俺は当分その場を動けなかった。
三人を殺してしまった現実と、マーヤというかけがえのないパーティーメンバーを失った喪失感が彼をその場に留まらせていた。
三人のプレイヤーキラー達にはグリーンのマーカーのプレイヤーが一人、オレンジプレイヤーが二人──そうだ、新しく入ったメンバーは囮だった。
囮が俺達の通る場所を伝え、指定の場所で奇襲する。正面の一人に気を取られていた俺は背後を任せていたガカを無警戒だった。そのもう一人により、短剣で首を跳ねられマーヤは死んだ。
「ぐっ、ぅぅぁ……」
ダメだ、思い出しても罪悪感が増すだけだ。
「誰かいるのか?」
声が聞こえた。
男の声だ、十代くらいの若い男声。同年代だろうが警戒は怠らない、地面に突き刺したボロボロの両手剣を抜き、臨戦態勢をとる。
茂みを掻き分け、出てきたのは黒いコートを纏った少年だった。片手剣を背中に吊し、奇妙な事に装備できるはずの盾を彼は装備していなかった。
「お前……プレイヤーを」
少年は見たのだろう、俺のカーソルがオレンジに切り替わっていることに。
「あぁそうだ、殺したよ。三人……いや、四人だ」
プレイヤーキラーの三人、そして俺が殺したも同然だろうマーヤの事も含めて彼に答えた。初め彼は目を見開き警戒をしていたが、何かを察したかのように俺に話しかけてきた。
「何か……あったのか?」
「──ッ!?」
「お前はプレイヤーキラーにしては殺気が微塵も感じられない、プレイヤーキラーにパーティーメンバーが殺され、やむを得ず迎撃しお前だけが残った……そうだろう?」
「ハハッ、分かるのかよ」
その黒髪の少年はピタリと俺の末路を言い当てた。
数時間程その少年と話した。彼はソロプレイヤーのキリト、彼もパーティーメンバーを危険に晒し目の前で敵対モブに殺され、残ったメンバーも外周区から落ち自殺したらしい。
俺は彼と話あった。どうすればパーティーメンバーを守れるのか、どうすればパーティーメンバーを危険に晒さない事が出来るのか。
単純な事だった。相手を信頼し本当の自分を打ち明け、互いに信頼しあえて背中を預けあえる仲になる事。たったそれだけの事だった。
俺は本当の自分を偽っていた、だからパーティーメンバーを危険に晒したのだ。
「本当の自分を打ち明けるのは難しい事だ。このゲームでは情報が生命線だからな。だが本当の仲間には、本当の自分を打ち明ける方が良い、少なくとも俺はそう思うよ」
「そっか、ありがとうキリト」
彼は立ち上がり、背中を向ける。
「そのオレンジマーカー。緑に戻すならこのクエスト受けるといい、かなり面倒臭いけどそのままよりは良いだろう」
そう言うとキリトはクエストの場所を添付してくれた。マップにマーカーが追加される。
「あ、あぁすまないな」
「気にするな、お前も同じ攻略プレイヤーだ。いつかボス攻略出会おうぜ」
キリトは元来た道へ戻り、迷宮区へ向かって行った。
「キリト……か」
俺のフレンドリストに刻まれたその名を復唱した。
これが黒の剣士と蒼の狂戦士の初めての出会いだった。
それから一年と少しが経った頃、黒のコートに青いラインが刻まれたコートに身に余るほどの巨大な両手剣を担いだ剣士が今、浮遊城アインクラッドの第74層の迷宮を突き進んでいた。
「オォ、ッラァァァ!!」
一薙ぎする度に旋風が起こり、盾を構えガードしていたリザードマンタイプの敵対モブが後方までノックバックをする。そしてありえないほどの脚力で間合いを詰め、とてつもない腕力で繰り出される第二波で相手のガードを切り崩す。
「終わり……だァッ!!」
両手剣スキルのブラストを放つ。その重い一撃でリザードマンの身体は両断され、身体を青白いポリゴン片へ変えて跡形もなく消え去った。
プレイヤートウマは、この世界を生き残っていた。
小説しか持ってないと知識量限られる。(´・ω・`)
圏内事件などは回想編としてまとめます。