「はぁー…まったく、あの講師……本当にふざけてるわね……一回ガツンと言って置かないと……」
「まぁまぁ、あの時自習って書いた後にコハク君が一喝してくれたじゃない」
〜回想〜
「今日は〜、自習だ〜……眠いから……んじゃおやすみ〜」
「ちょっと待てぇぇぇ!」
ズカズカとグレンに歩み寄ろうとするシスティーナ
「待って待ってそんなんじゃダメだよ」
「何よ!?」
そんなシスティーナにコハクはポンポンと肩を叩く
「そういう時はね……」
そう言うとゴソゴソを制服の袖に手を突っ込み、その中から複雑で読めない文字がビッシリと書かれた『ハリセン』を取り出す。
(((いや、どっから出したんだよ!?それにどう入れてたんだよ!?)))
「『一喝』!」
飛び上がり、ハリセンをグレンの頭へ振り下ろす
ズパァァァァン…
「ギャァァァ!?」
ハリセンのいい音が響く
「えっ、何あれ……」
「っ……ぐぉぉ!?お、お前やりやがったな!?」
グレンの体は薄く紫のベールを纏い、その頬には複雑で理解できない文字が書かれていた。
「……授業しないからだよ、お仕置き……ね?」
そう言うコハクはお面で見えなかったが、『赤い』目が怪しく光っていた。
〜回想終了〜
「あれは私もスカッとしたわ、でもあの後も寝ちゃったし、意味なかったわね……」
「そ、そうだね……私はグレン先生には真面目に取り組んで欲しいな……」
「はぁ……次もアイツが授業するんでしょ?……胃がキリキリして来たわ……」
「大丈夫?」
「これは……癒しが要るわ…」
そう言うとルミアに狙いを定め、ユラリと近づき……
「そりゃ!」
「ちょっ!?ひゃっ!?」
「もー!やめてよシスティ!」
キャイキャイと騒ぐ少女達
「はぁ……錬金術の授業だからって着替える必要無いと思うんだけどなぁ……セリカとコハクめ……ん?」
そんな中、グレンが女子更衣室に侵入した
「あー…昔と違って男子更衣室と女子更衣室の場所が入れ替わたんだな……やーれやれ、これが最近帝都で流行りのラッキースケベってヤツか?」はっはっはっ、まさか身を持って体験することになるとは思わなかったな…」
グレンという異性の侵入に殺気立つ少女たち
「あー、待て待て、お前ら落ち着け、俺は常日頃、こんなお約束展開に一言物申したい事があってな……末期の水代わりに聞いてくれや…」
するとピタリと止まる少女たち、最後の遺言くらいは聞いてやるという慈悲だろうか
「俺は思うんだが、そういう小説の主人公って馬鹿じゃねぇかと思うんだよな、だってよ?せっかく女の子の肌を見れるのにすぐに背を向けるんだぜ?その後にボコボコにされるって分かってんのによ?だから俺は気付いたんだよ、それじゃ割に合わねぇと、だから俺は、この光景を目に焼き付ける!」
クワッと目を見開き、仁王立ちを決めるグレンを
「「「「この、変態ーーーー!」」」」
少女たちの怒りの魔法が炸裂し、派手に吹っ飛ばされるグレン。そして芝生で尻餅をついたグレンを待って居たのは……
「やぁ、グレン。君には失望したよ……元々尊敬できる所なんて皆無だけどさ……」
お面の奥に煌々を輝く『琥珀色』の光を見てグレンは顔を青くした
「まっ、待て!俺は見ようと思ってにやった訳じゃねぇ!」
「……それでもねぇ?……罰は与えなきゃね?」
そう言うとコハクは、制服の袖から禍々しいオーラが漂うお札を出した。
「まっ、待て!?それ不味い!?俺呪われちまうよ!?」
「大丈夫、これはせいぜい小指を角にぶつけたり、何もない所で転けたりする程度の呪いだよ」
「い、嫌だぁぁぁ!?」
この後の錬金術の授業は講師の先生が躓き、頭を打ち付けてそれを発見した男子生徒の手で保健室に運ばれた為、中止となった。