あの時は学生だった自分も今は社畜。
現実逃避のために、また書いています。
少年は白い空間にいた。
いや、漂っていたの方が正しいかもしれない。その空間には上も下もなく、時間の感覚もない。身体も動かず漂う事しかできない。
だから少年は混乱していた。
寝て覚めたらこんな場所にいたのである。いくら寝る前の事を思い出しても特に変な事は起こってはいなかった。
誰だって混乱するだろう。
ちなみに少年は見た目は15、6歳で黒い学ランを着ている。服装からして、一般的な学生のようだ。
『少年、聞こえるか?』
「…………」
少年が漂い始めてからそれなりの時間が経つと、突然誰かの声が聞こえた。
頭の中で直接響いているのか、空間に響いているのかわからないが、ともかく姿が見えない誰かの声が聞こえる。
だが少年はそんな突然の声に驚くそぶりは見えない。それどころか碌な反応も示さない。
『ふむ。驚かぬか』
声の主は、そんな少年の反応に満足そうだった。
『私は神だ』
――俺ってこんな夢を見るくらい厨二病を患っていたんだな……。
とりあえず少年はこれを夢だと思うようにしていた。
こんな変な夢を見る自分に呆れるぐらいの余裕も保っている。
『回りくどいのは嫌いだから単刀直入に言う。お前にはとある世界に行ってもらう。もちろんお前が昨日までいた世界とは別の所だ。以上。何か質問はあるか?』
「…………理由は?」
ここで少年は初めて口を開く。ここが夢だと考えているからか、どこかぶっきらぼうな口調だ。
『私の暇つぶしだ』
「何故俺を選んだ?」
『アミダくじでお前が出た』
「…………」
――なんというか……神らしくないのが逆にリアルだな。
神と名乗る者の適当さに、少年は思わず苦笑いを浮かべた。
「どんな世界だ?」
『行けばわかる。それより質問が多いな。そろそろ切り上げろ』
神はうんざり、といった感じの声をだす。
自分から質問を聞いておいてからの身勝手さに、少年はより苦笑いを強める。
「次で最後だ。俺に拒否権は?」
『ない』
「ひどい神だな……」
だが少年はそう言いながら口元がつり上がっていた。
それは苦笑いではなく、完全に笑っていた。
『そう言うな。きっとお前はその世界が気に入る。それにプレゼントも用意した。目が覚めたらズボンのポケットを見ろ。その世界とプレゼントについての説明した紙がある』
「プレゼント……ね」
この時少年はこれが夢がどうか疑問に感じていた。夢にしては、いろいろなものがリアルに感じれていたからだ。
しかしこれが現実なら現実でもいいかもしれない、という考えも同時に生まれている。
『それではお前の健闘を祈る』
その言葉と同時に、少年は黒い光に包まれた。
黒い光が収まると、少年は白い空間から跡形も無く消えていた。