トータル・イクリプス Cold of united front【凍結】 作:ignorance
1982年10月26日
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吹雪の中、2機の白い戦術機がBETAを殲滅していた。2機の足元は肉片やら血やらで白い雪が赤く染まっていた。
「ラトロワ、基地に戻って補給してこい。光線級がいない今がチャンスだ」
「貴様、本気か!?まだ奴らは数千といるんだぞ!死にたいのか!」
「だからこそ今なんだろうが。BETAとの距離もそこそこあるし、俺達は単機でも充分に戦える」
ラトロワの激昂を意に返さずに淡々と告げる。しかし、ラトロワはその冷静さが逆に怪しく、イムヤがナニかしでかすのではないかと睨んでいた。
「駄目だ。貴様を1人にすればナニをやらかすかわかったものではない。後数十分持ちこたえれば後続の部隊も到着する。それからでも遅くはない」
「無理だな。後数十分を推進剤も弾薬も少ない状態で持ちこたえるより、片方づつ補給すればそっちのほうが生存率は限りなく高い」
「ムゥ…」
「大丈夫だ。いつもと変わんねぇよ」
「…死ぬなよ」
そう言って踵を返し、ラトロワの
「悪いな。でもよ、こうでもしなきゃ終われねぇんだ」
作戦前に組み上げたシステムを起動させる。
「クソッタレ。やっぱ怖えな」
「それでもやんねぇとな。じゃなきゃ、アイツらに顔見せ出来ねえよな」
かつて共に戦った戦友たちの面影を思い出す。
混ざりモノだとか理由があって集められた1個大隊を超える部隊。
最後まで共に戦いイムヤを救って死んでいったかけがえのない存在。
「…俺の後ろには何十万って人間がいるんだ。だからよ、俺に勇気を貸してくれ!」
そう言うと自然と手の震えはなくなっていた。
「…ありがとう」
F-14が雪原を駆ける。真正面から突っ込んでくる突撃級を殲滅する。先鋒が崩れたBETAは足が止まり、背部兵装担架を含む4門のA-97突撃砲の餌食となった。
しかし、肉片となったのは一部だけでそれを乗り越え、次々に向かってくる。
イムヤはそれを見て少数を叩くよりも一気に殲滅する方法に出た。
「仕方ねぇか。生きてりゃまた会えるかもな」
主機を吹かし、管制ユニットの中で咆哮を上げ、BETA群の中に突っ込む。
突撃砲を撃ちまくりどうにかド真ん中に到達する。
「消し飛びやがれ!異星起源種ども!!」
F-14に搭載された最終兵器のスイッチを殴りつけるように叩く。
瞬間、F-14を中心に雪原は焦土と化した。
(…なんだ?この胸をえぐるような痛みは)
謎の不快感に悩ませれながら基地まで到着する。しかし基地ではBETAを殲滅し終えたかのように歓喜に満ちていた。
「貴様ら何をしている!補給を急げ!!」
「何言ってんですか、中尉。BETAは殲滅し終えたでしょう。2000オーバーの英雄さん!」
「…何を言っているんだ?」
ラトロワはMiG-27を降り、作戦指令室に急いだ。通るたびに黄色い歓声が上がるがそんなことよりも状況を知りたかった。
「失礼する」
指令室の扉を開け、状況を伝えてもらおうしたが指令室もまた歓喜に満ちていた。
「どういう状況か、説明しろ!」
ラトロワはイムヤとの喧嘩以外で初めて声を張りあげた。
「中尉が時限爆弾を設置してBETAを殲滅したんじゃないんですか?」
「何を言っている?」
答えたCPの意味不明な回答に頭を悩ますがスクリーンに映る戦域図を見て理解した。
戦域図には撃破されたBETAしか映っておらず、自身の撃墜スコアは2000をゆうに超えていた。
逆に残ったイムヤのスコアは1たりとも動いていなかった。
(まさか…。冗談だろう。そうだと言ってくれ、イムヤ)
そのとき、ラトロワは完璧に理解した。
イムヤは自爆したのだと
ラトロワは早足に指令室を飛び出し、自室へと戻った。鍵を閉め、扉を背に崩れ落ちる。
「うああァァァ……」
感情が爆発した。不快感の理由を理解し、感情のままに泣き出した。
彼女はその日一日歓声のなか、1人涙を流した。
2個分隊で1個小隊(計4名)、3個小隊で1個中隊(計12名)
3個中隊で1個大隊(計36名)ってのが戦術機運用の設定らしい