仮面ライダー剣―Missing:IS   作:断空我

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第九話

 

五反田蘭は一人で街に買い物に来ていた。

 

本当は兄に買い物の同行を頼む所だったのだが、しばらく仕事で帰れないということで家にいないため、一人で赴いた。

 

だが、困った事に。

 

「ねぇ、彼女~。一人?」

 

「俺らとどっかいかない?」

 

と、ナンパされていた。

 

ISが普及して世界は大きく変化して、女性が優遇される世界となってしまい、男性の地位はどんどん下がっているけれど、元々顔の形のいい男子は女性に優しく扱われたりしているため、時々、思い上がってこんな事をしでかすものがいる。

 

蘭は気の強い女の子だが、初対面の相手、特にこういう相手にはたじたじになる部分があり、現にこいつらの避け方を知らず戸惑っていた。

 

「おいおい、少女が困っているじゃないか、やめてやれよ」

 

「え・・・・」

 

蘭を庇うようにして茶色いコートを着た男の人が前に出た。

 

男の出現に数人のチャラ男は睨む。

 

「おい、俺らがこの人と話をしているのに」

 

「邪魔すんじゃねぇよ」

 

「この子はあんたらと話をする気はないみたいだぜ?速攻に他の相手を探す事をおススメするよ?」

 

「うっせぇ!」

 

チャラ男の一人が殴りかかるがそれをあっさりと受け止めて近くの壁に押し付けて他の男にも聞こえるように告げる。

 

「まだやる?やるなら俺は本気だすけど?」

 

男の笑顔に恐怖を感じたのか蜘蛛の子を散らすようにして逃げていく。

 

「大丈夫?」

 

金髪の少女が蘭に駆け寄って尋ねる。

 

「あ・・・・はい・・・・あの、ありがとうございます」

 

「いやいや、あぁいう男子がいることに同性として許せないだけだから」

 

茶色の男の人はにこりと笑顔を浮かべた。

 

「あれ・・・・富樫・・・・さん?」

 

「ん?誰だっけ?」

 

「あ、五反田蘭です・・・・・・覚えていませんか?」

 

「・・・・・・・・あぁ、久しぶりだね~」

 

「え、数日前に会いましたけど」

 

「そうだっけ?まぁいいや、一人で買い物かい?」

 

 

「はい・・・・富樫さんは・・・・」

 

「デートかな?そこのお嬢さんと」

 

「もう、からかわないでよ~」

 

バシンと少年・富樫始の肩をたたく金髪の少女。

 

「それじゃあ、俺達は行くから気をつけてね~」

 

「あ、はい。ありがとうございます!」

 

ぺこりと蘭は頭を下げて二人を見送る。

 

「あの子、知り合い?」

 

「そんなところ、かれこれ数年は会っていなかったらわからなかった」

 

蘭の姿が見えなくなってからエスがKに尋ねる。

 

「名前と顔は取り戻したんだよね?」

 

「あぁ・・・・だけど、数年分の記憶も取り戻せるというわけじゃない。さて・・・・これからどうする?」

 

「どうしょうか?」

 

エスの言葉にKは微笑む。

 

 

 

 

 

 

 

 

伊坂は街の中心に立っていた。

 

周囲の人達はちらちらと伊坂を見ているがすぐに視界から外す。

 

「(これが人間・・・・・・何時の時代になっても変わらないな)」

 

人を見下して伊坂は不適に笑う。

 

今から徹底的に破壊してやろう。

 

人間共を皆殺しにして、自分の種族を繁栄させようと。

 

アンデッドとなり羽手裏剣を放つ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

BOARDの部屋で一夏と弾は剣崎、橘と向かい合っていた。

 

机には一夏と弾のブレイバックルとギャレンバックルが置かれている。

 

何時になく真剣な表情をしている橘の表情に二人はたじたじになっていた。

 

 

「さて・・・・」

 

びくっ!と二人は身構える。

 

「お前達の訓練が終了し、封印を解こうと思う」

 

「封印?」

 

「・・・・ギャレンとブレイドのバックルは融合係数が上昇するのを防ぐためのリミッターが施されている」

 

「リミッター?」

 

「キミ達も知っていると思うがアンデッドとの融合係数が高いと色々と危険な事が起こる、それ故に封印を施した・・・・しかし、上級アンデッドの出現により現状のままでは戦闘は危険であると判断し、封印を解除する事にした」

 

「封印が解除されたからブレイドとギャレンの力はより向上するけれど、危険度も増すから気をつけるんだ」

 

「・・・・危険度?」

 

弾の疑問に橘が答える。

 

「アンデッドとの融合係数が高いとよりアンデッドに近づいてしまう。そもそもライダーシステムはどんなアンデッドの姿になれるという“ジョーカー”という存在を模して作られている。といっても使えるのはカテゴリーAのみだが・・・・、だが、カテゴリーAとの融合係数が大きくなるほど、他のアンデッドとの融合係数も大きくなり危険な状態になる」

 

「危険な状態ってなんですか?」

 

「・・・・・・・・」

 

「ごめん、それはまだいえないんだ・・・・」

 

「いえないことなん・・・・ですか?」

 

「いや、まだそうなるかわからないからなんだ。俺達もこれからどのような事が起こるのか予想できない」

 

何を隠しているんですか?と一夏が聞こうとしたところでドアが開いて虎太郎が息を切らして入ってくる。

 

「大変だよ!」

 

「どうした虎太郎!」

 

「街のど真ん中にアンデッドが出現したよ!しかも上級アンデッド!」

 

「行きます!」

 

「俺も!」

 

机に置かれていたバックルを手にとって二人は飛び出す。

 

橘と剣崎は見送る。

 

「頑張れよ・・・・」

 

「無茶はするな」

 

 

BOARDの地下駐車場に停車させてあるレッドランバスとブルースペイダーに飛び乗って、ヘルメットを装着して走り出す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

街は大混乱だった。

 

ピーコックアンデッドが羽手裏剣で建物を破壊して彼の洗脳を受けたジャガーアンデッドとシェルアンデッドが人を襲っている。

 

自衛隊に所属していたIS部隊も彼らの手によって無力化された。

 

「これがヒューマンアンデッドの望んだ世界?笑わせる」

 

ピーコックアンデッドはふと、逃げ遅れた一人の少女に気づく。

 

少女は泣いている男の子を守るようにして逃げているが、何かに躓いたようだ。

 

人間は全て殺す。

 

ピーコックアンデッドはゆっくりと少女に近づいていく。

 

少女目掛けて巨大剣を振り下ろそうとしたピーコックアンデッドに赤いバイクがぶつかる。

 

「ぐぁっ!?」

 

攻撃を受けたピーコックアンデッドはごろごろと地面を転がる。

 

「蘭!?大丈夫か!」

 

ヘルメットを外して少女、蘭に近づいてきたのは五反田弾。

 

「おにぃ!?」

 

「怪我はないみたいだな・・・・早く安全な所に逃げろ!」

 

「何言ってるの!おにぃも逃げないと!」

 

「俺は・・・・あいつを倒してからだ」

 

「何言ってるの!勝てるわけないよ!ISでも歯が立たなかったんだよ!無理だって!」

 

「ISが勝てないからって俺達ライダーが勝てない理由にはならねぇし・・・・何より大切な妹がピンチなのに兄貴がなにもしないってわけにはいかねぇよ!兄貴っていうのは妹を守るもんだからな!」

 

弾はギャレンバックルにカテゴリーAのプライムベスタを入れる。バックルからカード状のベルト・シャッフルラップが自動的に伸張しバックルが装着される。

 

「・・・・変身!」

 

『ターン・アップ』

 

ターンアップハンドルを引いて目の前に展開されたオリハルコンエレメントを潜り抜けてギャレンと変身してピーコックアンデッドに殴りかかる。

 

「ぐぉっ!?」

 

ブレイド同様、敵にならないと判断していたピーコックアンデッドだが、顔に一撃を受けて後ろに仰け反る。

 

「あれ・・・・・・なんか・・・・パワーが桁違いに」

 

ピーコックアンデッドを殴った拳を見ながら、パワーが上がっている事に驚くギャレン。

 

ギャレンにジャガーアンデッドが襲い掛かろうとするがブルースペイダーに乗ったブレイドがバイクで弾き飛ばす。

 

ホルダーからブレイラウザーを引き抜いてジャガーアンデッドに斬りかかる。

 

ブレイドにシェルアンデッドが襲い掛かろうとするが、横からカリスが斬り伏せる。

 

「てめっ!」

 

「・・・・・・」

 

カリスはブレイドを横目で見ながらシェルアンデッドに攻撃を仕掛ける。

 

睨みながらもブレイドはジャガーアンデッドへ攻撃を開始する。

 

ギャレンはギャレンラウザーで羽手裏剣を全て叩き落す。

 

「(すごい・・・・全ての力が格段に跳ね上がっている・・・・これなら勝てる!)」

 

ギャレンは間合いを詰めてピーコックアンデッドに攻撃をして行く。

 

ピーコックアンデッドはどんどん怒りが湧き上がっていた。

 

何故、ここまで押されている?

 

こいつは橘朔也ではないのに。

 

何故こうも押されている!!!

 

怒りが爆発したピーコックアンデッドは周囲に羽手裏剣を放つ。

 

そのうちのいくつかが建物に命中して瓦礫が蘭の上に落下してくる。

 

「蘭!?」

 

ギャレンがギャレンラウザーを構えようとするが間に合わない。

 

『キック』

 

『サンダー』

 

『ライトニングブラスト』

 

 

『チョップ』

 

『トルネード』

 

『スピニングウェーブ』

 

「ウェェェェェェェェェェェェェェイ!」

 

「ハァァァァァァァァァァァァァァァァ!」

 

ブレイドとカリスの必殺技がジャガーアンデッドとシェルアンデッドに炸裂して落下する瓦礫に命中して瓦礫が崩壊して蘭を守る。。

 

倒れた二体のアンデッドにカリスとブレイドはプロバーブランクを投げた。

 

二枚のプライムベスタがそれぞれ二人の下へ向かう。

 

「次は・・・・・・」

 

プライムベスタを仕舞うと同時にカリスとブレイドは同時にピーコックアンデッドに斬りかかった。

 

「蘭!大丈夫か?」

 

ギャレンが蘭に駆け寄る。

 

「だ・・・・大丈夫・・・・」

 

「立てるか?」

 

「う・・・・うん」

 

「よし、安全な所へ」

 

ギャレンは蘭を抱えて安全な所へ走り出す。

 

 

 

ブレイド、カリス、そしてピーコックアンデッドによる三つ巴の戦いが繰り広げられていた。

 

そう、三つ巴の戦い。

 

ブレイドはアンデッドを封印するため、そして富樫始を殺したカリスを倒すために。

 

カリスはアンデッドの封印、そして斬りかかってくるブレイドを押しのけるために。

 

ピーコックアンデッドは邪魔するブレイドとカリスを倒すために戦っていた。

 

「くっ」

 

「うっ」

 

「ぬっ!」

 

ピーコックアンデッドの巨大剣をブレイラウザーでいなし、がら空きとなった胴体をカリスアローで切り裂き、ブレイドは拳をカリスに向けて放つ。カリスは接近してくる拳をいなす。

 

お互いに一歩も引かない状態だった。

 

「・・・・・・」

 

「ふっ」

 

 

突如、ブレイドとカリスは同時に後ろに下がる。

 

「なん・・・・」

 

下がった事に戸惑ったピーコックアンデッドだが、大きく目を見開く。

 

何故ならそこにはギャレンラウザーのオープントレイを展開してプライムベスタを取り出しているギャレンの姿があるのだから。

 

 

『ドロップ』

 

『ファイア』

 

『ジェミニ』

 

『バーニングディバイド』

 

ギャレンが二人になりピーコックアンデッドに向かって駆け出す。

 

ピーコックアンデッドは叫びながら巨大剣を構えて右の分身へ振り下ろす。

 

振り下ろされた分身は左のギャレンへ吸収される。

 

「クソォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!」

 

断末魔と共にギャレンのバーニングディバイドが炸裂した。

 

さらに追い討ちをかけるように二人のライダーもプライムベスタの力を解放する。

 

『キック』

 

『サンダー』

 

『マッハ』

 

『ライトニングソニック』

 

 

『ドリル』

 

『トルネード』

 

『スピニングアタック』

 

三人のライダーのコンボ技を受けてピーコックアンデッドは爆発して倒れ込む。

 

ギャレンはプロバーブランクを取り出して投げる。

 

プロバーブランクに吸収され、ピーコックアンデッドは封印される。

 

カリスは二人に背を向けて歩き出す。

 

「待て!お前なんで・・・・」

 

「・・・・全てのアンデッドは俺の敵だ・・・・そして、何も知らないお前に俺が話すことはない」

 

「何も知らないって・・・・俺が何を知らないっていうんだ!」

 

 

カリスはブレイドに何も言わず姿を消す。

 

残されたギャレンとブレイドも警官隊がやってくる前に避難する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やはり・・・・融合係数が跳ね上がっている」

 

「その分、パワーも上がっている」

 

BOARDの部屋で橘朔也と剣崎一真は先ほどの戦いを見ていた。

 

「しかし・・・・いいのか、剣崎。このままいくと彼らはお前のように・・・・いや、お前以上になるかもしれない?」

 

「そうかもしれません・・・・でも、俺は信じたいんですよ。彼らならきっと俺達とは違う“答え”を見つけられるかもしれない・・・・。俺が選ぶしかなかった道以外を」

 

「・・・・・・そうか」

 

「さて、俺は引き続き任務に戻りますね。一夏達によろしくといっておいてください」

 

「・・・・まだ行方はわからないのか?」

 

「はい・・・・でも、あいつならきっと何かを知っているかもしれません。この世界を望んだアンデッド・・・・“ヒューマンアンデッド”なら・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この日、新たな都市伝説が生まれる。

 

 

怪物の前にバイクに乗って颯爽と現れる。仮面で素顔を隠したヒーロー、名を仮面ライダー。

 

 

仮面ライダーの存在をほとんどの人間は否定し疑った。

 

 

しかし、あの騒動を目撃した人は忘れる事はないだろう。

 

 

仮面ライダーの存在を。仮面ライダーの戦いを。

 

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