【完結】謡精は輪廻を越えた蒼き雷霆の夢に干渉する   作:琉土

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第六十七話

 データバンク施設へのミッションを終えて三ヵ月を過ぎた頃…

僕はフェザーから時折舞い込んで来る能力者救出ミッションを延々とこなす日々を送っていた。

 そんな僕に、アシモフからとあるミッションが舞い込んできた。

 ただ、そのミッション内容が実に妙な内容で、僕は困惑を隠せなかった。

 

「それでアシモフ、今回のミッションの内容は?」

『今回のミッション内容は…今回は今までのミッション内容とは違う、

極めてスペシャル(特殊)で、問題のあるミッションだ』

「極めて特殊で問題のあるミッションですか…その問題の内容は?」

 

 特殊なミッション…潜入ミッションとも護衛ミッションとも違うのか…

一体どんな内容のミッションなのだろうか? 何やら問題のあるミッションらしいが、

そういった物は依頼内容が僕の所に来る前に弾かれるはず…

 

『そのミッションを依頼した人物が問題なのだ

その依頼人は、かつて我々と一度対峙したあのアキュラの付き人であるメイド…

ノワと名乗る人物からの依頼なのだ』

「……っ! あのメイド服を着た人の依頼ですか

…依頼内容だけ聞かせて下さい、それで判断させてもらいます」

 

 あのメイド服を着た女性…ノワからの依頼…明らかに何か罠があるとしか思えない…

いや、それよりもどうやってフェザーに依頼を出したんだ?

…この世界は呪術とか魔法なんかが存在している世界だ。

「聖人」だって「霊獣」だって存在する事も分かっている。

 

 その事を知ってから、僕自身その魔法に該当する波動…

第四から第六波動の運用方法を手探りで模索している所だ。

 僕はこの三ヵ月の間に、その観測に成功している。

「波動の力」を五感に…視覚に集中させ、見えない何かを観測する為のノーマルスキル…

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 そして肝心の僕自身と未来のシアン達は…

オウカよりも一種類多く異なる波動を放っている事が…

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 そして僕達自身がこの事を認識した途端、ある出来事が起こった。

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 この事に、僕も未来のシアン達もオウカも言葉では言い表せない程に喜んだ。

 だけど、オウカみたいに未来のシアン達と触れ合う事は出来なかった…

その事を未来のシアン達に触れ合えるオウカに尋ねてみた。

 

 その時オウカの教えてくれた事を要約すると、「経験が足りない」のだそうだ。

 …その辺りは第七波動(セブンス)と同じで、使い込む必要があるのかと僕は思った。

 そして肝心のその波動の操作なのだが…これが思う様にうまくいかない。

 何しろ蒼き雷霆(アームドブルー)の時とは違って、ノウハウが全く無いのだ。

 

 未来のシアン達も普段は行わない実体化をして、

僕が教えた「波動の力」を利用した観測をしながら試行錯誤しようとしているのだが、

幽霊が見えるようになってしまった事に怯えてしまい、

まずはその克服から始めている段階なので全く進展していない。

 

 …話が脱線してしまった。

 つまり、ノワがフェザーに依頼を出せた理由が、

「メイドだから」と言う理不尽な事が本当に通る可能性だって十分にある。 

 それに、あの時の僕のアキュラの研究所の潜入に気がついたのもノワだった。

 

『了解した、その依頼内容なのだが…指定したポイントに赴き、

()()()()()()()()()()()と言う内容の依頼だ。

…どうする? 明らかにトラップ()の可能性が高い

そもそもこの依頼が私の所にまで来た事その物がおかしいのだ

私としてはこの依頼を破棄する事を勧めるが…』

 

 ある物を預かって欲しいだって? …確かに、アシモフの言う通り罠の可能性が高い。

 だけど、ノワはアキュラに付き従えるメイド…

もしかしたらアキュラの事で何かが分かるかもしれない。

 …虎穴に入らずんば虎子を得ず…危険だが、ここはあえてこの依頼を受けてみよう。

 

「…僕はこの依頼を受けようと思う

もしかしたら、アキュラの事が何か分かるかもしれない

それに…()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

『なるほど、()()()()()()()()()()()()?()

…GV、依頼を受けると言うのならば、ある頼み事をお願いしたい』

「頼み事?」

『GVがデータバンク施設で齎してくれた情報を知った事で、私はある事に気がついたのだ。

それは()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

()()()G()V()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

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()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

…この事を、あのメイドを通じて、主であるアキュラに伝えて欲しいのだ』

「……っ! 何故、その事をアキュラに知らせる必要があるんだ!?」

 

 アシモフが…アキュラの父親の仇だって!?

…データバンク施設の情報とアシモフがタケフツであると言う情報を纏めたら、確かにそうなる。

 でも、何故アシモフは僕にその伝言を頼んだんだ?

このまま黙っていた方がアキュラを刺激する事も無いはずだ。

 

『私はもう一人では無い…モニカという、人生のパートナーを得た

この事を私が忘れた頃にアキュラがそれを知った場合、モニカを巻き込む可能性がある

故に私は、私自身が持つパースト(過去)を清算したい…それが理由だ

ミッションが成功し、この伝言が無事にアキュラに伝わった場合…

私は再びGVに依頼を出すつもりだ

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

「…分かった、もしこのミッションが罠で無かった場合、その伝言を必ず伝える」

『サンクス、何時もすまんな、GV…ミッションの成功を祈る、グッドラック!』

 

 そして僕はこの罠の可能性の高いこのミッションに挑む事となった。

 そしてその指定されたポイントとへと向かった。

 その場所は、()()()()()()()()()()()()

 この学校の校舎は老朽化が進み、近い内に全面的に取り壊し、

新しい校舎を建てる計画だったらしい。

 

 だけど、今までは資源の不足で新しい校舎を建てるのが不可能だった。

 だが、「奇跡の海域」の復活した海底資源のお陰で、その計画が再始動する事となった。

 ミッションに出かける前に、「桜咲」と付いていたので、

オウカにこの跡地について何か知らないかと尋ねたら、この計画が合った事を教えてくれた。

 

 僕はこの学校跡地に足を運び、その敷地内をしばらく歩き、指定したポイントを目指した。

 そのポイントには、()()()()()()()()()()()()が立っており、

その場所に彼女が…メイド服姿の、ノワの姿があった。

 彼女はどこか懐かしそうに、この風景を見ていた。

 

「……本当に来ましたか、ガンヴォルト

…てっきり罠であると判断して来ないのではと思っていたのですが」

「…僕は何でも屋であり、依頼者があまり多くない以上、依頼をえり好み出来ないからね」

「それは形だけで実質フェザー所属なのかと思っていましたが…

まあいいでしょう…ガンヴォルト、貴方に預けたいある物とは、これの事です」

 

 そうしてノワがメイド服から取り出したのは、()()()()()()()()()()()()()()()

 僕はこの事に驚きを隠せなかった。

 まず、この行動の意味が分からなかった。

 これは明らかに敵に塩を贈る行為であったからだ。

 

「…罠を確認してみても?」

「かまいません、元よりこの依頼に不信感を持たれるのは承知の上ですので」

 

 僕は彼女の持つ銃に何か仕掛けが無いか確認する為に、謡精の目で罠が無いかを確認した。

 僕の光学迷彩を見破れるノワが、僕の知らない方法で罠を仕込む可能性があったからだ。

この謡精の目は「波動の力」で罠が無いか確認する際の使い方、

その応用から生まれたノーマルスキルなので、同じように罠の有無等を確認する事が出来る。

 

 そして銃その物に罠が無い事を確認し、謡精の目を発動させた状態のままノワの姿を見た。

 僕は謡精の目で見た彼女の姿に内心驚愕した。

 確かにこの世界には聖人や霊獣がいるファンタジーな世界である事は分かっていた。

 だけど、まさか…()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 ノワの頭には羊の角のような物があり、そして大きな黒い翼と尻尾があったのだ。

 …流石に僕がこの事に気がついた事を気取られるのはミッションに支障が出ると判断し、

何とか表情に出さないようにポーカーフェイスを気合と根性で維持した。

 そして、この僕の試みは上手くいき、なんとかノワに不信感を持たれずに済んだ。

 

「確かに、罠は無いようですね…分かりました、この銃を預からせて頂きます…

もし良ければこの銃を僕に預ける理由を教えて貰えませんか?」

「かまいません…もっとも、その事を信じるかどうかは貴方次第ですが…

アキュラ様が言うには、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

「僕がアキュラに借りを?」

「その事に関して、詳しく説明しましょう…あれは、今から三ヵ月前…」

 

 そうしてノワから聞かされたことは、それが本当だったのならば、

僕にとってはとても喜ばしい事であった。

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 ミチルが能力者として目覚め、彼女がアキュラに対して自身の身を捧げようとした事で、

アキュラは能力者に対する揺るぎないはずだった憎悪を乗り越えたのだと言う。

 

「ですが、ミチル様がその身を捧げようとしただけでは憎悪を乗り越えるのは不可能でした

それ以外にも要因はあったのです…ガンヴォルト、貴方の言葉があの時のアキュラ様に届いた事、

この事がアキュラ様が憎悪を乗り越えるもう一つの決定的な要因となったのです」

「僕の言葉が…アキュラに?」

 

 その言葉とは、あの時僕が衝動的にアキュラに言い放った、

あの時のアキュラに対しての「化け物め…」という言葉であった。

 そしてその後の僕の言葉もその後押しとなり、

アキュラは今僕が持っているこの銃を捨て、ミチルを抱きしめたのだと言う。

 

 …未来のシアン達から感動している想いを感じる。

 どうやらこの事に、シアン達も喜んでいる様だ。

 何しろ、もうアキュラは無差別に能力者を狩る事は無い…

つまり、僕が狙われる事が無くなったのが、嬉しいのだろう。

 本当はシアン達の声が聞こえるのだが、ノワに気取られる危険があった為、

いつもの想いのコミュニケーションでやり取りをしている。

 

 そして、肝心のこの話の真偽だけれど…僕は、ノワの事を信じてみようと思う。

 アキュラの持っていた銃、これが理由の根拠だ。

 この銃を僕に預けると言うのはあくまでついでなのだ。

 ノワの本当の目的は、()()()()()()()()()()()()()()()()()

 僕に銃を渡せば、僕は必ずその事に疑問を持ち、彼女にそれを尋ねるだろう。

 

 そして、この預けた銃がその真偽に対しての答えとなる。

 …今のアキュラならば、僕が持つこの情報を有効に使ってくれるはずだ。

 そして、能力者の憎悪を本当に乗り越えたと言うのならば…

アシモフの伝言を伝えても、大丈夫だろう。

 

「これで私の話は終わりです」

「…ありがとう、お陰で胸の閊えが一つ取れた

…ノワ、もし良ければ僕の頼みを聞いてはくれないだろうか?」

「…その内容次第です、ガンヴォルト」

「それでも構わない…僕の頼みは、このファイルをアキュラに渡して欲しいんだ

このファイルの内容は、フェザー所属のネームレスが皇神のデータバンク施設からとって来た、

ある最新の情報、そして…アキュラの父親である、神園博士の死の真相…

それがこのファイルに纏められている内容です」

「……っ! この場で読んでも宜しいですか?」

「構いません、まずは信じてもらう事が大事ですから」

 

 そうしてノワは僕が渡したファイルを読み始めた。

 一番最初の能力の拡散の部分を読んでいる時のノワの様子は無表情だった。

 だけど、神園博士の死の真相を部分を読み進めた辺りから少し表情が出て来て、

アシモフの伝言が書かれた部分を読み終わった時には、その驚きがはっきりと表情に出ていた。

 

「…この内容は本当の事ですか?」

「…僕はただこのファイルを渡したかっただけです

それを信じ、アキュラに伝えるのは貴女次第です、ノワ」

「私を試しますか、ガンヴォルト…

いいでしょう、このファイルは必ず、アキュラ様にお渡します」

 

 そうして僕とノワは分かれ、無事依頼を達成することが出来た。

 その時のノワの立ち去った際に見えていた尻尾が、心なしか嬉しそうにゆらゆらと揺れていた。

 …普段は冷静な人…悪魔みたいだけど、体の一部に感情が出ているのは、

きっと僕が翼や尻尾が見えていないと思っているからだろう…きっと。

 そしてその後日、アシモフから新たなミッションの知らせが届き、

僕はアシモフとアキュラとの戦いのジャッジを務める事となったのであった。




ここまで読んで頂き、誠にありがとうございました。
ここ以降は独自設定のオマケ話みたいな物なので興味の無い方はスルーでお願いします。




※謡精の目の事について
このスキルはこの二次小説内に出てくるノーマルスキルです。
効果は普段見えない物を見る事や、罠の確認等が出来ます。
この見えない存在を看破する力は、この二次小説内でのオウカの霊感以上に高いです。
よって、このスキルを使う事で第四から第六波動を感知し、
ノワの正体を見破る事が可能となりました。
…アキュラもロロの試行錯誤の結果次第で使えるようになる為、
アキュラに見破られるのも時間の問題だったりします。
なお、ゲーム本編で、もしこのスキルが使えた場合、
隠し通路や隠しキャラを看破する効果があるイメージを持って頂けると幸いです。
元ネタは勿論フルメタルパニック!の「妖精の目」です。

※GVと未来のシアンが第四から第六の波動を持ってた事について
GVとシアンは互いに常人よりもずっと長く生きている事が理由であると、
この二次小説内では設定しています。
そしてこの第四から第六の波動を使いこなせるようになれば、
GVもオウカと同様、未来の今の状態のシアン達と触れ合えるようになります。
ですが、その頃にはもうその未来に追いついた後ですが…
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