多分次も同じくらい遅くなる予感。
そして次の日。
あんなに色々あったのに、みんなは何事もなく席についている。
こっちも割と大丈夫だけど、なんか、凄いな。僕も結構鍛えてるけど、二人にはかなわないし(総合的には上)。
すぐそこで合流した理樹と共にみんなと挨拶。
「おはよう
「はよ」
「おーおはよ」
席に着く。朝食は確保済みだ。
鈴がやってきた、昨日の猫を連れて。
「新入りだ!」
「ん、しって、る」
「名前は?」
「まだ」
「名前は大事だろ、ちゃんとつけないと、なぁ?」
「ふるな。でも、大事」
「だって覚えきれない」
「確かに」
「じゃ、俺がつけてやる」
「いつものように?」
「ああ。そうだな……レノン」
「また有名所から」
「ほかより、まし。ヒトラ、とか」
「ま、かわいくはあるな」
そんな会話をしながら、食べる。で、食べながら、恭介に聞く。
「どこに?」
「え? あー、出版社」
「東京でしょ?」
「そ、東京」
「徒歩?」
「そ、徒歩で」
すごい話、むちゃくちゃな話なのに、恭介はそれを実行するからすごい。
みんなはあほだ何だと言ってるけど、僕はそれがうらやましいと思う。ただできることじゃないと知ってるから。……僕は絶対やらないけど。
でも、就職活動か。あと一年したら恭介もいなくなっちゃうんだよね。
会えなくなるわけじゃないけど、さびしいと思う。
だから、やっぱり僕は思うんだ。こんな日々が、ずっと続きますようにと。
……口には絶対出さないけどね、恥ずかしいから。
朝食も食べ終わって、学校に行く、その途中。
謙吾と真人が恭介と喋ってる。
就職に関することっぽい話。その途中の、恭介が言った一言。
「今がずっと続けばいいのにな」
その言葉が、すごく、心に響いた。
でもなんていえばいいのかわからなかった。その時、理樹が口を開いた。
「ねえ、みんなでなんかしない?」
「なんだよ、唐突に」
「なに、か?」
「昔は皆で近所の悪者を退治して回ってたでしょ」
悪者退治、蜂退治とかのことかな。
あのときは面白かった、真人が。そのとき、恭介が口を開いた。きっとなにかが始まる。
「じゃあ、野球をしよう」
「は?」
「なに?」
ただ少し予想外なものだったけど。
「野球だよ」
みんなと一緒なら、きっと楽しいから。
「野球チームを作る」
すごく脈絡なくても、
「チーム名は、リトルバスターズだ」
これでいいかなって、思うんだ。
放課後になって、真人と、理樹と、鈴を連れて、恭介のクラスに向かった。
謙吾は部活。まぁ来るはずも無く。特に問題は無い。こっちも今日は風紀委員は休み。そんなに騒がなければ問題ない。
恭介のクラスを見ると、恭介はいた。
すごい真剣に、雑誌を読んでる。純粋な表情で、喜怒哀楽を表現してる。
恭介はイケメンだから、そういう表情をしていると、モテる。しかも自覚が無い。
と、恭介がこっちに気づいたみたいで、雑誌を閉じて、こっちにきた。そして、言った。
「バンドをしよう。チーム名は、リトルバスターズだ」
理樹たちがこけた。僕ははたいた。
「野球」
「え? ……ああ、悪いそうだったな。完全に忘れていた。野球だったな。今読んでた内容が高校生がバンドをやるやつだったから、感化されちまったぜ」
「それで自分の発言内容も変わるんだからすごいよね」
「悪い、意味、でもね」
「お前もうなんでもいいんだろ」
「んなわけねーだろ。野球だ。心配するな。おら、行くぞ! お前ら」
「行くって、どこに」
そう真人が聞くと、ほとんど間髪いれずに恭介は答える。
「部室」
そうして、移動した場所は、野球部の部室。
「なんでもごたごたがあって新入部員がいないらしい」
「ん、それで……つかわれ、てな、い」
「そういうこと。で、連中がいないその期間、使わせてもらおう、というわけだ」
「早い話が乗っ取るってわけだな」
「少しの間だけね」
「細かい、申請、は、しと、くから」
「ありがとうな、神無」
「まぁいいじゃねぇか」
「ま、チーム結成祝いってことで、掃除でもするか」
掃除、モップがあったのでかけながら、雑巾を放り投げる。で、床の泥とかをとったあと、僕も雑巾で埃とかをとっていく。
数十分後
「おわ、た」
「ああ、きれいになったな」
「ところで、人が減ってねぇか?」
「鈴ならさっき雑巾渡して帰ったけど」
「なんだとー!?」
うわ、びっくりした。
真人が理樹にこんなに激しいツッコミを入れるのは珍しい。
真人が四人で野球ができるかよ! って言ったけど。
「五人で、も無理」
「だよねぇ」
「どうすんだよ、恭介」
「見縊るな」
「なんだよ、打つ手があるのか、流石だな」
まぁ、多分。
「四人で?」
「ああ」
「「ええー」」
だろうと思った。
恭介と交代しながら延々ノックを続けることに。
時間経過
「真人までいなくなったよ」
「見縊るな」
「三人で?」
「ああ」
「ええー」
ですよね。
で、僕も守備に回って、恭介がひたすらノックを開始した。
余裕でとれたけど、理樹は運動をあんまりするタイプじゃないから失敗もしてた。
で、ご飯の時間になったんだけど。
「なんだ?」
「お前ら、なんで就職活動で忙しい俺が、一番一生懸命なんだよ!」
「いや、そんなキレられても」
「理樹や神無を見習え! 俺のノックを受け続けて、理樹は泥だらけだ! 神無が汚れてないのは流石としかいえないが」
ほめてるんだよね? それ。
「それはなんだ、哀れめばいいのか?」
「追い討ち……」
「二人が発案者なんだからがんばるのは結構だが、部活で忙しい人間まで巻き込んで欲しくないな。神無だって、風紀委員の仕事があるだろう?」
「緊急」
「緊急だけでほとんど毎日非番と変わらないとはいえ、そこまで暇というわけでもあるまい」
「あ、なんだてめぇ。部活も風紀委員もやってない筋肉馬鹿は暇だろうから野球でボール拾いがお似合いだってかっ!!」
すごい言いがかりだ。でもそんなに間違ってないかな。
「真人のお言い掛かりってたまにお金を払ってでも見たくなるようなすばらしい言い掛かりだよね」
「ありがとよ」
「こいつ馬鹿だ!」
「ほめて、ないし」
どう考えても皮肉です、本当に以下略。
で、恭介のほうに顔を向ける。
「そもそも、どうして野球なんだ?」
謙吾に先に言われた。くそう。
「そうか、それをいってなかったな」
「ちなみに、誰も聞いてない」
「俺は最近就職活動で忙しいけどさ、ふとなにしてるんだろうって、思うことがある」
恭介もそう思うことがあるんだね。ちょっと意外だった。
「これからサラリーマンとしてあくせく働いていくんだろうな、それはわかる。でもなんだかそれは流されてるな、という気がしたんだ。周りがそうしているから、俺もそうしようってだけだ。そこには自分がいない。自分というものが無い。そうかんじたんだ」
恭介の言葉はなんとなくすっと入ってくるような言葉だった。
気づけばみんなも、恭介の言葉を聞いていた。
「みんなもそう思うだろう」
「まぁ、わからなくもないが」
「だから俺はここにいる、そしてそのことを証明するため」
そこで、いったん区切って力強く言った。
「野球をすることにした」
「え?」
「あれ? さっきまで納得できてたのに、最後の一文だけ理解できなかったぞ」
「あ、ああ。奇遇だな。俺も、よく似た感想だ」
「きょ、すけ。最後。もっかい」
「俺は俺であることを証明するため、野球をすることにした」
沈黙。今度は聞き入ってる感じじゃなくて、なんといえばいいんだろ。こう、
こいつはなにを言ってるんだ?
みたいな感じ。正直僕もそんな感じ。
「えーと、そこでどうして野球が?」
「うん、思う」
「考えても見ろ。就活中に野球をやろうと誰が思うんだ?」
「いや、思わんが」
「だろ? しかも人数集めてさ。就職活動中でなくともそんなことやろうというきにはならない。なれるか?」
「なれ、ない」
「なれないな」
「だろ? だから俺は、野球をしようと思ったんだ」
すごい言葉だ。
説得力、いや、言いくるめかな。でも、面白い。
「だとしてもだ」
そして水をさす真人。
確かに納得はできないかもだけど。
結局恭介に言いくるめられるだけな気がする。
「俺たちはただの巻き添えじゃねえか」
「いや、お前たちも同じだろ。受験勉強や課題に追われる日々で、野球をやろうとは思わなかったはずだ。それは今さっきお前も認めてたじゃないか」
「それは、そうだが」
「だろ? だから野球をやろうと思ったんだ」
凄い説得感。なんだか引き込まれるような話し方だ。
最も、うん、それに逆らう人もいる、と。
「俺は……俺のために、剣を振るっている。ではな」
もちろん謙吾だけど。
去っていく謙吾を理樹が引きとめようとしたけど、恭介に止められる。
「いつかわかってくれる時が来るさ」
「いや、俺たちもまったくわかってないんだが」
「ありゃ、そーなの。二人は?」
「別に、いい、けど」
「僕は、そもそも僕が言い出したことだし」
「理樹はお人よしだからな」
「なんだよ、だからなんだってんだよ」
「利用されてる。恭介の……」
喋ってる最中に猫が鈴の顔の前に来る。
「ふかー!!」
威嚇でおとした。そして何も無かったかのように話し続ける。
「恭介の暇つぶしに」
「恭介は忙しいはずだよ」
「みんな馬鹿だ」
「ああ、どうせ馬鹿さ」
「そう、いうあ、つまり、だか、ら」
だから僕は一緒にいるんだ。
誰も彼もが馬鹿だから、楽しいんだ。
短いかもしれない、これは。
言い訳ですが遅くなってる理由。
・現実が割りと忙しい。
・他のSSや、思いついたネタをかきこしてる。
・最初の理樹が誰ルートか悩んでる。
・ループしての初めからの描写に悩む。
というほとんど自業自得な理由です。半分は後半の構想が思いつかず筆が乗らないです。
突発的な事故とかでなんかならない限り書き終えるつもりなので、遅くなっても書きます。非常に長い目で見ていただけると嬉しいです、はい。