仮面ライダー剣―Missing:IS   作:断空我

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番外編

十月三十日。

 

世間がハロウィンの準備で賑わっている中、BOARDの会議室に複数の人間が集っていた。

 

「さて・・・・」

 

BOARDの所長であり、実質トップである橘朔也の声に全員の視線が集う。

 

「諸君らも知ってのとおり、毎年、明日になると不可解な磁場が発生しているのはわかっていると思う・・・・。今回も磁場が発生するかはわからないが、警戒する必要がある」

 

うんうん、と全員が頷く。

 

「そこで、我々は現地で実態を把握する為に、明日は全員で仮装して行動する!」

 

「って、なんだそりゃ!?」

 

橘の言葉にいち早く反応したのは富樫始だった。

 

「緊急の要件で呼び出したと思えば仮装パーティの打ち合わせかよ!」

 

「何言っているんだ。始!大事な話だぞ」

 

「そうだ、磁場の発生で何が起こるかわからない。人々の安全を守るのが俺達ライダーの仕事であり、義務だ!」

 

「そーだそーだ!」

 

「お前ら、自分の顔を鏡で見て、もう一度いってみろや」

 

始は半眼で一夏、弾、簪を睨む。

 

彼らは真面目なことをいっているが表情はかーなーり緩んでいた。

 

それだけ、ハロウィンが楽しみという事だろう。

 

「まぁまぁ、私は賛成だよ?」

 

「シャルロット・・・・まぁ、そういうなら」

 

「「「ツンデレ乙」」」

 

「よぉし、喧嘩売ってるんだな?勝ってやるから表でろやぁ!!」

 

暴れる始をシャルロットが押さえ込む。

 

「当日はそれぞれが衣装を着て、BOARD本部の前に参加するように」

 

橘の言葉で会議が終了となった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

IS学園にて、シャルロットと始は着る衣装について話し合っていた。

 

「まだ、不機嫌なの?」

 

「不機嫌というか、面倒なんだよ・・・・どうして仮装しないといけないんだか、普通に私服きて出歩けばいいだろうに」

 

「折角なんだから楽しもうよ」

 

「そーだな」

 

衣装を作りながら微笑むシャルロットを見ていると、さっきまで怒っていたのがバカらしくなってきて、最後にため息を吐いて、始も衣装作りに入った。

 

そのとき、ドアがノックされた。

 

「はいはい、どちらさま?」

 

「悪い、俺だ」

 

ドアの向こうにいたのは一夏だった。

 

「なんだ?」

 

「始は、衣装できたか?」

 

「もう、そろそろってところだ・・・・」

 

「出来たらでいいんだが、学食の厨房に来てくれないか?手伝って欲しいことがあるんだよ」

 

「・・・・わかった」

 

始は頷いた。

 

「なんだったの?」

 

「衣装の進み具合の確認だってよ」

 

「もうすぐできるから任せて」

 

「手伝うよ」

 

手伝う為に始も衣装を作ることに参加した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、ハロウィン当日。

 

 

「睦月、その衣装はなんだ?」

 

「フランケンシュタインですよ。そういう橘さんは?」

 

「ドラキュラだ」

 

「「あぁー」」

 

「剣崎、その納得は何だ?」

 

「い、いや、なんでもないです」

 

BOARDの入口にて、剣崎、虎太郎、橘、睦月が最初に集っていた。

 

「剣崎君のって、きぐるみ?」

 

「あぁ、虎太郎も」

 

「うん」

 

カブトムシのきぐるみを着た剣崎、虎太郎は犬のきぐるみだった。

 

睦月はフランケンシュタイン、橘はドラキュラの衣装を着ている。仕事で疲れている姿を見ている彼らからすれば橘の衣装はぴったりといえる。

 

「む、先に到着していたか」

 

「こんばんは」

 

「やぁ、ラウラちゃん、簪ちゃん」

 

次にやってきたのはラウラと簪の二人。

 

ラウラはウサギのきぐるみに眼帯をしていて、簪は雪女の格好。

 

「二人とも似合っているな」

 

「む、そうか(嫁も褒めてくれるだろうか?)」

 

「ありがとうございます」

 

「遅くなりました~」

 

「うわ、もうほとんどきてんじゃない」

 

続いてやってきたのはセシリアと鈴音。

 

セシリアは魔女、鈴音はキョンシーだった。

 

「なんだ、俺らがほとんど最後じゃねぇか」

 

「遅くなりました」

 

そして、始とシャルロットがやってきたが。

 

「アンタ、誰よ?」

 

「富樫始だ」

 

「あの・・・・どうして、素顔を隠していらっしゃるのですか」

 

鈴音とセシリアの前にいる始はカボチャのお化けの格好をしているが、顔は巨大なカボチャに隠れていて見えない。

 

「えっと・・・・素顔を見せたくないからって・・・・」

 

『(恥ずかしがりやかなにかか!?)』

 

白いウサギの格好をしたシャルロットのフォローに全員が思った。

 

「おにぃ!急いでよ」

 

「悪い悪い、遅くなった!」

 

オオカミ男の格好の五反田弾と化け猫の五反田蘭が到着する。

 

「最後は一夏と箒君か」

 

「すいません!!」

 

ぺこりと謝罪して一夏がやってくる。

 

「ドラゴン・・・・?」

 

「あぁ、変か?」

 

「む、かっこいいぞ。嫁よ」

 

「そっか?サンキューな」

 

最後に到着したのは一夏と箒。

 

一夏は赤と黒のデザインをしたドラゴン、箒は幽霊の格好だった。

 

「よし、全員揃ったな。では各自行動に移ってくれ」

 

橘の号令で各自がそれぞれ動き始める。

 

といっても、橘、剣崎、睦月、虎太郎のグループ。一夏達、IS学園グループ、五反田兄妹、富樫始とシャルロットのペアと普段どおりになっていたが。

 

 

「なんというか、きぐるみの割合が多いね」

 

「というか、何で剣崎さん達、きぐるみなんですか?」

 

「「安かったから?」」

 

「うん、剣崎さんはわかるんですけれど、白井さんはウソですね」

 

「そうだな」

 

「ふ、二人とも酷くない!?節約大事だよ!・・・・といっても、僕のほうは色々と手を貸してあげたからという理由があるんだけど」

 

「何ですか?」

 

「実はね?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「別に一夏達と一緒に行動してもよかったんだぞ?」

 

「そーしたらおにぃ一人だけになっちゃうよ?それにしても、富樫さん、あんな綺麗な人捕まえるなんて、凄いね」

 

「そだなぁ」

 

「おにぃ、だけだね?彼女居ないの」

 

「ぐふっ!?」

 

化け猫蘭からの指摘にオオカミ男のハートにダメージを受けた。

 

「あーぁ、おにぃも早くいい人みつからないかなぁ。そうしたら私も安心していい人探すのに」

 

「って、お前まだ中学生だろ!?」

 

「その発言、古いよ。最近は小学生でも彼氏彼女なんているし」

 

「・・・・そうだな。負けた感じがする」

 

「ほらほら、元気出す!あ、トリックオアトリート!」

 

蘭は近くでお菓子を持っていたおばさんに言葉を投げかけて、掌サイズのパンプキンケーキを貰う。

 

「これでも食べて、元気を出したまえ。大丈夫、顔はともかく性格はいいんだから、おにぃもいい人見つかるって!」

 

「褒めてるのか貶してるのかわかりにくいな・・・・でもま、サンキューな」

 

妹からの言葉に弾は嬉しく感じながらしばらく歩き続ける。

 

 

「嫁よ。どう思う?」

 

「だから、嫁じゃないって・・・・似合っているんじゃないか」

 

「そうか、どこらへんが似合っている」

 

「えっと・・・・尻尾?」

 

「む、よく気づいたな」

 

戸惑った一夏が苦し紛れに呟いた言葉にラウラは喜ぶ。

 

「(尻尾でよかったのか?耳かどっちかでかなり悩んだんだが)」

 

「(できたら、耳か眼帯といってもらいたかったが・・・・まぁいいだろう)」

 

「・・・・ラウラ、よかったね」

 

「うむ」

 

「ねぇ、セシリア」

 

「なんですか?」

 

「ラウラって、段々と思考が一夏に染まってきてない?」

 

「そうですわね・・・・愛故に」

 

「うわぁ」

 

「い、一夏、はろうぃんというのは何をすればいいんだ?その、今までにこういうのに参加したことがなくて」

 

「そうなのか?」

 

「・・・・その、要人保護プログラムのせいでな」

 

「寂しい青春送ってたのね。アンタ」

 

「鈴さん、年寄り臭いですわよ」

 

「た、楽しみましょう」

 

「簪のいうとおりだ。ハロウィンは始まったばかり」

 

「そうだぜ。最初は色々と教えるから楽しもうぜ!箒!」

 

「お、おう!指導頼むぞ!」

 

箒は握りこぶしを作ってハロウィンの先輩達に指導を頼む。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おーくれ!」

 

「どぉぞ」

 

始は渡されたお菓子を手に持って、シャルロットの所に戻る。

 

「なんか、始、楽しんでない?」

 

「楽しむものなんだろう」

 

「そうだけど・・・・もしかして、楽しんでいる顔をみられたくないからそのカボチャかぶる事にしたの?」

 

「よくわかったな」

 

「(当たったよ!?)」

 

始はずれたカボチャ頭を治しながら呟く。

 

「でも、なんで? 楽しい顔をしてもバチは当たらないよ」

 

「少し、思うんだよ」

 

「なにを?」

 

「このまま、俺は幸せになっていいのかなってな」

 

そういってカボチャ頭は続ける。

 

「今まで、多くの人を傷つけてきた。盛大な八つ当たりしてきて、親友も傷つけて、そんな酷い事をした人間が幸せになる権利はあるのかなと、不安になるときがある」

 

「もう・・・・」

 

シャルロットは無言で後ろから始を抱きしめた。

 

「シャルロット?」

 

「幸せになっていいんだよ?始はいろんな人を傷つけたかもしれないけれど、それとおんなじくらい沢山の人を助けてきたんだから」

 

「・・・・そうなんかな?」

 

「そうだよ」

 

「悪いな・・・・こんなところみせちまって」

 

「いいよ(私だけに見せてくれるのって、嬉しいから)」

 

「ん・・・・あんなところに棒つきキャンディーを売っている魔女のおばあちゃんがいるぞ、くっださいな!」

 

始は今の気持ちを誤魔化す為なのかキャンディーを売っている魔女のところに向かう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さぁ、よい子はよっといで、おぉいしい、飴やお菓子をあげよう~」

 

「くっださいな!」

 

「あん?・・・・大人にはあげないよ!」

 

魔女は始をしっしっ、と追い払う。

 

「あー、残念だったね。始」

 

「はい、お嬢さん」

 

「え?・・・・どうも」

 

いきなり魔女から渡されてシャルロットはつい、キャンディーを受け取る。

 

「・・・・」

 

「どうしたの?」

 

「いや・・・・なんでもない」

 

カボチャのマスク越しに始はじっ、と魔女の姿を睨んでいた。

 

 

 

 

 

ハロウィンのパーティーはまだまだ続く。

 

 

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