仮面ライダー剣―Missing:IS   作:断空我

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急展開×急展開×急展開かなぁ・・・・


第三十二話

 

学園祭が終わった。

 

だが、状況は最悪といえる。

 

シンデレラの騒動の間に二つもの事件が起こった。

 

一つは富樫始を狙った男。

 

彼は取り調べにより明らかになったが篠ノ之束を信奉する一派だった。

 

少し前に起こっていた紅椿の騒動を偶然にも目撃し、それを神の啓示と受け取ったのか生き残った始とシャルロットを狙う為にIS学園に潜入した。

 

どうして、潜入できたのかはわかっていない。

 

万全の監視をしていたはずだというのに原因が判明していないのだ。

 

「どういうことだ?」

 

「そうですね」

 

職員室で千冬と山田の二人はひそひそと話をしている。

 

男の身柄は警察に預けた。

 

信頼できる刑事に任せたのでちゃんとしてくれるだろう。

 

「侵入経路が不明なのはもう一つのほうもだな」

 

もう一つの事件、それは学園にアンデッドが侵入した事だ。

 

アンデッドが侵入した時は警備員を惨殺しての侵入、イーグルアンデッドの場合は不可抗力といえるが、それらの対策として上空などの警備は万全。

 

なのに、出現した二体のアンデッドの侵入経路がわからない。

 

「橘さん、透明になれるアンデッドではないという情報もきていますし」

 

「アンデッドに関してはお手上げだな・・・・こちらの方を解決した方がいいかもしれん」

 

刑事からの情報によると男は束の失敗したミスを消す為に始とシャルロットを殺そうとしたと話している。

 

男はブラックリストにのっているほどの危険人物で篠ノ之束を信奉する前もカルト集団に所属していた。

 

薬物などの前科もあるため、調書は難航するだろう。

 

「(複雑だな)」

 

千冬は心の中で思った。

 

親友がISを作ってから世界は大きく狂った。

 

変わったというべきなのかもしれないが、千冬からすれば狂ったといえる。

 

男女平等を謳う世界はなくなり、女性を優位する思考が増えた。

 

中でも篠ノ之束を神様と崇める信仰集団まで現れる始末だ。

 

「(束、これがお前の望んでいるものなのか?)」

 

千冬は親友の考えがわからない。

 

彼女は何を思い、考えているのか。

 

千冬は理解できず苦しんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・ねぇ、始」

 

「なんだ?シャルロット」

 

「・・・・・・・・」

 

「おーい?」

 

食堂で向かうように食べていた始は急に黙り込んでしまった彼女に視線を向ける。

 

シャルロットは半眼でじーっ、と見ていた。

 

「ねぇ、始」

 

「ん?」

 

「これを機に私と始だけの呼び名みたいなのを考えない?」

 

「・・・・二人だけの呼び名ってことか」

 

「そ、そうだよ」

 

顔を赤くして応えるシャルロットに始は少し考える。

 

「呼び名かぁ・・・・どうして?」

 

「・・・・わざと聞いているでしょ」

 

「バレたか」

 

「もう、温厚な私でも怒るよ」

 

「悪い、悪い、呼び名なんだけどな・・・・少し考えたんだが、シャルってどうだ?」

 

「シャル?」

 

「シャルロットをシャルで区切っただけなんだが、いいやすいなぁと思って」

 

「うん!いいなぁ・・・・二人だけの呼び名、ねぇ始」

 

「なんだ、シャル?」

 

「呼んでみただけ・・・・でも、嬉しいなぁ、なんでだろ」

 

「俺に聞かないでくれよ」

 

そういいながら食事を食べ終えた始はシャルロットと一緒にトレーを返却する。

 

後は部屋に戻るだけなんだが。

 

「・・・・シャル、お前の部屋に泊めさせてくれ」

 

「そうさせてあげたいのは山々なんだけど、私の部屋、相方がいるから・・・・」

 

「くそぅ」

 

地面に座り込みたくなる衝動を始は堪える。

 

シンデレラの王冠争奪戦、始は不審者と遭遇、シャルロットを守る為に戦った後に運悪く更識楯無と遭遇し王冠を奪われてしまった。

 

つまり、勝者は王子様と相部屋になる。

 

その権利を更識楯無は手に入れたのだ。

 

「・・・・アイツとこれからずっと相部屋って・・・・」

 

「ずるいよね、王冠の解除スィッチを持っているとか」

 

「勝つことこそ全てよ、シャルロットちゃん♪」

 

腰に手を当てて楯無が現れる。

 

「さ、ダーリン、愛の巣にいきましょう~」

 

「嫌だ、俺はまだシャルロットとここにいるぞ」

 

シャルロット個人からすると、とても嬉しい事をいっているが楯無としては面白くない。

 

彼女は濁った瞳で懐からロープを取り出す。

 

「おい、なんだそのロー」

 

始は最後まで言葉をいう事が出来なかった。

 

神業的な速さで始をロープで拘束するとそのままダッシュで逃げる。

 

「あ、始を返せ!」

 

奪われた始を取り戻す為にシャルロットは逃げた楯無を追いかけた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、織斑一夏も危機を迎えていた。

 

「ラウラ・・・・」

 

「なんだ、嫁よ?」

 

「どういうことだ、これ」

 

織斑一夏は自室でのんびりと休んでいたはずだった。

 

なのに、目を開けるとベッドに体を縛られていて動く事ができない。

 

そして、ちょこん、と一夏の腹の上に座っているラウラがいる。

 

ラウラは眼帯を外して真っ直ぐに一夏を見ていた。

 

おまけに黒い猫のきぐるみパジャマを着ている。

 

「どういうこと、というのは?」

 

「何で俺、縛られているの!?」

 

「楯無からのアドバイスだ」

 

「アドバイス!?」

 

こくん、とラウラは頷いた。

 

「誰からの!」

 

「更識楯無生徒会長からだ」

 

ぞくぅ、と一夏の背中に寒気が走る。

 

これは、これは嫌な予感がするぞ、と一夏の戦士としての勘が働いていた。

 

「私は見事勝利して、嫁と同じ部屋になる権利を手にする事ができた」

 

「そうだな・・・・」

 

箒が罠にかかったのを安心したところで、近くに隠れていたラウラによって王冠を奪われた。

 

そして、一夏は自由を奪われていた。

 

「そして、生徒会長のアドバイスで同じ部屋になったのなら他の奴らよりも確固たる絆を

手にするべきだ、といわれた・・・・よって」

 

「よって・・・・?」

 

出来れば痛い事じゃありませんように、と一夏は願う。

 

「一日キスをしようではないか!!」

 

「・・・・キス?」

 

「キスだ、それ以外に何かあるのか」

 

「・・・・いいや」

 

ラウラが純粋でよかった、と一夏はおもった。

 

だが、すぐに。

 

「待って!?一日キス!?それはちょっと」

 

「お前は私の告白の返事をまだかえしていない」

 

「うぐぅ!」

 

「私は幾度もアプローチをしているというのに」

 

「はぐぅ!」

 

「その間も嫁は他の女からアプローチを受けている」

 

「・・・・ぐはっ!」

 

織斑一夏のHP0!

 

「だから、これぐらいはやらせてもらってもいい・・・・はずだ」

 

「いや、ちょっと!一日中キスっていうのは・・・・って、聞いてない!?」

 

「「「させるかぁぁぁぁ」」」

 

ドアを壊して日本刀を構えた箒を筆頭に、鈴音、セシリアが現れる。

 

「嫁との愛の巣に入ってくるとは無粋にもほどがあるぞ、ノックをしろ」

 

「アンタぁ!なにしようとしてんのよ!?」

 

「一日中キスだ」

 

「ちょっと!ラウラさん!?」

 

「告白の返事をもらえないのだ、これぐらいやらせてもらっても罰はあたらん」

 

「そ、それならぁ!私にもその権利はあるぞ!」

 

「箒さぁん!?」

 

いきなりおかしなことをいいだした箒に一夏は叫ぶ。

 

どうやらさきほどの発言は他の人たちにも感染したらしく。

 

隅で四人はひそひそと話し始める。

 

「織斑」

 

「は、はじ!」

 

「静かにしろ・・・・協力しろ、助けてやるから」

 

「頼む」

 

突如、部屋にやってきた始に喜びながら一夏は頷く。

 

始はナイフで縄をあっさりと切り裂いた。

 

『ふむ、では、四人で・・・・む、嫁が逃げたぞ!』

 

『あら、ここにダーリンが逃げ込んできたはずなんだけれど』

 

『生徒会長!?』

 

『ダーリンの臭いがまだ新しい、外ね!』

 

「なんなのあの人!?」

 

「走れ!いそがねぇと終わる!」

 

壮絶な鬼ごっこは騒ぎに気づいた織斑先生がやってくるまで続いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日、事件は起こった。

 

『BOARD社長橘朔也、剣崎一真、白井虎太郎、上城睦月の四名を警察は緊急逮捕しました』

 

「・・・・は?」

 

ニュースを見た弾はぽかん、とマヌケは表情を浮かべた。

 

それは隣で食事を取ろうとしていた蘭も同じ。

 

『尚、緊急逮捕した理由に関して、警察は情報を開示しておりませんが、数日前に投稿された動画が関与している者だろうと思われます』

 

キャスターの話に弾は慌てて、机の携帯電話を取り出そうとした。

 

それよりも早く、メールが届いている事に弾は気づく。

 

 

From 橘朔也

 

連絡するな。バイトもしばらく休め。

 

 

 

たった一言の内容。

 

「おにぃ?」

 

「橘さんから、しばらく、なにもするなって」

 

「なにも?大丈夫なの?」

 

「わかんねぇ・・・・連絡するなって書いてある・・・・かなり厄介な状況なのかもしれない」

 

「そんな!」

 

「とにかく、IS学園へ行く!一夏に連絡しねぇと」

 

「私も行く!」

 

「蘭は残ってくれ!」

 

「でも!」

 

「何が起こっているのかわからない。お前は安全な所で情報を集めてくれ」

 

「・・・・・・・・わかった」

 

渋々という形で蘭は頷いた。

 

橘がいない今、弾は冷静に動かないといけない。

 

状況を把握する必要がある。

 

弾は置いてあったヘルメットを掴んで家を出た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「えっと・・・・生徒会長、これはどういう状況ですか?」

 

篠ノ之箒は食堂でニュースをみて、一夏に報告をしようと道場に来ていた。

 

彼らがいるのは剣道場ではなく、柔道場。

 

なんで柔道部がないのに柔道場があるのかという疑問は置いといて、箒は道場に辿り着いたのだが、

 

「ごっめーん、ストレス発散しちゃった。てへっ」

 

手でぽこん、と自分の頭を叩いて楯無は微笑む。

 

彼女のすぐ傍には足を天井に向けて沈んでいる一夏の姿があった。

 

先日、始を文字通り捕食しようとした楯無だが、失敗してしまい。少し苛々していて、朝練をしていた一夏を拉致、容赦なく潰してしまう。

 

「そんな!?一夏、しっかり」

 

「ダメよ、箒ちゃん」

 

起こそうとした箒を楯無は止める。

 

「なんでですか!?」

 

「状況は知っているわ。ただ、一夏君に話してもどうにもならないわ」

 

「・・・・どういうことですか?」

 

「昼休みに関係者を集めてもらえるかしら」

 

そういって、楯無は出て行った。

 

「どういう・・・・」

 

困惑していた彼女は少ししてから。

 

「気絶した一夏はいつ目を覚ますのだろうか」

 

 

 

一夏が目を覚ましたのは授業が開始して十分後のことだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ニュースでもあがっていたけれど、少し前にこんな書き込みがあったの」

 

とある掲示板であげられたのは仮面ライダーという存在について。

 

内容のほとんどが都市伝説として騒がれている仮面ライダーのことばかり。

 

だが、途中から内容が変わった。

 

それはISの話題になってからだ。

 

ISと仮面ライダーどっちが強い?

 

片方はIS,もう片方は仮面ライダーと応えた。

 

それからISサイドは理論を延々と語り、仮面ライダー派は一冊の本を取り上げたり過去に起こった事件などで議論を展開する。

 

「先日、正確に言うと学園祭が起こった当日に・・・・ある画像が一斉に貼り付けられたの」

 

「画像?」

 

「これです」

 

虚がパソコンを操作して目の前の映写機に流す。

 

そこに流れたのは仮面ライダー?らしき存在が打鉄とラファールを一方的に無力化させるものだった。

 

「なんですか・・・・これは」

 

箒の声は震えている。

 

当然だろう、一夏達はこんなことをしたことがない。

 

「ですが、これだけで警察が動き出すとは思えないのですが」

 

「セシリアちゃんのいうとおり、これだけで動かせない・・・・でもね、こんなものが匿名で送られてきたの」

 

楯無はコピーしたものだけど、といい机に置く。

 

そこにはBOARDが過去に行った非人道的な実験の書類だった。

 

「・・・・これを、BOARDが?」

 

鈴音の声は震えている。

 

そこにあったのは人の命をなんだ、と叫びたくなるようなデータばかり。

 

「偽装だ」

 

書類を見て、富樫始は否定した。

 

「・・・・証拠は?」

 

「被験者が目の前にいるんだ。それ以外の説明が必要か?」

 

全員の視線が始に集まる。

 

始は写真を手に取ると無表情で破り捨てた。

 

「合成されているが、ここに写っている人間は俺だ。どこで見つけ出したのやら・・・・全部この世から抹消してやったと思っていたんだが」

 

淡々と語る始に生徒会室にいる者達は誰も言葉を発しない。

 

始が証言をすれば、BOARDの冤罪はなんとかできる。

 

だが、

 

「これは無罪を主張するより前に犯人を見つけ出した方がいいだろう・・・・難しいだろうが・・・・さて」

 

映写機を始は止める。

 

「ちょっと、なんで」

 

鈴音が怒鳴ろうとするよりも前に生徒会室のドアが開いて武器を持った男達が入ってくる。

 

「な、なんだ!?」

 

「・・・・富樫始だな」

 

入ってきた男達は銃口を始に向けている。

 

「学園の理事長から許可は貰っている。我々に同行してもらおうか」

 

「へいへい」

 

「始!?」

 

始は横にいるシャルロットの肩をぽん、と叩く。

 

「大丈夫だ。わーるい後は任せた」

 

入口に向かうと男達は始の両手に手錠をかけて無理やり連れだした。

 

「待て、一夏!」

 

出て行こうとした一夏を千冬が止める。

 

「でも!千冬姉」

 

「学園が許可した以上、私達ではどうすることもできない・・・・(だが、どうして学園が急に許可を出した?)」

 

「そうよ・・・・私達に出来るのはこれ以上の状況悪化の阻止(理事長が許可を出すって、ありえないわ・・・・委員会が勝手に許可した可能性がある)」

 

「くそっ!」

 

一夏は我慢できなくなって拳を壁に叩きつける。

 

「状況は我々に不利だ。外の情報を入手する必要があるな」

 

「ラウラちゃんのいうとおり、世間が注目しているからっていうのもあるけれど・・・・見えない何かが動いている気がする」

 

扇子で口元を隠して楯無は告げた。

 

一夏は拳を強く握り締める。

 

――力があるのに、何も出来ない。

 

そんな無力感に支配されていた。

 

ラウラはちらり、と空席を見る。

 

座るべき場所にいない人間をラウラは心配していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

五反田弾と一夏は話をしていた。

 

「橘さんから連絡をするな、しばらく大人しくしていろっていわれた」

 

「・・・・大丈夫だよな、みんな」

 

「あの人達は俺達の先輩だぞ?そう簡単に折れたりしないって」

 

「だよな・・・・」

 

「始の事、気にしてるのか?」

 

「・・・・警察に届けられた写真、始だった」

 

一夏は写真を見たとき、酷いと感じた。

 

泣き叫んでいる人をまるでモルモットのように体を切り刻んだり、ぐちゃぐちゃにしている光景、それが酷く恐ろしい。

 

「始のヤツ、淡々と語ってた・・・・俺さ、遠い出来事みたいに思っていたのかもしれない」

話を聞いていたとはいえ、あれは酷すぎた。

 

「人が人ならざるものになるっていうのはあぁいう事なんじゃないかと思った・・・・ダメだなぁ。俺は」

 

一夏は項垂れる。

 

「それは違うよ、一夏君」

 

「「嶋さん!?」」

 

近くの木から現れたのは嶋だった。

 

嶋はにこりと笑みを浮かべて近づいてくる。

 

「彼らは大丈夫だ。何か問題が起これば私の同胞が教えてくれる・・・・一夏君、弾君。危険なのはキミ達だ」

 

「どういう・・・・ことですか?」

 

「今までにない悪意がキミ達に近づいている・・・・」

 

「悪意?」

 

一夏が尋ねようとして、弾のポケットに入っていたアンデッドサーチャーが反応する。

 

「くそっ、こんなときにアンデッドかよ!」

 

「嶋さん、話は後で、俺は」

 

「行くべきではない」

 

嶋の言葉に一夏は目を見開く。

 

なんといった?

 

いくなといったのか?

 

「何故、ですか?」

 

「おそらく、キミ達が戦いに行けば・・・・傷つくのはキミ達だ」

 

人間はライダーに注目している。

 

アンデッドがいる場所は街中だ。そんなところで一夏達が戦えばさらなる波紋が広がる可能性があった。

 

「嶋さん、俺はライダーです」

 

真っ直ぐな瞳で一夏は嶋を見る。

 

「アンデッドから人を守る為に戦うのがライダーの仕事です。俺は・・・・なにがあっても人を守り続けます。どんなことがあってもです」

 

「・・・・一夏君」

 

「大丈夫です、嶋さん」

 

隣に居た弾が一夏のわき腹を小突く。

 

「弾君・・・・」

 

「一夏のバカが飛び出し過ぎないように俺がサポートします。無茶な事はさせないっすよ」

 

「・・・・」

 

二人は嶋の横を通り過ぎていく。

 

「・・・・私も、少し動くとするか」

 

小さく微笑みながら強い風が吹くと、そこに嶋の姿はなかった。

 

 

 

 

 

 

ジェリーフィッシュアンデッドが街中で暴れていた。

 

電撃を放つ鞭を振るって街灯や建物に傷を付けていく。

 

人々が逃げ惑っていると、小さな女の子が躓いて地面に倒れる。

 

母親とはぐれて、膝をすりむいてじんじんと痛んで涙が零れた。

 

泣きじゃくっている子どもの声が耳障りだったのか、たまたま耳に入ったのかジェリーフィッシュアンデッドはゆっくりと近づいていく。

 

女の子は泣きながら逃げようとするのを笑うようにジェリーフィッシュアンデッドは鞭を振り上げる。

 

「ウェイ!」

 

通り過ぎるようにブレイラウザーを振るって、ジェリーフィッシュアンデッドにダメージを与えた。

 

「大丈夫か!?」

 

光弾を撃って牽制しながらギャレンが泣いている女の子に近づく。

 

女の子はぽかん、とした表情を浮かべてギャレンをみる。

 

「逃げられるか?」

 

「・・・・うん」

 

「ここは危ないから振り返らずに走れ。大丈夫だ。キミの背中は俺らが絶対に守ってやる」

 

ギャレンはそういってギャレンラウザーを構えて立ち上がる。

 

女の子はそんなギャレンを見上げつつも走る。

 

立ち去ったのを確認してギャレンラウザーでジェリーフィッシュアンデッドに発砲した。

 

ブレイドはジェリーフィッシュアンデッドが振るう鞭をよけてからブレイラウザーを振るう。

 

刃が当たる瞬間、ジェリーフィッシュアンデッドは体をゲル状に変えて後ろに回りこむ。

 

後ろに回りこみ鞭をブレイドに振り下ろした。

 

「跳べ!」

 

「っ!」

 

前に転がるように跳んで避けると入れ替わるようにギャレンラウザーの光弾が撃ち抜く。

 

追い討ちをかけるようにブレイラウザーの刃がアンデッドの腕を斬りおとす。

 

「ギャレン!」

 

「おう!」

 

二人はラウザーのオープントレイを展開して三枚のプライムベスタを取り出した。

 

 

『キック』

 

『サンダー』

 

『マッハ』

 

『ライトニングソニック』

 

 

 

『ドロップ』

 

『ファイア』

 

『ジェミニ』

 

『バーニングディバイド』

 

二人のライダーは同時に必殺技を繰り出す。

 

ジェリーフィッシュアンデッドは体をゲル状にさせて逃げようとする、だがそれよりも早くブレイドのライトニングソニックが、続けてギャレンのバーニングディバイドが炸裂した。

 

攻撃を受けたジェリーフィッシュアンデッドは爆発に包まれる。

 

しばらくして地面に崩れ落ちたジェリーフィッシュアンデッドのバックルが開いた。

 

ギャレンがワイルドブランクを投げる。

 

吸い込まれてプライムベスタとなったカードを回収した。

 

「よし」

 

「おう」

 

二人は互いに拳をぶつけた。

 

だが、彼らは後ろを振り返った。

 

「「!?」」

 

そこにはメガネをかけた男が立っていた。

 

人間じゃない、と二人はすぐに気づく。

 

目の前の男は殺気を放っている。

 

「ライダーか・・・・虫唾が走る」

 

姿が変わる。

 

男は金色のクワガタムシ、ギラファアンデッドへと姿を変えた。

 

ブレイラウザーを構えて、ブレイドはギラファアンデッドへ刃を振り下ろす。

 

だが―。

 

「がはっ!?」

 

ブレイドは体から火花を散らして後ろに大きくバウントする。

 

――何が起こったのかわからない。

 

アンデッドの力を借りて常人よりも強化されて、普段から自らの体を鍛えている一夏ですら“見え”なかった。

 

ギャレンは驚きながらもギラファアンデッドに光弾を撃つ。

 

弾丸を体に受けながら近づいてくる。

 

オープントレイを展開しようとしたギャレンにギラファアンデッドは片方の刃を投げる。

 

刃はギャレンの右肩に命中して火花を散らしてギャレンラウザーが地面に落ちた。

 

「・・・・時間切れだな」

 

「な?」

 

「どういう!」

 

ギラファアンデッドは小さく笑うと、姿を消す。

 

後を追いかけようとした二人は後ろから大量の銃弾を受けた。

 

二人が驚いた表情を仮面の中で浮かべながら振り返ると、そこには重武装の警官隊がいた。

 

彼らは武器を構えて、次々と発砲してくる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私は・・・・」

 

簪は自室で毛布に包まって体を抱きしめる。

 

彼女の傍にはレンゲルクロスが転がっていた。

 

 

 

 

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