧げる事が出来た。

 そして私はその勢いで告白をしようとしていたのだけどGVに止められて、

私はGVに告白を受けたのだ。

 それを私はそれを喜んで受け入れ、私もGVに改めて告白をして二回目の口付けを交わした。

 その後拠点に帰ってからもいい雰囲気が続き…その日初めて大人のキスを体験した。

 最初は優しく私の舌とGVの舌を絡ませ合う程度だったのだけれど、

それが徐々に優しくGVに押し込まれていき、GVの舌が私の口の中を愛撫し、

唾液が私の口の中に流し込まれていった。

 私はそれを飲み干す度に体が熱くなっていき、どんどん頭の中が真っ白になっていった。

 そして私の舌をGVの口で吸い上げられた時、私の体がビクビクと跳ねて力が抜けてしまった。

 その後私達二人はお風呂に初めて一緒に入り、互いに生まれたままの姿となって…

 と、こんな感じに私は身も心もGVに捧げる事が出来たのだ。

 …一回目の事後の後、私が初めての体験の余韻をGVと感じていた時、

モルフォが我慢できないと私の中から表に出て来て、

GVに実体化してもらい、モルフォも私と同じように身も心も捧げる事が出来た。

 …その際、GVの蒼き雷霆(アームドブルー)が性的に迸り、私達はまだ見ぬ領域を垣間見ると事なる。

 …この時の蒼き雷霆(アームドブルー)が私達の体に迸ったのが理由で、

私達はGVの雷撃を受けてみたいと言う想いを植え付けられる事となったのだ。

 …話が脱線してしまった。

 GVはミッションの詳細確認をモニカさんから受けた。

 

『いいのよ、あの時は本当に悪いと思ってたんだから…

じゃあ改めてGV、ミッションの詳細説明をするわね

えっと、諜報班からの情報によると…

皇神の第三海底基地に多数の物資が搬入されているらしいの

搬入されている物資の内容やその基地には潜水艦用のドックがあることから見て…

どうも大型の武装潜水艦を建造しているのではないか、と言われているわ』

「言われている…ですか?」

『ええ、あくまでこれは噂話の類よ

だからGV、貴方にはこの武装潜水艦の噂への調査を依頼したいの』

「調査依頼ですか…すいませんが、僕はこの依頼を断ろうと思います」

『あら? 珍しいわね、貴方がミッションを断るなんて』

「…場所が場所だけに、どうにも罠の気配がするんですよ

蒼き雷霆(アームドブルー)は水…特に電解質を多く含んだ海水は天敵とも言えます

アシモフからこの依頼に関して何か助言とかは無かったですか? モニカさん」

『そういえば、確かにそれらしい事をアシモフから聞いてはいたけれど…

多分GVは断るだろうから、代わりに「彼女」に依頼を任せてみてはどうかとも言われたわね』

「彼女? …ひょっとして、そういう事ですか?」

『多分そういう事ね…確かに、こう言った調査依頼なら「彼女」が適任…

GV、ミッションの依頼はキャンセルでいのね?』

「ええ、それでお願いします」

『じゃあGV、この調査依頼は()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

「了解です、モニカさん」

 

 そう言ってGVはモニカさんとのやり取りを終え、

即座に「力」を使って女体化…女装を済ませてGVの拠点から場所を変える。

そしてネームレス専用とされている受信機を手に取り、

モニカさんの連絡を待ち、GVは依頼を受ける事となった。

 そしてGVは装備を整える。

今回の装備は「再起のレンズ+」×2 「フェザー製リング」「不屈のペンダント改+」

銃は「ダートシューター」で挑むようだ。

 ネームレスは「力」主体の戦闘がメインなので、

オーバーヒートに多くなる事が予測される事からオーバーヒート対策装備を、

そしてカゲロウを発動させる訳にはいかないので、

カゲロウ使用不可の代わりにその効果を高めた「不屈のペンダント改+」を装備する事となった。

 そうしてGVは準備を整え、罠と考えられているミッションに挑んだ。

 その場所の名前は皇神第三海底基地。

 まだ皇神の次世代発電が実用化される以前、

皇神が海底資源採掘のために建造したのがこの基地だとの事。

 だけどこの海底基地の完成目前に皇神の次世代発電が実用化。

 現在は多目的実験施設として再利用されている…

というのがこの基地の表向きの設定(プロフィール)だと言う。

 …今回はネームレスとしての出撃だ。

 ミッション中は常に光学迷彩と「力」の結界で身を守っている為、

私達もフェザーの目があっても歌で力を貸すことが出来る。

 あの時の緊急ミッションの際は仕方が無かったけれどこのミッションが終わった後に、

フェザーの人達に怪しい目で見られることは無かったので一安心だった。

 

(あっさりと潜入する事が出来たわね…

こちらネームレス、無事目的の場所に潜入出来たわ)

(了解よ、ネームレス

…貴方のその姿をこうして直接見たのは初めてだけど、

何というか、その…違和感が無いのが怖いわ…)

(少なくとも、私がガンヴォルトと繋がる様には見えないでしょう?

…それにしても、モニカさんのこの能力は便利ですね)

(ええ、最近使えるようになった私の能力による専用のテレパシーを利用した通信…

アシモフ達や諜報班の皆にも好評なのよ?)

 

 そうしてGVは敵に見つかる事無く探索を進めていく。

 道中小さな宝石を拾いつつ、奥深くまで見つかる事無く進む事が出来た。

 そしてここの警備をしているのだろう皇神兵を発見した。

 その皇神兵の装備は少し異様だった。

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 そんな皇神兵達が会話をしていたので、GVはその会話を聞いてみる事にした。

 

「しかし、本当にあのガンヴォルトがこの基地に来るのかねぇ…」

「正直な話、出来れば来て欲しくは無い…何しろその時に矢面に立つのは俺達なんだぜ?」

能力者狩り(ハンター)部隊を実質壊滅に追い込んだあの蒼き雷霆(アームドブルー)ガンヴォルト…

なあ、知ってるか? あの時の能力者狩り(ハンター)部隊、

第九世代戦車を多数配備してたんだぜ? それも最新式のも含めてだ

それらが全て破壊されていた…あの強固な装甲をぶち破ってだ

それを成した張本人がそのガンヴォルトなんだぜ?」

「あの衝撃は俺達だけじゃなくてネットの反応でも凄まじかったな

フェザーの施設を壊滅に追い込む寸前だったのが、

逆に一気にこちらが壊滅に追い込まれちまったんだからさ」

「お陰で一部のネットサイトではそのぶっ飛びっぷりから人気すら出ちまってる

しかもその主な層は若い女性世代なんだそうだ

…あの容姿端麗な所も人気に拍車を掛ける理由なんだろう

ちくしょう…妬ましいぞ…ガンヴォルトぉ…」

 

 な…なんですって! その一部のネットサイトってどういう事なのよ!!

まさかこんな形でこんな情報が手に入るとは思わなかった。

 …後でGVにお願いしてそのネットサイトを探してもらおう。

 そう思っている私達を後目に皇神兵達の話は続く。

 

「しかしあの面倒臭がりのメラク様が、

こんな装備を俺達に用意してくれただなんて今でも信じられないぞ」

「今回の作戦はガンヴォルトをこの基地の奥深くに位置するここまでおびき寄せ、

そして海水でその中を満たす事で抹殺する事がキモだからな

俺達はその最前線に居るんだぜ? この装備も妥当なはずだ」

「なんでも、メラク様お付きの執事殿が助言してくれたんだそうだ

それに例の噂の復活した海底資源のお陰もあるんだろうぜ

そのお陰で現場の俺達の装備も一新して強化されたしな」

 

 …! やっぱりGVの懸念通りこのミッションは罠だった。

 GVはその事をモニカさんに報告する。

 

(こちらネームレス、この基地その物が罠なのを確認したわ

…やはり、私やアシモフの見立ては正しかったみたいね)

(ええ、諜報班に偽の情報を掴ませるなんて…それにメラク…その名前は確か…

宝剣「不動国行(ふどうくにゆき)」を持つ亜空孔(ワームホール)を持つ能力者の名前だったはず)

(諜報班に誤情報を掴ませる手腕…それにこんな用意周到な策を練る…

相手は相当な知恵物のようね…それとモニカさん、もう一つ気になる事があるの

…復活したと言う海底資源の噂の事、何か知らないかしら?)

(あぁ…その事だったら皇神以外の業界でも有名な話よ

その日は確か…今から大体半年ほど前の話ね

何でも、昔既に取りつくされていた海域の海底資源がある日を境に復活したそうなの

その影響で淀んでいた海域だったのが物凄く澄んだ海域へと姿を変えたのもあって、

今あの海域は「奇跡の海域」なんて呼ばれているわ

近い内に観光名所にする予定もあるみたいね

…もし良かったらその海域の座標を送るけど)

(……お願いします、モニカさん)

 

 そうして送られてきた海域の座標…()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 恐らくだけど、その海域の資源や環境は私達の詩魔法によって復活したのだろう。

 私達の能力の及ぼす範囲と「ライフシャワー」による蘇生効果によって。

 これにより海底資源が蘇生されたと考えるとしっくりくる…

というか、これ以外に思い当たらないのだ。

 まさかこんな形で敵に塩を贈る事になるとは思わなかったのだろう…

心なしかGVの顔色が悪い。

 でもこの復活した海底資源はフェザーとしても+なので実質±ゼロなのだそうだ。

 それにこの国の事を含めて考えればトータル面では+だ。

 そう言った事をモニカさんに説明を受けたGVは顔色を戻していた。

 そしてGVはミッションを達成できた事をモニカさんに報告し、

帰還しようとしていたその時、()()()()()()()()()()G()V()()()()()()()()()()

 

(ネームレス、大丈夫!?)

(ええ…これは恐らくメラクの第七波動(セブンス)

私のすぐそこに、その本人が居るわ)

 

 その肝心のメラク本人は自身の能力に引っ掛かったはずの侵入者であるGVを発見出来ていない。

 だけど既に変身現象(アームドフェノメン)を起しており、

浮遊する専用の腕の付いた椅子に座りながら面倒くさそうに、気だるげに周囲を見回している。

 

「おかしいな~? 僕の設置型の亜空孔(ワームホール)に引っかかった侵入者が居るはずなんだけど…

影も形もないや…もしかして、ガンヴォルトじゃなくて他の相手が釣れちゃったのかな?

例えばそう…ネームレスとか…

紫電も言ってたけど、あいつ物凄く面倒の塊で考えるだけで嫌になるよ…

物凄くかったるくて嫌で疲れるけど、この部屋全体をレーザーで薙ぎ払ってみるか…

さて、鬼が出るか邪が出るか…

森羅万象に穴穿つ…縦横無尽変幻自在…世界を貫く破滅の光柱…

この詠唱もめんどくさ…こんな事僕にさせたんだからこれで終わってよね、怠いし…

レイジーレーザー!」

 

 そうして放たれたメラクのSPスキル。

 部屋を満たされるように放たれた為、GVは防御に「力」を集中する為に備える。

 そしてレイジーレーザーを何とか受け切る事に成功した。

 その代わりにGVはオーバーヒート状態となり、

「力」を維持できなくなったお陰で姿を現す事となった。

 

「うわぁ…嫌な予感が的中しちゃったよ…パンテーラの言ってた情報、ほぼそのままの姿じゃん

 しかも僕のレーザーを防ぎきるなんて、本当に面倒…はぁ…嫌だ嫌だ…」

「…そんなに嫌なら見逃してくれると助かるのだけれど…

その方がお互い、面倒が無くていいでしょう?」

「僕もその意見には同意したいんだけどさ~ これ、紫電に頼まれたお仕事なんだよねぇ…

だからどうしても断れなくてさ…ほんと面倒…

だからネームレス、僕のネトゲ生活の為にさっさと死んでくれない?

お前を始末出来ると五年くらい有給取れるしさ

そう言う意味ではガンヴォルト以上に歓迎できるけどね、彼は有給三年だし

ああもう喋るのも面倒だ…」

 

 そんな風に会話をしている内に装備による補強のお陰でオーバーヒート状態から回復。

 GVは私達に歌の支援を要請し、右腕に「力」を籠める。

 今GVは私達の歌の支援を受けている。

 故に、アキュラの時よりも更に「力」を収束させ、一撃必殺を狙う。

 どうやらGVも今なら隙を突けると思っているのだろう。

 

「(迸れ 蒼き雷霆(アームドブルー)!

怠惰で堕落しきった知将へと穿つ一撃となれ!)

そんなに面倒なら死ねばそれから解放されるわよ? ……はぁぁぁ!!」

 

 GVはメラクに向かって凄まじい勢いで跳躍し、収束した「力」を解き放つ。

まさかそう来るとは思わなかったメラクは能力を使うことなくその一撃に沈む事となった。

 

「嘘でしょ? そんな漫画みたいな動き…」

 

 その言葉がメラクの最期の言葉となった。

 収束した「力」をメラク本人に叩きつけ、胸と座っていた椅子に大きな風穴を開けた。

 そしてメラクの体が膨張し、破裂して宝剣だけが残る。

 そしてその宝剣に罅が入り…何時もの様に転移していった。

 …心なしか、転移の速さが今までの宝剣の時よりも早かったような気がする。

 転移させている人物はメラクに対して思い入れでもあるのだろうか?

そして戦闘が終了した際、騒ぎを聞きつけた皇神兵達が騒ぎながら駆けつけて来ている。

 これでは宝剣の欠片の回収は不可能だった。

 よってGVは宝剣の欠片の回収を諦め、無事基地から脱出して帰還を果たした。

 私達はその帰りの際、メイド服を着た女性の陰を見た気がしたのであった…




ここまで読んで頂き、誠にありがとうございました。
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