【完結】謡精は輪廻を越えた蒼き雷霆の夢に干渉する   作:琉土

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第五十八話

 今の私達はスーパーマーケットで買い物をしていた。

 一週間の間情事で爛れた生活を送っていた為、生活用品や食料品が壊滅状態だったからだ。

 そんな時、GV達三人の横を身に覚えのある女性…オウカとすれ違った。

 そして私は思い出した。

 前居た世界の桜さん…転生前のGVの初恋のお姉さんの姿とオウカの姿が一致したのだ。

  

『そうよ! 桜さんの事、何処かで見た事あると思ってたけど、オウカの事だったんだ!』

 

 GVもその事に気が付いたのだろう。

 すれ違った際ほんの僅かに表情に出ていたけれど、驚きを感じていたようだった。

 桜さんは転生前のGVの初恋の人。

 そんな人と外見が一致したオウカを見て驚かない訳が無かった。

 オウカは後の私達の初めての友達。

 そんなオウカと桜さんが一致してしまったのは正直複雑だった。

 何しろ桜さんは私ですらGVの事を任せられると仮にも思ってしまう程の優しい人なのだ。

 そしてオウカもまた同様に、私達に何かあったらGVの事を任せておけそうだと思える人だ。

 …だからこそ、オウカの事は私達も友達と思えるほど好きではあるのだけれど…

でも、そんなオウカに私は嫉妬してしまう。

 オウカもまた、GVの事が好きなのだ。

 何故ならばこの暫く後のGVは、オウカにとって大切な物…

 家族との絆である(苗字)…名乗る事を許されていなかった、

奪われていた桜咲の(苗字)をオウカに与え…いや、取り戻したからである。

 その事を嬉しそうに私達に話していた時のオウカの表情は正に恋する乙女だった。

 それをどうやって成したのかは私達には分からないけど、

しばらくすればその方法も分かるだろう。

 それに私達が関われればいいなと思う私と、そんなオウカをGVから引きはがしたい私が居る。

 …私の心の中の私は酷く醜く、オウカを嫉妬のあまりに凌辱してしまっている。

 GVに色目なんてさせない為に鎖で縛り上げ、優しく囁くのだ。

 GVの事何て忘れさせてあげると。

 私が、私達が、オウカの心を埋め尽くしてあげるのだと。

 だって、オウカは私達の初めての友達だもん。

 だからオウカには私達の事しか考えられなくするだけで許してあげるの。

 その心に、その体に、私達の事を刻み付けてあげるの。

 …でも、そんな事を初めての友達であるオウカに出来るはずが無い。

 それに、この感情は何なのだろうか? 嫉妬と好意がグチャグチャに絡み合って、

何やら(おぞ)ましい感情が私達の中で出来つつある。

 こんな感情…オウカに、GVに知られたくない。

 もし知られたらオウカに嫌われてしまう。

 私達の事を今の所全て受け入れてくれているGVにも、嫌われてしまうかもしれない。

 それ程までに、私自身でも酷いと思えるのだ…この感情は。

 …でも、それでも…

 もし…この私達の酷く悍ましい感情を二人が受け入れてくれたのならば…

 オウカの事、特別に認めてもいいと私達は思っている。

 でも、もし受け入れられなかったら…私はどうなってしまうか分からない。

 GVに拒絶なんてされたら、私は狂いに狂って…世界その物を滅ぼしてしまいかねない。

 だから私達はこの事を自分から明かすつもりは無い。

 それが唯の時間稼ぎに過ぎなかったとしてもだ。

 ちなみにアシモフさん達フェザーの皆は基本今の私とは距離を取っている。

 電子の謡精(サイバーディーヴァ)の所在の情報を皇神に少しでも与えない様にする為だ。

 だから以前あった私の誕生日なんかの特別な日でもない限り、

接触や連絡はしないようにしている為、友達では無く知り合い程度の関係なのである。

 …アリスちゃんは今の私にとってはライバルなので友達とは別枠である。

 でも、GVの(記憶)が終わった後だったら友達になれるかもしれない

 …アリスちゃんだったら、この私の醜い感情を受け入れてくれるだろうか…?

 そう思いながらオウカの背中を観察していたら、

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 この事に私達は驚き…は無かった。

 オウカはその…アリスちゃん以上に霊感が高いらしく、

私達の苦手なユーレイなんかと意思疎通が図れるのだそうだ。

 その事をオウカに教えてもらった今の私達は、

ユーレイが実在する事をオウカによって証明されてしまった為、

教えてもらったその日から三日くらいGVにしがみ付きながらベッドの中で震えていた。

 …オウカは私達の姿が見えない事に疑問を感じているのだろう。

 私達の居る空間を見つめ、首を傾げている。

 それはそうだ。

 私達は今の私達…今のモルフォの感知から逃れる為に電子のサイズでいるのだから、

見えないのも当然なのである。

 …オウカなら、私達と意思疎通を図れるかもしれない。

 今度GVにオウカの前で姿を現していいか尋ねてみよう。

 そしてオウカと別のレジで買い物を済ませた今の私達は、

オウカよりも遅いタイミングで外に出た。

 その際、GVは食料品や生活用品なんかの荷物を両手に持っている状態だった。

 そんな帰り道を三人で歩いていた時、何やら大きな音が聞こえたので、

GV達はそこに向かい何があったのか確かめた。

 そこには、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()姿()()()()()()

 GVは今両手に荷物を持っており、即座に行動を起こすことが出来なかった。

 この時真っ先に動いたのは私の本心ともいえるモルフォだった。

 あの木の根に拘束されていたオウカを見た今の私は、

かつての機械で繋がれていた時の事を連想したのだ。

 そんな彼女を助けたい…そんな私の想いを受け、

モルフォは背中に翼を展開し、彼女の元へと飛翔する。

 そして私もモルフォと同じように駆け出し、彼女の元へと向かう。

 そんなモルフォと私を見たGVは荷物を落とすと同時に、

即座にネームレスの持つ「ダートシューター」の外見を変えただけの黒い銃を取り出し、

オウカを拘束していた木の根を、弾丸に「力」を収束させて撃ち抜いた。

 そしてその直後に「力」の結界をこの場に展開しつつオウカの元へと駆け出した。

 その事に気が付いたのであろうオウカを拘束していた張本人である能力者が、

再度木の根を展開し、今度はオウカを刺し殺そうと木の根で穿とうとする。

 そんな木の根をモルフォはバリア…電子結界でオウカを守り、

オウカの前に庇う様に翼を展開し、事を成そうとした三人を睨みつけている。

 今の私は崩れ落ちそうになていたオウカの肩を支え、安否を気遣っている。

 そしてGVはモルフォと同じようにオウカを庇う様に立ちふさがり、

オウカに対してこんな目に合わせた三人の男女を睨みつけ、

体内に蒼き雷霆(アームドブルー)を迸らせる。

 

「舞! なんて無茶な事を!」

「優…ごめんなさい…でも、こうしないと間に合わないと思ったのよ」

「…その判断は間違っていないさ

あの時の僕の両腕は塞がっていたから初動が遅くなってしまったし、

誰かが彼女の守りを担当しなきゃいけなかったからね」

「そんな事を言ってる優も凄い銃捌きだったよね?

あんなに離れた距離からあっという間にあの人を拘束していた木の根を撃ちぬいたんだから…

あ…あの…大丈夫ですか? 怪我は無いですか?」

「……あ、はい、私は大丈夫です…初めまして、私はオウカと申します

もし宜しければ、皆様のお名前を聞いてもよろしいですか?」

「……僕は優、よろしく、オウカ

(予想はしてたけど、桜姉と同じようにマイペースな人だな…)」

「私は紫明…って今はそんな事を聞いている場合じゃ無い気が…」

「いいじゃない紫明、優がこの場に居る以上、もう勝負は付いたも同然よ

…アタシは舞よ、宜しくね、オウカ」

「はい! よろしくお願いしますね、紫明さん、舞さん、優」

「これは…! 電子の謡精(サイバーディーヴァ)モルフォなの!?

でもモルフォはバーチャルアイドルのはず…それに髪の色が違う…

まさか、モルフォは実在していた能力者を元に作り上げられていたとでも言うの!?」

「なンなんだヨォ…こンナ話、きいテないゾォ!」

「■■■■■■■■■■■!?」

「それを貴方達が知る必要は無い! …どういう理由があって彼女を拘束したのかは分からない

だけどそれを目撃して、この手が届くというのなら…

僕は…僕達は助けを求めるその手を掴み、救い出す!!

(迸れ! 蒼き雷霆よ(アームドブルー)!

(よこしま)なる意思、撃ち貫く撃鉄を起せ!)

…行くぞ! お前達三人全員、拘束させてもらう!!」

「やっちゃって! 優!」

「お願い…優!」

「……お願いします、優」

 

 そうしてGVは生体電流と「力」による身体強化で加速し、

三人全員の顎を揺さぶって即座に気絶させ、拘束した。

 そんな三人に対してGVは()()()()()()()()()()()()()()()()()

 そしてこれでもう大丈夫とGVは判断した様で、拘束していた三人を拘束を解いて放置し、

私達は助けたお礼を受ける為にオウカの屋敷へと足を運ぶ事となったのであった。




ここまで読んで頂き、誠にありがとうございました。
ここ以降は独自設定のオマケ話みたいな物なので興味の無い方はスルーでお願いします。




※シアンがオウカにヤンヤンしている件について
この二次小説内におけるシアンにとっての初めての友達であるオウカ。
シアンは学校に行っていない+フェザーの人達とも距離を置かれている為、
友達が今までいませんでした。
故に、初めての友達であるオウカに対してその想いは強く、
だけれどGVの事が好きである事による嫉妬の想いもまた強く、
それらがコンクリートミキサーにぶちまけられて混ざった結果、
私の中ではこんな感じになりました。
この話の「私の心の中の私」の言うその内容が過激な理由は、
タグのアルトネリコに影響を受けています。
因みにシアンが悍ましいと思っているこの感情、この話の時点で既にGVに見抜かれており、
「そんなシアン達も可愛い」等と思っていたりするので、後はオウカ次第であったりします。

※GVが最後に何かをやっていた事の件について
これは人間の脳をコンピュータと捉え蒼き雷霆(アームドブルー)のハッキングを応用し、
人間の脳に対してハッキングを掛けています。
そして必要な情報を引き出し、見られてはマズイ記憶を除去したりしているのです。
故に、一通りの情報を抜き取って、
覚えていたらマズイ記憶を消したのでGVは一安心したと言う訳なのです。
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