エターナルメロディ・悠久幻想曲SS集 恋と冒険と鉄骨と   作:レトロ騎士

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青年とお姫様と月の話 終章

             ◇ 

 散々冷やかされながら、それでも祝福されながら、レミットの案内で王族専用ルートで洞窟を帰還すると、案の定、水晶を通して見ていたらしい皆が、ニヤニヤしてたり、腹減ったーといってたり、口笛を吹いてたりしていた。

 なんか、俺の贖罪とか思ってた事も、レミットと同じく「馬鹿な悩み」だったのか。……そうなんだろうなあ。

 さらにその中にアイリスを見つけて、レミットは泣きながら飛びついた。ごめんなさい、と泣きじゃくる姿は、昔と変わらない。

「おめでとうございます」

「ありがとう、ティナ。まあ、まだ俺とレミットの間での意思確認、って段階だけどな。……ところで、あれ、何?」

 見上げれば月――ではなくて、なんだあれ。

「ええと……なあ、若葉。なんで空いっぱいにカイルが高笑いしてる姿が浮かんでるんだ?」

「究極魔法、だそうです。魔王となって世界征服したさい、世界中に姿を現して宣誓するのが魔王としての王道だと、類まれなる才にて自力で編み出したとかなんとか」

「……はあ」

 ええと、意味がよくわからないが、究極らしい。

「それから、大変なことになると思うでー」

「……? なんでだ、アルザ」

「貴方のプロポーズが、あれで国中に流れたからです」

「うん、キスもいちゃいちゃも、ぜーんぶ、ね」

「…………は?ウェンディ、キャラット。それなんの冗談って……まさかまさかまさか――!

 

 

 ちなみに、である。

 レミット確保の情報にて、各人が予め用意していたワープ魔法で通信係のメイヤーの所へと集まっていると、俺がむにょーんとかむにゅーとかしているのを水晶球でみんなが見ることに。

「いちゃついてますね」

 メイヤーの賛同に、周りの連中も、こくん、と頷く。

 すると、カイルが水晶をメイヤーから受け取って、

「カイルさん?どうするんです?

「せっかくこんな大きな魔法陣が残ってるんだ。オレ様の究極魔法の実験と、迷惑かけたあいつ等への嫌がらせだ」

 

 

 

「と、いうようなやり取りがありまして。水晶に映ったお二人の映像、会話が、はっきりくっきり全て流れました」

 楊雲……彼女が言うってことは、マジなんだろうな。

「つきましては、国王よりお呼び出しがかかっています」

 そして、アイリスさんが、俺に止めを刺した。

 呆然としている俺に、レミットが近づいてくる。

 もはや、助けはお前しか居ないと、俺はレミットを抱きとめると――

「うちの法律では、婚約者でもない人間の王女への口付けは鞭打ちだったと思う。……ちゃんと責任とって、ね?」

 ……覚悟を、決めないといけないらしい。

 「ご両親への挨拶、考えなきゃな」と、現実逃避気味に笑って――俺はレミットを両手で抱き上げたのだった。

 

 

 

             ◇ 

 恋をしていると自覚したのはいつのことだろう。

 その存在に救われていると気づいたのは、旅を始めて割と早い時だったと思う、と、青年は過去を振り返った。

 そして今、青年の愛しい少女は、彼の隣で安らいでいる。

 軽くその美しい金の髪に接吻けて、青年は少女の肩に手を回した。今では、こういう行為も自然とできる。

「……黄昏の魔人、か。なあ、封印しちゃって良かったのか?あの魔宝石」

「もう、いらないわ。だって、わたしが願うことは、アンタじゃなきゃ叶えられないんだから」

「……ОK、お姫様。貴方のボディーガードが、なんなりとお望みを叶えましょう。――出来る範囲で」

 青年の道化に何か不満があったらしく、少女は青年の顔を自分のほうに向かせて、こう言った。

「あのね……二人きりのときは、『レミット』って呼んでよ」

 もたれるように青年の肩に頭を乗せ、赤子がむずがるように甘えて、少女は囁いた。

 青年は、くっく、と軽く笑って、おそらくは生涯『仕える』ことになるだろう、主君たる姫の名を呼ぶ。

 そして、忠誠ではなく愛の証にと、姫君の手のひらに軽く口をあわせ――そのまま、今度は唇に深く接吻けた。

 

 二人、寄り添って夜風を楽しむ庭園にて。

 

 見上げれば月。

 全てを見守るように大きく、恋する者達を導くように神秘的に輝く、二人を祝福する美しい円が、そこにある。




次回策は「時をかけるレミット」
多分来週投下
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