「ようやく帰ってこられたよ・・・・って、広瀬さん!?」
「久しぶり~、元気だった」
「広瀬さん、どうして!?」
警察から解放された虎太郎達を広瀬が出迎える。
事情を知っている橘はともかく、剣崎たちは驚きの表情に染まっていた。
「広瀬君、状況を話してくれ。我々は留置所にいたせいでわからない」
「はい」
BOARDの社長室にて、広瀬栞は簡潔に状況を説明する。
カテゴリーKを封印したこと。
簪がJフォームを発動させた。
トライアルの出現。
そして、適合者である一夏達の状況。
「最悪な状況続きだな」
「広瀬さん、弾君は?」
「病院で休んでいます。大きな怪我とかはなかったんですけれど、疲労が大きいみたいで・・・・それと、これを嶋さんから」
広瀬はデスクにギャレンバックルを置く。
「彼の精神が安定するまでは変身させない方がいいということです」
「そうか・・・・わかった」
ギャレンバックルを懐に入れて橘は立ち上がる。
「橘さん?」
「IS学園へ向かう。剣崎たちはしばらくここで待機だ。警察から解放されたとはいえ、油断は出来ない」
サングラスをつけて橘は部屋から出て行く。
「橘さん・・・・気にしているのかな?」
「そんなこといったらお前もだろ?睦月」
「トライアルの中には橘さんや睦月君の情報を基に作られたトライアルが在るから・・・・」
「本音を言うなら簪ちゃんたちに戦わせたくない・・・・できるなら、俺達で倒したい」
「・・・・そう、だな」
「サーチャーに反応あり!」
「場所は!」
「・・・・ウソ、IS学園!」
弾が目を覚ますとそこには橘朔也の姿があった。
「・・・・橘・・・・さん」
「目が覚めたか?」
「はい、あの・・・・俺」
「暴走したそうだな・・・・嶋さんから聞いた。体のほうは大丈夫か?」
「・・・・すいません」
「何故、謝る?暴走した事か?」
「・・・・俺、一夏を支える、仲間と一緒に戦っていくつもりでした・・・・でも、蘭や爺ちゃんが傷つけられたのをみて・・・・許せないと思い・・・・気づいたら」
「・・・・誰にでも感情のままに動く事はある。気にする必要はない」
「でも、俺、ライダー失格ですよ」
「ならば、戦うのをやめろ」
「・・・・え?」
橘の言葉に弾は言葉を失う。
彼はなんといった?
「ライダー失格かどうかは自分で決める事だ。お前が失格だというのなら足手まといはいらない。戦うのを止めろ・・・・その方が織斑たちのためになる」
「・・・・・・」
「・・・・弾、これからいくところで戦いをやめるかどうかを決めろ」
「え・・・・あの」
有無を言わせず、橘は弾を起こして歩き出す。
目的地は。
「おいおい・・・・こりゃねぇだろ?」
カリスはカリスアローを構えて飛んでくる光弾を右へ左へと避けていく。
場所はIS学園の入口。
カリスアローを構えて攻撃をしてくる敵を見据える。
「始!大丈夫!?」
「なんとかなぁ・・・・にしても、予想外にも程がある」
目の前の敵を睨む。
「トライアル・・・・三体もくるとは」
トライアルD、ブレイド(トライアル),GはゆっくりとIS学園へと近づいている。
「始一人だけに戦わせるつもりはないよ」
「そのとおり!」
カリスを守るようにしてシャルロット、楯無が武器を構え、トライアルDの前に立つ。
同じように紅椿、ブルーティアーズ、甲龍、シュヴァルツェア・レーゲンが別のトライアル達と向かい合う。
「・・・・行くぞ!」
甲龍の双天月牙を鈴音はトライアルGに振り下ろすが、Gの持つ槍であっさりと裁かれてしまう。
衝撃砲を近距離で放とうとするが槍先を地面に突き刺し、宙を飛んで避ける。
「がら空きですわ!」
空中では避けられない、セシリアの狙撃がトライアルGの体に直撃した。
レーザー攻撃を受けたトライアルは床に叩きつけられる。
「滅多撃ちにしてやるわ!」
鈴音が叫ぶと同時に衝撃砲が、ブルーティアーズとスターライトMk-Ⅲの集中砲火がトライアルGに浴びせられた。
「支援は任せろ、突っ込め!」
「わかった!」
紅椿を纏った箒は二本の刀を携えてブレイド(トライアル)に瞬時加速で間合いを詰める。
ブレイド(トライアル)はブレイラウザーを構えて箒の振るう刃を受け止めた。
「(一夏とは違った強さだ・・・・これが)」
箒が目の前の敵を、一夏の姿と重ねてしまう。
そもそも、目の前にいるブレイド(トライアル)は首にマフラーを巻いている事を除けばブレイドと同じだ。
「(これが、一夏の追いかけている師の強さだといわれても、私は負けるつもりはない!!)」
嘗ての自分とは違うと箒は刃を振るう。
紅椿を手に入れたとき、これさえあれば一夏と共に戦える。一夏が危険なことに首を突っ込む事もなくなると考えていた。
だが、目の前のアンデッドへと姿を変えた始、仲間と敵対しても助けようとする一夏の姿を見て、箒は思う。
「一夏達の戻る場所を私は守ってみせる!必ずだ!」
紅椿を操り箒はブレイド(トライアル)とぶつかり合う。
「しまっ!」
ブレイド(トライアル)の刃が箒の持っている刀を地面に落とす。
動揺した箒にブレイド(トライアル)が接近しようとするがラウラのレールカノンと展開装甲のエネルギーソードの攻撃を受ける。
「すまん、たすかった」
「あまり無茶をするな」
後方に下がってラウラと合流して箒は感謝の言葉を漏らす。
「ライダーというのはこうも頑丈なのか・・・・」
「そのようだな」
砲弾とエネルギーソードの直撃を受けたというのに平然と爆煙の中から現れるブレイド(トライアル)に二人は驚きながらもその瞳に揺らぎはない。
「だが、負けるつもりはない!」
「そのとおりだ!」
カリスはトライアルDの操るコードを避ける。
入れ替わるようにしてシャルロットが黒い幽霊の装備されているサブマシンガンとライフルの二つで発砲した。
トライアルDは弾丸を受けても肉体に大きなダメージはない。
「足止めできれば十分よ!」
楯無はガトリングランスで弾丸を攻撃しつつ槍を振るう。
弾丸で足止めしつつ、槍でトライアルDをIS学園から遠ざける。
『チョップ』
カリスラウザーにプライムベスタをラウズして楯無とシャルロットが下がったところでカリスは手刀を繰り出す。
アンデッドの力が付与された一撃を受けてトライアルDは地面に倒れる。
「(おかしい・・・・)」
カリスはトライアルを見て、疑問を抱いていた。
「(さっきからこいつら、激しい攻撃をしてこない・・・・トライアルの狙いが俺の持つプライムベスタならシャルと刀奈をすぐに倒してでも襲い掛かってくるはず、なのに、なんだ?本気で戦うつもりがないようにみえる)」
トライアルDはゆらりと起き上がる。
コードを振るってくるのをカリスアローで払う。
そのとき、一瞬だがトライアルDの視線が学園の方へ向かったのをカリスは見逃さなかった。
「(まさか!?)」
脳裏に嫌な予感が過ぎった。
周りのトライアルを確認してカリスは背を向けようとする。
だが、トライアルDはコードを伸ばしてカリスの体を封じ込めようとした。
「始!」
「やらせないわよ!」
コードを二人が蒼流旋とダガーで斬りおとす。
「大丈夫!?」
「くそっ・・・・やられた」
「始?」
「こいつらは囮だ。本命は既に学園の中に侵入してやがる!」
「そんな!?すぐに戻らないと!」
「・・・・だが、倒さないとこいつらが学園に来る・・・・仕方ないか」
「ダメ!」
カリスがプライムベスタを取り出したのを見て、シャルロットが止める。
「・・・だが、ワイルドにならないとやつを倒すことはできない」
「だとしても、まだ、待って!」
「二人とも話し合いはそこまでよ・・・・敵が本気になったみたい」
楯無の言葉に二人が視線を向けるとトライアルDの纏う雰囲気が変わった。
山田真耶は生徒達を安全な場所に誘導していた。
千冬の案で避難訓練という名目で生徒達が講堂へ向かい、誰かはぐれた人がいないか確認していると、彼女の前にトライアルEが現れる。
「リストトショウゴウ・・・・カクニン、ヤマダマヤ」
「あっ!」
山田は周りに誰もいないかみて、それからトライアルEを見る。
「ハイジョカイシスル」
「ッ・・・・」
逃げようとするがそれよりも早くトライアルEの腕が伸びて彼女の肩をつかんで引き寄せ、投げる。
「あ・・・・うぅ」
地面に倒れこんだ山田はゆっくりと起き上がる。
倒れた拍子にメガネが外れて地面に落ちた、彼女は手探りでメガネを探す。
「ハイジョスル」
メガネをみつけて、山田が顔を上げると、アームガンの銃口を突きつけているトライアルEがいた。
「あ・・・・」
“死”という文字が山田の頭に浮かぶ。
「ハイジョ」
アームガンが放たれる瞬間、レッドランバスがトライアルEに激突する。
「え・・・・」
「山田さん、大丈夫か?」
「た、橘さん!?」
レッドランバスに乗っていたのは橘朔也だった。
「・・・・トライアルE・・・・」
サングラスを外して橘は真っ直ぐに起き上がったトライアルEを睨む。
懐からギャレンバックルを取り出して装着する。
「・・・・お前だけは俺が――」
『ターン・アップ』
目の前にオリハルコンエレメントが現れ、橘はそれを潜り抜ける。
「この手で、倒す!」
ギャレンはホルダーからギャレンラウザーを抜くと同時に発砲した。
同じようにトライアルEもアームガンで応戦する。
二人は横に並列しながら銃撃戦をはじめた。
ほぼ互角の戦いを繰り広げている。
離れた所で、弾はその戦いを見ていた。
自分とは違う戦い方。
銃の扱い方に凄いと感じた。
「(これが・・・・橘さんの戦い・・・・)」
「(・・・・違う!)」
山田真耶はすぐにそれが間違いだと気づいた。
傍からみていると互角の戦いをしているように見える。
だが、ギャレンの方がわずかばかり押されていた。
ギャレン、橘は過去の戦いにおいて怪我を負っている。
それが原因でカテゴリーAとの融合係数が著しく低下をしていた。
辛うじて変身できるが、今の橘にとってギャレンとなることは全身に重りをつけるのと同じくらい辛い行為だった。
そうだとしても橘はこのトライアルEだけは自分の手で倒さないといけないと考えていた。
「(コイツは・・・・俺だ!)」
トライアルシリーズは広瀬栞の父親、広瀬義人の人格を移植されたトライアルBによって作られたものだ。
そして、トライアルEは協力者として一時的に行動していた橘のDNAによって作られている。
いわば、橘のクローンといえよう。
そのトライアルEを橘は自身の手で葬ろうとしている。
だが、融合係数の低下、体の傷などが原因で思うように戦えない。
「だとしても、コイツは俺の手で葬る!そのためなら命だって捨てても構わない!」
ギャレンラウザーを構えてギャレンはトライアルEに詰め寄る。
光弾を体に受けて仰け反るトライアルEに対してギャレンはオープントレイを展開し、プライムベスタを読み取った。
『ドロップ』
『ファイア』
『バーニングスマッシュ』
「だぁあああああああああああああ!」
雄叫びを上げながらギャレンのバーニングスマッシュがトライアルEに直撃するはずだった。
トライアルEのアームドガンのバーストにより空中で爆発。変身が強制解除されて橘は地面に転がる。
「橘さん!」
山田真耶は倒れた橘に駆け寄る。
額から血を流しているが、大きな外傷は見当たらない。
「ハイジョ・・・・スル」
「ぐっ!」
橘は地面に落ちているギャレンバックルを手に取ろうとする、だが、ソレよりも早く弾がギャレンバックルを装着する。
「変身!」
『ターン・アップ』
ギャレンに変身してトライアルEに突っかかるとそのままがむしゃらに殴り始める。
「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」
弾は恐怖していた。
戦うことにではない。
怒りの感情のまま戦った自分に対してだ。
感情のままに戦った結果、暴走して仲間を傷つけた。
このままでは危険だと思ってライダーをやめようと橘に言おうとした。
彼に連れられてここまで来て、ボロボロになってまで戦おうとする橘を見ていると、自分の中の何かが湧き上がってくる。
それが何かはわからない。
わからないが、弾は気がついたらギャレンに変身してトライアルEと戦闘をしていた。
どうして戦うのか?
弾はわからない。
なのに体は自分の意思を離れてトライアルEと戦っている。
どうすればいいのか?
弾は自問する。
だが、答えは出ない。
「先生!」
そのとき、弾の耳に女性の声が聞こえた。
「ハイジョ!」
それと同時にトライアルEのアームガンが校舎にいる女性の方へ向けられる。
ギャレンが視線を向けるとIS学園の制服を着た生徒がいた。
アームガンのシングルが生徒に向けて放たれる。
今のままでは間に合わない。
「やめろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」
『アブゾーブ・クィーン』
『エボリューション・キング』
布仏虚は生徒の誘導が完了し、山田先生が戻ってこないということで、危険だが探していた。
数少ない事情を知るものとして千冬も別の所を探している。
暗部としての訓練をつんでいる虚は普通の相手なら負けることはない。
教室、廊下と見回して庭のほうへ視線を向けると小爆発が連続して起こっている事に気づき、そっちへ向かう。
「なにが・・・・」
そこでは異形と前に話題になっていた仮面ライダーが戦っていた。
山田先生の姿を見つけた虚はつい、声をだしてしまう。
異形の怪物と目が合った。
ヤバイ、と虚が感じた時には怪物の腕から弾丸が放たれる。
逃げられない。
間に合わない、と感じた虚は来る痛みに備えようとした。
だが、いつまでたっても何も起きない。
おそるおそる目を開けるとそこには仮面ライダーが立っていた。
体の各部が黄金に輝く仮面ライダーは銃を片手に持ち、守るようにして立っている。
「もう、誰も傷つけさせない・・・・俺は!」
「そうか・・・・」
弾はわかったような気がした。
どうして自分が飛び出したのか。
ギャレンに変身してトライアルと戦おうとしたのか、わかったような気がした。
同時に体からわきあがってくる力を感じながらギャレンは目の前のトライアルEを睨む。
「あの・・・・」
「大丈夫だ」
「え?」
後ろにいる女性に顔だけ振り返りながらギャレンは告げる。
「貴方は絶対に守る」
「っ!?」
ギャレンの言葉に顔を赤くなる女性からトライアルEを睨んだ。
湧き上がる力を全身に感じてギャレンは“キングラウザー”を構える。
「お前は、俺が倒す!」
NEXT 王の力