仮面ライダー剣―Missing:IS   作:断空我

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感想を貰って久しぶりに描く意欲がわきました。




十年後

 

 とある紛争地域。

 

 そこではISが使われていた。

 

 ISの軍事利用は失踪から戻ってきた篠ノ之束博士のスピーチによって完全禁止となり当初の目的である宇宙開発へ戻っている。

 

 それから既に五年以上の月日が流れている。

 

 だが、ISの力は今も強大で絶大である。

 

 禁止と言われても兵器としての力を示してしまった以上、ISを軍事利用することをやめるものは後を絶たない。

 

 ISを纏っている女性は薬物で溺れている元女軍人だった。

 

「アハハ、ほら、逃げろよ!逃げなよ!アハハハハハハ!」

 

 楽しそうに笑いながらISのライフルを連射する女性。

 

 弾丸は戦車、周囲の人間を巻き込んでいく。

 

 狂ったように笑いながらISはすべてを蹂躙していく。

 

 だが、それも終わりがやって来る。

 

 ISのセンサーがある反応を伝えた。

 

「あ?」

 

 センサーの方へ女は振り返る。

 

 こちらへ近づいてくる一台のバイク。

 

 どこにでもある市販のバイクが土煙を上げながらこちらへ向かってきている。

 

 新たな生贄がやってきたのか。

 

 女性のパイロットは嗤いながらライフルを向けた。

 

『チェンジ』

 

 ISのハイパーセンサーがある音を捉える。

 

 目の前で男が変身した。

 

 黒い戦士。

 

「ハ?」

 

 女性は目を見開き、ライフルのトリガーへ伸ばしていた手を一度、止めてしまう。

 

 その隙をつくように変化したバイクの前輪が女性のISに叩きつけられる。

 

「ガフゥ!」

 

 肉体的なダメージはISによって守られる。

 

 だが、衝撃までは殺せない。

 

 脳を揺らされた女性だが、フラフラと立ち上がる。

 

「何だよ、お前ぇえええ!」

 

 目の前に現れたのはカマキリを模したような黒い戦士。

 

 もし、彼女が薬物におぼれずに冷静だったのなら思い出しただろう。

 

 何年も前にある男が執筆した本の中に登場する仮面ライダーの存在を。

 

 黒い仮面ライダー、カリスは専用武器のカリスアローを振り下ろす。

 

 こちらへ向けていた女性のライフルをソードボウで切り裂く。

 

 武器を失いながらも予備スロットからサバイバルナイフを取り出した。

 

「遅い」

 

『ドリル』

 

『トルネード』

 

『スピニングアタック』

 

「トゥア!」

 

 竜巻に包まれながら上昇したカリスのドリルキックが女性を貫く。

 

 ISの絶対防御によって命を落とすことはない。だが、ISは破壊されて意識を失った女性が地面に倒れている。

 

 カリスは待機状態になったISを奪い取った。

 

『スピリット』

 

 敵がいない場所にたどり着いたところでカリスはハートスートのカテゴリー2を使って人の姿に戻る。

 

 富樫始。

 

 かつて少年だった人物は青年になっていた。

 

 数奇な運命に翻弄されてすべてを滅ぼす怪物となりながらも人を守るために戦ってきた仮面の戦士の一人。

 

 仮面ライダーカリス。

 

 愛用している茶色のコートを風で揺らしながら彼は懐から端末を取り出す。

 

「俺だ」

 

『目標を回収してくれたみたいだね?』

 

「ああ」

 

 電話の相手に始は答える。

 

『後はいつも通りだよ』

 

「わかった」

 

『ごめんね、束さんがやらなければならないことなのに』

 

「別にいいさ。俺は普通の人間じゃない。こういう点で役に立てるならいくらでも使ってくれ」

 

 肩をすくめながら彼はバイクに跨る。

 

 過去の戦いで彼は人間ではなくなった。本人曰く人間より多少頑丈で、長生きできるだけだという。

 

 弾雨の中であろうと平然としていられる彼だが、一つだけ悩みがあった。

 

「まあ、しいて言うなら、妻のご機嫌取りが大変だってことくらいだろうな」

 

 誰にも聞かれることがないことをわかっていながら彼は市販のバイクに乗って荒野の道を突き進んでいく。

 

 

 戦場でISが出てくるのなら気を付けるといい。

 

 ISを狙ってどこからともなく黒い悪魔が現れてISを破壊して戦争を終わらせる。

 

 そんな噂がネットに広まっていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ある学校施設。

 

 そこではISの生みの親であり研究者でもある篠ノ之束の演説が行われていた。

 

 彼女の演説を聞くために多くの学者や学生が集っている。

 

 変人で天災といわれていた彼女だが、数年前に失踪から戻ってきて以降、常識を得たように様々な分野で研究を発表。

 

 そして、ISを宇宙開発の道へ戻した人物でもある。

 

 彼女を護衛するように二人のSPが待機していた。

 

 学会での演説が終わるとみんなが一言でも話をしようと彼女に集まって来る。

 

 そんな彼らをSPがやんわりと押しとどめて、帰るための車に束を誘導していく。

 

 彼女が車に乗ったことを確認してSP達も車に乗り込む。

 

「ふぅ」

 

「いやぁ、キミのSP姿も様になってきているね!」

 

 笑顔を浮かべる束に冗談じゃないと青年は肩をすくめる。

 

「勘弁してくださいよ。SPなんて、肩が凝って仕方がないです」

 

「いえ、弾君、とっても似合っていますよ」

 

「虚さん……」

 

「ちょっと、ちょっと、独り身の束さんの前で桃色空間作らないでくれるかな」

 

「も、桃色って」

 

 顔を赤らめる青年は五反田弾。

 

 かつて仮面ライダーギャレンだった青年だ。

 

 今はSPとして篠ノ之束の護衛をガールフレンドの布仏虚と一緒に行っている。

 

 突如、車が急停車した。

 

「どうした!」

 

 弾達が外を見ると武装した集団が立ちはだかっていた。

 

 中にはパワードスーツらしきものを纏っている者もいれば、不気味な怪物らしき姿もある。

 

「やれやれ、貴方達はここにいてください。俺が終わらせてきます」

 

 外に出た弾はサングラスを懐に仕舞って入れ替えるように銀色の機械を取り出す。

 

「守るためなら必要だよな」

 

 自虐的な笑みを浮かべながら機械を腹部へ装着しながらカテゴリーAのプライムベスタをギャレンバックルに差し込む。

 

「変身!」

 

『ターンアップ!』

 

 現れたオリハルコンゲートを潜り抜けて彼は変身する。

 

 訂正しよう。

 

 彼は今も仮面ライダーギャレンだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

IS学園。

 

 そこの整備室にて一人の女性が油まみれになりながら一機のISを整備していた。

 

「よし、これで大丈夫」

 

 油まみれになっている顔のまま、笑顔を浮かべて彼女は鎮座しているIS打鉄をみつめる。

 

 学園の中でかなり年季があり、ところどころガタがきていたIS。

 

 一人の女性の手によってそのISは新品と見舞うほどの輝きを放っている。

 

「あら、こんなところにいたのね?」

 

 整備室のドアが開いて扇子を片手にこちらへやってくる女性がいた。

 

「お姉ちゃん?」

 

「もう、顔が油まみれよ?」

 

 微笑みながら更識楯無は妹の更識簪の顔をタオルで拭いてあげる。

 

「どうしたの?IS学園にやって来るなんて」

 

「久しぶりに卒業した母校を見に来たのよ……それにしても、昔と違って男子も入ってきているのね?」

 

「うん、整備士を希望する人もいるからね。操縦の方は女性だけだけど」

 

 IS学園。

 

 嘗ては女子のみの学園だったが、篠ノ之束の発言から男性でもISを整備する者達を受け入れるということで学科によって異なるが男子生徒も参加してきている。

 

「でも、簪ちゃんが教師になるなんてね~」

 

「ここが気楽だったからというものだよ」

 

 にこりとほほ笑む女性の名前はIS学園整備学科教師更識簪。

 

 仮面ライダーレンゲルとして戦ってきた少女であり今は女性としてIS学園にいる。

 

 彼女の姉、更識楯無、更識家を受け継いだ当主であり、既婚者。

 

 今は国を陰から守るために動いている。

 

 だが、それよりも早く解決する者達がいるため、情報隠ぺいなどで奮闘していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

路地裏。

 

 そこで一人の女性が異形の怪物に襲われていた。

 

 バッタを模したような怪物は口をギチギチと動かしながら怯えている女性へ迫っていく。

 

 女性は逃げようにも退路を断たれて、怪物に殺される時を待つしかなかった。

 

 目の前の怪物の正体はISを超えるためという理由である複合企業が生み出した生体兵器である。

 

 生体兵器は本来、その企業が管理していたのだが、女性を襲うとしている個体はそこから抜けだしたいわゆるはぐれ個体であった。

 

 逃げようとする女性の肩を掴み、口を開く。

 

 バッタのごとく、かみちぎることに特化されている顎が今にも女性の体を貫こうとした時。

 

「ウェエエエイ!」

 

 叫びと共に振るわれた拳が怪物を殴り飛ばす。

 

 殴り飛ばされた怪物はビルの壁に叩きつけられる。

 

 女性の前には青い仮面の戦士が立っていた。

 

 銀と青の鎧を纏い、顔は仮面で隠されている。

 

 腰のホルダーには剣が携えられていた。

 

 

 

――仮面ライダー。

 

 

 

 都市伝説で語られているヒーロー。

 

「早く逃げろ」

 

 仮面の中から聞こえてきた若い男の声。

 

 年齢的に自分より少し下かもしれない。

 

 女性は少し驚きながらも仮面ライダーの言葉に従って逃げていく。

 

 怪物は唸り声をあげて体を起こす。

 

「……アンタも、もとは人間だったのかもしれないな」

 

 バッタの怪人を見ながら仮面ライダーは静かに呟く。

 

「だけど、人を襲うっていうのなら俺はアンタを止める……そして、人に戻す手段を探す!!」

 

「ウォオオオオオオオオオオオオ!」

 

 既に人としての理性を失っているのか叫び声をあげて襲い掛かる怪物に仮面ライダーは腰の剣を抜かず、拳で戦う。

 

「ウェエエエイ!」

 

 怪物の顔に向かって一撃。

 

 攻撃を受けた怪物は地面に倒れる。

 

「まだ、アンタに人間の理性があるなら、いますぐにこんなことをやめろ!!」

 

 怪物へ訴えながら仮面ライダーは戦う。

 

 だが、怪物は仮面ライダーの言葉に反応することがない。それどころかマスマス狂暴性が増していた。

 

「……まだ、止まらないっていうのなら」

 

 拳を強く握りしめながら仮面ライダーは地面を蹴る。

 

 左右のビルの壁を蹴りながら空高く舞い上がり、バッタの怪物へキックを繰り出す。

 

 その時、腰のホルダーから数枚のカードが飛び出す。

 

『キック』

 

『サンダー』

 

『マッハ』

 

『ライトニングソニック』

 

 雷撃を纏ったキックがバッタの怪物を貫く。

 

 必殺ともいえる一撃を受けたバッタの怪物は地面に倒れる。

 

 痙攣しながら体を動かしていたがやがて、ぱたりと手が地面に落ちた。

 

 しばらくして、ブクブクと体から泡を出して消滅する。

 

 証拠隠滅。

 

 その企業は万が一、怪物の正体が明るみに出ないように作り出す際に細工を施していたのだ。

 

 

 消滅した怪物を見て仮面ライダーは静かにバックルを腰から外す。

 

「ごめん、助けられなくて」

 

 謝罪をして彼は路地裏から姿を消す。

 

 変身を解除して鎧が消えると中から現れたのは黒髪の青年だった。

 

 整った顔立ちで長身。

 

 青いジャケットに黒いズボンというシンプルだが、顔立ちが整っているからより似合っている。

 

 彼の顔を見れば女性はある人物を連想するだろう。

 

 かつてISにおいてブリュンヒルデという称号を持っていた最強の女性、織斑千冬。

 

 今は剣崎千冬という名前になっているが彼女と顔つきが似ている。

 

 彼の名前は織斑一夏。

 

 二代目仮面ライダーブレイドであり世界を救った男である。そして世界初のISを動かした男子でもある。

 

 本来なら平穏な生活に戻っていてもよい彼だが、今はそれを選んでいない。

 

 なぜならアンデッドとは別の新たな脅威が世界にはびころうとしているからである。

 

「財団……アンタ達のたくらみは絶対に止める」

 

 彼は仮面ライダー。

 

 人々を守るために戦う仮面の戦士である。

 

 

 

 

 




速攻で思い付きで書いてみました。

この中で普通の生活送っているの簪だけのようにみえますが、実はみたいな裏設定を一瞬、考えてしまいました。

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