「はぁ・・・・海にいけないなんてつまらないよ」
「文句言うな。IS学園の奴らに素顔見られたら一番危険なのはお前なんだぞ?」
「わかってるけど・・・・・・」
「・・・・俺といるのがイヤなら出て行ってもいいが?」
「別にそういうわけじゃないよ。始のイジワル」
「はっはっはっ・・・・・まぁ、後で海に行くぞ。全てに決着をつけるために」
「うん」
シャルロットはどこかつらそうな表情を始に気づかれないようにして微笑む。
「一夏君・・・・どうかしたの?」
部屋に荷物を置いて一息ついたところで虎太郎が尋ねてくる。
え?と一夏が戸惑っていると虎太郎が口を開いた。
「なんか・・・・辛そうだよ」
「俺、そんな顔しています?」
「顔というか態度かな」
虎太郎はそういって一夏の肩をぽんと叩く。
話してしまうか?と一瞬悩んだ。
パーキングエリアで出会った織斑マドカという少女の事。
カリスのいっていた誘拐事件のもう一人の誘拐された人物の事。
そして、殺された富樫始。
「いえ・・・・」
しかし、一夏は言葉を飲み込む。
これは自分で解決するべきことなのだ。
彼女の事も、カリスとの決着も、誰かに話してどうこうなるわけではない。
「(俺の手で・・・・)あ、虎太郎さん。俺泳ぎにいってきます」
「うん、気をつけてね」
一夏は更衣室である部屋に入って着替える。
別館の更衣室といっても部屋の一番奥にあるために、どうしても着替え中の女子生徒の会話が耳に入ってきた。
「わ、ミカってば胸おっきー。まだ育ったんじゃないの?」
「きゃっ!や、やめてよぉ」
そんな会話を聞きながらも一夏は平常心を保ちながら更衣室で着替えて外に出る。
パーカーを羽織って、外に出た。
「あ、織斑君だ!」
「う、うそっ!わ、私の水着変じゃないよね!?大丈夫だよね!?」
「うわっ、パーカー着ているけど、腕の筋肉すごいね!」
「本当だー」
一夏がやってきたことに慌てた様子をみせる女の子達や体つきに驚きの様子を見せる女子もいた。
その中で一夏は準備体操をして、パーカーを飛ばされないように上に石をのせ飛ばされないようにした。
「泳ぐか!」
「ちょっと待ったぁ!」
「・・・・・・鈴か」
泳ごうとした一夏に待ったをかけた人物は凰鈴音だった。
彼女はスポーティーなタンキニタイプ。オレンジと白のストライプの水着を着ている。
びしっ!と一夏に指を突きつけて鈴音は叫ぶ。
「勝負よ!」
「おう!あの時の決着をつけられそうだな!」
少し前に一夏は鈴音達と海に繰り出した事があり、その時に勝負をしたのだが結局つかずじまいだった。
「一夏さん!」
泳ごうとしていた一夏を呼び止めたのはセシリア。
彼女は鮮やかなブルーのビキニを着ていて、腰に巻かれたパレオが優雅で格好いい。
手にビーチパラソルとシートを持っている。
「サンオイルを塗ってもらう約束忘れないでくださいね!」
「あぁ、わかってるって!」
そういって二人は泳ぎ始める。
「楽しそうだね・・・・」
「行きたいか?」
「・・・・でも、始とここで誰もいない海岸を楽しんでいる方がいいな~」
「・・・・・・ふぅん」
そういって始は砂浜に寝そべる。
始とシャルロットの二人はIS学園が利用している海岸から離れた場所から眺めている。二人は水着を纏っている。
シャルロットはセパレートとワンピースの中間のような水着で、上下に分かれているそれを背中でクロスして繋げるという構造になっており、色は夏を意識した鮮やかなイエローで、正面のデザインはバランスよく膨らんだ胸、その谷間を強調できるようになっていた。
「(・・・・始、似合っているとか・・・・言う時は言うんだけど、言わない時は本当にいわないよね)」
ちらりと横でぼんやりとしている始を見る。
「ねぇ、始」
「なんだ?」
「この水着なんだけど」
「あぁ、似合ってるぞ」
「・・・・まだ、何もいっていないんだけど?」
「お前の顔見てりゃわかる・・・・俺が似合っているかどうかのこといわないの気にしてんだろ?」
「わかってるならいってくれてもいいんじゃない?」
ぶぅーと頬を膨らませるシャルロットに始は苦笑する。
「イヤだね~」
そういって始は起き上がって海の中に飛び込む。
「あ、待ってよ!」
シャルロットは慌てて始を追いかける。
その頃、一夏の目の前には白いワンピースタイプの水着の更識簪と全身タオルを巻きつけた少女がいた。
「あー。簪、隣にいるのって」
「・・・・ほら、ラウラ。大丈夫だって」
「だ、大丈夫かどうかは私が決める」
「その声・・・・ラウラか」
「う・・・・うむ」
「何やってんの?」
目の前にいるラウラらしき存在はタオルで全身をぐるぐると隠していて歩くミイラのようなものだった。
周りの生徒達が少し距離を置いている。
「そんなもの巻かないで・・・・あっちで遊ばないか?ラウラ」
「っ!?」
「そうだよ・・・・似合っているんだからさ」
そういって簪がタオルを剥がしていく。
一夏は目の前に現れたラウラを見て言葉を失う。
黒の水着、しかも、レースをふんだんにあしらったもので、一見するとそれは大人の下着にも見える。さらにいつも飾り気のない伸ばしたままの銀髪は左右で一対のアップテールになっていて、はっきりいおう。可愛い。
「おかしなところなんてないよね?」
「おう!ちょっと驚いたけど似合ってるぞ!」
「し、社交辞令などいらん」
「社交辞令じゃないって!すっごい似合っているぞラウラ」
一夏はラウラの告白に対して返事をしていない。
まだ、答えられないから。
逃げているといいかえてもいい状況で一夏は素直に答える。
「そうか・・・・・・」
ラウラは顔を赤くしてモジモジし始める。
余談だが、彼女の水着を選ぶためにドイツの部隊が協力したとかそうでないとか。
次の日、織斑一夏は誰もいない海岸に来ていた。
朝食を食べ終えて部屋に戻ろうとした彼に女将さんが一通の手紙を持ってきたのだ。手紙には一言、海岸で待っているという文字が書かれているだけ。
そして、海岸に来たわけだが、そこには先客がいた。
「・・・・・・」
「海はいいものだな、何時見ても変わらない様に見える・・・・そう思わないか?織斑一夏」
「変わらないから・・・・なんだ?」
「・・・・変わらなければ良かった。そうすれば今も幸せに笑っていたかもしれないのに」
「お前は・・・・誰なんだ?」
「でも、世界は残酷だよなぁ。幸せをかみ締めた途端、絶望に叩き落すんだからよ」
「・・・・・・・・」
「そういえば、どうして俺が人形を壊したのかって質問をしたよな?答えてやるよ。あれが俺のクローンだったからだ。前に話しただろ?」
「なっ・・・・」
一夏は息を呑む。
――殺された始がクローン!?
「信じられるわけが・・・・」
「俺が誘拐されてモルモットになった。その時にある科学者が俺のクローンを作ってそいつを俺がいた日常に放り込んだ。そうすることで誰も俺が誘拐されて酷い目にあっているなんて疑わなかった。誰も・・・・俺の家族すら気づく事はなかった。誘拐されたショックで混乱していると判断した。そして、一番身近にいた親友すら」
「・・・・・・だから、殺したのか?」
「正確に言えば反応を見たかった。俺のクローンなんていうふざけたものを作ったあの科学者がクローンを殺されてどういう反応を示すか・・・・結果は無反応。あれは既に用済みだったってことだ・・・・・・さて、何か質問はあるか?一夏」
「始・・・・お前は何をしようとしているんだ?」
混乱していたが目の前にいる始に一夏は尋ねる。
富樫始は振り返って微笑む。
どこまでも冷たい視線を一夏に向けて。
「・・・・さて、本題に入ろうか」
始は懐からプライムベスタを取り出す。
「俺の最後の目的の邪魔をするな」
「最後の目的ってなんなんだよ」
「・・・・・・・・篠ノ之束の殺害、そして全てのISの破壊」
「なっ・・・・なんで・・・・」
篠ノ之束とは箒の姉でISを製作した張本人。
天才、いや、天才でありすぎたが故に世界を自分に合わせるために作り変えた人。
それが篠ノ之束。
「あいつが俺の人生を狂わせた・・・・それだけだ。邪魔するなら俺はお前を倒す」
「悪いけど、あの人がいなくなったら箒が悲しむし・・・・お前に人を殺させるわけには行かない!」
「は?寝言は寝てから言えよ。俺は既に数多くの人を殺している。お前がどうこういっても人殺しというレッテルが消えるという事はない」
「それでも・・・・これ以上させたくないんだよ!」
「話し合いは、無駄か。よくよく考えたら俺とお前は話し合いで解決するようなタイプじゃなかったな・・・・・・」
「あぁ・・・・」
「俺とお前は戦う事でしかわかりあえない」
始の言葉に一夏が続く。
「何度もぶつかりあって、そして理解した」
「今度は理解できるかな?」
「「変身!」」
『チェンジ』
『ターン・アップ』
ブレイドに変身した一夏とカリスに変身した始が互いの武器でぶつかり合う。