GVがオウカの護衛を務めるようになって二十日後の夜…遂に工作員達が動き出した。
オウカの屋敷を囲むように複数のチームが展開されており、
その武装は皇神兵の装備を劣化させたものが主流の様だ。
この事は既にGV達は気が付いており、GVは今の私達にオウカの事をお願いし、
そして私達の
これはテレパシーを飛ばしての状況把握や、電子結界によるオウカや今の私達への守り、
そして万が一屋敷へと侵入された際の雷撃による工作員への迎撃等がメインだ。
もっとも、GVが居る以上屋敷への侵入何て不可能なのだけれど。
「遂に来たか…だけど僕がここに居る以上、オウカ達に手は出させない」
「オウカの事は私達が守るから…」
『だから派手にやっちゃって! GV!』
「GV…如何かご無事で…」
「ありがとう…行ってくるよ、シアン、モルフォ、オウカ…直ぐに終わらせて来る
…迸れ!
皆を守護する為の、絶対たる雷壁となれ!」
そうしてGVはオウカの屋敷を囲んでいた工作員達へと強襲を掛けた。
工作員達からすればこの仕事は楽な物だと考えていたのだろう。
どの工作員達もオウカの事を辱めてやろうと言う考えが表情で丸分かりだった。
だけど、GVの前でその油断をすると言う事…
それは自ら進んで自殺するという事に他ならない。
故に、この戦いは戦いとすら呼べない程の蹂躙劇だった。
そして外での戦いの音が鳴り止み、
GVは絶命させた工作員達の処理を済ませてオウカの屋敷へと戻った。
「ただいま、皆」
「おかえり、GV…お仕事お疲れ様」
『おかえり、GV…うん、今回も無傷で済んで良かったわ』
「おかえりなさい、GV…」
オウカ達はGVを出迎え、そして三人で抱きしめた。
この時のGVは人を殺めた直後だった。
だからオウカ達はGVの戦いで出来た心の傷を癒そうとしたのである。
…暫くの間、皆は抱き合ったまま動かなかった。
オウカ達の想いを理解し、その想いにGVは甘えていた。
とても心地よさそうに身を任せていた。
GVが私達にあの時から明確に甘えてくるようになった理由はここにもあったのだ。
やはり、戦いと言う物は心を摩耗させる。
だからこうして抱きしめて、温もりを与えて、触れ合う事で、心を癒すのだ。
そしてこの日から更に十日が経過し、GVは無事護衛ミッションを終えることが出来た。
この一ヵ月の間でGV達とオウカは完全に打ち解け、
もうこの四人でいる事が当たり前となっていた。
もう今の私達とオウカは一緒に勉強をしたり、家事をしたり、お風呂に入ったり、
偶にベッドで一緒になってGVの事をお話したりする程の仲となった。
…偶にというのは、普段はあてがわれた部屋で眠っているか、
GVの部屋にこっそりとお邪魔し、えっちな事をしている時の方が多いからである。
…オウカがこっそりとえっちな事をしている今の私達に聞き耳を立てている事が分かった。
これは未来の私達視点でなければ判明しなかった事であった。
今の私達がGVと愛し合っている声を聴きながら、オウカは持て余している自分を慰めていた。
でも一人で慰める事に慣れていないせいで、
オウカは余計に体が焦れている状態となってしまった。
たどたどしく自身の敏感な体の一部に触れ、切なげに声をかみ殺しているオウカ…
オウカは未来の私達の言葉が分かるだけでは無く、
それはあの時鎖で繋ぐ事が出来た時に確認済みだった。
『オウカ…切なそう…』
『まだアタシ達が一人でする事にも慣れて無かった頃のたどたどしい動きだもの…
これじゃあオウカは辛いと思うわ…だからシアン、オウカの事を慰めるの、手伝ってあげない?』
『…それをするのは、先ずはオウカに尋ねてからだよ? モルフォ』
私達はGVに今の私達に感知されないように「力」の結界の展開を想いを乗せて要求し、
元の大きさに戻ってから未だ切なげで焦れている状態のオウカに声を掛けた。
その真っ赤な耳に優しく囁くように、ゆっくりと。
「ん…やぁ…シアンさん、気持ちよさそうな声です…
GVに貫かれると言うのは、そんなにも心地いい物なのですか?
それにモルフォさんも…そんなにGVの指でかき回されるのがいいのですか?
ふぁ…私のこの指が、GVの物であれば…」
『オ・ウ・カ』
「ふぁぁ! あ、シアンさん? ……っ! あの! これは違うんです!」
『何が違うのかしら、オウカ? アタシ達はオウカの事を呼んだだけよ?』
「モルフォさん…うぅ…二人共、意地悪です…」
『ごめんね、オウカ…一人で慣れてない事をしてて辛そうだったから、
私達もオウカの事を慰めるお手伝いがしたくて…いいよね、オウカ?』
「え? あの、シアンさん? モルフォさん? その両手をワキワキさせているのは何なのですか?
何やらいやらしい気配を感じるのですが…
確かに一人でこうするのは初めてなので慣れてはいないです
でも…その…正直恥ずかしいです…」
『大丈夫、あの時みたいに無理矢理なんてしないから…オウカはその身を私達に預ければいいの
ファーストキスとかの大切な初めてを私達が奪わないようにちゃんと気も使うよ?』
『そうよ、オウカ…これはGVと初めてする時の為の予行演習みたいな物よ?
GVとの本番は色々と凄いんだから、今の内にこう言った事にも慣れておかないとダメよ?』
「……そんなに、凄いのですか?」
『うん、GVは凄いんだから…隣の部屋に居る私達は頭の先から足のつま先まで、
GV色に染まっちゃってるんだよ? それでね、GVがするほんの少しの切欠で、
GVの事しか考えられなくなるいやらしい謡精に成り下がっちゃうの』
『つまり、将来お妾さんになるオウカも、そうなっちゃうのよ?
だからこれは必要な事なの…分かるわよね? オウカ…』
そうして無理矢理オウカを納得させ、私達はオウカの柔らかで包容力のある体を優しく導いた。
オウカも最初は不安そうにしてたけれど、時間が経つにつれて素直になっていった。
…オウカ、実際GVと愛し合うならある程度この刺激に慣れておかないと大変なのよ?
GVは愛し合う際にも
そしてオウカの護衛ミッションを終えたその二日後、
アシモフさんからの連絡で財閥解体の阻止に成功した知らせが届いた。
そしてオウカの屋敷に彼女の両親と当主の人がその日の朝に訪ねてきて、
オウカに今までの経緯の説明を顔を合わせて説明し、
オウカに
そしてオウカ達四人はその時から夜にかけて今まで離れていた時間を埋める様に、
楽しそうに、嬉しそうに、家族団欒とも言える時間を過ごしたのだった。
そしてその日の夜、両親と当主の人はGVに深く感謝をし、
「これからも私達の娘の事をよろしくお願いします」と頭を下げられてしまった。
GVは世間一般ではテロリストなのだ。
そんなテロリストである自分に頭を下げられた事はGVにとってあり得ない事…
だからその事にGVは焦ってしまったようだ。
おまけにオウカの許可が前提ではあるけれど、
このまま屋敷を使ってもらっても構わないとお墨付きまで貰ってしまった。
…これって、実質オウカの屋敷が使い放題って事よね?
もう完全に外堀が埋められていく感じがヒシヒシと伝わって来たのが凄まじかった。
…「伝えても確実にそうなるとは限らない」と言っておきながら、
しっかりと約束を守る辺り、流石はアシモフさんだと私達とGVは思った。
でも、敵の敵は味方だなんてあの時は言っていたけれど、
アシモフさんはどうやってその状況に持ち込めたのだろうか?
その事が判明したのはその翌日の夜。
GVがオウカの護衛ミッションの内容をレポートに纏めて、
アシモフさんに提出した時にGVがその質問をした時であった。
『気になるか、GV?』
「ええ、正直気になりますね…
いくら娘であるオウカに甘いと言っても、流石に限度があると僕は思う
大財閥の当主まで出張って来たのだってこの事が桜咲家に、
そして財閥全体にとっての何かしらのメリットがあるって事なんだろうけど…」
『GV…その話が聞きたいと言うのなら、今から私の指定したポイントに来て欲しい
この話を通信経由でするのはリスクがある』
「…そんなに重要な情報を、フェザーを抜けた僕に言っても大丈夫なのか、アシモフ?」
『これはGVにも関係する話だからな、お前には聞く権利がある』
「…分かった 指定したポイントを教えて欲しい」
そうしてGVはアシモフさんに教えてもらったポイントに足を運び、
そこでアシモフさんと合流した。
そしてGVがこのポイントに入ったのを確認してから、
アシモフさんは「力」の結界でここを封鎖した。
「来たか、GV」
「ええ、正直ここまでするほどの事を聞かされるのは緊張するな
…覚悟は出来ました、事情の説明をお願いします」
「分かった…GV、君が私に齎してくれたラムダドライバ…
私がその現実改変能力を利用してモニカに能力を与えた事は覚えているな?」
「ええ、その事を知った時は僕も驚きました…まさか、それの事ですか?」
「そう言う事だ、GV…かの当主達は能力に興味があった様でな…
この事が取引材料となって、フェザーと桜咲家は繋がりを持つことが出来るようになったのだ
…元々能力者が無能力者に迫害される背景の一つに、能力に対する渇望があった。
そんな能力を体を傷つけるリスクも無く得られるのだ…
そんな美味しい話を聞かせた上で目の前で無能力者を能力者にしてみせれば後は簡単だった
面白い様に話が進んでいったのは実に痛快だったぞ、GV」
「と言う事は、既に桜咲家の人達は全員?」
「ああ、皆私の手で能力者となった…もう桜咲家で能力者で無いのは彼女…オウカだけであろう」
アシモフさん、そんな事が出来るようになってたの!? この事は流石の私達も驚いた。
無能力者を能力者に出来るだなんて…それって凄い事だと思うの!
だってこれって、何かしらの方法で世界中の人達を能力者にしてしまえば、
無能力者は居なくなる…つまり、能力者と無能力者との争いが自然消滅する…
私達はそう思っていた。
そして桜咲家の人達がGVを囲おうとしている理由も理解できた。
それはアシモフさんと同じ能力を持ったGVも同様の事が出来ると踏んでいるのだろう。
アシモフさんからやり方を教わればGVなら問題無く出来そうだし…
「アシモフ、少し気になる事があるんだけど…与えられた能力の制御はどんな感じ?」
「その事に関しては問題無い、GV…制御に関してはどんな能力でも一番大切な事だ
私自身、その事を一番理解している、だからその様な下手は打たないさ」
「流石だね、アシモフ…後もう一つ聞きたいのは、
その与えられる能力って何かしら法則は?」
「うむ…私も今までで千人ほど無能力者を能力者に変えて来たが…
「そう、ですか…」
「…GV、何か気になる事でも?」
「ええ…その無能力者の中で、
「……
「ええ…彼みたいな人物は以外にも多く居る…
まだ僕が護衛ミッションに入る前に、その事に関する事を集めた情報を纏めて提出したレポート、
それに纏めてあるからここでは簡単に済ませるけど、
その割合が大体三割くらい居るみたいなんだ
…流石にアキュラ程の過激派は殆ど居なかったのが救いだけどね」
「…無視できない数字だな、それは」
「それとは逆に、能力者が能力を捨てたいと思っている人達も居るみたいなんだ…
僕が今まで集めて来た複数の調査情報はその時の調査された時の人数や状況は違うけれど、
平均するとその割合は二割…そしてその両方を足すと五割になる…
…僕もこの事を知らなければ世界中の無能力者達を能力者に出来れば…
なんて思った事もあったんだけど…」
「ふむ…今まで通りに能力を求める者のみを能力者とする方針のままの方がいいだろうな」
「ええ、僕もそう思います…正直な所、
能力及び能力者に関しての情報がまだまだ足りないと僕は思っています
…そう言った情報を集められる施設に心当たりは無いですか?
もう一ヵ月経っているから、そろそろ新しいミッションがあると思うのですが…」
「そうだな…皇神のデータバンク施設の情報があの時手が空いていたジーノから上がっていた
そろそろGVにミッションの依頼をするとも言っていたから、その依頼を受けて見るといい
…そろそろ時間か…ではGV、今後の活躍に期待している、グッドラック!」
そうしてGVはこの日の翌日、
ジーノさんから新たなミッションを受ける事となったのであった。
ここまで読んで頂き、誠にありがとうございました。