ダンジョンに大魔道士がいるのは間違っているだろうか   作:玲人

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何かいろいろ書いてたら5000文字超えてしまった・・!
こんなに長いと読むのも面倒になってしまいますかね


追記・・8月6日 23:00現在

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・・!?
執筆している間にとんでもなく見られていた・・!
本当にありがとうございます・・!

次話投稿は8月10日を予定しております。
今しばらくお待ちください!



プロローグ

ある男の話をしよう

 

特別裕福な家庭で育ったわけでもなく

恵まれた環境で育ったわけでもない

 

普通の家庭で普通の愛情を受け、普通に育った

ある男の話を

 

 

名をポップ

ランカークス村で鍛冶屋兼武器商人である父ジャンクと母スティーヌの間に生まれた何の変哲もない平凡な男である

普通の愛情を受け、普通に育ったポップの性格は端的に言うと悪ガキそのものだった

悪さをしてはジャンクに怒られスティーヌに慰められる・・・そんな毎日を送っていた

 

その日も彼はいつものように村にいたずらを仕掛けて周りの子供達を困らせようと画策していたが後を追っていたジャンクにバレてしまい、必死に逃げていた

 

逃げていた先が決して逃げ込んではいけない森とは知らずに

 

「ポップ!そこから先は行っちゃ行けねえ!すぐに戻ってこい!!」

「へへーん!そんな事言って足を止めさせるのが目的だろ!引っかかるもんか!」

「ポップ!ダメだ!それ以上進むな!!」

「え?・・・うわああああああああーー!!!!」

 

ジャンクから逃げるのに必死だったポップは転がり落ちるように20mほど地上から転落し、体を地面に強打した結果、四肢の至る所に打撲や捻挫の兆候が見られ、脳は揺れ軽い脳震盪状態になり方向感覚が完全に狂ってしまっていた

意識が朦朧としている中、ポップの目に飛び込んできたのは口から蒼い炎を出す3匹の狼だった

 

「あ・・・ああああ・・・・・・」

 

今の自分でも目の前にいるモンスターが何をしようとしているのかは分かる

あと数秒で目の前の狼達は自分を食い殺すだろう

正常な思考を保つことが困難な状況の中、ポップが起こした行動は意外な事に戦うことだった

真横に落ちていた檜の棒を手に取り、自分で出せる精一杯の殺気を飛ばして目の前の狼を睨んだ

 

幼少の時代からスティーヌはポップに教えを説いていた

いずれ来るであろう父、母の死

死のことばかり考えていると途端に恐ろしくなり、布団に潜り込んで震えていた日々

どんな人間であれ寿命という病気は克服することは出来ず、例外無く人は死んでいく

生半可な教えではポップの脳裏に刻まれた死という概念は取り除くのは不可能だった

そんな中スティーヌがポップに伝えたことはただ一つ

 

「人はみんないずれ死ぬの・・・だからこそ1日1日を精一杯生きるのよ」

 

あの時ポップはスティーヌの言っている言葉の意味が分からず一蹴した

だが今なら分かる

人とは逃げるために戦うのではなく、生きるために戦う生き物である

そう教えられたポップの行動は早かった

目の前の狼から逃げてもいずれは追いつかれて殺されるならば自分が持ちうる全てを出し切って死んでやろうという逃げの思考ではなく戦う思考へと切り替わる

 

モンスターであれ、人であれ、逃げている生き物の思考とは思いのほか単純であり、ましてや追う者、追われる者との間に実力差があるなら尚更である

逃走とは自分の事を脅威と感じていると相手に悟られてしまう行動である

一回でも悟られてしまうと「戦闘(たたかい)」ではなく、それは「狩り(あそび)」となる

 

しかし、事限って戦闘となると話は別

人とモンスターの共通の見解はどんな形をしている敵であれ、自分を殺そうという殺意を放っている敵にはこちらも一寸の油断もなく対処しなくてはならない

さもなくば自分が本当に殺されるかもしれないのだから

 

逃走と戦闘

結果としては実力差があるのなら最終的な結果は変わらない

だが相手を仕留める時間だけは決定的に違うのである

奇しくもポップが起こした行動が彼の人生の明暗を分けた

 

「怪我はありませんか?」

 

気づけば対峙していたモンスターは退治され、一人の男がその場に立っていた

 

 

 

彼こそが後の師であり、世界にその名知らぬ者無し、魔王ハドラーを打ち倒した世界最強の勇者

アバン=デ=ジニュアール3世その人であった

 

「出発の日に死にかける夢を見るとは演技でもねえや・・・」

 

ロモス王城の客室にて仄かな日差しを受けポップは目を覚ました

数多の魔王軍を倒し、そして大魔王バーンを打ち倒した勇者ダイとその仲間の名声は各王国に広がっており、何処へ行っても賓客扱いをされ少しうっとおしさも感じていた

 

「初心を忘れるべからず、自分の命が今あるのはあの時のおかげ、努々忘れるなってことか?感謝しているさ・・先生にもみんなにも・・そして家族にもな」

 

誰も聞いていない虚空に話をかけた後、ポップはベッドから飛び起きて日課である瞑想を始める

客室の専属女中が入ってくるも全く微動だにしないポップの様はもはや悟りの境地に達した賢者そのもの・・・いや賢者の佇まいであった

瞑想を終えて女中が持ってきた朝食に舌鼓し、身支度を整え部屋を出ると一人の女性が通路の壁に背を預け待ち構えていた

 

「本当に行くのね?」

 

凛とした空気の中にも暖かさを感じさせる女性。自分と同じアバンの使徒であるマァムがそこにいた

 

「ロン・ベルクの話だとダイは生きている。ダイの剣が光を失っていないのがその証拠だと言っていた。だが俺達人間は持っている寿命は魔族に比べて短い。待っていても俺達が生きている間に帰って来るかは分からねえ。少しでも可能性があるのなら俺は行くよ」

 

「私を置いて?」

 

そう言われてポップは立ち止った

大魔宮バーンパレス攻略の時、大破邪呪文(ミナカトール)を成功させるために必要な5つの正義の魂。自分だけがアバンのしるしが光らせる事が出来ず、周りの仲間達は自分のしるしを光らせていき自分だけが光らせることが出来ないでいた

だがポップは光らない理由を血の系譜のせいだと妬み、嘆き、そして憎んだ

 

レオナは国の王女としての気品 民を導く調停者 絶対的な 「正義」

ヒュンケルは魔王軍に育てられ、常に戦いに身を置き、敵を屠り続ける 「闘志」

マァムは寄り添う者に分け与える事ができる溢れんばかりの 「慈愛」

ダイは勇者として、ありとあらゆる敵に立ち向かう 「勇気」

 

誰も彼もが新時代を担う仲間達、一言で言うならサラブレッドだった

 

何故自分なのか

何故普通の村の普通の家庭で生まれた自分がここにいるのか

あぁ・・あいつらは持つべき物を持っている者

自分じゃあいつらには敵わない

 

そんな後ろめたい事を考えても時間は有限であり決戦の時は来たる

そんな心境で決戦の場に挑んでもしるしが光らないのはもはや自明の理

最後の最後まで自分の心の弱さを誰にも相談しなかった愚かな男の末路

今まで心の拠り所でもあり教えでもあったスティーヌの言葉を忘れ、その場から逃げ去ろうとした時、目の前が鮮血に染まった

 

「な・・・!?」

 

思考と肉体が反転し、意識が体を乗っ取る

妖魔司教ザボエラが放った毒牙の鎖から想い人を身を挺して守ったメルルがそこには倒れていた

 

「メルル・・・何故・・・」

「ごめんなさい・・邪魔をしちゃいました・・・」

 

「何故・・何故俺を庇った!?俺みたいな男死んで当然だろう!?誰になんの相談もせず独りよがりの行動をし、挙句の果てにはしるしを光らせることが出来ず、その場から逃げた俺だぞ!何故・・・何故だ!」

 

「死んで当然の生き物なんていません・・・皆生きるべくして生きています」

「・・っ・・それ以上喋るな!誰か・・誰か解毒呪文(キアリー)を・・!」

 

言っている事が分からない

ただ一つ言える事はあと数分で一人の女性の命が亡くなるということ

それも自分みたいな男を庇った結果、一人の女性が死ぬ

 

虚ろな目で一人、メルルに小言を言い続けるポップ

その時だった

毒が身体を駆け巡り、口には夥しいほどの血で喋るのも億劫なはずなのに残っている力を振り絞りメルルが口を開いた

 

「ポップさん・・・最後のお願いです・・・ポップさんの嘘偽りない答えが聞きたいです」

 

「・・・・・俺は」

 

色んな事から逃げてきた

逃げてきた分だけ仲間たちからは呆れられ、相棒であるダイは苦笑していた

 

「俺は・・・・・!」

 

また俺は逃げるのか

身を挺して俺を守った子を前にして逃げるのか

違う・・・ここで逃げたら俺は死ぬまで自分自身を許せなくなる

今・・・今この時だけは逃げれない・・いや・・逃げることは許さない

 

「マァムが好きなんだよおおぉー!!」

 

口にすれば1秒足らず

しかしその一言を言うまでに幾度の時間を費やしてきた

その刹那、胸にあるアバンのしるしが神々しい光を放ち、その輝きは瞬く間にその場を覆った

 

ポップのしるしが光った理由は最早誰の目にも明らかであった

ダイのしるしが光った理由が「勇気」ではなかった

ポップが今までの自分と決別し、ただ一歩を踏み出した偉業

それこそがアバンのしるしが光った理由 「勇気」 であった

 

アバンのしるしが光ったのを安心したのか、メルルは瞼を閉じた

自分の役目は終わったと言いたそうな顔でポップに体を預けていた

 

「嫌だ・・・!嫌だ!メルル!!死ぬな!こんなクソッタレのために自分が死ぬなんてダメだ!!嫌だ・・・・!嫌だ!!生きて・・・生きてくれえええええええぇー!!!!!」

 

その時、ポップの身体から光が放ち柱が立ち上がる

魔王軍は大破邪呪文(ミナカトール)が完成したのかと慌てふためくが、光の柱の正体はポップの魔法力そのものだった

光は瞬く間にメルルの毒を打ち消し、同時に生命力を回復させていた

蘇生呪文(ザオラル)のような不完全な魔法ではない

一握りの選ばれた賢者のみが使える完全蘇生呪文(ザオリク)と同等の魔法力をポップは体現していた

 

 

 

 

賢者ポップ・・・否、大魔道士ポップの誕生の瞬間

 

 

普通の家庭で普通の家族として生まれ

 

藻掻き苦しみ

 

足掻き苦しみ

 

それでも決して歩みを止める事なく

 

己が自ら人としての限界を超え

 

人類の到達点を押し上げ

 

名の連なる英雄達の一人となった歴史的な一幕である

 

「答えを聞くまでは死なねえよ、それにずっと探すって訳じゃねえ。時間が空いたらまた顔を出しにくるさ」

 

「本当に?」

 

「あぁ、あまりに帰ってこなくてヒュンケルに付いていったっていいんだぞ?もたもたしてると他の女の子に取られるぞ?エイミさんだって諦めたわけじゃなさそうだしな」

 

「ポップゥー!?」

 

いつものポップの飄々とした口調に怒りながらも安心して見送るマァムであった

 

 

ロモス王城前

出発は誰にも話をしていなかったはず・・・にもかかわらず王城前には名だたる英雄達がその場に待ち構えていた

 

「おっかしいなぁ・・・俺誰かに喋ったっけ?」

「ポップ君の最近の顔見てたら分かる人は誰だって分かるわよ」

「俺そんな顔に出してた・・?」

 

パプニカ王国王女のレオナが答えた

 

「湿っぽいのは好きじゃねえし、ちょっくら行ってくるぜ」

「これだけ集まった皆に何も言わないの!?」

「うるへー!こんなにも集まった奴らに一人一人喋ってたら出発が明日になっちまうよ!!」

 

怒りながらも優しい顔でマァムは微笑んだ

横目で見ていたメルルは嫉妬の視線をマァムに向けたがすぐに笑顔になった

 

「まぁ知っての通りかもだけど俺はダイを探しに行く。何処にいるかは分からないから地道に色んな世界を旅しようと思う。天界、地上、魔界色んな所へ行ってくるから、帰ってきた後の旅話期待しとけよ?」

 

語る言葉はいらず

語りたい言葉はもう常日頃から皆に言い聞かせてきた

誰もが喋ろうとしない中、一人の男だけが口を出した

 

「ポップ。地上はそれなりに分かるとは思いますが天界、魔界はどんな敵や味方がいるか想像できません。くれぐれも注意して探索してくださいね」

 

英雄たちの師であるアバンがそう告げる

 

「分かってるって先生。先生も早くフローラ様と結婚して子供を見せてくださいよ!次に戻る時は朗報期待してますよ!(ゲス顔)」

「な・・なななな・・・なんて事言うのですか貴方は!!」

「何回も行方不明になっては女王様を困らせて、そろそろ隠居して落ち着くべきだと思うんですよ、お前らもそう思うよな!?」

 

ポップの問いに全員が首を縦に振り、アバンはどんどん小さくなりフローラは茹でたタコのように顔を赤くしていた

激励したつもりが弄られてしまい立つ瀬がない師であった

 

ポップは額に手を当て、脳裏に移動呪文(ルーラ)の着地地点を描く

行先はバーンパレスが落下した海の上空、そこから地底、魔界へ行く歪があるとロン・ベルクから教わり、ダイの気配が色濃く感じたのはその辺りからだ

 

「それじゃ、地上の人達のことはしばらく頼むぜ!あばよ!移動呪文(ルーラ)!」

 

そしてポップはロクな挨拶もしないまま、その場を去った

だが文句を言う仲間は誰一人としていなかった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「一人旅の醍醐味っていやあ、そりゃあ色んな種族の女の子を見てムフフしたり、あわよくば触らせてもらえたりしないかなー!?なーんてな!?(鼻血)」

 

 

この男ぱふぱふには目がないのである




シリアスの中にもちょくちょく笑いをぶっこんでいくスタイル


次回から本格的にダン待ちと絡めていこうと思っています。

世界線が複雑でこれは無理があるでしょ・・とか
思うと思いますが優しい目で見守っていただけると
助かります( ;∀;)
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