ロクでなし魔術講師とキツネの呪術師   作:モフモフ毛玉

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一年ぶりの更新になってしまいました…


呪術師という利点

 

グレンとコハクは走る。

 

「コハク!お前の『眼』で敵とか分からねぇか!」

 

「もう飛ばしてる!教室には生徒だけ……魔術実験室にシスティーナとゲス野郎がいる!グレンはそっちに行って!」

 

片手に薄い紙…式神を持ちながらコハクは伝える

 

「分かった!お前はどうするんだ!」

 

「とりあえず奥へ行く!グレンはシスティーナを助けてから援護に来て!」

 

「OK!」

 

そう返答するとグレンは走る速度を上げ、魔術実験室へ走って行った。

 

「…これでシスティーナは助かる…後は…」

 

式神が淡く輝く、グレンの髪と同じ色の点が、銀と黒の点のある場所へと近づいて行っているのを確認して、コハクは呪文を唱えた

 

「《死を告げる者よ・微睡みから覚めよ》」

 

そう言うとコハクの手の上に黒い蝶が現れる

 

「…行け、『告死蝶』」

 

そう呟けば蝶は羽ばたき、薄い紫の鱗粉を撒き散らしながら道のままに飛んで行く。コハクも側に付いて走る

 

そして、その鱗粉が床へと落ちると…骸骨達が現れる。鱗粉が落ちる度に増えていき、蝶に導かれるままに進む。

 

「さてと…これだけ居れば十分だ…《安らぎの微睡みへ還れ》」

 

そう告げれば、羽ばたいていた蝶は溶けるように消え、骸骨達がその場に残る。

 

「《骸よ・その憎悪を果たせ》」

 

そう唱えると骸骨達はその空っぽの眼窩で真っ直ぐコハクを見る。

 

「さてと、走るか」

 

そう言ってコハクが走ると骸骨達も追随して走り出した。

 

しばらく走ると…前から剣が飛んで来た。

 

「っ…危なっ…!?」

 

骸骨を掴んで叩きつける事により剣を砕いたコハクはそう呟いた

 

「骸骨で防いだか…」

 

奥から男が歩いて来る。男の周りには剣が浮かんでおり、先程の剣も男による物だろう

 

「私たちの計画は…あの講師を倒した事で障害などないとは思っていたが…思わぬ伏兵が居たな…」

 

剣を周りに浮かせながら、男はコハクを見る

 

「しかし、死霊術師とはな…」

 

「死霊術は教わったからやれるだけだよ…じゃあ消えてくれ」

 

そう言って骸骨達を走らせるコハク

 

「この程度の使い魔で倒せると思われるとは心外だな…!」

 

骸骨達は男の周りに浮いていた剣によって砕かれる。

 

「お前のの技量はその程度か」

 

骸骨からの攻撃を避けながらそう言う男

 

「違うけどね…!《爆ぜよ》!」

 

「ぬ…」

 

爆発により砕かれた骨が宙を舞う。そして骨は意志があるかのように集まり、巨大な骸となった。

 

「……なるほど、これは面倒だ」

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「白猫ぉぉぉ!」

 

グレンは勢いよく扉を開ける

 

「ぁ…先生!」

 

「なっ!?今からだって時に…!」

 

そこには組み伏せられたシスティーナと襲おうとしている男が居た。

 

「テメェ…!生徒に何しやがる…!」

 

「はっ…テメェなんざ一撃なんだよ!《ズドン》!」

 

男は余裕ぶって唱えるが、何も起こらない

 

「な、なんで何も起こらね…グボァ!?」

 

「鉄拳制裁だ、クズ野郎!」

 

動揺した男を感情のままに殴り飛ばしたグレンは、男に目もくれずにシスティーナの無事を確認する。

 

「白猫!無事だな?」

 

「私よりもルミアをお願いします先生!」

 

あられも無い姿ではあるが、そんな事お構いなしにシスティーナは叫ぶ

 

「大丈夫だ、コハクが向かってる…俺も行くから、お前は教室に戻って他の生徒と大人しく待ってろ…」

 

「いえ、私も行かせてください!先生!」

 

「…分かった、だが戦闘には参加しない事。流石に俺もお前を庇いつつは戦えねぇからな…」

 

「…はい!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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