トータル・イクリプス Cold of united front【凍結】   作:ignorance

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stage20

キャットウォークに二人の男がいた。

一人は手摺に背中をあずけ、自分の愛機を見つめ、一人は手摺を支えにし、自分が関わった機体に背を向けていた。

 

「塗装、システム、カスタマイズ、全てにおいて完璧に仕上げておいた。しかしまぁ、真っ黒な機体からモノクロに切り替えるとはな。らしくもねぇことするんだな」

 

手摺を支えにしていた男は隣に立つ男に自身が携わった用件を確実に伝えた。オレ的には及第点と言ったところだなと付け加えて。

 

「十分さ。チェルミナートル(Su-37UB)と戦うにはもってこいの装備だし、システムがしっかりと動けば上層部も騙せる。アイツらを守るには満点の出来だな」

 

立っている男は専用の衛士強化装備を身に纏い、これから起こるであろうことに備えていた。

既にこの部隊のハンガーには彼ら二人を除いて人の影も見当たらず、他の部隊が実践試験を行ってるにも関わらずこの機体だけが残っていた。

 

「お前もとっとと逃げろよ。BETAに食い散らかされても知らねぇぞ」

 

管制ユニットに乗り込み、システムを起動させていく。相方の安否を気遣い、事が起きるのを待った。

そういう相方もタブレットで発進までの作業を開始していた。

 

「コード991ねぇ。ホントにありえんのか?」

 

「ありえるさ。ソ連が地中侵攻の跡を埋めていなかったからな」

 

「それで、相棒。今回の目的は?」

 

「99式電磁投射砲の防衛。ジャール大隊の死守。それとラトロワとの約束の堅守」

 

「愛されてるねぇ。っといつでも発進できるぜ」

 

待ってましたと言わんばかりに基地内の警報が鳴り響く。

 

『コード991発令!繰り返す−−−−』

 

「マジか。予想通りってか、確定事項みてぇじゃねぇか。っとハンガーオープン、ケーブル切除」

 

ハンガーの扉がひとりでに開き、不知夜に取り付けてあるケーブルが外れていく。

不知夜が動き出し、ハンガー前のカタパルトデッキに入る。発進シークエンスに入る前に基地からの通信が入る。

 

『貴様、どこの部隊だ。発進許可は降りてないぞ』

 

「そんなこと言ってられんのか。こっちは奇襲食らってんだぞ。単機でも防衛線くらいは張れるさ」

 

『ムゥ…。しかし、ジャール大隊にすでに命令が…』

 

「だったらなおさらだ、馬鹿野郎。時間が惜しいんでな、勝手に出撃()るぜ」

 

回線を一方的に切り、主機をあげる。

 

「フィカーツィア・イムヤ、不知夜、テイクオフ!」

 

モノクロの機体がロシアの蒼穹に向け、飛び立った。

 

 

 

 

 

(ヤレヤレ、こんなところで待機とはな。上層部はなにも考えていなかったという訳か。それにアイツの予想も当たっているとはな、だがまだ光線級は確認されていないのが救いか)

 

『中佐、基地からの通信です。バカが一人で防衛線を張ったそうなのでそれの支援だそうです』

 

部下からの通信にラトロワは笑いが込み上げてきた。上層部がこんな命令を出すことは予定外のところもあるが、かつての英雄がバカ呼ばわりされるのも笑いしか出てこない。

 

「フッ。ジャール大隊各機に告ぐ。これから我々は、単機で防衛線を張り、我らの寝床を守ろうとするお節介の支援だ。現在光線級は確認されていないが出てこないとも限らない。低空飛行を心がけるように」

 

『『『了解!』』』

 

「全機、私に続けぇ!」

 

『『『ураaaa!!!』』』

 

ソ連最強の部隊がロシアの大地を駆ける。

この日、再びソ連最強の分隊が結成されることを今はまだ誰も知らなかった。

 




あれ?もしかしたらもうすぐ中佐の出番無くなるんじゃね?
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