ロクでなし魔術講師とキツネの呪術師   作:モフモフ毛玉

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ロクでなしとキツネ、アルザーノ学院に来校する。

グレンは走っていた。理由?目覚ましが鳴らず、更に誰も起こさなかったからだ。

 

「だぁぁ!?チクショウ!!なんで起こしてくれなかったんだよあの目覚まし時計!壊れてたのかよ!コハクもなんで起こさなかったんだよ!お前も今日から学校なんだぞ!?」

 

「セリカが起きないから苦戦してた、一回ベットに引きずり込まれそうになった、セリカ……怖い…」

 

「それは分かる!……じゃなくて走るぞぉぉぉ!」

 

「うん、じゃあ、先に行くね『風を纏え』」

 

そう言うとフワッと浮かび飛んで行くコハク

 

「おいコラぁぁぁ!外での魔術は禁止だ!」

 

「あっ、そうだった」

 

フッ……

 

「おい!?そこ屋根無いぞ!?」

 

「あっ」

 

コハクは落ちた。

 

「ぬぉぉぉぉ!何しとるんじゃこの馬鹿がぁぁぁ!」

 

 

 

 

 

 

「ルミア、何か聞こえない?」

 

「え?」

 

ザッパァァァン…

 

「「キャァァ!?」」

 

「なんだなんだ?」

 

「誰か噴水に落ちたぞ!」

 

「大変!助けなきゃ!」

 

「ルミア!?」

 

ルミアが噴水に近くと

 

ザパァァ……

 

「ふぅ、焦った焦った、一時はどうなるかと思った」

 

「……ぉぉ!大馬鹿野郎ぉぉ!」

 

「ゲフッ」

 

追いついたグレンに蹴りを喰らい、もう一度入水するコハク。

 

ザプーン

 

「ふぅ、スッキリしたぜ!あだっ!?」

 

「『スッキリしたぜ!』じゃないわよ!?いきなりなんて事するの!?」

 

「おいおい、人を叩いちゃいけませんって教わらなかったか?」

 

「教わりました!それよりもなんで蹴ったんですか!」

 

「ん?そんなの決まってんだろ?コイツが早く行きたいからってズルして屋根の上を走ってたら落ちたって訳だ。それより……お前らアルザーノ魔術学院の生徒か?急げよ?遅れるぞ?」

 

「何言ってるんですか?時間ありますよ?まだ7時40分ですよ?」

 

「は?いやいや!今8時だろ?ほら」

 

「いえ、7時40分ですよ?ほら私の懐中時計」

 

「本当だな…」

 

「はぁ…ビショビショだ…ヘップシ!」

 

「大丈夫?」

 

「あー…お気遣いなく…それじゃあ行くよグレン、遅れちゃいけないから」

 

「おい待て!?今7時40分と聞いただろう!?」

 

「もう8時だよ、さっさと行くよ!」

 

「やーめーろー!俺はまだ寝たいんだー!」

 

コハクは嫌がるグレンを引きずって歩いて行った

 

「ねぇ、あの人たち私たちと同じで学院の方に行かなかった?」

 

「そうね……でも学院の方にも色んなお店あるし…多分お店の店員じゃない?」

 

「そうかもね」

 

 

 

アルザーノ学院

 

「……遅い!もう授業時間過ぎてるのに。まだ臨時講師は来ない訳!」

 

「まぁまぁ…落ち着いてよシスティ」

 

「まったく、来たら問い正してやるんだから」

 

「はぁ〜…やっと着いた……」

 

「途中で昼寝するからだよ、グレン…何度ひっぱたいても起きないし……セリカと違った意味でたち悪いよね」

 

「あぁぁ!?アンタたち!朝会った!」

 

「 違います〜人違いです〜」

 

「往生際悪いよグレン…」

 

「貴方、大丈夫だったの?」

 

「あ〜…お気遣いどーも…このヘタレでグータラして目が死んだ魚みたいなのはグレン、君達の講師さん。それで僕は転入生のコハク…よろしくね」

 

「転入生!?」

 

「あははは……いきなりでごめんね〜?それじゃあグレン授業して」

 

「へーへー、テメエは俺の監視役かよ……」

 

「そうだけど問題あるかな?」

 

「…ったく、今日の授業は〜」

 

面倒くさがりながらグレンは黒板に書いていく

 

「なっ!?」

 

「自習だ……眠いから…」

 

黒板にデカデカと『自習』と書くと教卓に顔を付け寝始めた。

 

「ちょっと待てぇぇぇ!」

 

システィーナは文句を言うべく、教科書を持ちながらグレンの寝ている教卓へと走って行った。

 

 

 

「どうかお考え直しください!学院長!」

 

アルザーノ帝国魔術学院の学院長室に怒声が響き渡る。

声の主は神経質そうなメガネの男だ、

 

「私はこの、グレン=レーダスというどこの馬の骨とも知れぬ男とこのコハクという名前の少年を我らの学院に入れたのはなぜですか!?」

 

「しかしなぁ、ハーレイ君、彼を採用し、その少年を学院に入れるのはセリカ君たっての推薦なのだよ?」

 

「リック学院長!まさか、あの魔女の進言を了承したのですか!?」

 

「まさかも何も、了承したからグレン君も魔術講師をやってコハク君も学院に通ってるんだろうに……確かにグレン君は教員免許も持ってないし、コハク君は魔術に関しての基礎知識しかない、だが教授からの推薦状と適切があれば、特例で採用が認められるから何も問題なし……」

 

「その適切が問題なのです!」

 

ばんっと書類を叩きつけるハーレイ

 

「グレンとやらの経歴は11歳でこの魔術学院に入学という華々しいものでしたが、その後は全てに置いて平凡でしか無く、四年の魔術学士課程を経て15歳に卒業という名目の退学最終成績もやはり平凡。特に見るべき所もありません、……しかし!このコハクと言う少年の経歴はおかしいの一言ですよ!孤児として孤児院に預けられ、独学で呪術を取得、更にその実験過程で使い魔らしきものを五体作り上げている」

 

「ほう?それは凄いのぅ…」

 

「しかし!魔術と対を成す呪術をやっていた時点でこの学院に来るべきではない!普通なら忌むべき呪術を扱う危険な輩をこの学院に入れるのは反対です!しかも!この小僧を引き取ったのはセリカ=アルフォネアです!」

 

「ほほぅ?セリカ君がのぅ……何かしら眼を見張るモノがあったんじゃろうな……」

 

「貴方もあなたですよ!学院長!こんな重大な書類に目を通さずになぜ二つ返事で了承したのですか!?」

 

「そりゃ……だってほらセリカ君が推薦して来た男と生徒じゃし、こう……なんか面白い事をやってくれるとは思わんか?」

 

「思いません!貴方はあの魔女を過大評価し過ぎだ!あの魔女は過去の栄光にしがみつき、己が我欲を振りかざし、守るべき秩序を破壊する旧時代の老害です!」

 

 

「……ほう?言ってくれるじゃないかハーレイ…よくもまぁあの鼻タレ小僧がよくもまぁ偉くなったもんだ……私は嬉しいぞ?」

 

「なっ、いつから居た?セリカ=アルフォネア……」

 

「さぁ?いつからだろうな?先生からできの悪〜い生徒に問題だ、当ててみな?」

 

「転移の術で……いや時間操作……そんな馬鹿な……魔力の波動も、世界法則の変動も感じられなかった……」

 

「はい、不正解。お前、まだまだ三流だよ、精進しな。コハクはこの現象についてすぐに答えが出せたぞ?……ついでに課題だ、今の不思議現象を究明してレポート用紙300枚以内に纏めろ、あ、これ教授命令な」

 

「ぐっ……」

 

屈辱に震えるハーレイを尻目にセリカは学院長に優雅に一礼した

 

「ごきげんよう、学院長」

 

「おお、セリカ君。相変わらず若くて美人じゃのう、羨ましいのう」

 

「ふふふ、学院長もまだまだ若くて素敵だぞ?」

 

「ほっほっほっ、そうか!ならセリカ君、今晩辺りワシと一緒に……どうじゃ?」

 

「ははは、お断りだ。学院長もお盛んだな、いい加減枯れろよ」

 

「はっはっはっ!ワシは生涯現役よ!」

 

「くっ……私は認めんぞ!セリカ=アルフォネラ!あのような愚物と危険な少年を我らの学院に入れるなど……絶対に認めん!何かあったら責任を取ってもらうぞ!」

 

「……取り消せ」

 

するとさっきまでの笑顔が嘘のように消え、冷酷な表情でハーレイを見るセリカ

 

「お前が私を悪く言うのは構わん、影でアイツらを悪く言うのも流す、だが……私の目の前で、アイツらを悪く言うのは許さん、取り消せ、謝れ」

 

「何……を、グレンとか言う男が、……取るに足らない.三流魔術師だという事と……コハクとか言う少年が……呪術を扱う……危険人物……だと言うのは……事実だろう、がッ…!」

 

「はぁ……お前にこれが受けられるか?」

 

そう言うとセリカは左手の手袋を外そうとしていた。

 

「……ッ、わ、わかった、取り消す、謝る…私が……悪かった……」

 

ハーレイが謝るとセリカは外れかけの手袋を付け直し、ニッコリと笑顔でこう言った

 

「そうだ、謝ればいい」

 

「ぐっ……覚えていろよッ!」

 

そう捨てゼリフを残すとハーレイは学院長室から立ち去った。

 

「やれやれ……相変わらずおてんばじゃのう……学院長室が吹っ飛ぶかとヒヤヒヤしたわい……だが、流石に今回の一件は君の差し金でも無茶だよ」

 

「分かっている、本当にすまない」

 

「実績の無い魔術師を講師として学院にねじ込み、更に呪術を扱う生徒を編入させる……ハーレイ君に限った事ではない、おそらくこの学院の魔術師たちもそう思っておるじゃろうな……」

 

「責任は取るさ、アイツらがしでかす事の全ての責任は私が取る」

 

「そこまでして彼らを守るか……彼らは君にとってなんなのか……聞いてもいいかな?」

 

「はは……別に浮いた話でも、因縁がある訳でもない……ただ…」

 

「ただ?」

 

「アイツらにはもっと生き生きしてほしくてな、ただの老婆心だよ」

 

 

「うっわ〜……見ろよロッドあの講師の目」

 

「ああ、死んだ魚ような目をしてる」

 

「私あんな生き生きしてない人見たの始めてかも……」

 

「それに比べてこの転入生は……」

 

「………」

 

狐のお面をつけながらではあるが、黙々と教科書を書き写している

 

((((なんでお前はそんなお面を付けてるんだよ!?逆に読めるのかよそれで!?))))

 

「ねぇ、朝から見て思ったんだけど……暑苦しくないの?そのお面」

 

ルミアが問いかける

 

「ああ、コレ?僕、『放魔症』って病気なんだ。ほら何もしてなくても魔力が流れ出ちゃう病気の」

 

「そうなんだ……だからそのお面を?」

 

「6歳くらいの時にね……『お面つけるけど何がいい?』って医者に聞かれてタヌキにキツネ、猿に……なんか渦を巻いたような茶色いお面の中から狐のお面にした訳」

 

(((チョイスおかしいだろ!?その医者!!)))

 

「それからずっとこれを付けてるんだよ」

 

「そうなんだ……大変だね」

 

「まぁ、慣れたし」

 

するとチャイムが鳴った

 

「ふぁぁ……ん?授業終了か?じゃ、一時間目はこれまで〜次の授業の準備しとけよー」

 

「……本当になんなの……あの講師…」

 

「ヒューイ先生の時は良かったなぁ……」

 

「次の授業もあの講師が担当だろ?確か錬金術の授業だっけ?」

 

「はぁぁ……ヒューイ先生なんで辞めちゃったんだろう……」

 

システィーナはグレンへ反感を募らせていた。それは他の生徒も同じだった。

 

こうしてグレンの始めての授業は生徒達にとって無駄な時間の浪費となった。

 

(はぁ……これはちょっとお仕置きかお説教かな?)

 

そんな中静かにコハクは動き出した、……グレンを説教する為に

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