終わらぬ旅を今、君と共に   作:しの字

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前書きとは、書こうと思っても書けない。意外に難しい欄ですね。
本文書くより難しいのでは・・・?
今回もお楽しみくださいませ。


第1話 日常は非日常に

ー黒衣森 南部森林ー

 

夕日が射す森を男達は進む。

 

「大丈夫かい、母さん。兄さんと俺とで行くから良いって言ったのに。

 

 無理はしないでくれよ。」

 

「そう言うな、シノ。母さんと一緒に散歩することもここ最近なかったろう?

 

 たまには良いものさ。」

 

「ふふ、ロディはよく私のことを考えてくれてるのね。それに比べてシノは・・。」

 

少し意地悪げに母と呼ばれる女性は微笑む。

 

まだ、シワの少ないその顔とは裏腹に、歩く速度は老婆とそう変わらない。

 

「そうは言ったって・・分かった。悪かったよ。ゆっくり行こう。」

 

二人の"息子"は母に手を貸し、ムントゥイ醸造庫から家へと向かう。

 

今日採れた木の実を届けに行った帰り道のことであった。

 

静かで優しい風の吹く黒衣森だが、その日は事情が違った。

 

森はざわめき、獣達の気性も荒れているように見える。

 

幸いにも襲いかかってくるようなものではなかったが・・。

 

"沈黙の花壇"を通る頃、ガササ・・と揺れる茂みから、ゴブリン達が飛び出した。

 

「兄貴!」

 

「おうよッ!」

 

ロディはその巨躯を十二分に活かし、シノが叫ぶより前に母の盾となり、覆いかぶさる。

 

ゴブリンの投げる爆弾は人が作るものと比べても完成度の高いものであり、

 

採掘師は彼らから直接買い付ける者も居るくらいである。

 

無論、殺傷能力もお墨付きだ。

 

だが彼らは普段、人間を襲うような輩ではなかった。

 

友好的に交易を行っていたハズなのだが・・・

 

今はそんなことを考えている場合でもない。

 

「母さんに手を出させてたまるか!」

 

シノは距離を詰め、ゴブリンを気絶させるよう適度に加減し、拳を叩き込む。

 

殺したくなどないのだ。

 

"俺達がとある理由からイシュガルドを追われた際、

 

グリダニアの民から受け入れをなかなかに得られなかった。

 

そんな時、ゴブリン達は快く手を貸してくれた。

 

隠れ家に住まわせてくれたのだ。

 

後から聞いた話だと、それは角尊たちにはお見通しだったようだが、

 

どうだっていい。彼らに救われた事実がある。"

 

しかし、数で押されてしまうと格好をつけ続けられるわけではない。

 

"兄貴は母さんを連れ逃げてくれたろうか。

 

まぁ、こんだけ時間を稼げれば大丈夫だろうさ。

 

俺ゃそろそろ限界だぁ・・・。"

 

倒せど倒せど起き上がってくるのだ。

 

明らかにおかしい。

 

シノは、確かに兵士ではない。神勇隊にも双蛇党とも関係のない生を過ごしてきた。

 

だがかつて傭兵であった兄から少なからず戦闘訓練の指南は受けてきた。

 

殺す手段だって知っていた。

 

「さっさと倒れろよ・・!母さんに合わせる顔がなくなっちまう・・・!」

 

そうは言うも、爆弾が第二波、第三波と押し寄せる。

 

もう避けるだけの気力はない。

 

"あぁ、終わった"

 

諦めの瞬間、森のざわめきにも負けない雄叫びが聞こえる。

 

投げられた爆弾の導火線が切断される。

 

「よォく耐えた!シノ!さすが俺の弟だぜ!なァ!」

 

「兄貴!母さんは!?」

 

「もう大丈夫だ。母さんは無事に送り届けた。

 

あとは任せてお前も休め。」

 

「へへっ・・そうさせてもらおうかな。」

 

ロディの両手には小振りの短剣が見える。

 

そして彼は容赦なく迅速に、ゴブリンの顔を引き裂いた。

 

一体、また一体と倒れるゴブリンを見て、涙を流した。

 

"あぁ、俺は守れなかった。分かってはいた。

 

止められなかった俺が悪いのだ・・。"

 

躊躇いなくダガーを振る兄を見て、自分の非力さを嘆く。

 

1分経たずして、死に体の山が出来上がる。

 

「流石だよ・・兄貴、俺は・・俺はッ・・・!」

 

「分かるさ。何が言いたいのか。

 

だから、俺はお前がしたいことをやってやったつもりさ。」

 

「違うッ!俺は殺したくなかったッ!」

 

胸ぐらを掴んで問い詰める。

 

シノは身長193cm。だがロディはその約20cm大きく、そして筋肉の塊とも

 

言うべき体つきであった。ビクともしない。

 

手をどけると、倒れたゴブリン達のそばに連れて行く。

 

シュコォ・・シュコォ・・・・コホォ・・コォ・・

 

”ゴブリン達はどうやら死んではいないらしい。

 

一体なぜ?"

 

不思議そうな顔してるな。とククッと笑うと、

 

そのナイフのネタばらしをしてくれた。

 

「このナイフは、こっちに来てから作ったんだが、

 

オチューの毒を使ってるのさ。

 

アイツらの毒は加工のしようで効用が変わるのは知ってるな?

 

睡眠毒をナイフに仕込んだんだよ。

 

ただまぁ、ゴブリンを傷つけないようにしたいのは俺も一緒だ。

 

だからマスクの先っちょだけ裂いて眠らせてやったって訳だな!」

 

シノは自らを恥じた。

 

兄はもとよりゴブリン達も救うために戦っていたのだ。

 

その真意を悟ることもできず、兄を疑ってしまったのだ。

 

「さぁ、帰ろうぜ。きっと母さんも待ってる。

 

要らない心配するこたぁない。俺は気にしねぇよ。」

 

"これが俺たちの冒険の第一歩になることは、今は知る由もなかったのである。"

 

 

〜 第1話 日常は非日常に 終 〜

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




意外としょっぱなからかきづまってしまい、1話書きあげるのに時間がかかってしまったように
思います・・。もしかすると誤字がひどいやもしれません故、ご報告いただければ幸いです。
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