【完結】謡精は輪廻を越えた蒼き雷霆の夢に干渉する   作:琉土

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第六話

 今日GVは男友達と一緒に海に行くようだ。

今GVは男友達とお喋りしながら目的地に向かっていた。

 私自身海にはGVの(記憶)でも私の居た世界でも良く行く機会があった。

 それはGVが「自身の弱点を克服する為」の訓練を良く行っていたからだ。

 その間私は浜辺で体力作りを目的とした走り込みを行っていた。

これはGVが「何をするにも体力は必要でどんな時もこれだけは裏切らない」

と良く言っていたからだ。

 勉強、家事、料理、そして歌を歌う時だって体力は使うのだ。

 GVがこう言うのも納得は出来る。

 この体力作りとGVが走り込みで疲れた後でしてくれる()()()のお陰で、

私は一年かけて年齢相応の背と身体つきを身に付ける事が出来たのだ。

 …最初の内は物凄く苦労したけどその成果ははっきりと出ていたのが嬉しかった。

 序に髪を切らないで腰くらいまで伸ばしたりもした。

 そういえばこの時からだろうか? GVの顔が良く赤くなる時が増えたのは。

 …と考え込んでいたらGV達が着替えを始めていた。

 GV以外の男友達の着替えを見る趣味は無いので私はGVの傍に寄り添い意識をGVに集中させた。

 

『毎日ずっと見続けてるはずなのに、

どうしてこう無防備なGVを見てるとドキドキが止まらないんだろう?』

 

 お風呂でいつも見てる時も思っている事だけどGVの体はとても魅力的に見える。

 無駄の無い肉付きで体形のバランスも私の中では理想的だ。

 …だからこそ心配だ。

 GVはモテる。

 ただでさえ普段から魅力的なのにこんな無防備に水着だけのGVを海に放り込んだら、

その魅力に釣られた()達が寄ってきそうなのだ。

 学校のプールの授業の時だってGVに熱い視線を送ってる同級生の女子が多いのだ。

 その中にはもう既に振られてる人達も居るのが未練がましい。

 いい加減諦めてくれればいいのに…

 

『こういう時直接干渉出来るなら私が雷撃鱗で軽く痺れさせて追い払うのに…』

 

 まあ本当にそんな事をしたらGVに怒られそうだから実際にはしないけど…

 気持ち的にはそうなのだから仕方がない。

 GVの(記憶)に来て以来ただGVの観察だけをしていた訳では無い。

時間は沢山あったので今の私が扱える能力がどの程度なのかの確認とその練習もしていた。

 雷撃麟もその一つだ。

 これに関しては生前の能力共有の際に使用出来るようになっていたので、

私にとっては復習みたいな物であったけど…

この時モルフォがやらかしてGVの前で裸を晒していた時を思い出した。

 GVの(記憶)から戻った後は間違い無く私とGVはアシモフと必ず相対するだろう。

 あの時歌ったのもそういう気分だったのもあるが能力の練習の一環でもあったのだ。

 練習する時間は沢山あった。

 この八年間は蒼き雷霆(アームドブルー)を重点的に確認と練習を行った。

 だから今では生前では無理だったスパークカリバーやヴォルティックチェーンだって使える。

 アンリミテッドヴォルトだって使えるんだから!

 …もっと早くこういった事が出来るようになっていれば、

勇気を持つことが出来ていれば、GVがあんなに傷つく事何て無かったのに。

 …過ぎた事を悔やんでも仕方がない。

 GVは少なくとも助かったのだ。

 だから私は今出来る事をしよう。

 

『今日は姿を変えるのと…後は歌かな』

 

 とはいえ電子の謡精(サイバーディーヴァ)の方の練習には、

誰か他の人が居てくれる事が前提なので実際に出来る事が少ない。

 能力の共有とか他者の記憶の閲覧とか、

知識の共有とかの精神感応能力を使った練習は一人ではどうにも出来ない。

 今出来るのは…私自身の見た記憶の映像化とか、

さっき言ってた姿を変化させるのと、後はバリアを張る事くらいかな?

 謡精の歌(ソングオブディーヴァ)は…これは確認のしようがない。

 何しろここはGVの(記憶)の世界。

 私の歌を聞いてくれる人は誰も居ないのだ。

 …まずは今のモルフォの姿から私本来(シアン)の姿になろうと思う。

 

『……この姿になるのも久しぶりだなぁ』

 

 今の私の姿は大人っぽい見た目のモルフォの姿では無くまだ生きていた頃の私の姿になっていた。

 背中の翼の形もあの頃と変わっていない。

 そう、GVが私にあの時この翼を(もたら)してくれた時のままだった。

 この翼は私とGVとの絆の証であり私にとっての自由の象徴でもある。

 私は背中の翼を見てこの世界に来てからも変わらない翼の形に心から安堵して、

思わずGVの名前が言葉に漏れる。 

 

『GV……』

 

 ……八年ぶりにこの姿になったせいなのかなんだか新鮮な気分だ。

 次はこの姿でも歌を歌う時はモルフォの姿の時と同じかどうか確かめよう。

 でもその前に…

 

『…うん、今の所GVに()は寄ってきてないみたいだね』

 

 今GV達は海でゆっくり泳いで楽しんでいる。

 遠巻きにちらほらと()の影が見えるが許容範囲内だから問題はない。

 これで安心して歌に集中出来る。

 今日歌うのは…「青写真」にしよう。

 GVの拠点に来てから作曲を始めたこの歌は、G()V()()()()()()()()()()()()

 初めて歌った時はGVはとても嬉しかったみたいでその時は涙を流していた。

 それ以来眠る前に良く歌って欲しいとお願いされていた。

 …久しぶりに歌うから気合を入れなくちゃ。

 

『~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♪』

 

 私は歌う。

 GVの為に作ったこの歌を。

 想いを込めて、貴方にあえて良かったと、

これからも貴方とずっと一緒に居る事を望み、願いながら…

 …この姿でも歌を歌う時はモルフォと同じ感覚で歌えるみたいだ。

 それを確認してGVの観察に戻ろうと顔を向けた。

 そしてG()V()()()()()()()

 あの時初めてこの歌を聞いた時と同じように、涙を流していた、GVと。

 

―――――――――――――――――――――――――――――――

 

 海で友達と遊んでいる最中、()が聞こえてきた。

 あの時以来頻繁に聞こえてくるようになった()は僕にとっての密かな楽しみだ。

 ()を聞いてる間どういう原理か分からないけど、

体調が良くなるだけではなく身体能力も向上するし気分も高揚する。

 まるで声の主に守られているかのように。

 この()は何故か僕にしか聞こえない為皆に楽しみを共有出来ない事が少し残念に思う。

 まあ実際に周りに聞こえてたら大騒ぎになってただろうけど。

 あの気配の主はきっとその辺りも配慮してくれているのだろう。

 でも今回の()は毛色が違った。

 これは感謝とこれからも共に歩む事を願った()だ。

 とてもとても強い想いが籠った()だ。

 それを聞き終わった時僕は自然と涙を流していた。

 何故かは分からない。

 でも自然と涙が溢れて止まらなかった。

 そして歌が聞こえた方向に顔を向けたら海の上に()()()は居た。

 ()()()()()()()()()()()()()が。

 その子と僕は目が合った。

 が、瞬きをした瞬間その姿は影も形も無くなっていた。

 まるで白昼夢を見ていたかのように。

 僕は涙を拭うのを忘れて辺りを見回したが先ほどの少女の姿は無かった。

 

「優、どうした? 涙流してキョロキョロしちゃってさ」

「…ごめん、ちょっと海水が目に入っちゃったのが痛くてさ

ちょっと目を洗ってくるから、先に戻ってていいかな?

序だから、何か飲み物でも買って休憩場所も確保しておくよ」

「おう! じゃあ俺はコーラを頼む!」

「俺はウーロン茶でよろしく!」

「本当に優は気が利くな …俺はポカリで頼むよ」

「了解 じゃあ先に戻って場所を確保しておくから」

 

 そう言って僕は皆から離れ頼まれた飲み物を買いつつ場所を確保する。

 …僕に寄り添う声の主から困惑した気配を感じている。

 向こうはどうやらさっきの歌が聞こえていたのが想定外だったようだ。

 でも暫くしてからとても嬉しそうな気配を感じるようになった。

 声の主はどうやら僕に歌が聞こえていたのが嬉しかったみたいだ。

 良かった、今のが切欠で嫌われてしまったら如何しようかと思っていたんだ。

 

「…………」

 

 あの幻想的で綺麗な姿を見る前…

八年前初めて()()の感情を感じ取った時からずっと気になっていた。

 あの時一瞬だけ見る事が出来た女の子…

 あの女の子が今まで感じていた感情の主なのかもしれない。

 元々彼女に離れてほしくなかったから恋人を作ったり結婚をしようとは思っていなかったが、

もし彼女がそうだとしたら…僕はもうダメになってしまうだろう。

 ……いや、もう既にダメになってしまっているのを感じる。

 何故なら僕は彼女に……あの時、あの瞬間、僕の心の全てを奪われたのだから。




ここまで読んで頂き、誠にありがとうございました。
ここ以降は独自設定のオマケ話みたいな物なので興味の無い方はスルーでお願いします。




※転生前GVが感じている気配について2
 予め言っておきますが今シアンの見ている光景は間違いなく「GVの転生前の記憶」です。
 GVの魂に転生前のGVが居た世界にアクセスする為の世界の座標が記録されています。
 今のシアンはGV本編の通常ED後のモルフォが言っていた、
「夢と現――その境界線」、そのド真ん中に居るような状態です。
 時間、空間、距離、世界の壁すらもそこでは無意味なのだとこの小説では設定しています。
 別の言い方をするとその場所は「特異点」とも呼べる場所なのです。
 第一話でGVと一つになった際、シアン本人の膨大な第七波動(セブンス)の影響で、
シアンは「夢と現――その境界線」そのド真ん中に偶然入り込む事が出来たのです。
 GVと一つになることが出来たシアンがです。
 そこにシアンが居る状態なので後はGVの居た世界の座標の情報と、
ひと手間…電子の謡精(サイバーディーヴァ)の力をGVの魂に記録されていた世界の座標に流す。
 こうしてGVの(記憶)に入り込む事が出来たわけです。
 代わりにGVの魂の影響を受けて転生GVから一定距離以降離れる事が出来なくなりましたが…
 そして転生前GVも世界を越えたその気配に気が付く流れになると言った感じです。
 色々ガバガバだと思いますが気にしてはいけない。
 シアンちゃんがヤンヤンしてくれれば、そんなことはどうだっていいんですよ。

※この小説における羽の生えたシアンの見た目について
 このシアンの見た目は「平穏への憧憬」のCDジャケットの物に加えて、
背と体つきが年相応になって髪が腰まで伸びている外見と言った感じです。
 これはシアンがGVの拠点に来てからの走り込みに加え、
GVが()()()()()()()()()()()()()()()()()をシアンに繰り返した結果そうなりました。

※シアンの姿が一瞬だけ転生前GVに見えた事について
 シアンは長く触れられない、見てもらえない事が深層心理下では不満に思ってます。
 歌っている最中、そういった想いも無意識に開放されており、
向こうの世界に自身の姿を歌に乗せて投影しています。
 無意識で。
 まだシアンは任意で行う事は出来ませんが、
「ここぞという時」限定ですが、それが出来るようになりました。
 この辺りのお話で、第二話の後書きでGVがシアンに
ズブズブに依存していく理由が朧気ながら見えてきたと思います。
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