仮面ライダー剣―Missing:IS   作:断空我

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第二話

「ちょっとよろしくって?」

 

「ん?」

 

休み時間、本を読んでいた一夏は顔を上げた。

 

金髪にすらりとした美がつく少女。英国人あたりだろうか?と考えていた。

 

そんなことを思っていると一夏の反応にお気に召さないのかまぁ、といい。

 

「イギリスの代表候補生であるこの私、セシリア・オルコットが話しているというのになんという態度ですか?」

 

「あぁ、すまん。俺はキミを知らなくて」

 

「まぁ、いいですわ。入試でただ一人教官を倒した私ですから、そういう態度も余り気にしませんわよ」

 

「教官を倒したって・・・・あのIS装着して戦うあれか?それなら俺も倒したぞ、といっても勝手に突撃して勝手に壁に激突しただけなんだが」

 

「え、えぇ!?あ、あなたも教官を倒したというのですか!?私だけだと聞いていたのに」

 

「もしかして、女子だけの話じゃないかな?そういうことならありえるけど」

 

「虎太郎さん・・・・いつの間に・・・・」

 

「次の授業の担当、僕なんだよ。一夏君~」

 

「くっ、また後で来ますわ!ですから逃げないでください!」

 

「・・・・・・」

 

「え・・・・あの子なに?」

 

「わかりません」

 

悪役のようなセリフを残して去っていったセシリアに一夏は何もいえなかった。

 

 

 

虎太郎の授業、初回は彼が執筆した二冊の本について個人がそれぞれ思った感想を述べてもらうというものだった。

 

そのため、最初の時間は本を読む時間ということになったのだが。

 

「この本を読むことがISと関係あるのですか!?」

 

ガタッと椅子から立ち上がってセシリア・オルコットが虎太郎に尋ねる。

 

突然の事に戸惑いながらも虎太郎は笑みを絶やさない。

 

「ISとは関係ないかもね。それに僕は特別講師だからIS関係以外を教えるためにいるんだ」

 

「ですが、この本を読む理由がわかりませんわ」

 

そういってセシリアは“仮面ライダーという名の仮面”の表紙をたたく。

 

「この本が日本で人気があるという事は聞いています。ですが、この本のどこがいいのかわかりませんわ。実在するかどうかわからない存在のことを書かれても何も感じません。なにより、他者のために自分を犠牲にするという男がこの世にいるはずがありません!」

 

「訂正しろ!」

 

一夏は叫んでいた。

 

突然の事にクラスメイトの女子、箒も驚いた表情をしている。

 

「織斑君、席に」

 

「て、訂正しろとはなんですか!」

 

「訂正しろっていったんだ。この本に書かれている彼らの事を何にも知らないからって妄想だと決め付けて!挙句の果てに存在しないだと!?ふざけるな!英国にそういう男がいないからってひがんでんじゃねぇ!」

 

「あ、あなた・・・・私の国を侮辱しましたわね!」

 

「お前も人の国の本侮辱しているじゃないか!」

 

「織斑君!」

 

虎太郎に怒鳴られて一夏は渋々席に座る。

 

一夏は許せなかった。

 

この本が侮辱されるのを。

 

短くも長く辛い戦いをしてきた“あの人”のやってきたことを否定されたみたいで腹が立っていた。

 

虎太郎はひとまずセシリアにも座るように促す。

 

しかし、彼女の次の言葉で辺りが静まり返った。

 

 

「け、決闘ですわ!」

 

「・・・・・・・・は?」

 

一夏へビシッと指差してセシリアは宣言する。

 

「決闘ですわ。貴方みたいな男の人に侮辱されて黙っているわけにはいきませんわ!」

 

「いいぜ。やってやる・・・・・俺が勝ったらさっきの言葉・・・・虎太郎さんに謝ってもらうからな!」

 

「ふん、構いませんわ」

 

「いっておくが手加減なんてすんなよ」

 

「・・・・は?」

 

一夏の言葉にセシリアの目が点になる。

 

彼の言葉に周りの生徒達がどっと騒がしくなった。

 

 

「織斑君~。相手は代表候補生だよ?」

 

「絶対勝てないって~」

 

「手加減してもらった方がいいよ~」

 

男は絶対に女に勝てないという風潮が世界に染みこんで何年も流れているからか、一夏の全力で相手をしろという言葉にクラスメイト達は無理だと決め付けている。

 

その中で一人、否定の言葉を述べた。

 

「男が勝てないって、そういうのはやってみないとわからないよ」

 

白井虎太郎の言葉にクラス全員が静まり返る。

 

「確かに代表候補生はISを誰よりも学んでいるし操縦している期間も長い、でも、この世の中に絶対なんて、そうそうないよ、戦いというのはちょっとの差で逆転されてしまう。だから、もしかしたらということもありえる」

 

今までどこかニコニコ、言い換えれば頼りないという言葉が似合いそうな男なのに、目の前に居る虎太郎はどこか別人のように感じられた。

 

「そういえば、織斑先生からクラス代表のことで話し合うようにっていわれていたから決闘の内容はクラス代表を賭けてということにしよう。表向きはだけど。それならアリーナも使えるからね」

 

「わかりました。戦うのが楽しみですわ」

 

「そうだな」

 

織斑一夏とセシリア・オルコットの間にバチバチと火花を散らせた。

 

 

「勝てるのか?一夏」

 

放課後となり一夏は篠ノ之箒と一緒に寮に向かって帰宅している道中だった。

 

箒は一夏が勝てるのかどうかわからない。

 

「ISに関しては基礎知識を少しずつ身につけている所・・・・剣術に関してはどうだろうなぁ・・・・(ここの所アンデッドや弾としか相手していないから腕がどの程度落ちているとか全くわからないんだよなぁ)」

 

「そ、それなら私が相手をしてやろうか?」

 

「本当か!?」

 

箒の提案は願ったり叶ったりだったので、一夏は喜んだ。

 

だが、箒の心境は超・複雑だった。

 

「(い、一夏のヤツ。昨日あんなことがあったというのにやけに平然としていないか!?)」

 

部屋のことを思い出して顔が赤くなるが一夏はこっちを見ていない。

 

何で赤くならない!?と少しイラッときていたが余計な事は言わずただ思っておくだけにする。

 

「(しかし、オーケーしたはいいが・・・・大丈夫だろうか?)」

 

箒は懸念していることがある。

 

一夏の腕前がどの程度あるのかということだ。

 

再会するまでにそれなりの月日がある。

 

剣の腕というのは一日だらけると取り戻すのに五日かかるといわれるので剣を握っていない時間が長ければ長いほど衰えは大きくなってしまう。

 

 

「(もし、一夏の剣が衰えていたら?)」

 

箒は不安を抱えながら学園内にある剣道場へ向かう。

 

 

そして、箒の懸念は無駄に終わった。

 

「ど・・・・・・どういうことだ!?」

 

「な、なにが?」

 

箒の声に一夏は面を外して尋ねる。

 

額には汗が一滴も流れていない。

 

それなのにいい汗流した~なんて平然というのだからこちらとしてはたまったものじゃない。

 

『織斑君って・・・・かなり強い?』

 

『すごかった・・・・何が起こったのか全然わかんない』

 

『ぜひとも剣道部に入ってほしいわぁ』

 

「い、一体。今までどのような生活をしていたらそんなに強くなるんだ?」

 

一夏の強さは彼女が思っていた以上に凄まじいものだった。

 

剣の腕は昔と比べたら天と地の差といえるほどに上達していて箒などでは歯が立たないほどに。

 

「・・・・どうしても追いつきたい、隣に並んで戦いたい人のために必死に、がむしゃらに鍛えたから・・・・かな」

 

遠い目をして語る一夏の背後に並々ならぬ覚悟と出来事があったということを箒は感じた。

 

「そうか・・・・なら、後はISの動きくらいだな・・・・というか、私を鍛えてほしいくらいだ」

 

「何でだよ?箒も十分強いぞ?」

 

アンデッドと戦う事を除けば、だが、

 

「そういや、箒はISのことには詳しいのか?」

 

「・・・・そこそこにな。お前よりかは知識がある」

 

「なら助かる」

 

 

 

 

 

「どうしてこう・・・・・あいつはアイツ以上に厄介ごとを運んでくるんだ」

 

BOARDの社長室で珍しく橘朔也は頭を悩ませていた。

 

彼の据わっている机の上には日本政府から送られてきた資料が置かれていて“織斑一夏の使用するIS”について、と書かれている。

 

「全く・・・・どうしてこう次から次へとややこしい展開に」

 

「失礼しまーす・・・・・・・・」

 

その時、虎太郎が部屋に入ってきて場が静まり返る。

 

「失礼しました~」

 

「待て!」

 

去ろうとした虎太郎の肩をガシリと橘は掴む。

 

「あ、あの橘さん・・・・・・?」

 

「これはどういうことだ?」

 

「な、なに?」

 

虎太郎は資料に目を通す。

 

少しして。

 

「ISって、BOARDにないんだっけ?」

 

「一機だけある。倉持技研から欠陥品として押し付けられたものだがな」

 

「それの武装ってなに?」

 

「剣が一本だけだ」

 

「ならいけるんじゃない?」

 

「それが問題なんだ」

 

橘はBOARDに保管されてあるISの情報を虎太郎に見せる。

 

「・・・・この内部事情が知られたら少しヤバイかもね」

 

「アンデッドを探す事がより困難になる」

 

「そういえば・・・・あれは見つかったの?」

 

「未だに行方不明・・・・誰がなんのために奪ったのかもわからない」

 

「このことを知ったら剣崎君戻ってきちゃうよね?」

 

「確実に・・・・だから睦月に探してもらっている。アンデッド封印は実質ギャレン一人で行なってもらっていることになる」

 

「まだ上級が一体も見つかっていない状況で戦えるライダーが一人だけってかなり不利だよね・・・・」

 

「だが、頑張ってもらうしかない」

 

 

彼らしか戦えるものは居ないのだから、と橘朔也は呟いた。

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