トータル・イクリプス Cold of united front【凍結】 作:ignorance
「待て!それ以上は、行くな!ラトロワ!」
『これ以外に道はあるまい。後を頼んだぞ!イムヤ!』
Γ標的の衝角腕を止めるべくの自爆。
残る2機の不知火・弐型でヤツを討たなければ人類に勝ち目はない。
怒号とも咆哮とも言えるこえを上げてイムヤはΓ標的に挑んだ。
「…ハァ…ハァ…ハァ。またかよ、また俺は。まだ俺は何もなし得てないのか」
Γ標的の残骸の上に立つ黒い不知火・弐型の中でイムヤは愚痴を零した。
前と何ら変わらず、変えられず。ただ、仲間たちが死んでいくのを許してしまう自分が許せず、未だに過去に囚われる自分が嫌いだった。
「クソッ!クソッ!クソッ!………クソッタレー!!」
コンソールを叩き、全ての通信状態が切れている不知火の中で吠えた。
「………ッ」
医務室らしき場所で目を覚ます。気分は最悪としか言いようがない。
「どうやらあの夢を見ていたようだな。半日で起きたのは褒めておく」
隣にいたのは良佑だった。不知夜の整備中であろうに関わらずいることに驚いた。
「ダメだな、俺は。まだ何も…「変わりましたって言って変わったやつがどこにいる。変わろうとして変えられるやつがどれだけいる。アンタはあんたのやり方でやればいいさ」
「…」
何も言えないイムヤに良佑は告げる。
「帝国に戻るぞ。例の彼が近々来るだろう?少なからず不知夜の強化につながるからな」
それに不知火より強い不知夜にやれないことはない。と続けて良佑は医務室を出た。
「弱いな。俺は」
「ったく。どうすんだこれ?」
良佑は格納子でぼやいた。
目の前には解体された不知夜本体ではなく、IGNITIONシステムによって剥げたり、溶けたりしている各部装甲だった。
当の不知夜自体はフェイズ2‘のパーツを流用することでいつでも出撃できるようにはなっていた。
(しかし、あちらで処分しきれないものになるとこっちで処分…待て。まだフェイズ2の不知夜ではIGNITIONシステムは活かしきれていない!この廃装甲とデータ、それと横浜の魔女の頭脳があれば不知夜はフェイズ3となることだってできる!そうなれば不知夜はラプターを軽く凌駕することの出来る戦術機…)
「廃装甲は処分せずにこちらで保管する。横浜に持ち帰るぞ。各員、急げよ。アイツが起きた今、そこまで時間はないんだからな」
開発副主任として、整備主任としてより、上を目指そうとしてるところはどこに行っても変わらない、どこの国の整備主任でも同じことを考えただろう。
そして目指すは頂。全てを圧倒する機体を目指して。