トータル・イクリプス Cold of united front【凍結】 作:ignorance
ペトロパブロフスク・カムチャツキー基地に到着し、機体が搬入されている中、イムヤは1人、
当人は無意識のうちに来ていたが、くる理由は心当たりがあった。
「…」
路地裏の真ん中で1人立ち尽くしていると
「久しぶりだな、同志大尉」
懐かしさを感じる口調で懐かしい声が聴こえたが振り向くことはできなかった。
「懐かしいな、同志中佐」
わざとっぽく返してみるが返ってきたのは相手からの苦笑だった。
「らしくないことはするものじゃないぞ?イムヤ」
「あぁ、やって後悔してるよ。ラトロワ中佐」
素っ気なく返したがかつての
「どうした?昔みたいにラトロワと呼んでくれて構わないが?」
「死人に言うセリフじゃねぇよ。分かってんだろ?」
カッコつけて言っているがこのままだといつダメになってしまうか、わからなかった。
コツコツと相手が近づいてくるのに、こっちからは向き合えない、向き合ってはいけない気がしたのだ。
「…顔を見せてくれないか?イムヤ」
「そりゃ、無理な要件だ」
「…そうか。それなら…」
両肩を掴まれ、180度反転させられた。
「…ダメじゃないか。大の大人がそんな顔をしていては」
イムヤの顔は涙やなんやでグシャグシャになっていた。
「こんな顔で向き合えるわけねぇだろ。ちったぁ、気ぃ使ってくれよ」
「悪かったな、だがお前に会えると思って気が早まってしまったよ」
「バカ野郎。オレだってなぁ」
二人はこれ以上なにも言わず、抱き合った。
「…生きていてくれてありがとう」
「すまなかった」
互いに一言だけ呟き、お互いの温もりを全身で感じる。
角の陰に隠れながらこちらを覗いている視線に気づきながら。
感傷に浸るのをそこまでにし、二人の顔が引き締まる。
(後方に3人、わかっているな)
(わかっているよ、いつものやつだな)
(それでいい。タイミングは私に合わせろ)
お互いの耳元で囁き、タイミングを図る。
ラトロワが左手を外すと同時に二人は別れ、駆け出した。
基地内の路地裏は異様に入り組んでいて熟知しているものでも迷いかねないのを二人は淡々と移動していく。
(3人の内、1人はラトロワを追ったか。まぁ、おおかたあいつの部下だろうな)
イムヤはダクトや鉄パイプを足場に、屋上まで上がった。
(ラトロワは問題ねぇだろうし、興醒めしちまったし、帰るか)
屋上の扉に手をかけると内側から開かれた。
開かれた扉の前に立っていたのはさっき別れたはずの彼女だった。
「相変わらず、速ぇよ」
「もう少しだけお前といたかったからな」
屋上の扉を閉め、少し離れたところに座り込む。太腿を軽くたたき、こちらに来いと催促してくる。
イムヤは顔を赤らめながら催促に従った。
屋上に寝そべり頭を太ももにのせる。
俗に言う膝枕と言うやつだった。
「お前はこれが好きだったな」
ラトロワはイムヤの髪を撫でながら微笑んでいた。
「よく覚えているな、何年前だと思っている?」
「18年前だがどうした」
「やっぱ記憶力じゃ頭が上がらねぇや」
「当たり前だろう、初恋の相手のことだぞ」
「初恋の相手が俺とはな。運がわるいとしか言えないな」
「死にかけてるところを何度も救われたら嫌でも好きになるさ」
「そういうもんかね」
「そういうものさ」
互いに向き合い、かつての記憶を辿りながら思い出に浸る。
不意に唇と唇が触れ合う。
「…お前なぁ」
「別に互いにファーストキスをあげた仲だろう。今更じゃないか」
「そういやそうだったな。最初は互いに片思いと勘違いしてたし」
お互いに戦うことを生業としていたため、恋愛なんてモノは眼中になかった。
それに相手を恋愛対象と考えず、背中を預けられる
こういう関係になったのは酒の席だったりするが18年経った今でも少し
「それでこれからどうするつもりだ?」
「今日は暇だしな。このままでもいいが…お前はそうもいかんだろ?」
「察するのだけは昔と変わらずか、昔ほど口煩くないが」
「上官に文句が言えるんだったら言うさ。問題にならなけりゃあな」
よっこいしょと上半身を起こし、身体を伸ばす。
「ありがとな。俺に覚悟を決めさせてくれて」
「今度は何をする気だ?前みたいなことはよしてくれ」
「あん時とは逆だ、生きるために覚悟を決めたのさ。今度こそちゃんと守ってやるよ」
「そうか。それならいい」
ふたりが立ち上がり、背中合わせで空を見上げる。
「死ぬんじゃねえぞ」
「貴様もな。私の未来の旦那様♪」
イムヤは盛大に吹き出した。想定外のセリフにシリアスな雰囲気がぶち壊しである。
「…冗談はよしてくれ。雰囲気ぶち壊しだ」
「本気のつもりだが?貴様が相手なら文句はない」
「あぁ。ホント、俺にはもったいねえ最高の女だよ」
互いの拳をぶつける。昔からの出撃前の願掛けみたいなものだった。
「死ねない理由がまた増えたな…」
「もっと自分を大切にしろ。必要以上の自己犠牲は身を滅ぼすぞ?」
「知ってるさ。身の丈に合わないことは出来るだけしないことにしてる」
「それでいい」
言葉を交わし、お互いの本分に戻って行った。
オリ設として中佐は未婚です。
タグにヒロインはラトロワってつけるべきか否か。
作者は、恋愛とかしたことないのでこういうのってどう書けばいいのかわかりません。アドバイス、意見お願いします。