りとるばすたーず   作:無幻

4 / 5
すごく遅れた割りにぜんぜん長くないです。


めいげんとすぱいだいさくせん

その日、自分の部屋で一人宿題を黙々と進めていると、メールが届いた。真人から。

内容は

 

『部屋にきてけれ』

 

文字が間違っていた。

意味はわかったから道具を持って移動。

 

 

 

移動したらみんなが待っていた。

どうやらバスターズ全員集合みたい。真人の説明はよくわからなかったから理樹に話を聞くと、どうやら恭介の偉人の名言作りに付き合うことみたいだった。つまり、ふざけたいと。

 

「あたしも課題ある」

「ここでやればいいだろ」

「なんで男子の小汚い部屋でやらにゃあかんのじゃ!」

「き、たない?」

「いや、神無は別だ。むしろお前は気を使いすぎだ」

「おっと、こっちも先入観で汚いと決めちゃいけないぜ。掃除は隅々まで行き渡ってる、理樹が力いれてんだぜ!」

「あ、それもらい」

「へ?」

「え?」

「今、ここに新たな名言が生まれた…………」

 

『理樹が力入れてんだぜ 井ノ原真人』

 

ただのダジャレ……。というか今見えた、雲の切れ間みたいな光景はいったい!?

なんて。

 

「うおぉぉぉぉ!!!!」

「これは正直寒いねぇ」

「理樹、他に、は?」

「えーと、真人の『猫も棒から落ちる』かな」

「ハイ、ブリッド……!?」

「いや、ただ奇跡的に間違えてるだけ」

「これ、発表、する、の?」

「もちろん」

 

うわぁ。これ下手なこといえない。

恥をかくのは恭介だからそれはどうでもいいんだけど、名前まで言われるときつい。

というか

 

「馬鹿?」

「ぐはっ」

 

よし、満足。

 

「くだらない……。俺は行くぞ」

 

帰ろうとする謙吾。でも真人が引きとめようとして言い返されていた。

……いや、僕でもうなぎパイで勝つのは難しいよ? 相手が同じような弱いのなら別だけどさ。

 

「つまり?」

「つまり、お前のほうが逆に、うなぎパイに食われたということさ」

「あ、それいいな」

「しまったあぁーーー!!」

「ここにまた、新しい名言が生まれた」

 

『お前のほうが逆にうなぎパイに食われたということさ 宮沢謙吾』

 

「不覚だ……。この俺がそんなわけわからんことを後世に残すことになろうとは……」

「これ聞いた人はどんな光景を想像するんだろうね」

「……」

「な、なんだ神無」

「馬鹿?」

「ぐはぁっ!」

「これは、見ていてきついがあえて言うぜ! 羽目をはずしすぎたバーカ」

「神無にいわれるよりきつくないが、無念」

「お前らうっさい! もっと静かにしろ!」

 

怒られてしまった。

 

「お前ばっかり課題進めやがって、少しははめはずせよ!」

「僕も、進めて、るけ、ど?」

「……恭介も贔屓すんなよ、搾り取れよ名言をよ」

 

スルーされた。

 

「というか自ら勝手に捩れてるかんじだよね」

「自爆ってことかよ、くそう。こうなったらマジで名言はいて、あの子ちょっといけてるじゃない? ってとこ見せてやる!」

「すでにそれが名言だな」

 

『あの子ちょっとイケてるじゃない? ってとこ見せてやる 井ノ原真人』

 

「前向きなのか後ろ向きなのかわからないところが真人っぽいよね」

 

否定できない。というか下手なこと言い過ぎ。

 

「ありがとよ」

「こいつ馬鹿だ!」

「お、それももらいだ」

 

『こいつ馬鹿だ! 棗鈴 旧友・井ノ原真人を仰ぎ見て』

 

「状況を補足してんじゃねぇぇーーー!!!」

「真人を見事に一言であらわしているな」

「馬鹿って言ってるだけじゃねーか!!」

「だーかーら、うっさい!」

 

というよりも、実際これって……。

 

「偉人じゃ、なくて。知人の、名言?」

「それも乗せておこう」

「え?」

「上手く言えてないから補足してな」

 

『偉人の名言じゃなくて知人の名言だよね? 一輝神無 少しの補足を詰め込んで』

 

「なんか凄く変わってない?」

「半分以上恭介の言葉じゃねーか」

「もう、どーにでも、なーれ」

「それももらいだ」

「!?」

 

『もうどうにでもなれ! 一輝神無 少しやけになって」

 

「うぁ」

「最後のほうで二連続……」

「言う、な」

「…………も、もう用はないな」

「かえ……る、な!」

 

そういって引き止め(物理)をしようとしたら真人が行動した。

 

「んまっ……」

 

が、立ち上がろうとしたときに鈴にシャーペンでわき腹を刺されて変なこえを出した。

 

「つぁ……ちょぎ……!」

 

というか言葉になってないだけか

 

「また奥深い名言が生まれちまったな」

 

『んまっ つぁ ちょぎっ! 井ノ原真人 己の人生を振り返り』

 

「いった、いなに、が?」

「うん、なにがあったんだろうね」

「ふぅむ、興味深いな」

「対訳ものっけておこう」

 

『 んまっ  つぁ   ちょぎっ! 

 マヨネーズ を お持ちいたししました  井ノ原真人 空を仰ぎ見て』 

 

「なん、で?」

「マヨネーズか?」

「うん」

「しかも、みろ、こいつ。空に向けてマヨネーズを差し出しているぞ!」

「あ、ほんとだ」

「謎は深まるばかりだな」

「てめーにわき腹刺されただけだよっ!」

 

そんな風に名言は終わった。

黙ってればよかった。二つも変なのを言われるなんて、これは恭介のないことないことをいいふらすしかないね。

 

「今、なんか悪寒が」

 

気のせいだよ、あはっ!

 

 

 

その後しばらく雑談をしている(結局謙吾は帰らなかった)とふと思い出しように恭介が言った。

 

「そういや野球。来週末に試合やるからよろしく」

 

ぴたりと全員の動きが止まった。

それは僕も例外じゃなく。

 

「え、きょ、す、け?」

「いいか恭介。試合をするには足りないものがある」

「なんだ?」

「そうか、わからないか。なら教えてやる。それは、残りのメンバーと、練習時間と、練習道具と、残りのメンバーだよ!」

 

あれ?

 

「こいつ残りのメンバーって二回言ったぞ」

「きっと真人なりに重要な意味があるんだよ。深く詮索しないであげてよ」

「大、事なこ、となの、で?」

「うん、そんな風に」

「意味なんてねーよ! ごめんなさいでしたーっ!」

「やっぱ馬鹿だ」

「あ? さわりまくって馬鹿うつすぞ!!」

 

ずがんっ、と強いハイキックを首元に食らって意識を失う真人。

まぁセクハラ発言だし、しょうがないよね。

 

「そこんとこ、どうするつもりだ?」

「練習道具はあるだろ。部室の道具を借りればいい」

「残りのメンバーは?」

「これから探すさ」

「残り4人か」

「いや、神無はできるだけ補欠だ。毎日が非番とはいえ、急な用事が入らないとも限らない」

「なら、残り5人か、見つかるのか?」

 

とりあえず恭介の心遣いは助かる。

そして謙吾は本気で野球に参加するつもりはないみたいだ。

いいけどね、別に。

 

あ、真人が猫に引っかかれて起きた。

 

「なぁ、鈴」

「ん?」

「ちょっとメンバー集めを頼まれてくれないか」

「そんなの、できない」

「これ耳につけてみろ」

 

恭介が取り出したのはイヤホンのような黒い塊。

鈴がそれを耳につけて、恭介が携帯にもしもし、というと鈴が飛び跳ねた。

 

「感度良好。さっそくミッションを開始する」

「すご」

「こういうの、恭介って得意だよね」

 

普通できない。

 

 

 

結論、無理。

適当な挨拶なんか提案したおかげで引かれた上に、正直に答えた結果、断られた。

そりゃそうなるよね。

 

代打ばーすってなにさ。わけがわからないよ。

 

呆れていると、場に変化が起きた。

 

『あら、棗さん』

『?』

『こんなところでなにを遊んでいますの?』

 

誰かの声が聞こえた。

それも、多分同学年くらい。こんな話し方をする人はめったにいない。でも、一人だけこの話し方をする人を知っている。たしか。

 

「ささ、せが、わ」

「誰だ?」

「謙吾の、ファン」

 

そう、謙吾を愛する乙女だ。

その関係で一応顔を知っている。

 

とかなんとか考えてるうちになんか戦いが始まった。

 

まぁ、結果的に鈴が負けた。ハイキックはすさまじいけどそこまで運動をしていたわけじゃなかったし、当然といえば当然の結果。三人がかりを撃退しただけで十分かも。

 

こうして、スパイ大作戦は失敗に終わった。

 

 

 

 

 

 




次の投稿もだいぶ遅れると思いますが長い眼で見ていただけると幸いです。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。