トータル・イクリプス Cold of united front【凍結】   作:ignorance

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一戦入る前にちょっとだけ過去編を入れました。
戦闘描写うまく書けるといいなぁ〜。


stage03

「やっと整備に取り掛かれるか」

ハンガー内で自分の目の前に立つ黒い鋼鉄の巨人【不知火・壱型丙】を自分なりに改造した機体【不知火・壱型乙】。

従来のものに比べセンサーマストを小型化、ジャンプユニットを大型化などいろいろと改造されてはいるが元が元なので稼動時間は心許無い。

しかし、かつての記憶から作り出されたこの機体は自分の命だけでなく、多くの命を救ってくれた。だが、この改造は一時的な応急処置程度に過ぎず、いずれ機体が先に音を上げるだろう。そうなる前に機体の弱点を探り、OSに適した機体にしなければならない。

(あと、1年あるかないか。それまでに完成させねぇとあのバケモンに対抗する手段がねえ)

コックピットブロックに乗り込み機体の各部状況とOSの修正を開始する。

(ソ連軍の上層部に話したところで相手すらされねえだろう。機体に残ってるデータがこっちに来てたら話の信憑性も上がるんだろうが)

作業を始めても脳裏をかつての記憶が過る。

結果としてないものねだりを考えてしまう。

(データがありゃ上と交渉してこいつの装甲と武装を改良出来るだろうが。無いものをねだってもしょうがねぇ、最悪敵機から奪うか)

少なからず、機体強化に必要なものは記憶上、敵として出てくる。それならば巧く撃墜して奪えばいい。

しかし、それでは遅すぎるのだ。悠々と待っていては時間がない、それが彼を焦らせている。

「ハァ。ラトロワ、お前ならこういう時なんて言うだろうな?」

かつての好敵手(ライバル)以上恋仲以下の相手に思いを馳せてはみるが返答の代わりに気だるさが帰ってきた。

明日のことも考えると今日はすぐ休むべきなのだろうが焦りがそれを拒む。

シートに背中を預け、彼女との記憶を思い出す。そしてそのまま意識は混沌の中に消えていった。

 

side 過去

「ラトロワ!あんまり前に出るなって言ってんだろうが!」

『五月蝿い!突撃砲でチマチマやってるよりこっちの方が早く終わる!』

オープン回線で一組の男女が口喧嘩していた。

二人がいる部隊もその近くにいる部隊も、また始まったと呆れながらも小型種の殲滅に当たっていた。

本来なら誰かが止めるべきなのだろうが彼らのコンビネーションは中隊でトップクラスに存在していることは全員が理解しているので誰も口を挟まなかった。

「そう言って一度死にかけたのはドコの誰だ!」

『五月蝿い!チマチマやり過ぎて初っ端から弾切れ起こしたくせに』

「なんだと!」

『なんだよ!』

それもそのはずこの二人、小学生レベルの口喧嘩をしながらも的確にBETAを殲滅していた。

突撃(デストロイヤー)級を肉薄し接近戦で脚を切り、動きを封じる。側面から来た要撃(グラップラー)級の両腕と感覚器を突撃砲で吹き飛ばす。

小型種は後続に任せ、二人とも大型種を撃破していった。

「ラトロワ!テメェ、宿舎戻ったら覚えてろよ」

『それはこっちのセリフ!今日こそギャフンと言わせてやる』

BETA郡を撃退してもなお、二人の口喧嘩は治まらなかった。

日常となった口喧嘩はハンガー内でも行われ、結果上官にこってり絞られて終わるまでがルーティンだった。

この二人は気づいてすらいないが、先にどっちが折れるかと整備士、衛士内で賭けの対象になっていた。

割合はラトロワ6、イムヤ4でイムヤが少し負けていた。が、この口喧嘩、始まったからすでに2ヶ月も経っており、すでに賭け自体が自然消滅しているのではと噂されるくらいだった。

上官に絞られ、疲れた二人は自室に戻り寝る体勢に入っていた。

「ラトロワ」

「なに?」

「おやすみ」

「あぁ、おやすみ」

軽く言葉を交わし同じタイミングで意識を手放した。

戦場では口喧嘩ばかりで仲が悪いと思われている二人だが実は案外仲が良かったりする。

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