四年の歳月と、新曲作り
あの日、ターニングポイントとも言えるあの時から四年が経った。
今のGVは中学二年生から高校三年生となっており、今大学受験に向けて勉強に励んでいた。
あの日の後、私はGVに対してより積極的に想いを伝えるようになった。
GVも誰も居ない二人きりの時には積極的に私に話しかけてくれるようになった。
今まで私はGVを見ているか
だからこそ私の心の中には私の知らない間に寂しさが蓄積されていたのだ。
それがあの日を境に無くなり、元々色付いていた私の世界が更に輝きを放つようになった。
そんな風に世界が見えるようになったのは寂しさが無くなったからだけでは無い。
あの日、GVは私に……なけなしの勇気を振り絞り顔を真っ赤にして告白をしてくれた。
GVに告白されたのはこれで二度目。
一度目は私が元の世界で「青写真」をGVの前で歌った一週間後だった。
あの時GVは二回目の時ほど表情に出ていなかったけど、
それでも顔が少し赤くなっており緊張していた。
今にして思えばGVからすれば二度目の告白だったから、
ほんの少しだけ心に余裕が持ててたのかもしれない。
『まさかGVにこんな形で二回目の告白をされるなんて思わなかったな…』
…私は初めてGVに助けられた時、君の本当の願いは何? とGVに聞かれた事があった。
あの時私は「わたしは外の世界で、わたしの歌を唄いたい」とGVに願った。
今でもその気持ちはある。
でもGVの一度目の告白を、そして二度目の告白を聞いた時、
それ以上の想いが、願いが、祈りが、私の中に芽生え、花開いた。
一度目の告白で私は、私の全てをGVに注ぎ続ける事を熱く誓った。
二度目の告白で私は、絶対にGVの傍から離れ
私のこの気持ちは決して朽ち果て、消える時は来ない。
あぁ…この気持ちをGVに何かしらの形で伝えたい。
…でもGVは今勉強中だから邪魔をするのは良くない。
本当はずっとお話していたいけど、今はGVの将来を決定する大切な期間。
話しかけるのは我慢しなくちゃ。
…この間、如何しよう? また何時もみたいに
こっちなら
……そうだ、久しぶりに新曲を作ってみよう。
丁度この気持ちを持て余していた処だし、歌にして発散するのはいい考えだと私は思う。
GVの勉強は今日だけでは無く何か月も続く長期に及ぶ。
ならその期間で新しい歌を作って大学受験が終わってから披露するのも悪くないと私は思う。
早速歌作りに取り掛からなくちゃ。
タイトルは……「藍の運命」これでいこう。
「モルフォ」という名前と可能性、そしてGVとのデュエット
私とGVは今カラオケルームに二人きりで居た。
四年前のあの時からGVと二人きりでデートに行き、最後にカラオケに行くという流れが出来た。
GVは私の歌を聞いて以来ずっと私と歌を歌ってみたかったと話していた。
私もGVとは私の世界でも一緒にモルフォとトリオで歌う機会が多くあったので、
その誘いは渡りに船で久しぶりにGVと歌う機会が出来てとても嬉しかった。
『GV、まず何を歌おうかな?』
「………まずは君の、
GVの
こんな事を言うのは贅沢な事なのかもしれないけど、
こういう時GVに私の言葉が届かないのがもどかしい。
最初会話する手段として私が
GVに姿を見せた時の口パクで会話を成立させようとした。
でも私の口パクの内容、GVが私の口パクで認識した言葉と大きすぎる差異が生じていた。
他にも手でジェスチャーしてみたり等と様々な手段で会話を試みたが全てダメだった。
恐らく私には同じように見えるだけで私の世界とGVの居た世界が根本的に違うせいなのだろう。
ならばと今度は伝えたい会話を即行で歌にして、
全力で
少なくとも「私が情報を明確に、正確に伝えようとする」のはダメらしい。
これだったら今まで通りにしていた方がいいと私とGVは結論付けた。
歌のタイトル名を伝える手段が無いからどうしてもこういう感じになってしまう。
お陰で私の「シアン」という名前もGVに伝える手段が無く、
GVは私の事を「君」とか「モルフォ」等と呼んでいる。
『分かったよGV 準備が出来たら声をかけてね』
「………うん、分かった 少し待ってて、喉が渇いてるからちょっと飲み物を頼んで来る」
……こうった問題もあって、最初に私の仮の名前を如何しようかと二人で悩んでいた時、
GVは
私は心臓が飛び出る程に驚いた。
だってこの名前はかつて居た今は私と一つになった
この名前をどこから? とGVに伝えたらGVは昆虫図鑑を出してとある項目を出してくれた。
「モルフォチョウ属」という項目だ。
「君の姿を見た時の翼の形がこの「モルフォチョウ属」の羽の形に似ていたから」
とGVは理由を説明していた。
…私は皇神の人達も同じ理由で
この時から私はこのモルフォの名前をGVの
偶然の産物とはいえこの名前を名乗る事になるなんて運命を感じずには居られない。
……私とモルフォはあの時一つとなった。
それは間違いない。
でももしかしたら、まだモルフォの意識は私の中に残っているのかもしれない。
私は私の中の
もしかしたら何かしらの方法を知ることが出来れば、
モルフォを再び表に出す事が出来るかもしれないと、私は思った。
「……ふぅ モルフォ、こっちは準備出来たからお願い出来るかな?」
『うん! じゃあ早速歌おうよ、GV!』
GVもこの四年間で私の想いがより鮮明に伝わるようになっており、
会話にワンクッション置く必要はあるけどなんとか会話が成立していた。
GVも私の想いをもっと知りたい理解したいと思っていたのだろう。
あれから私の事を強く意識して辛抱強く会話していたGVの努力が実を結んだのだ。
今も「これが僕のやりたい事だから」とその努力は続いており、
私はGVに頭が下がる思いで一杯だ。
GVは私の居た世界でも様々な無茶と努力をしていたのを知っている。
でもこの世界に居た頃からそんな努力家であり無茶をするような人だったのだ。
私と会話する時はGVはずっと私に対して強く意識している必要がある。
それをどんな時でも辞めないのだ。
風邪をひいてる時も、体育の授業で疲れ果ててる時でも、
今日に至る一日たりとも決してやめなかったのだ。
私がいくら無茶をしないでと言ってもGVは結局今に至るまで聞いていないので、
私はもうこの事を止めるのを諦めてしまっている。
それにこの事がたまらなくうれしいと思っている私も居るのだ。
止められない。
止められるはずも無いのだ。
それにGVが「無理して僕が倒れそうになったら、あの時みたいに君の歌を聞かせて欲しい」
とお願いしてくるのもあってどうしようもない。
……私とGVの声が、カラオケルームに響き渡る。
『「~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♪」』
今までこの世界で歌った歌は
当然この世界の歌も
向こうに居た時にそれは実証済みだ。
向こうの世界に居た頃の私とモルフォは初めてGVの世界の歌に、
GVの記憶を通して教えてもらった時はそれはもう嬉しかった。
聞いた事の無い未知の世界の曲は私とモルフォを夢中にさせてくれた。
それはもう時間を忘れてしまうほどに私達を魅了したのだ。
それによってGVとの繋がりがより強くなった感覚がしたのを覚えていた。
だってあの時の歌を私達と歌っていたGVはとても幸せそうだったからだ。
……私はGVと「追憶の
今と言う幸せを噛み締めこう祈った。
どうか元の世界でもGVに幸せが訪れますようにと…
ここまで読んで頂き、誠にありがとうございました。
ここ以降は独自設定のオマケ話みたいな物なので興味の無い方はスルーでお願いします。
※この小説における「藍の運命」について
シアンはこの小説内では、最初から「藍の運命」をデュエット曲として設定しており、
曲調は同じですが歌詞の内容もより明るく、希望に満ちた内容となっております。
その内容は私の想像力が至らぬ点も多く仄めかす事しかできませんので、
もし気になるのならば歌詞を想像してみるのも面白いかもしれません。
※この小説における「モルフォ」について
モルフォとシアンはあの時一つになった際に確かに意識は一つになりました。
でも精神的にはまだ残っているとこの小説内では設定されてます。
深層心理の底の底に居るような状態なので、
シアンが今後、この世界で「何かしらの発想」を見つける事が出来れば、
再び表に出す事が出来るかもしれません。