ロクでなし魔術講師とキツネの呪術師   作:モフモフ毛玉

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ロクでなし、優勝を目指す キツネ、助力する

 

放課後のアルザーノ帝国魔術学院、二年二組の教室にて

 

「…………」

 

「『暗号早解き』に出たい人ー」

 

年に三度行われる魔術競技祭の選手決めが行われている。

 

同学年の各クラスの代表が競い合い、最も優秀なクラスを決める学園行事なのだが、参加する人が全くいない状況となっている。

グレンが『お前らの好きにしろ』と丸々放り投げており、去年参加したシスティーナは、去年はつまらなかったから今回はお祭りらしく楽しもうと、全員参加で参加希望者を募っているのだが誰もが気まずそうに視線を逸らし、名乗り出ない

 

「はぁ……」

 

一向に参加種目が決まらない現状にシスティーナからため息が洩れる。

競技祭の開催は来週とあまり時間が残っていないため、何としても今日中に決めなければならない。

書記を務めるルミアもクラスのみんなに参加を促すが―――

 

「……無駄だよ」

 

ギイブルがうんざりしながら、それに水を差してくる。

ギイブル曰く、みんな最初から負ける戦いをしたくない、今年は女王陛下が見に来るから無様な姿を見せたくない、だから例年通り成績上位者で固めろ、だそうだ。

魔術競技祭は、昔はクラス全体で参加していたそうだが、現在は成績上位者の使い回しという、祭りとは程遠いものとなってしまっている。

 

その理由は大方、総合優勝した場合の特別賞与、名誉と名声に目が眩んだ講師の欲望の結果だとコハクは考えている。

 

(実にくだらない理由だ)

 

そんな事を考えているコハクをよそにシスティーナとギイブルの口論は続く。いよいよシスティーナが怒鳴り声を上げようとしたさい―――

 

 

「話は聞かせて貰ったッ!このグレン=レーダス大先生様に任せてもらおうかぁあああああ―――ッ!!!」

 

 

開け放たれた扉から、グレンが謎の決めポーズをして現れた。

丸投げした時の態度とはうって代わり、やる気満々で競技祭の種目決めの指揮を取り始める。

グレンの出した采配はクラス全員参加という一見勝ちに行くようには見えない編成だった。

 

びっくりしている生徒をよそにグレンはテキパキとメンバーを決めていく。

 

その中で

 

『『使い魔使役』はコハクだな」

 

使い魔、という言葉に皆はピタと止まる。

 

それもそのはず、使い魔はまだ皆保持しておらず、この使い魔使役という種目も毎年捨て種目として扱われて来たからだ。

 

コハクに生徒が詰め寄ろうとしたその時に

 

「これで参加種目は全部決まったな。質問はあるか?」

 

と、グレンが上手くファローする

 

その言葉を区切りに生徒達はグレンに寄って行った。

 

最大の見せ場と言える『決闘戦』の選抜から外されたウェンディを始めとし、選ばれた理由をグレンに質問するクラスメイト達。

グレンその全部に明確かつ的確な答えを言い、納得させていく。

これで決定、そんな雰囲気になりつつある中、それに水を差す人物が現れる。その人物は当然ギイブルである。

 

「……いい加減にしてくれませんかね?先生」

 

ギイブルは苛立ちを隠さず、そのまま成績上位者での編成を吐き捨てるように進言する。

それを聞いたグレンは編成を考え直そうとしたが―――

 

 

「ちょっと!折角先生が考えてくれた編成にケチを付ける気!?」

 

システィーナがその言葉を打ち消すかのように立ち向かう

 

「皆が活躍できるよう、先生がここまで考えてくれたのに、いつまで情けない理由で尻込みするの!?」

 

「先生はこのクラスを優勝に導いてやるって言ってくれたわ!それは皆でやるからこそ意味があるのよ!―――ですよね!?」

 

「お、おう……」

 

グレンも押され気味に頷く

 

「た、確かに……」

 

「あぁ……システィーナの言うとおりだ……」

 

そしてシスティーナに同意する生徒達

 

「やれやれ、好きにすればいいさ」

 

キイブルもふっと笑い大人しく座る

 

システィーナの反抗と純粋な想いと朗らかな笑顔によって、全員参加の編成に決定した。

 

 

―――――――――――――――

 

後日、クラス全員が競技祭に向けて練習する中、コハクは木の上で蝶と戯れていた。

 

コハクが出るのは使い魔使役である。そもそも使い魔と言ってもピンキリであり、そこら辺に居る鳥や蝶ですら使い魔にする事が出来るのである。しかし己の技量や使い魔とする生物の強さによって使い魔にする場合の難易度が変わる為、使い魔使役の術を使う者は居ない。何故ならゴーレムなどの魔法生物を作った方が易いからだ。

 

しばらく蝶と戯れていると下が騒がしくなった。

 

一組と二組の間にケンカが勃発していた。

二組の人数が多いせいで自分達の練習場所が確保出来ない、という事が原因である。

 

グレンの仲裁により険悪な雰囲気は治まろうとしていたが、一組の担任講師―――ハー某が来たことにより再び険悪な雰囲気に包まれる。

ハー某曰く、勝つ気がないクラスが場所を取る事自体が自分達の邪魔だからさっさと中庭から出ていけ、と一方的に言ってきたのである。

その言い分に、昔の記憶をほじくり返された事もあり頭にきたグレンは、自分のクラスの総合優勝に給料三ヶ月分を賭け、ハー某に決闘を仕掛けた。

グレンに散々煽られたハー某も同じように給料三ヶ月分を賭けこれを了承し、一組共々中庭を後にしていく。

 

「……グレンとセリカがいざこざ起こさないように…優勝目指そう…」

 

給料3ヶ月分無くした時の悲惨な光景を思い浮かべ、コハクは優勝する事を決意し、木から降りて他の生徒達にアドバイスをするのだった。

 

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